美しく、造形的にも魅力的なのですが、その一方で、見てはいけないものを見てしまったような気持になったのでした。
ヒョウモン系のタテハチョウ(の幼虫)独特の容姿、でもこんなに派手なのは、このあたりにはいないはずでした、少なくとも私が昆虫少年で昆虫図鑑を貪り読んでいた頃には。
ウィキにもそのあたりのことが記載されていました(以下、Wikiの「ツマグロヒョウモン」より転載)
「本州では1980年代まで近畿地方以西でしか見られなかったが、徐々に生息域が北上し1990年代以降には東海地方から関東地方南部、富山県・新潟県の平野部で観察されるようになった。2002年には関東地方北部でも目撃報告がある。2006年現在、関東地方北部でもほぼ定着し、普通種になりつつある」<以上転載終わり>
そしてついに標高750mの本州中部にも定着してしまっているようです。幼虫を見つけたのは2021年の10月8日。幼虫もしくは蛹での越冬なのでこのまま冬を越えるのだろうか?
虫屋をはじめ、農家など植物を育てている人、あるいは動物や鳥などの観察を継続的にされている人の間では、いま、地球が温暖化していることは疑いようのないことだったりします。
ヒトはホモ属が発生してから200万年前、現生のホモ・サピエンスはたかだか40万年前、さらにはホモ・サピエンスが化石燃料を使い始めた産業革命からたったの300年もたっていません。それなのに地球の環境を大激変させてしまったわけです。
でも、昆虫は動物が海から上陸した直後、4億年以上前から確認されています。
小惑星が衝突して、恐竜を初めとした多くの生物が全滅しても、虫は生き延びてきて、これほどまでに多様な種に分化しました。
だからたとえヒトが全滅するほどの温暖化が起きても、虫たちは(一時的には種類は少なくなると思われますが)、生き延びるものと思われます。ただヒトも、移動や移住が比較的容易なわけで、このままいくと海に面した都市などは壊滅するだろうけど、全滅はしないのかもしれません。でも、ヒトの種としての変化や成長のスピードを考えると、ヒト社会全体には減速が必要で、いまのような暮らし方はヒト個人の幸せのためにも変えていく必要があると強く感じています。
ツマグロヒョウモンは幼虫だけでなく、成虫もとても美しい蝶です。
その美しい姿を見ると、この先、ヒトは果たして変わることができるのか? それを突きつけられているようで、見つけるたびに、ちょっとドキリとするのでした。
⇧最近では白州でもときどき見かけるツマグロヒョウモン(のオス)。以前は北方拡散で飛んできたものが、夏以降に世代交代を繰り返しているような不安定さだったのですが、最近では春先から見かけることがあり、この地で越冬できている可能性が高いです(毎年、越冬できているということではないのかもしれないけれど)。