Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


松皮づくりほか、魚料理の備忘録

海なし県、山梨に移り住んでちょっと残念なのは、美味しい魚が食べたくなったので地魚が買える葉山の魚屋さんまでちょっとドライブ、なんてことができなくなったことでした。
でも今は、とても有り難い時代。山陰の魚屋さんに(おまかせで)ネット注文すれば、地元で水揚げされた魚を漁港で買い付けてくれて、それらを送ってもらうなんていうことができ、翌日には届くので、水揚げされた次の日に超新鮮なそれらをいただくことができたりするのでした。
しかも、冷蔵便の送料や発泡容器や梱包代などを含めて3000円+税で、4人家族が数日楽しめるほどの魚介類が送られてくるのです。
今回、送られてきたのは、赤カレイ、真鯛メジナ、カナガシラ(ホウボウに似た棒のような赤い魚)、小ダコ、赤バイ貝でした。
唾液腺にめまいを催す神経毒がある赤バイ貝だけは下処理済みでしたが、その他の魚やタコは丸のまま、内臓やウロコも取ってない状態なので下処理までは早めにやる必要があります。また、いつ届くか、どんな魚が届くかもおまかせなので、好き嫌いがある人などは辛いかも知れませんが、魚が好きで自分でさばくことをいとわない人には最高の素材。しかもどんな食べ方がオススメかが書かれたメモが同封されてきます。

時間的な余裕さえあれば魚を自分でさばくのは好きで楽しいのだけれど、わたしの場合、物覚えが悪いことにくわえ、魚をさばく機会が少ないということもあって、何度も同じ失敗を繰り返してしまうので備忘録としてブログに記録しておこうと思ったのでした。

届いた初日はとりあえず、すべての魚の下処理をし、赤ガレイと小ダコをいただきました。
●タコはたこ飯。ビニール袋に塩を多めに入れてその中にタコを入れてもみ、ヌメリをとります。新鮮なタコだったからか、驚くくらいに美しいサクラ色のご飯で、美味しくいただきました。

●赤カレイは、うろこを取り、内臓をとってから、5枚に降ろしました。
今回のいただいた赤カレイには、卵が入っていたキモも大きかったので、内蔵をていねいに取り、卵は茹でてからバラし、その後、炒ってタラコのようにして、お醤油を少し垂らしていただいたり、お刺身にまぶしていただいたりしました。
内臓は心臓とキモ(肝臓)を取り分け、茹でてからすりつぶし、ペーストにしました。あん肝ならぬ、カレイキモ。これが素晴らしく美味しくて、わたしはお刺身のお醤油にといて、さとみさんはトーストしたライ麦パンにぬってレバーペーストのようにしていただいていました。
赤カレイは、お刺身でいただきました。ヒラメよりも、身は柔らかめなのですが、甘さもあって美味しかった。
カレイのアラは、適当な大きさに切って片栗粉を付けて、から揚げに。縁側はもちろん、中骨も尻尾も、半分に割った頭も、塩とレモンで美味しくいただきました。骨まで美味しくいただくためには、二度揚げするのコツ。
カレイ1尾で大ごちそうになりました(美味しくて写真は撮り忘れました)。


二日目、朝食は、カナガシラのアラで作ったブイヤベース。自家製サフランと、氷点下の畑で耐えていたイタリアンパセリをちらしていただきました。絶品。←これはさとみさんの作。

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ブーケガルニ用のハーブ、サフラン、その他の野菜や根菜もなんとか自給できているので、あとは魚介類があると料理のレパートリーが広がるのでした。

夕食は、メジナ(グレ)とタイをお刺身でいただきました。
松皮づくりが好きなのですが、産直商店からのメモ書きに皮をさっと炙って食べてみて下さい、とあったので、湯通しと両方やって比べてみたのですが、トーチで炙った方がシコシコはするのですが、硬すぎることとなぜか生臭さが出てしまう感じもあって、表面にペーパータオルを一枚敷いた状態で熱湯を掛けて湯通しし、すぐに氷水に漬けるという方が家族にも評判が良かったです(これ、以前にも試しているのにすっかり忘れていました)。でも、もしかしたら炙り方にコツがあって、トーチ(今回ははんだ付けなどにも使える細口のガストーチ)の種類などによっても違ってきたりするのかもしれません。ご存じの方、アドバイスお願いします。

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⇧タイとメジナ(グレ)のお刺身、松皮造り。大根のツマが見えなくなってしまったほどのテンコ盛り(ふた皿に分ければよかった)。自家製の山わさびをすりながら(摺った直後が最高に香り高い)、内山さんからいただいた無農薬レモンを垂らしながら、塩レモンほかでいただきました。手間はかかるけど、こんなに美味しいお刺身をこんなにたくさん食べることができると、スーパーのお刺身になかなか手が出せなくなってしまうのでした。

ところで、以前メジナは皮を引き、その皮を小さく切って、炙ったか湯通ししたか(忘れてしまったのですが)も酒の肴に最高だったことなども食べ始めて思い出しました。
炙るにしても、湯通しするにしても、皮に軽く塩をすることで、熱湯をかけたとき、たんぱく質がすばやく凝固して、身のほうまで熱がそれほどまわらない、とのことです。今回は塩をしなかったので次回は忘れずに試してみたいと思います。

翌日、カナガシラ(アラはもういただいたので身)は壷田さんの土鍋で湯豆腐。

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⇧身は、湯豆腐にしてもシコシコしていて、タラとはまた違った美味しさ。昆布との相性も抜群で、汁はお醤油を少し垂らしたらすまし汁のようで、汁もダシガラの昆布も、全部いただいていました。

赤バイ貝はバターソテー。
メジナとタイのアラは潮汁にして、骨までしゃぶり尽くしました。新鮮だからなのか、アラも驚くくらいに臭みがなく、あー、美味しかった!
ちなみに、今回、送ってもらったのは、こちら、繁忙期やお正月、それにシケたときなどはおやすみになることもあるようです。

アイミーブi-MiEV、駆動用バッテリーの交換・その3「駆動用バッテリーの分解」

アイミーブ突然死・駆動用バッテリーの交換・その2「部品取り車からバッテリーを降ろす」からの続きです。


こんなことはあんまり書きたくないことなんだけど面倒臭い世の中になってしまったので書いておきます。アイミーブの駆動用電池は電圧330V、しかも放電効率に優れたリチウム電池なので、大電流をドカンと流すことができます。また、電気は目に見えません。そんなわけで、ここで紹介する作業は、誤った作業をすると感電死することがあるような作業です(とはいえ、チェーンソーを使った伐採や薪づくりなどにも同じことが言えるわけですが)。

地球の生態系はいま瀕死の状態にあります。でも、SNSが発展したおかげで、政府や大企業などの大きな組織に依らない個人の取り組みが地球環境の改善に大きく貢献する可能性もあるように思っています。
いま地球上には膨大な数の自動車が動いています。環境負荷の小さな暮らし方を模索する上で個人レベルでも、中古のソーラーパネルを使い、中古の電気自動車を走らせることができたとしたら、ことによると良い方向への大きな変化のキッカケになるかも知れません。そんな思いから、電気自動車に使われていて廃棄されることになってしまった廃バッテリーの有効利用の方法を考えたいと思いました。
そんなわけで、このブログに書かれていることにたとえ誤りがあり、それに起因する事故が起きても、申し訳ありませんが責任は取れません。この先を読み進むにあたっては、そのことを了承いただいた上でお願いします。
またこのブログは、わたなべ個人による偏見に満ちたブログです。上記のことに了承できない方、誹謗中傷を日々の暮らしのはけ口にしている方は、申し訳ありませんが、この先は読まないでください。
以上、自分のことを自分で判断して生きる、という暮らし方をしている人たちにとっては、とてもつまらないことを書いてしまいました、スミマセン。

■これまでの経緯(概略)■
86歳の母が愛車としていた電気軽自動車(アイミーブ)のバッテリー残量が、前日までは満充電近くだったのに、翌朝、突然ゼロになってしまっていたのでした。

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ディーラーに電話をしたら、すぐにこちらに持ってきて下さいとのことだったので、レッカー車を手配して家から30㎞離れたディーラーに運び込んだところ、駆動用バッテリーのセルに異常があり駆動用バッテリーの交換が必要とのこと。バッテリーの保証期間を過ぎてしまっているので交換は有償で、駆動用バッテリー代や工賃などを含め費用は概算で110万円になります、とのことでした。前日までなんの支障もなく動いていたクルマが、ある朝、動かなくなってしまい、その修理代に110万円かかります、というのはなかなか納得のいかないことでもあり、40万円で購入した中古車だったこともあって、このクルマの修理に110万円を掛けるということは我が家の逼迫する家計からはできないことでした。とはいえ、環境負荷の小さな自動車ということで購入した電気自動車が製造されてからわずか10年ちょっとである日突然廃車になってしまうというのは、本来の存在意義からすると本末転倒、地球に優しいということとは逆の結果になってしまいます。
いろいろ考えた末、同じ型式の事故車から駆動用バッテリーを(友達に手伝ってもらって)降ろし、それをディーラーに持ち込み、それに載せ換えてもらうことにしたのでした。おかげで費用は1回分の載せ換え工賃(と手伝ってくれた友達への薄謝)だけ、ディーラーに払ったのは7万5000円弱(中古駆動用バッテリーの費用を除く)で収まりました(そのあたりの詳しい経緯は「アイミーブ突然死」や「事故車からバッテリーを降ろす」を参考にして下さい。

こうしたケースの場合、壊れた方の駆動用バッテリーは廃棄にお金がかかる、とのことだったので、それを引き取らせてもらい、なんとか有効に使う方法がないものか考えてみることにしました。ちなみにバッテリーが保証期間内で、無償で交換してもらった場合は、バッテリーは譲り受けることはできないとのことでした(検査や検証をしているということなのかもしれません)。

故障した電気自動車の駆動用バッテリー(リチウムイオンバッテリー)の使い方には、いくつかの方法があると思います。
ひとつは、故障箇所を発見し、それを直して電気自動車用のリビルトバッテリーとして再使用する方法。これにはその電気自動車を作ったメーカーの協力が必要です。最初に考えたのはこの方法で、治験車として詳しいレポートを提供するので技術的なところなどをサポートしてもらえないかと、三菱自動車の加藤隆雄CEOに直訴したのですが、断られてしまいました。
もうひとつは、駆動用バッテリー本体内部の各セルを取り出し、それを家庭用などの太陽光発電充電用電池として使用する方法です。
電気自動車用の駆動用バッテリーは高性能なので、家庭用の太陽光発電のオフグリッド電源の蓄電用として使えそうなのです。
あるいはもうひとつの方法として、太陽光で発電した電気を一度、電気自動車の駆動用廃バッテリーに蓄えることで、太陽光発電を使った電気自動車の充電システムをつくるということもできそうです。
というのも、電気自動車の充電には、最低でも600W以上の安定した充電電流が必要で、いまわが家で行っている太陽光パネルから(パワコンの停電モードを使って)直接充電する方法だと、太陽に雲が一瞬でもかかった際、電源が切れてしまいます。30秒後に自動リセットできるようにはなったのですが、それでも効率的とは言えず、時間もかなりかかってしまうのでした。その点、サブバッテリーによるアシストがあれば、晴れ時々曇りの日にも途中で途切れることなく効率よく充電が可能だったりするはずです。

いまや、この手の技術の先進国である中国では、個人使用を前提としたBMS(リチウムBatteryをManagementするとためのSystem、その頭文字でBMS)やハイブリッドインバーター(太陽光で発電した電気の使っていない余剰分をリチウム電池に蓄え活用するなどの多機能を備えた機器)などが数多く製造されていて、地球の生態系を大切に思い、環境負荷をできるだけ少なく暮らしたいという世界中の人々の間で静かな(しかしかなり熱い)視線が送られているのでした。

そんなわけで故障してしまったと言われるアイミーブの駆動用電池を分解し、それがこうした用途で使えないものか、探ってみることにしました。

■駆動用電池ユニットの分解■
分解に当たっては、ウスイタケノブさんに協力をいただきました。タケノブさんは、各種コンバートEVや機能に関してはほぼオリジナルのジャメ・コンタント・オマージュなどを手掛けた電気自動車設計の専門家です。それとウチの娘(電気工事士)にも手伝ってもらいました。タケノブさん、お忙しい中、ありがとうございました。

以下、写真のキャプションで説明していきます。

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⇧これがアイミーブ(初期型・初度登録2010年6月)の駆動用バッテリーユニット。
車体からバッテリーユニットを降ろすまでの工程はこちらを参考にして下さい。

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⇧まずは、ケースの上フタを止めている(スパナサイズ10mmの)ボルトを外します。防水性を高めるため、短いピッチでたくさんのボルトを使って固定されています。

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⇧フタをはがそうとしたら、この部分もくっついているようだったので、サービスプラグ周囲のプレートも外します。固定しているネジ4本を外すと外れました。
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⇧サービスプラグ外周のプレートを外す前に、念のため、高圧コードの電圧を測定し、リレーが切れていることを確認しました。

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⇧これがサービスプラグの端子。330Vのちょうど真ん中あたりを切断する構造になっているものと思われます。

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⇧サービスプラグのプレートを外したら、空冷用のファンなどはケースのフタに取り付けたままの状態で、フタを外すことができました。防水のため、ケースのフランジ面には硬化しないタイプの(つまりベトベトの)ブチルゴームが使われていました。これを余分なところにつけないように注意して外す必要がある、ということにはずしてから気が付きました。そのためにこの後の作業では、なにかにつけ工具も手袋もブチルが付着して難儀しました。

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⇧ケースのフタが外れるとこんな感じ。これまでイジってきたサビだらけのクルマからすると、内部はまるで新品のよう。サビはもちろん、ホコリさえもない状態でした。温度があがるとファンで電池を冷やす構造ですが、ファンの吸気口にはエアクリーナーが取り付けられていて、そのためにホコリも入らなかったものと思われます。

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⇧フタの外れた駆動用バッテリーを上から見るとこんな感じです。水色のものがLEV50と呼ばれるGSユアサリチウムイオンバッテリー。真中付近に、大型のヒューズと大型のリレースイッチがあるので、そのあたりから高圧電源の入出力をしている模様。

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⇧8つの電池が一列に並んでいますがCMU(セル監視装置)やBMU(CMUからのデータを使ってバッテリーを監視するユニット)などは4つをひとつの単位に行われていました。白いプラスチックの中に帯状の高圧コード(正確には帯状の金属)が入っていて、白いプラスチックの上ブタを外したときには周囲に触って短絡させてしまわないように注意が必要です。

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⇧真ん中あたりのカバーを外すと中から電磁石駆動の大きなリレースイッチがでてきました。電磁石は補機バッテリー(12V)で駆動するものと推測され、キーを捻り緑色の「READY」の状態になったときはこの部分のリレーがオンになったということと予想されます。また、充電ジャックをつないだ際もこの部分でスイッチオンの状態になると思われます。

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⇧細いコードがたくさん束ねられたハーネスがたくさんあり、これらが各バッテリー(セル)を監視するためのコード(と思わます)。まずはこれらを外します。

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⇧昔のクルマと違い、カプラーにはツメがあってそのツメを押し込むなどするとカプラーを外すことができます。

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⇧テスターで電圧を測り、バッテリーの配列を確認するタケノブ師匠。

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⇧バッテリー上の白いプラスチックの上フタを外すと中から金属製板状の配線があらわれます。これを外さないとバッテリー端子を外すことができないのですが、むき出しだと危険だからカバーがあるわけでこのあたり慎重な作業が必要です。

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⇧端子部分にもカバーがあり、極性が記載されています。こじると外れます。

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⇧外す端子の順番を確認した上で、絶縁手袋をはめ、作業に取り掛かる電気工事士のご両人。百戦錬磨のタケノブ氏に対して、学科試験はギリギリだった若き電気工事士

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⇧バッテリーの取り外しは、可能であれば、電圧が半分、半分、半分になるように行うのが(危険性を考えると)理想的だけど、ギリギリのスペースに目一杯詰め込まれた市販電気自動車の駆動用バッテリーでは、取り外せる順番は決まっていて、外せるところから外すことになりました。

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⇧タケノブさんが使っていた特殊工具であるトリムファスナーリムーバー。カニのツメのような形状のプライヤーで、内装クリップの下に滑り込ませた後、握るとクリップのツメを縮めることができるというスグレモノ。後日、amazonで見つけポチってしまいました。

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⇧学科試験はギリギリだったけど、技能試験は余裕だったとのたまうもうひとりの電気工事士は、視力と器用さという若さを武器にマイナスドライバー1本で果敢に外していきます。

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⇧午後から初めて、日が暮れるまでにはなんとか、12ユニット(8セル×10+4セル×2)88個バッテリーをはユニットから外すことができました。
このあとは、「不良バッテリーを探すための電圧測定」(←今度、雨が降ったら書きます)に続きます。





電気自動車の楽しみ方 ニュートラル走行&回生発電

マニュアルミッション、しかも(ノーマルで)レブリミット9000rpmのホンダZ(360cc)でワインディングを走るのも楽しいのだけれど、電気自動車には電気自動車ならではの、ニュートラル走行&回生発電という(航続距離を伸ばすための)ちょっと変わった走り方があって、それも駆使して走るのも結構、楽しかったりします。

下り坂だからとやたらと回生発電を使うのではなく、クルマにはそれなりの車重があるから、慣性力を最大限に使える速度までニュートラルで加速し、その後、回生させます。
ミニキャブミーブには、フットブレーキにも回生アシストが付いているので、コーナー手前ではパッドがディスクに触らない程度にブレーキも踏みながら減速させます。

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バッテリーを大切にしているので、こまめにちょこちょこソーラー充電するようにしていて(リチウム電池は満充電と深放電が苦手なので)、あんまり満充電にすることはないのですが、先日、夜帰宅し電気が空だったので、夜、充電し、ついうっかりつなぎっぱなしにしてしまったのでした(もちろん満充電になると自動で充電は終了します)。
(バッテリー起電力では不利な)氷点下2.5度の朝でしたが、ミニキャブミーブ(軽バン16kwh)で173㎞をマークしました。
でも、残念ながら普通に走ったのでは、1回の満充電(満タン)でこんなには走れません。

わら切りカッター(藁切り機)の修理と整備(気がついたことがあったらその都度、更新のこと)

2021年11月8日の午後、藁切り機の修理が終わり、周囲の田んぼから遅れに遅れながらも、やっとワラ切りができました(周囲はコンバインなので、稲刈りと同時に藁切りも終わり、すでにどこも耕転済み)。

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でも、前回のオイル交換日は11月17日と書かれていたので、今年はそれでもまだ早いのかも知れません(性格的に作業後にオイル交換することはまずないと思うので)。


■故障状況「送りローラーが回転しない」■
以前、送りローラーと刃を駆動しているギアが摩耗し壊れてしまったことがあるのですが、今回も動かなくなってしまったのでした。
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送りローラーに動力を伝えているテンションプーリーあたりが怪しいと思って分解したのですが、テンションプーリーは意外としっかり張られていて原因は別の場所のよう。いろいろのぞいてみたら、送りローラーの裏側(底側)に粉砕されて濡れた藁が土と混ざりそれが乾燥&硬化し「強化繊維入り泥」のようになっていて、それがローラーに食い込んでしまっていました。
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⇧回転ローラーの裏側にこんなものが詰まっていました。
これを取ったら、見事に回りだしてくれました。ほっ。
使用後は下側からも確認してしっかり掃除をしないといけません。

■切り刃の研磨とクリアランス調整■
この手の機械の切り刃と受け刃のクリアランスは、0.3ミリ前後と言われているのですが、受け刃を掃除するついでに測ってみたら、百均のダイヤモンドヤスリが入ってしまうほどのクリアランスがありました。おそらく正規クリアランスの10倍以上。
これも調整することに。

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⇧切刃の取り付けボルトを緩めた後、刃の押し出しを調整するボルトのロックナットを緩めて調整します。

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⇧本来は0.3ミリ前後のようですが、ベアリングなどにも型があるので刃と刃が当たってしまうと恐ろしいので、1ミリくらいに調整しました。

ついでなので、切刃も外して研磨(順番としてはこちらを先にやりました)。

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グラインダーなどの回転工具を使用するときは軍手は厳禁とケルン師匠に教わったのですが、藁切りカッターなどの農機を使用するときも十分に気をつけてください。マフラーとか、縛っていないロングヘアーとか……事故を想像しただけで血の気が引いてしまいます。

■給油■
古い農機には、グリスニップルではなく、こんな給油ポットが付いていたりします。フタをあけてそこにオイル差しの先端を入れて給油します。分解整備がしやすいように工夫されていたり、使い捨てではなかった頃の古い機械はこうした工夫があるから好きです。電子制御は手に負えないし。

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■オイル交換■
ついでにオイル交換。機体の目立つところに日付を入れておくと忘れなくていいです。
前回は2017年でした。ダメじゃん。
藁切機などの小型農機のオイル交換は軽トラの荷台の上でやると腰が楽。
フロントタイヤを2バイ材に載せることでエンジンを少し傾斜させるとオイルは出やすくなります。

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⇧こうしたときはタイヤを回して載せると楽ちんだよ。

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⇧オイル受けをセットしたら、インパクトレンチを使ってドレンボルトを緩めます。高回転で一気に緩めることができるので手や工具が汚れません。こうしたときボルトを落とさないように、プロは磁石付きのソケットを使うのだろうけど、ボルトの頭にビニールテープを貼ってからソケットを押し込むことでも、ボルトとソケットとのクリアランスがゼロになるのでソケット側にボルトが付いてきます(なければ新聞紙でもOK)。

■藁を積む■
自然農法センターの方から、寒冷地では未熟な藁のすき込みに注意するように、と教えていただいたことがあります(土中でガスが発生しそれが良くないということだったか、なぜかを忘れてしまった……)。
そんなわけで今回は藁切りが遅くなってしまったので、この時点では漉き込まず、切った藁は米ぬかを混ぜながら積み上げ分解を促進させ、春にすき込むことにしました。

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刃を研いだおかげか、つまりもなく、作業は進みました。
これでやっと耕転できます。あー、今年もレンゲを蒔けなかったなぁ。




アイミーブi-MiEV、駆動用バッテリーの交換2「部品取り車からバッテリーを降ろす」

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『アイミーブi-MiEV、駆動用バッテリーの交換1「突然死』からの続きです。
最初にお断りですが、アイミーブの駆動用電池は電圧330V、しかも放電効率に優れたリチウム電池なので、大電流をドカンと流すことができます。そして電気は目に見えません。ここで紹介する作業は、誤った作業をすると感電死の危険性がある作業です。
また、環境性能に優れているといわれる電気自動車も長く使うことができてこそ、10年で廃車にしてしまっては逆に環境への負荷が大きくなってしまい、そうしたことへの対応策のひとつとして紹介しているもので、このブログに書かれていたことにたとえ誤りがあり、それが原因で事故が起こってしまったとしても申し訳ないのですが、当方では責任を取ることはできません。この先を読み進む方は、そのことをご了承いただいた上でお願いします(優れたジャーナリストであり、尊敬する後藤健二さんのあの事件以降、安易に「自己責任」ということばを使いたくないのでちょっとまわりくどい表記になってしまいました)。

ある日突然、動かなくなってしまったアイミーブ三菱自動車のCEOにも直訴したのですが、修理には新品の駆動用電池の交換しかない、それには110万円かかる、とのことでした。わが家の経済状態では、40万円で買った中古車に110万円は掛けられません。そこで家にあった部品取り用アイミーブ(事故でフロントガラスが割れてしまった)から電池を外し、それに載せ替えてもらうことにしたのでした。

しかしそれらの作業をすべて三菱のディーラーにおまかせでお願いすると、取り外しと取り付けで工賃がニ倍かかってしまうとのことでした。さらに部品取り車をディーラーまでなんとかし運ばなくてはいけないのでそれに必要なレッカー代などもかかってしまいます。

そこで、部品取り車からの中古電池の取り外しはこちらで行い、それをディーラーに運び、載せ替え&点検検査をしてもらうことにしました。駆動用バッテリーだけであればレッカーは不要で軽トラで三菱のディーラーまで運び込むことができます。


アイミーブ・駆動用バッテリーの外し方■
冒頭にも書きましたが、電気は目に見えず、しかも自動車を動かすことのができるほどの電池は、誤って感電すると即死もありえます。侮らない方がいいです。

 

電気自動車には、12Vの補機用バッテリー(普通の自動車用バッテリー)と、高電圧大容量(アイミーブの場合約330V)の駆動用バッテリーが載っています。今回取り外すのは、上の写真にある駆動用バッテリー。大きくて重いです。ひとりでの作業は危険でもあり、見てみたいという友だちがいたので手伝ってました(岡さんありがとう!)。
また、解体屋さんに向けて? 三菱からバッテリーの取り外し方法を紹介するサイトがあり、こちらも参考にさせてもらいました(年式により異なるのか、少し違いがありました)。

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1 まずは駆動用バッテリーを空にする
普通は、キーを捻って電源を入れ、ヒーター(エアコン)を最高温度に設定して駆動用バッテリーを消耗させ、空(から)にします。
ところがウチにあったアイミーブにはネズミが侵入してしまっていて配線をかじってしまっていたようで、キーをひねると「READY」は点灯するのですが、エアコンは入らなくなってしまっていました。そこで仕方なしにクルマを走らせ、亀のマークが点灯し、バッテリーレベルゲージ、航続距離共にゼロになるまで家の前の道を行ったり来たりしました。
その後、ヘッドライトをハイビームでつけっぱなしにして(ヘッドライトは点いた)、補機用バッテリーの電圧を落とし、駆動用バッテリーをさらに消耗させました。

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2、パワースイッチ(=キー)を戻し電源を切り、補機用バッテリーのマイナス端子を外します。
パワーユニット構成部品の故障の原因となるため、パワースイッチ(=キー)をOFFにしてから、補機用バッテリーのターミナルを外すまで、1分以上時間をあけるように、とのこと。これは駆動用バッテリーの取り外しに限らず、どんな場合でも、あるいはアイミーブに限らず、電気自動車全般に言えそうです。

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⇧部品取り車は災害用の電源だったので動かす機会はほとんどなく、そのためバッテリーのマイナスターミナルにカットオフスイッチを付けていました。そのため、補機バッテリーからの電源は簡単に遮断できるのですが、1分のインターバルを置いてからバッテリーカットオフスイッチをOFFにしました。

3、助手席を外す(サービスプラグを外す準備)。
駆動用バッテリーを中間で遮断するためのサービスプラグは、助手席下付近に付いています。助手席をはずさなくてもリッドを開けることはなんとか可能そうでしたが、せまいところでの作業は危険なので安全を期して、助手席は外しました。

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⇧シートはボルト4本で外れました。

4、サービスプラグのレバー引き上げ

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⇧助手席下のカーペットをはぐると、金属メッキのリッドがでてきます。すでにここにもネズミの糞。
まずはこれを開けるのですが、ここから先の作業は、絶縁グローブをした方がいいと言われています。

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amazonから手に入れた直流750Vまでで使えるという絶縁グローブ。「しぼりがあるからしっかりフィット」との売り文句でしたが、しぼりがあることで脱ぐのがちょっと大変でした。

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⇧リッドをあけるとオレンジ色のプラスチックのレバーがでてきます。これがサービスプラグ。

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⇧レバーをひきあげるとこんな具合に引き抜くことができます。
三菱のマニュアルによると「サービスプラグのレバー引き上げ途中は通電状態にあるので、中途半端な引き上げは危険で、サービスプラグの取り外しは必ず一挙に行うこと」とあります。

また、インバーター内の平滑コンデンサーの電圧を十分に下げる必要があるため、補機用バッテリーのマイナス端子を切り離してから5分間はサービスプラグを抜かないこと、とも記載されています。
抜いた後はビニールテープで封をしてモノが入らないようにしておきます。

5,クルマをジャッキアップし、車体底面のカバーを外します

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車体の下に潜って取り付けボルトを片っ端から緩め、車体底面カバーを外します。

6,電気が遮断されていることの確認
駆動用バッテリー底にある駆動用ケーブルのワークホールのリッド(2つあるアルミのプレートの運転席側)を外します(必ず絶縁グローブを付けること)。

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⇧運転席側にあるアルミのプレートが駆動用ケーブルの取り付けリッドで、助手席側のアルミリッドが急速充電用ワークホールのリッド。

太いケーブルの刺さる端子があるのでそれぞれにテスターのプラスとマイナスをつなぎ、電圧がゼロボルトであることを確認します。
同じく、助手席側のワークホールリッド(急速充電用)を外し、こちらも電圧ゼロであることを確認します。
これらの最終端末にはリレースイッチがあって、補機用バッテリーが遮断されているので、通常は電磁石スイッチがオフになっているはずで、もしも電圧があった場合は、リレーなどが壊れている可能性があり、作業は辞めたほうがいいと思います。

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⇧滅多に使うことのない直流600Vのモード。ちょっとドキドキしましたが、ゼロボルトでした。

7,駆動用ケーブルと充電用ケーブルを外します。
リッドの中のプラスとマイナスの端子ボルト2個と、リッドの外にあるケーブルの取り付けボルト2個を外し、駆動用ケーブル(オレンジ色の太いケーブル)を外します。

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⇧外した後、ビニール手袋の指先を被せておきました(あまり意味はありません)。

同様にして助手席側の急速充電用ケーブルも外します。

8、残りの細い配線を外す
フロント側に2箇所、リヤに1箇所だったと思うのですが、駆動用バッテリーにつながっている細い配線類のコネクターをすべて外します。


9,バッテーリを載せる台車の準備
リフト台車はパンダジャッキとキャスターを組み合わせて自作しようと思っていたのですが、以前、購入した油圧式のリフト台車があることを思い出し、それを使いました。
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これは腰を痛めてしまったときに父の介護用に購入したもので、車椅子からベッドに移るときに失敗して床に腰が落ちてしまった場合、これにお尻を載せることができれば、(女性でも)手動の油圧リフトでベッドの高さまで引き上げられるということで購入したもの。介護用品にも似たものはあるのですがなぜかベラボーに高価だったので、倉庫などで使われている汎用の油圧台車(底床タイプ)を流用。介護者の腰の負担を軽減できるのでオススメです。

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⇧ハンドルが邪魔して中に入れなかったのですが、よく見たらハンドルははずせる構造でした。

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⇧リフト台車の荷台に3寸柱の古材をふたつ載せ、そこに降ろすことにしました。

10、取り付けボルトを外す

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台車を車体の底に入れ、リフトさせてバッテリー底面に軽く接触させたところで、バッテリーの取り付けボルトを緩めます。
スパナサイズ17のM12の細目ネジ10本が主な取り付けボルトで、真中付近を残すようにして外側から外しました。
三菱のマニュアルにはこの10本ボルトで外れることになっていたのですが、外れませんでした。この車両が極初期型だったためかもしれません。10本M12Vの他に、車体の後方側にスパナサイズ12のM8ボルトが6本あり(テンションロッドと干渉するステーもありそれもはずした)、それらを外したらようやく降りてくれました。
しかし実はその後が大変でした。
4柱リフトがあるわけではないので、ジャッキであげてリジットラックにセットし作業をしていたのですが、思いのほかバッテリーは厚みがあり(上部に冷却のためのファンが付いていた)、ロッパーパネルが邪魔して車体底から外に出せなかったのでした。
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⇧バッテリーの上にファンが付いているので360ミリ以上厚みがありました。台車の上にセットした木材をもう少し細くする、あるいは大きめのリジットラックを用意するなどの対策がそうです。

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フロントタイヤを外し、その間隙を縫うようにしてやっとどうにか取り出すことに成功。

 

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その後、バッテリーは軽トラに載せられ三菱に運ばれました。
そして一週間後、
トラブルなしでめでたく中古バッテリーへの換装修理完了。
故障してしまったバッテリーと共にオフクロの愛車アイミーブは戻ってきたのでした。

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中古バッテリーを外して持ち込んだことで、今回の修理で掛かった費用は税込みで7万4470円(部品代込)とリーズナブルな値段でした。
とはいえ、無農薬(&ビニールマルチ不使用&化石燃料もできるだけ使わない)で育てた農産物を売って1万円を稼ぐのはなかなか大変。わが家にとってはかなり痛い出費だったのですが、それをリカバリーするためにも壊れた方の駆動用バッテリーもなんとか再利用したいと思っています。
このあとは、
アイミーブのバッテリーの交換3「故障した駆動用バッテリーユニットの分解」に続きます。そしてこの先、リチウム電池のマネージメントはまったくの未知の世界。詳しい皆様、助けていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

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ツマグロヒョウモン

美しく、造形的にも魅力的なのですが、その一方で、見てはいけないものを見てしまったような気持になったのでした。

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ヒョウモン系のタテハチョウ(の幼虫)独特の容姿、でもこんなに派手なのは、このあたりにはいないはずでした、少なくとも私が昆虫少年で昆虫図鑑を貪り読んでいた頃には。

ウィキにもそのあたりのことが記載されていました(以下、Wikiの「ツマグロヒョウモン」より転載)
「本州では1980年代まで近畿地方以西でしか見られなかったが、徐々に生息域が北上し1990年代以降には東海地方から関東地方南部、富山県新潟県の平野部で観察されるようになった。2002年には関東地方北部でも目撃報告がある。2006年現在、関東地方北部でもほぼ定着し、普通種になりつつある」<以上転載終わり>


そしてついに標高750mの本州中部にも定着してしまっているようです。幼虫を見つけたのは2021年の10月8日。幼虫もしくは蛹での越冬なのでこのまま冬を越えるのだろうか?
虫屋をはじめ、農家など植物を育てている人、あるいは動物や鳥などの観察を継続的にされている人の間では、いま、地球が温暖化していることは疑いようのないことだったりします。

ヒトはホモ属が発生してから200万年前、現生のホモ・サピエンスはたかだか40万年前、さらにはホモ・サピエンス化石燃料を使い始めた産業革命からたったの300年もたっていません。それなのに地球の環境を大激変させてしまったわけです。
でも、昆虫は動物が海から上陸した直後、4億年以上前から確認されています。
小惑星が衝突して、恐竜を初めとした多くの生物が全滅しても、虫は生き延びてきて、これほどまでに多様な種に分化しました。
だからたとえヒトが全滅するほどの温暖化が起きても、虫たちは(一時的には種類は少なくなると思われますが)、生き延びるものと思われます。ただヒトも、移動や移住が比較的容易なわけで、このままいくと海に面した都市などは壊滅するだろうけど、全滅はしないのかもしれません。でも、ヒトの種としての変化や成長のスピードを考えると、ヒト社会全体には減速が必要で、いまのような暮らし方はヒト個人の幸せのためにも変えていく必要があると強く感じています。

ツマグロヒョウモンは幼虫だけでなく、成虫もとても美しい蝶です。
その美しい姿を見ると、この先、ヒトは果たして変わることができるのか? それを突きつけられているようで、見つけるたびに、ちょっとドキリとするのでした。

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⇧最近では白州でもときどき見かけるツマグロヒョウモン(のオス)。以前は北方拡散で飛んできたものが、夏以降に世代交代を繰り返しているような不安定さだったのですが、最近では春先から見かけることがあり、この地で越冬できている可能性が高いです(毎年、越冬できているということではないのかもしれないけれど)。

麦類の温湯処理(温湯消毒)と麦のタネまき(前年の結果を含め毎年書き足すこと)

麦、特に大麦とライ麦の場合、怖いのは麦角
麦類のカビ毒を見くびってはいけないように思っています。
特にライ麦の場合、無農薬栽培のものやポストハーベストされていないものは、(粉ではなく)玄麦の状態で仕入れ、自分で目視で確認しながら製粉した方がいいのではないか……とさえ、思ってしまいます。あえて詳しくは書きませんが、興味を持った方は調べてみてください。

ところで、
はたして温湯(おんとう)消毒で麦角菌の発生を抑えることができるのか? そこも問題。ハッキリとは分からないのですが、富山県農業技術センターによるオオムギ麦角病の伝染源および有効薬剤」というサイトによると
「現在のところ,麦角病防除を対象とした登録農薬はないが,トリフルミゾール,トリアジメホンの両剤はオオムギの赤かび病等に対して登録があることから,赤かび病との同時防除によって本病に対する防除効果が期待できる」

とあります。
ということは、同じく赤カビ病の予防策である温湯消毒でも効果がある可能性があるように思い、虫草農園では、播種前にはなるべく温湯消毒をするようにしています。

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ところでライ麦の温湯消毒ですが、水稲や小麦と同じ温度では発芽に影響がでてしまう可能性があります。
イネは熱帯性の作物である一方で、ライ麦(&大麦)は麦の中でも寒冷地に適した麦なので、水稲などよりも低い温度で処理する必要があるようです。
また、温湯消毒のやり方もさまざまな方法があるようですが、虫草農園では、事前に冷水に浸水(水温15度Cの場合3時間以上、水温5度Cの場合10時間以上)するようにしています。冷水への浸漬は,胚と種皮の間隙の空気を水に置換して熱伝導率を高めること、病 原菌の活動を開始させ熱への感受性を高めることが目的と言われています(「温湯浸漬法によるコムギなまぐさ黒穂病の防除」より)。
その後、大麦にならいライ麦も、50度Cのお湯に2~3分漬けた後、大麦(&ライ麦)は53度C5分の温湯処理(小麦の場合は54度C5分でほんの少し温度が高い)というやり方(庄内麦情報、第三号 平成22年9月22日)にならって温湯消毒しています。そしてその後すぐに、冷水につけます。

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⇧温湯消毒の前後、冷水に漬け込みます。朝、漬けてもいいのですが、面倒なので2021年は前日夜から漬け込みました。チョロチョロですが常に流水のある、ステンレス風呂桶で作ったシシオドシのあるビオトープにドボン!

翌朝、虫草農園にある一番大きな寸胴鍋で湯を沸かしました。

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⇧熱めに沸かしておいて、水を入れて55度に調整。冷水に浸種していた玄麦を入れたら52.9度Cになりました(お湯が冷めないように50度Cのお湯に3分漬けておき予熱をする方法もあるようですが、2021年は冷めることを見越して少し高めに漬け込みました)。
火力を少しあげながら、さし水で調整し、5分間、52~53度Cで浸水させた後、再び冷水に漬けます。その後、日に当てて乾燥。2021年は播種機(タネまきゴンベイ)を使わず、手撒きだったので、完全に乾く前に播種しました。
(条件を揃え播種機で蒔いた畝との違いを見れば良かったと、後日反省)

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⇧手撒きであっても、濡れ過ぎだと手にくっついて撒きにくいので、日に干して少し乾かしました。

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⇧畑は、9月中旬に一度トラクターで耕転した後、薪ストーブの灰、米ぬか、鶏糞を撒き、この状態で空気に十分さらした後、タネまきの前日にサラダ(ホンダの管理機)で浅く耕し、そのタイヤ跡に手でタネを蒔く(サラダの輪距が30センチなので30センチ間隔)と、いうこのところのやり方です。播種機だとゴミを引きずるなどして蒔けていなかったりタネが一箇所に固まってしまったりするのが不安でだったら手蒔きが確実かと。以前、花咲かじいさんみたいなバラマキ&浅く耕転もやったことがあるのですが、除草や刈り取りが大変でした。

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⇧隣のタイヤ跡に沿わせてサラダで耕転すると30センチ間隔の溝ができるのでそこにタネを落としていきます。

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⇧初めのうちはこんな感じで数粒ずつ、撒いた(←これが理想)のですが、意外と大変なので、途中からはざーっとスジで撒いてしまいました。
麦のタネは大きく目視しやすいので、薄めにざっくり蒔いて、その後、足りなそうなところに追加する、というのがいいように思っています。
その後、甲州ほー(ジョレン)で、タイヤ跡の南側の土を溝に落として覆土します(それによって若干の南傾斜ができる)。その上を少し広めの歩幅で踏み歩き、水が溜まりやすいけど土が硬いところと、柔らかいけれど毛細管で水が上がってきにくいところなど、ひとつの畝の中にも多様性を作ってその後の天候に備える、というのがこのところの撒き方です。

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⇧秋の日はつるべ落とし。
のろのろやっていたら、あっという間に真っ暗になってしまい、最後はヘッドライトの明かりを頼りに(でも最近の充電式ヘッドライトは優秀で、昼と遜色なく作業ができたりするのでした)でタネまきしました(この畝、蒔いてみると意外と長いのです)。

片付けをしていたら、ついうっかり、ビオトープの縁に置いてあった柄杓(ひしゃく)の柄をひっかけ、水の中(湯船なので意外と深い)に落としてしまいました。
つるべ落としとは、落ちていくそのサマが早いことをいうというのが正しいらしいのですが、でももしかしたら、秋はあっという間に暗くなってしまい、夕方手元がよく見えなくて、つるべを水の中に落としてしまう……、ということだったりはしないのだろうか? などと思いながら、冷たい湯船の底から柄杓を救出したのでした。

ということで2021年は、10月27日にライ麦と大麦(ビール麦)のタネを蒔きました。そしてちょうどその日に、ムギマキ鳥とも呼ばれるジョウビタキが渡ってきた(初見)のでした。