長野や岐阜の山間地で、雪が降ると大活躍する除雪車があります。
それらは行政が業者に委託する専用の本格的な除雪車ではなく、山里の住人(民間人)が生活路を確保するために運転する民間除雪車なのでした。
本格的な除雪車との大きな違いは、除雪板をクルマの後ろにセットしている点。
「引きずりタイプ」なのです。牽引車には主に軽トラが使われ、三角形の除雪板をロープなどで引きずってい走ります。
⇧森本さん、事後承諾でスミマセン、写真、勝手に借りました。
なるほどなぁ、と思うことがいくつかあるのですが、そのひとつは、押しタイプではなく、ワイヤーや鎖で引っ張る「引きずりタイプ」であるというこころ。
4駆&スタッドレスが当たり前の雪国で、大雪でクルマが動けなくなる原因は「亀」なのです。
「亀」というのは、クルマの下に雪が入り込み圧雪され、車体が浮き、タイヤが浮き上がってしまい駆動力を失ってしまうこと。甲羅が持ち上がってしまった亀が両足(駆動輪)をバタバタ必死に動かすけれど、空回りして動けない、という状態から「亀」と呼ばれるようです。
専用の除雪車の場合、除雪板を押すタイプが一般的ですが、押すタイプは装着が大変で、専用の除雪車であればいいけれど、引きずりタイプであれば、雪が降ったときに比較的簡単に取り付けることができます。
そしてさらに、道路にある障害物(寒冷地ではマンホールなどが路面よりも出っ張っていたりすることがあるのです)を引っ掛けてしまったときのダメージなどを考えると、「押すタイプ」よりも柔軟な「引きずりタイプ」に軍配があがるのでした。
もうひとつ、さすが、と思うのは、使用するクルマがたいてい軽トラである、ということ。
ジープとかランクルとかジムニーとか、オフロードに強いと言われる4輪駆動車はいくつかあるのですが、車体サイズが大きくて日本の山道では不便だったり、4駆であってもデフロックやプロペラシャフトロックが車内からできなかったり……。
一方、軽トラは、荷台に重しを載せることで駆動力を確保可能で(しかも軽トラダンプはフロントとリアの荷重配分をワンタッチで室内から変更可能)、チェーンを巻くのも簡単だったり、4駆、デフロック、ペラシャフトロックの切替えはすべて室内から可能で、さらには、たいていの4駆のマニュアル軽トラには副変速機があって、10段変速だったり、スーパーローがあったりするのでした。
ということで、南岸低気圧が発達し、「明日は大雪」との天気予報だったので、急きょ、引きずりタイプの除雪板つくってみることにしました。
⇧材料として使用したのは、なぜか雑木林に埋まっていたサビサビのガードレール。
これを鈑金して、除雪板に作り変えることにしました。
⇧まずは鈑金。大ハンマーで叩いて、なんとなくそれらしい形にしていきます。この作業がしんどくて、なおかつうるさかった(近所のみなさまお騒がせしました)。
⇧半分までなんとか終わったところ、上側は平らに延ばし、下側はマンホールなどを引っ掛けないように、内側に折り込むことにしました。
⇧折り曲げるセンターはV字型の切り込みを入れ、折り線グラインダーでなぞって曲げやすくします。とはいえ、ガードレールは厚みがあって、かなり頑張ったのだけれど、人力だけでは曲げることができませんした。
どうしたことか……、悩んでいた目線の先に、ユンボ発見。
⇧センターの折線ピッタリに排土板の下面を当て……、
⇧バケットですくって、そーっと持ち上げます(もっと早く気がつけば、この肩こりと筋肉痛はなかったのに……)。
⇧マンホールを引っ掛けてクルマを傷めないように、下側は内側にアールを付けることにしたのですが、排土板で抑えながらやるととても楽なことを(いまさらながら)発見。
⇧ユンボさまさま。こんな感じに曲げることができました。
⇧あとは、引っ張るためのワイヤーを取り付ける鎖を取り付け、開き止めのステーを取り付けて完成。(アイボルトがなかったので、M8のボルトナットと基礎用の四角いワッシャーで短い鎖を取り付けました)。
⇧タイヤにチェーンも巻いたし、荷台に重しを積んだし、準備万端!
あとは夜、雪が積もってくれるのを待つばかり……はたしてうまく作動したかどうかはこちらのレポートを参考にしてください。