Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


麦類の温湯処理(温湯消毒)と麦のタネまき(前年の結果を含め毎年書き足すこと)

麦、特に大麦とライ麦の場合、怖いのは麦角
麦類のカビ毒を見くびってはいけないように思っています。
特にライ麦の場合、無農薬栽培のものやポストハーベストされていないものは、(粉ではなく)玄麦の状態で仕入れ、自分で目視で確認しながら製粉した方がいいのではないか……とさえ、思ってしまいます。あえて詳しくは書きませんが、興味を持った方は調べてみてください。

ところで、
はたして温湯(おんとう)消毒で麦角菌の発生を抑えることができるのか? そこも問題。ハッキリとは分からないのですが、富山県農業技術センターによるオオムギ麦角病の伝染源および有効薬剤」というサイトによると
「現在のところ,麦角病防除を対象とした登録農薬はないが,トリフルミゾール,トリアジメホンの両剤はオオムギの赤かび病等に対して登録があることから,赤かび病との同時防除によって本病に対する防除効果が期待できる」

とあります。
ということは、同じく赤カビ病の予防策である温湯消毒でも効果がある可能性があるように思い、虫草農園では、播種前にはなるべく温湯消毒をするようにしています。

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ところでライ麦の温湯消毒ですが、水稲や小麦と同じ温度では発芽に影響がでてしまう可能性があります。
イネは熱帯性の作物である一方で、ライ麦(&大麦)は麦の中でも寒冷地に適した麦なので、水稲などよりも低い温度で処理する必要があるようです。
また、温湯消毒のやり方もさまざまな方法があるようですが、虫草農園では、事前に冷水に浸水(水温15度Cの場合3時間以上、水温5度Cの場合10時間以上)するようにしています。冷水への浸漬は,胚と種皮の間隙の空気を水に置換して熱伝導率を高めること、病 原菌の活動を開始させ熱への感受性を高めることが目的と言われています(「温湯浸漬法によるコムギなまぐさ黒穂病の防除」より)。
その後、大麦にならいライ麦も、50度Cのお湯に2~3分漬けた後、大麦(&ライ麦)は53度C5分の温湯処理(小麦の場合は54度C5分でほんの少し温度が高い)というやり方(庄内麦情報、第三号 平成22年9月22日)にならって温湯消毒しています。そしてその後すぐに、冷水につけます。

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⇧温湯消毒の前後、冷水に漬け込みます。朝、漬けてもいいのですが、面倒なので2021年は前日夜から漬け込みました。チョロチョロですが常に流水のある、ステンレス風呂桶で作ったシシオドシのあるビオトープにドボン!

翌朝、虫草農園にある一番大きな寸胴鍋で湯を沸かしました。

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⇧熱めに沸かしておいて、水を入れて55度に調整。冷水に浸種していた玄麦を入れたら52.9度Cになりました(お湯が冷めないように50度Cのお湯に3分漬けておき予熱をする方法もあるようですが、2021年は冷めることを見越して少し高めに漬け込みました)。
火力を少しあげながら、さし水で調整し、5分間、52~53度Cで浸水させた後、再び冷水に漬けます。その後、日に当てて乾燥。2021年は播種機(タネまきゴンベイ)を使わず、手撒きだったので、完全に乾く前に播種しました。
(条件を揃え播種機で蒔いた畝との違いを見れば良かったと、後日反省)

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⇧手撒きであっても、濡れ過ぎだと手にくっついて撒きにくいので、日に干して少し乾かしました。

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⇧畑は、9月中旬に一度トラクターで耕転した後、薪ストーブの灰、米ぬか、鶏糞を撒き、この状態で空気に十分さらした後、タネまきの前日にサラダ(ホンダの管理機)で浅く耕し、そのタイヤ跡に手でタネを蒔く(サラダの輪距が30センチなので30センチ間隔)と、いうこのところのやり方です。播種機だとゴミを引きずるなどして蒔けていなかったりタネが一箇所に固まってしまったりするのが不安でだったら手蒔きが確実かと。以前、花咲かじいさんみたいなバラマキ&浅く耕転もやったことがあるのですが、除草や刈り取りが大変でした。

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⇧隣のタイヤ跡に沿わせてサラダで耕転すると30センチ間隔の溝ができるのでそこにタネを落としていきます。

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⇧初めのうちはこんな感じで数粒ずつ、撒いた(←これが理想)のですが、意外と大変なので、途中からはざーっとスジで撒いてしまいました。
麦のタネは大きく目視しやすいので、薄めにざっくり蒔いて、その後、足りなそうなところに追加する、というのがいいように思っています。
その後、甲州ほー(ジョレン)で、タイヤ跡の南側の土を溝に落として覆土します(それによって若干の南傾斜ができる)。その上を少し広めの歩幅で踏み歩き、水が溜まりやすいけど土が硬いところと、柔らかいけれど毛細管で水が上がってきにくいところなど、ひとつの畝の中にも多様性を作ってその後の天候に備える、というのがこのところの撒き方です。

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⇧秋の日はつるべ落とし。
のろのろやっていたら、あっという間に真っ暗になってしまい、最後はヘッドライトの明かりを頼りに(でも最近の充電式ヘッドライトは優秀で、昼と遜色なく作業ができたりするのでした)でタネまきしました(この畝、蒔いてみると意外と長いのです)。

片付けをしていたら、ついうっかり、ビオトープの縁に置いてあった柄杓(ひしゃく)の柄をひっかけ、水の中(湯船なので意外と深い)に落としてしまいました。
つるべ落としとは、落ちていくそのサマが早いことをいうというのが正しいらしいのですが、でももしかしたら、秋はあっという間に暗くなってしまい、夕方手元がよく見えなくて、つるべを水の中に落としてしまう……、ということだったりはしないのだろうか? などと思いながら、冷たい湯船の底から柄杓を救出したのでした。

ということで2021年は、10月27日にライ麦と大麦(ビール麦)のタネを蒔きました。そしてちょうどその日に、ムギマキ鳥とも呼ばれるジョウビタキが渡ってきた(初見)のでした。