Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


10月8日頃「自給知足がおもしろい」という本が発売されます。

朝、目を覚まし窓の外を眺めて、息をのみました。
遠くには雪を冠った南アルプスの山々、手前には黄緑や淡い萌木色がグラデーションで広がる山肌。
見渡す限り家はなく、ウスバシロチョウが妖精のようにふわり、ふわりと舞っています。

「こんなに美しい山里に移住はしたものの、果たして本当にやっていけるのだろうか?」
「この景色にも関わらず過疎が進むということは、どこかに大きな落とし穴が隠れているのではないか?」

――そんな不安とともに始まった田舎暮らしでした。

けれど結局、ちょっとつまづくことはあっても、落とし穴はありませんでした。
それどころか、想像以上に刺激的で楽しい日々が待っていて、あっという間に時間が過ぎていきました。
そうして少しずつ、自然と共に生きるための知恵やコツも身についてきたように思います。

そんな中、自給的な暮らしの楽しみやアイデアを綴った『dopa』での5年間の連載をベースに、本を書かせてもらいました。

移住当初は何かと忙しく、収入は激減。
にもかかわらず、一番の心配ごとだった経済的な不安はなぜ消えていったのか?

完璧な自給自足をいきなり目指すのではなく、「少しずつ自給率を高めていく」という過程そのものにある「おもしろさ」。
お金に依存しすぎない生活がもたらす、精神衛生効果――。
今度の本では、そんな私たち虫草家族の実践的な試行錯誤を紹介しています。

例えば──
中古のソーラーパネルと中古の電気軽自動車を組み合わせることで、ガソリン代をゼロ円にする方法。
里山の手入れや薪集め、あるいは薪ストーブをつかった料理のおもしろさとおいしさ。
きのこや菌類、米麹など微生物との付き合い方。
自作コンポスト図鑑や虫草農法と称する「ぐうたら農」のこと、などなど。

2025年10月8日ごろ発売予定で定価は税込2,420円です。

Amazonでも予約がはじまっていますが、

自給知足がおもしろい

自給知足がおもしろい

Amazon

虫草農園のSTORESでも販売します。
(送料無料、ご希望があればサイン入りのチラシなども添えてお送りします)

musikusa.stores.jp

虫草農園STORESからご購入いただいた方には、思いを書いた「イラストしおり」をお付けしています。イラストはコピーですが、サインは直筆です。

虫草農園STORES

よろしくお願いしまーす。

#自給知足
#虫草農園
#わたなべあきひこ
#自給知足がおもしろい
#山里暮らし

ヒトとの共生を果たしている里山昆虫ニホンミツバチの奇跡と希少性について

前回の蜂群崩壊症候群以上のミツバチの大減少が米国で起こってしまっているようです。

forbesjapan.com

以下は、その記事を読んでみての、ニホンミツバチ愛好者としての、私見です。
 セイヨウミツバチに関してはゲノム解析がかなり進んでいて、コロニー減少の原因が分かれば、それに関連する遺伝子を特定し、遺伝子操作(あるいは交配)による品種改良が可能な時代になっています。
 今や家畜のような存在であり、受粉昆虫(ポリネーター)として役割が確立され、経済の一翼を担っているので、セイヨウミツバチがそうした操作を阻止するのは難しいことのように思われます。

刈払機の普及で、晩秋の吸蜜植物であるハギが少なくなった中、外来種であるアレチウリから吸蜜し、越冬用の貯密をするニホンミツバチ産業革命以降の急激な環境変化にもかかわらず、なんとかこれまでは絶滅することなく耐えてきた希少な里山昆虫の一種と言えそうです。

 一方、トウヨウミツバチの亜種であるニホンミツバチも100コロニー以上の個体で、全ゲノム解析が行われています。

 ゲノム解析により、中央北部(山梨、長野はここにはいります)、中央南部(岐阜以南)、南部(主に九州)の3つの地理的変異種に分けることができ、ヘギイタダニに耐性のある遺伝子の特定などが行われつつあります。
 そんなわけで、趣味で和蜂の養蜂を行う人が増えていますが、ゲンジボタル同様(いや全ての野生生物においてですが)できるだけ遠距離の移動は控えていただきたいです。
 本来であれば、野生生物の遺伝子の進化(時間変化)は、淘汰による変化がベースであるべきで、ヒトがメントールや蟻酸などの薬物をつかって人為的にアカリンダニを忌避することは、淘汰による変化で耐性のある遺伝子群が増えることを妨害してしまっていることになってしまうようにも思います。
 ただし、薬物などを使って維持されたコロニーからは女王やオス蜂を自然群との混生の可能性がある蜂柱に飛び立たせない処置をしているのであればかまいません。
 ニホンミツバチは在来種であることから、自然群も存在するわけで、セイヨウミツバチのようにゲノム操作をしてしまったり、人為的に薬物を投与したり、砂糖水などの給餌をし、セイヨウミツバチのように家畜化してしまっていいのか? 
 そのあたりは、目先のコロニーの存亡に囚われすぎず、ニホンミツバチは、在来の野生種ながらもヒトとの共生を果たしている奇跡的ともいえる稀少なハチと考えてもらえたらありがたい……、と思っています。

●遺伝子変異のスピードについて追記●
 我々ヒトは、生まれてから数年以上経過しないと子どもを産むことができません。現代は晩婚化や少子化で、世代交代による遺伝子変化のスピードはもっと遅くなっています。
 一方ミツバチたちは、一回の結婚飛行で複数のオスの精子を受け入れることが可能だったりします。その上、1シーズンに1万個以上(洋蜂の場合は20万個以上)の卵を産みます。さらにその卵から孵る多くの個体はメスで、それらのメスは緊急時には無性生殖でも次の世代の成虫を生み出すことができたりします。しかも無性生殖の場合に生まれてくる成虫はすべてオスであり、近親交配により遺伝子の多様性が損なわれない仕組みが構築されています。
 遺伝子変異のスピードということでいうと、非常に優れたシステムの中で、環境変化などへの遺伝子レベルでの追従性を保っていたりします。
 一方ヒトは、環境変化に対して、脳を発達させることで対処してきました。なのでこのあたり生理的に理解しにくい部分があるようにも思われます。
 虫の場合は、遺伝子の多様性や淘汰による遺伝子変異のスピードで環境の変化に対応していたりするので、ヒトと共生する野生種に関しても、家畜でなく自然の生態系の中に遺伝子を紛れ込ませる以上は、そのあたりのことを考慮に入れて飼育する必要があるように思っています。

廃材で薪用の玉切り台をつくりました。腰をかがめずに使えるのがポイント。きのこのほだ木づくりにも使えそうです。

愛用していた(薪用)玉切り台がだいぶ傷んできたので、補修するとともに、新しくもう一台、(廃材でですが)新調しました。

30年以上、薪ストーブを焚く生活をしているので、玉切り台も少しだけど、進化しています。

これが初期の玉切り台。新品のツーバイフォー材、しかもCCA材を使って作ってあります。細枝を切る際、チェーンソーのチェーンに引きずられて、引っ張られてしまわないための加工などが施されていますが、いかんせん、高さが低いのが欠点。これだと腰にかなり負担がかかります。

 

こちらは次世代の玉切り台。高さを軽トラからスライドさせられる高さに合わせたことで、腰への負担も少なくなりました。でもいろいろと弱点も露呈し補強や改修がされています。ひとつはXの部分の角度が緩く開きすぎていること。細い丸太は、これだとチェーンで引っ張られやすく、また重い薪を載せたときの耐力の上でも不利だったりします。

田舎暮らしを30年くらいやっていると、廃材などがそれなりに集まったゴミ屋敷になるので、「そこらでアルモンデ工作」が比較的楽にできるようになります。

今回もそこらにあった廃材がメイン。買ったものは、コーススレッドと塗料くらいかなぁ。それらを買ったのも何年も前のことではあるけど。

接地面は斜めに切りました。切り落とした端材も捨てません。

切り落とした端材は補強を兼ね、こんな風に使ってみました。

Xの交点はコーススレッドで固定しているのですが、この部分に一番力がかかるので、長め&太めのコーススレッドを使い、突き出た部分をハンドグラインダーで削ることにしています。ツーバイ材用の鋼鉄釘を使ったこともあったのですが、釘の方が釘自体の強度はあるのですが、使っているうちに、緩みが出てしまいます。あとから気がついたのですが、せん断力が働かないXの交点のセンターはコーススレッド、せん断力が働くオフセットした場所にツーバイ用の鋼鉄釘が正解だったかもしれません。

ふたつのXを渡す板は、(格好はよくないけど)強度的にはある程度の幅のある合板がよさそうです。無垢の垂木の方が美しいのですが剛性が足りず、壊れやすかったりしました。

ざらしにされることも多く、地面との接地部の傷みが進みがちなので、接地部には、タイヤを切った切れ端(薪割り腹巻き製作時にでた端材)をステンのコーススレッドで取り付けました。

端材があったので、さらに補強。写真のくらいのXのハサミ角であれば、細い丸太もチェンソーのチェーンに引っ張られずにきることができます。また、手前と奥で、Xの突き出し長さを少し変えています。

そしてほぼ完成。

ざらしにされることも多いので、被膜ができるタイプの水性塗料で塗装。これで完成です。

どんな風に使うのか? というと、こんな感じ。運んできた丸太を軽トラの荷台からスライドさせて玉切りします。この高さだと腰をかがめる必要がなく、腰への負担も少ないのです。

玉切り台がふたつあると、こんな感じでセットでき、作業性が向上します。また旧タイプ(写真左)と今回作ったもの(写真右)ではXの角度が異なることが分かるでしょうか? 新しいタイプの方が、チェーンで引っ張られて、丸太が暴れることが少なかったりします。

今回つくったのはXがふたつのタイプですが、Xが3つのタイプも以前、作りました。でも、丸太が接地するのはたいてい2箇所なわけで、ふたつのタイプの方が丸太は安定するように感じました。また、金属製も使っていたのですが、丸太が切断される最後にチェーンソーが振られ、金属に刃が触れてしまってチェーンソーの歯が欠けてしまうトラブルが多く、薄めの木製がいいように思いました。
今回使った材は、ツーバイ材よりもさらに薄く、使いやすいです。薄めですがこれくらいの幅があれば直径30センチ以上の丸太を載せても安定していて、セット位置が高いので、チェンソーの重みを有効に使うことができ、手は添えるだけのような感じで、かなり楽に玉切りができます。

で、玉切ったあとの丸太は、こんな風に、廃タイヤの腹巻きを使って薪割りしています(素性のいい丸太であれば、薪割り機よりもタイムパフォーマンスにも優れています、体も暖まるし、体力もつく?)

●こちらは力まかせの年寄り編●


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●軽い斧をつかいテクニックで割る若者編●


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■年末、てんてこ舞い日記2■サクラの木の移植と井戸の配管

「■てんてこ舞い日記1■ユンボの修理」の続きです。
 ユンボが動くようになったのでいよいよ、サクランボの木の移植! といきたいところなのですが、このサクラの木、家に密接しているので、その前にテラスの一部を解体する必要があるのでした。
 サクランボの木が大きくなったら2階の窓やテラスの屋根からサクランボを収穫できたら素晴らしいじゃないか! というのが当初の目論見。そんなわけで、木は建物に沿って順調に大きく育ったのでした。
 ところがサクランボは木全体にネットを被せない限り、サクランボの収穫はほぼゼロ。毎朝、群れでやってきた鳥たちのレストランになる、ということを知り、ネットを被せやすいように近年は小さめに剪定していました。とはいえ、ネットを被せていても完熟になると、ハクビシンがネットを噛み切って中に入り、食べ放題のビュフェ状態になり、ヒトの口に入るサクランボはゼロ、なんて年がこのところは続いていました。
  バールと金槌でテラスを解体後、ユンボで恐る恐るテラスの基礎を探ります。地上に出ているボイド管の柱は簡単に取り除けた(折れてしまった)のですが、その下のフーチンが思いのほか大きく、ユンボバケットですくったら、ユンボが前のめりに持ち上がってしまうほどの重さ大きさでした。
 その後、井戸水の配管をよけながら、サクランボの木の抜根。研いだスコップで根を切りながら掘り進みます。
 これまたユンボが倒れそうになりながらも、サクラの木をなんとか軽トラの荷台に載せることができました。軽トラで所定の場所に移動。移植先は周囲に障害物がなく、収穫時にはネットをかけた上で(ハクビシンやアライグマ対策用の)電柵が設置しやすいような場所に移動しました。
 と書くといかにも順調にことが進んだかのようですがさもあらず。サクラの木を軽トラの荷台から植え穴に落とす際、木が転がってしまい、(冷静に考えれば到底無理なのに)それを支えようとして抱えてしまい、人もいっしょに転がり落ちてしまうという大失態。
 頭から土を被ってしまったくらいで幸いにもケガはなく、サクラの方も枝が少し折れたくらいだったので助かりました。
 百姓は体が資本。ケガや病気には十分な注意が必要です。出社時間も退社時間もなく、通勤時間もない自由業は気楽な商売ですが、有給休暇も労災や保証もないので、体や精神が健康であることがとても大切だったりします。
 障害物がなくなったので、いよいよ井戸水の配管にアクセス。土の中の配管を壊してしまうとヤッカイなので、ユンボから降り、この先は手掘りです。
 地表から60センチほど掘り進んだところで井戸からの配管を発見。でもこのパイプ、呼び径「13(ミリ)」でも、「16」でもなく、もっと太い「20」でした。13だったらひと通りのジョイントをストックしてあり、16→13の変換アダプターもあったのですが、20はエルボくらいしかありません。万事休す。
 いつもだったらネットで取り寄せるのですが、年内になんとか終わらせたかったので、隣町にある長野県富士見町のホームセンターへ(往復で25㎞以上もあるのですが、ここが一番近いのです)。
 年末12月30日のホームセンターは駐車場が満杯なくらいの大混雑でした。こんなにたくさんのヒトを見るのは久しぶり。みんな、なんとか年内に作業を終わらせようと、ホームセンターにやってきた者同士のように見えて、なんだか妙に嬉しくなってしまったのでした。

小粒ながらもこんなにたくさん、サクランボが実っていた頃もありました。ハクビシンがネットを食い破るまでは。

まずはテラスの解体から。 サクラの木を移植するのに邪魔になりそうなあたりの天板を外したところ。 天板は傷んでいたけど、POR15を塗布しておいた中の桟は比較的いい状態でした。 移植後の蒸散を少なくするため枝もかなりバッサリ落としました。

テラスの桟をユンボが使えるところまで切断。独立基礎をユンボで撤去します。 まずはボイド管の基礎ふたつを撤去します。基礎のひとつは、サクラの木の根本すぐのところにあり、根がまとわりついてちょっと難儀しました。

あらかた外周をユンボで掘ったあと、手掘りで根を切り根鉢を残します。 左の奥側には井戸からの水道管が埋まっているので、奥はかなり慎重に根を切りました。

スコップで根を切りながら掘り進むためには、グラインダーに研磨用砥石を付けスコップに刃を付けます。 こうした根堀り作業用スコップとしては、金象の鋼つき造園用ショベルが秀逸。刃先にはS50C鋼材が使用されている上、熱処理がされているのでグライダーで研ぐだけで切れ味のいい刃をつけることができます。 ただし鋼に刃をつけたスコップは足の指も簡単に切断できるので、刃先が物にあたって着地点がズレてしまったりしないように十分注意が必要です。

ついでにお気に入りのコードレスグライダーを紹介します。 今回使用したのは右端のオレンジのグラインダー。 マキタ互換のドラゴンツールですが、オレンジのモデルは回転数の選択ができ、刃物研ぎなど低回転での作業をする際に便利だったりします。 値段も4000円前後と格安(ですが、新品当初からガラガラちょっと気になる音はしています。 コードレスグラインダーはとても便利で、研磨砥石、切断砥石、木工用研削歯、刃物研ぎ用ダイヤモンド砥石などをそれぞれ装着し使っています。

刃付きのスコップで根を切り、根回しなしにもかかわらず、なんとか根鉢を残して掘り上げることができました。

軽トラのダンプ機能を使って、あらかじめ掘っておいた穴に、スライドさせながらズリ落とす作戦で、頭側を軽トラの鳥居にロープでしばり、頭から落ちないようにしていたのですが、最後のところでロープを外したら、根がアオリに引っかかり、頭側から転倒するように落ちてしまいました(人と共に)。

軽トラを植穴ギリギリまで寄せて、リフトダンプ機能を使い、ボールヒッチにロープを掛け、引き起こしました(あやうく軽トラまで倒れるところでした)。 その後、根穴に一昼夜水をいれ、水極めで埋め戻し。うまくついてくれるといいのだけれど……。

サクラの木がいなくなったので、井戸のパイプを探りつつ、独立基礎を新たな位置に埋め戻します。

ボイド管部分が折れてしまったので、コンクリートを練って接合。夜は氷点下でしたがなんとか固まりました。

やっと見つかった井戸の配管。地上から60センチ以上の深さに埋設されていました。ところがサイズが予想外に太く、手持ちの配管材料では対応できず、万事休す。

ホームセンターに20→13の変換アダプターを買いに走りました。 なんとかフーチンをギリギリよけた場所に井戸の単独配管が完成。 公共の上水道と違って井戸や湧き水使用のいいところは自分で工事ができること。メンテナンスも自分でやらなければいけない、とも言えますが。

井戸のポンプを駆動し、不凍栓をあけ、恐る恐る蛇口をひらいたら、水が出てきました。
蛇口をひねると水が出る、という当たり前なことへの感動。
この感動はインフラの整った地域に住んでいる人たちにはわからないだろうなぁ。そこらを走りまわりたくなるような喜びだったりします。

■お知らせ■
実は……、拙著「自給知足な暮らし方」ですが、納戸の床が抜けそうなくらいまだ(1000冊以上)在庫があります(にもかかわらず出版社は重版をしたので「虫草農園」の在庫は売れなくなり、ちょっと困っています)。自分で言うのもなんですが、116ページ全ページカラーで、貧乏くさいけれどもかなり面白いノウハウがギッシリ詰め込めこまれたいい本だと思います。出版社経由でamazonなどからも手に入りますが、もしもよろしければ、虫草農園のSTORESからお買い求めいただけるとありがたいです。(あんまり安くできなくて申し訳ないのですが)業販も承っています。よろしくお願いします。

musikusa.stores.jp






■年末、てんてこ舞い日記1■ユンボのラジエターホース修理

 寒さが本格的になると同時に、気になっていたことがありました。
 井戸のこと。凍結が心配なのでした。
洗濯やお風呂など、水を大量に使うとスカスカスカ!と音がして水がでなくなってしまう症状(井戸の水量が足りない)があり、いろいろやったのだけれどダメで、仕方なく町の上水道を接続させてもらいそれを使っていたのでした。
  ところがここにきて朝の気温が氷点下の日が続き、マイナス7度などという日もありました。ウチの井戸は上ポンプなので、このままだとポンプ本体や周囲の配管、蓄圧タンクなどが凍結により破壊されてしまいます。
 対応策はふたつあって、ひとつはポンプや配管などを井戸から外してしまう方法。でも水量が減ってしまったとはいえ、水自体はとても美味しい水なので、このまま放棄はしたくありません。
 井戸水は暖かいのでちょろちょろでも使っていればいいわけで、冬までにはなんとか使えるようにしたい、と思いつつも気がついたらもう冬。まずいなぁ、という状況なのでした。
 井戸用の独立した水栓をひとつ立ちあげよう! と心の中では決まっていたのですが、重い腰がなかなかあがりません。というのも、それをやるにはその前にやらなければいけないことがいろいろあるのです。
 水栓を立ち上げるためには既存の不凍栓の近くに凍結深度以上の穴を掘る必要があります。
 そのためには、不凍栓のすぐ脇に植わっているサクランボの木を移植する必要があります。サクランボの木は、いつの間にかかなり大きな木に成長してしまっていて、サクラを伐根するには、テラスの一部を壊さなければならず、テラスの一部を壊したらそれを支えていた独立基礎の撤去も必要になります。
 そのためにはどうしてもユンボが必要で、そのためにはラジエターホースが破れてしまったユンボの修理が必要なのでした。

 汎用品のラジエターホースが届いたので、こんな年末ギリギリになってまずはユンボの修理にとりかかったのでした。
 ああー、どうかお願いだから、土が凍りつくような寒い日が、どうかまだ、来ませんように。

突然、水蒸気を吹きあげ、水温計の針を見たら100度オーバー。 エンジンカバーを外してみたら、ラジエターのアッパーホースが破れていたのでした。 そしてこの頃はまだ周囲の木々は緑色をしていました。このところ時間は加速度を増しながら過ぎていきます。

ラジエターホースを外してみたら、なぜ破れたのかが判明。このユンボ、ラジエターとエンジンが違っていて、エンジンにあわせた太いホースをワイヤータイプのホースバンドで強引に締め付け、細いホース口のラジエターにつないでいたのでした。

エンジン側にあわせた太めの汎用ホースを購入。 大野ゴム工業では、この手の曲がり付きの汎用ホースを扱ってくれていて、純正が廃番になってしまっている旧車の修理に重宝するのでした。

大野ゴムの汎用品データ、自分の備忘録を兼ねて貼っておきます。 左端の「品番」と「大野ゴム」で検索すれば、amazonで見つかると思います。

 

細い方のホース口には自己融着テープを巻き、太さを稼ぎました。最近はブチル以外にもシリコンなどの自己融着テープがあり、柔らかすぎず使いやすかったりします。

 

 



ホースは安い汎用品ですが、ホースバンドだけは、スウェーデン製のABAのホースバンドをおごりました。ホースとの接触面に穴や凹凸のなく緩みのすくない角ネジを使ったホースバンドで、接地面にもアールが付いていてゴムを傷つけない構造。とはいえこのサイズでもひとつ200円台で購入できます。

エンジンを始動してみたところ、漏れもなく、水温計も安定。これでやっとスタートラインにつくことができました。

■年末、てんてこ舞い日記2■に続きます。

藁切りカッター修理の覚え書き

できるだけ未熟な有機物が土中にない状態をつくること、これが無農薬&無化学肥料で稲を育てる際のポイントだと言われています(土の中に未熟な有機物があるとなぜか雑草が増殖しやすいらしい)。
それには,、(分解しやすいように)藁は切ってあげた方が良いと思われ、昨日、藁切り機と共に田んぼに藁切りに行ってきました。


⬆️濡れた藁の方が分解は早そうなのですが、藁が濡れているとローラーにかかった際、藁から腐敗臭の強い腐った水が絞り出されると同時に撒き散らされ、それを全身に浴びながらの作業になります。帰ってすぐにお風呂に入ったのだけれど、どこまにまだ臭いの分子がこびりついているのか、まだたまにあの懐かしい臭いがするのでした。

 

そしてなにより、藁切り機の調子がどうもよろしくない。
雨で田んぼには水が溜まっていて、藁が濡れていたのでカスが固体化しやすく詰まりやすい、ということもあったのですが、詰まってしまってローラーが回らなくなってしまうことが多くて、時間はかかるし、詰まった藁の除去は危険な作業だったりもします(テンショナークラッチは二重に切ってはいるけどエンジンは止めていない……)。

そんなわけで、藁切り機の整備と修理をすることになったのでした(朝からはじめて結局、1日かかってしまった……)。なんとか、調子良くなったのですが、今度似た症状がでる頃には、すっかり忘れてしまっているだろうからそのための備忘録、覚え書きです。

掃除をするため、とりあえずばらせるカバーはすべて外しました。

大径のプーリーを外さないと外れないカバーがあり、しかしそのカバーを外さないと作業がしにくいのでプーリーを外しました。プーリーはスパナサイズ19ミリのボルトで止まっているのですが、それを緩めただけでは外れず、バールを宛てハンマーで叩きながら外しました。でもこんな場合、プーリーの外周付近を叩かないこと。この手のプーリーは鋳物なのであっさり割れます。穴径の近くにバールをあてて位置を変えながら叩きました(叩いたりせずプーラーを使うのが本式かとは思いますが)。

ローラーを回転させるベルトは、テンショナーにより4段階で調整できるのですが、一番テンションが掛かる4つ目の刻みにシフトしてもローラーがまわらないことが多々ありました。ローラーを回転させているベルトが伸びてしまったことが原因のようです。そこでプーリー間の距離を広くしてテンションがよりかかるように調整することにしました。

ベルトの張りを調整するため回転刃の軸受をうしろにセットしました。17ミリの取り付けボルトを緩めたあと、10ミリのスパナふたつで回転軸を移動してベルトの張りを調整。左右二箇所あります。ただし、この部分を変更してしまうと、切り刃のクリアランスが広がってしまうので、そちらの調整も必要になります。

どうせ切り刃のクリアランスを調整するのであれば、刃も研いでしまおう(刃を研いだらクリアランスの調整が必要)ということでグラインダーで研磨。ホントは外してダイヤモンド砥石などで手研磨するというのが正解かと思われます。


⬆️刃のクリアランスの調整はこの部分で行います。

でも、ブログにアップするにあたって写真をよく見たら、どうもこんな面倒なことをせずとも、テンショナーのロッドの部分でも調整が可能だったのかも。

上の写真の矢印の部分がどうも長孔になっていて、ロッドの角度を変更してベルトの張り具合を調整できる可能性があり。

もうひとつ、不調の原因と思われたのは、ローラーの噛み合い調整。藁束が厚めのときにはそれに合わせて、噛み合いが広がる仕組みなのだがどうもこれがうまく機能していない様子。藁のカスがたくさん挟まっていたのでそれらを取り除き、給油したらスムーズに動くようになりました。

この手の古い農機には、フタ付きのオイルポットがついています。フタを開けてそこから潤滑油を給油する仕組み、ローラー用ベアリングの左右にありました。その他、回転に伴う異音は、切り刃と共に回転するブレードを固定するステーが折れてしまったことによるものであることが判明。折れてしまった部分を溶接したら音はなくなりました。

溶接機を引っ張り出したついでに、たまっていた溶接モノを、溶接修理。気がついたら日は暮れはじめ、藁切り機の整備に、ほぼ一日かかってしまったのでした。


ところで、藁切りカッターの修理について、備忘録を兼ね、以前にもブログを書いていたことをすっかり忘れてしまっていて、また同じようなことを書いてしまいました。備忘録を書いたことを忘れてしまうというのは、なんとも致命的だなぁ……。

musikusanouen.hatenadiary.jp

農的暮らし7、8月にすること。「イラガの幼虫探し」

今年2024年はイラガの発生の多い年のようです。
柿の木のイラガは、チェックしていたのですが、クヌギにこんなについているとは思いませんでした。

イラガは若齢幼虫のウチは集団で固まっているので、捕まえやすかったりします。8月上旬に、カキ、カエデ、ブルーベリー、クヌギなどを観察し、若齢幼虫の食痕を見つけるのが最も効果的な対策のように思います。
写真は、クヌギで見つけた若齢幼虫の食痕。葉脈が残った状態です。


これだけたくさんある、ということは相当に時間が立ってしまっている(若齢を過ぎている可能性も高い)ということ。できればこうした葉脈のみ残った白い歯が2~3枚のうちに見つけましょう。

こちらはカキ。もう葉脈を残さないくらいに成長してしまっていますが、でもまだなんとか集団でいてくれます。葉脈の残った葉を目印に探すと、こうした集団をみつけることができます。

見つけたイラガの幼虫は可哀想だけど、踏み潰して殺しています。殺虫剤を使ってしまうとヤママユとかほかの虫たちにも影響が出てしまうので、できれば誰かに食べてもらうのがベストですが、ウチでは可哀想だけど個々に踏み潰しています。

以前、ニワトリにあげたことがあり、喜んで食べてくれたのですが、その数秒後、死にそうなくらいに苦しそうで、酷いことをしてしまいました(でも死にはしませんでした)。スズメバチアシナガバチはイラガの幼虫を食べても問題ありませんが、ニワトリにはあげない方がいいです(マユの中の幼虫は釣りのエサとして有名なので、いじめ抜いて毒液をすべて出させてしまえばニワトリのエサにもなるのかもしれないけれど)。

余談ですが、ヒトが食べても美味しいのに、なぜかモンクロシャチホコの幼虫もニワトリはそれほど好きではなく、恐る恐る食べています。一方、生ゴミ堆肥の中のアメリカミズアブの幼虫(つまりはウジ虫ですね)をザルにとり、洗ってからあげると、猛烈な勢いで食べます(洗わなくてももちろん食べますが……)。

 

話をもどします。イラガでした。
でも、刺されてから存在に気がついたり、大きくなって目立つようになって見つかる、ということもあります。それでもイラガはあまり大きくは移動しないので、その枝を丹念に探すとたくさんの幼虫を見つけることができたりします。終齢幼虫になってもある程度は集まっていることが多いです。

⬆️きのう、クヌギで見つけたたぶんヒメクロイラガの幼虫。

刺されるとアシナガバチに刺されたときのようにバチッと来て痛いので、幼虫は枝ごと取り除いています。毒毛と違って毒針タイプなので、幼虫のいる枝の下を通っても幼虫が落ちてこない限り問題ありません。
採集にはキャッチ付の高枝用ハサミというのがあって、それを使うと便利だったりします。


刺されたりカブれる恐れのある虫を枝ごと移動するのに、あるいは柿や杏などの収穫にキャッチ機能付きハサミは便利で、田舎暮らしの必需品かもしれません。

この枝はちょうど顔の高さくらいにあったのですが、夜など、あやまってもし顔で受けてしまったりしたら、大変なことになります。田舎暮らしをより楽しむためにも、イラガの幼虫には、注意してください。

ところで、同じ枝に、こんな風に黄色くなって死んでいる?と思われる集団もいたのだけれど、エントモファーガ(昆虫寄生菌)だろうか? ご存じの方がいらしたらぜひ教えて下さい(中実なので脱皮殻ではなさそうでした)。



脱皮直後に何かアクシデントがあって、死んでしまった、ということなのだろうか?