「上農は草を見ずして草を取る」
「中農は草が見えてから草を取る」
「下農は草が見えても草を取らず(手に負えなくなってからようやく草刈りをする)」
という中国のことわざがあり、日本でもよく知られています(宮崎安貞の「農業全書」にすでにでてくるのでかなり古くから言われている模様)。
虫草農園の場合、ぐうたらなので普段の畑作業では「下農」。雑草といえども、好きな草は刈らなかったりもします。(「刈り残しのススメ」土手草などはこんな感じでかんりしています)。
でも、無農薬のお米づくりでは、土手草のようなわけにはいかず、毎年毎夏、嫌と言うほど上記のことわざを噛み締めさせられているのでした。そして今年こそは、と思っていたのですが、今年もまた、草が見えてきてしまったのでした。
草が見える前(タネは根から発芽するので、土の中に根が伸びはじめた頃)、まだ緑色の芽は見えない頃の除草道具として適しているのがチェーン除草機と言われています。
でも、もう緑の双葉や草によっては本葉までもが見えてしまっているので、違う道具を考えなければいけません。
そんなこともあって、今年も新しくいくつかの除草機をつくってみました。
これまで使っていたのは、このタイプ。アルミ板でステーを作り、ステンレスの薄板を刃として取り付けたもの。
⬆️ただしこれは「中農」用なのです。(作り方はこちら)。
ステンレスの薄板をグラインダーで削り、カミソリのような鋭い刃がつけてあります。それで根と茎とを切断していきます。でもこれはある程度、大きく育った草用。芽が見え始めたくらいの草の場合、土をさらっても、その土が再び着地するとそのまま草は根付いてしまうようなのです。草が小さなうちは、思ったほどには草が浮かないのでした。
草が小さなうちはカミソリのような刃ではなく、ギザギザしたノコギリのような刃が草が引っかかって抜け、良さそうなのです。
そこで家にあったサビサビのノコギリ鎌(百均で以前、購入したもの)を流用して作ってみることにしました。
⬆️百均ノコギリ鎌の場合、柄と刃の分離は簡単でした。刃の部分をプライヤーで挟んで何度か折り曲げたら、金属疲労を起こし、簡単に切断できました。
⬆️そのあたりにあった木の棒を柄に。
柄の先端を斜めに切断し、そこに折ったノコギリ刃を取り付けました(写真は試作1号機←刃の向きが逆でした)
⬆️取り付けには木ネジ(コーススレッド)を使用。そのためには刃に穴を開ける必要があり、刃物鋼に手持ちのドリル刃で穴があくものか?と心配だったのですが、百均で打っているチタンコーディングのドリル刃で簡単に穴をあけることができました(百均のノコギリ鎌の場合、刃先だけに高周波焼入れがされているようです)。
⬆️こんな感じで、取り付け完了。(試作2号機、刃の向きを変更)
⬆️実際に使ってみたところ、こんな形に落ち着きました。
ノコギリ鎌には刃の向きがあり、左側に先端を持ってきたほうが右利きの場合使いやすかったことと、柄の先端部をより斜めに切断しました。
また、ギザギザに稲が引っかかってしまうと稲まで抜けてきてしまうので、グラインダーで切って(刃渡り)サイズを小さくしました。
そしてもうひとつ。
木の柄と刃の重なった部分の草が取れにくいことを解消するため、針金で柄から刃を少し浮かせたものも作ってみました。
⬆️その辺にあったテキトーな針金でステーをつくります。
⬆️できあがったのはこんな感じの草取り器。
少し斜めにセットするといい感じで草取りができました。
⬆️ただ、欠点もあって、針金の部分に抜けた草が引っかかってしまうことがあり、ときどきその部分の掃除が必要だったりしました。また、重さも針金の分、重く、使い較べてみると、簡単につくれる直接柄に刃を取り付けたものの方が使い勝手がよかったりしました。
⬆️ということで、いまのところ、「中農」が使う場合、一番使いやすいのはこのタイプです。
軽いので慣れてくると、かなり器用に草取りができるようになります。また軽量故に柄を長くすることができ、遠くの草も取ることができます。
強いて欠点をあげるとすると、ノコギリ刃のギザギザに稲が引っかかり、その状態で動かしてしまうと稲まで抜けてしまうことがあることかなぁ。
基本的には株間除草機ですが、ノコギリ刃の峰側で稲にそっと近づき、稲に触った感触あったら(稲が動いたら)そこから手前に引いて草を抜くと、稲の株元ギリギリの草も取ることができます(もしかしたら素手でやるよりも株元ぎりぎりまでとれるかも?)。
そしてなにより、このタイプはつくるのが簡単だし、コストもかかりませn。
サビて使わなくなったノコギリ鎌(金鋸の刃とかでもいいかも)と木の柄、それに木ネジとドリルがあれば、10分もあればつくれそうです。
ぜひ、試してみてください。