春爛漫。虫草農園の虫たちはいま、元気に活動を始めています。
ニホンミツバチはきょうで、三群目が分蜂しました。
そしてきょうも蜂球ができたのは、エノキの幹。
ヒトが作った蜂球トラップには目もくれません。
⇧不織布とシュロ縄で作った蜂球トラップ(分蜂板)で休憩中のカメノコテントウ。
(蜂球トラップのトトカルチョの記事はこちら)。
ということで、脚立に登り、エノキの幹の蜂球を観察していたら、そのすぐ横をオオムラサキの越冬幼虫が通り抜けていったのでした。
あわててカメラを取りに行ったのですが、幼虫の歩く速度は案外速く、戻ってきたらだいぶ上の方の枝まで移動していました。
⇧そのすぐ横では、成虫で越冬したテングチョウがエノキの若葉に卵を産んでいました。
ところで、ミツバチのその年、最初の分蜂は、母女王が娘たちに住み慣れた巣箱をあけわたし、ある程度の数の働き蜂たちを引き連れて外の世界に出ていきます。その時の人選、というか、母女王との冒険的な運命を共にする蜂たちはどうやって選ばれているのか? ということに興味をもっていたのでした。
年功序列? 生まれた順なのだろうか……?
で、なんとなく感覚的にきょう思ったのは、その日の働き蜂たちの気分のような気がしたのでした。ヒトが「女王」をイメージする場合、権力者のようなイメージを持ってしまいますが、それはヒトの世界の場合の話で、ミツバチの場合は「卵を産むことに特化した個体」という見方もできます。女王が人選を決めている、というのはヒトの場合から類推した勝手な想像で、ミツバチの場合は女王の意志はそこには働いていない可能性があります。
⇧前回の分蜂では、取りこぼしのないようにできるだけ多くのハチを取り込もうと思って、エノキの幹をシリコンの縁で舐めるようにして蜂球を掻き取ったのですが、それによって蜂球を支えていた一番上の樹皮に取り付いていたハチ(かなりの力がかかっていたはず)の(一部の)体が引きちぎれてしまったのでした。その失敗の反省もあって今回は、取りこぼしが多くてもいいからハチの損傷のできるだけ少ない方法でネット(100均の扇風機カバーの不織布)に取り込むことを第一目標に作業を行いました。
三回分蜂した中で、きょうの蜂球が一番大きく、多くの働き蜂が参加していました。風はあったのですが、きのうよりはマシだし、ここ数日の中ではきょうが一番、分蜂日和だったように思えたのです。そのために、お供のハチも多かった?
(前回の分蜂の様子はこちらから)。
やはり今回は、取りこぼしが多く、取り込み後もエノキのわきの下には、取りこぼされた働き蜂たちが戻って集まってきました。
⇧取りこぼしの働き蜂たち。取り込みの際、新しい巣の捜索に行っていたハチたちもいそうです。
これらの取りこぼしハチたちの一部は、女王のフェロモンに呼ばれたのか今回取り込んだネットの周囲に集まってきたのですが、それは一部で、よくよく観察してみると多くは元の巣箱に戻ったようでした。
なんとなくですが、「きょうの女王による分蜂」ということにそれほど重きを置いていなかったのではないか、という感じがしたのでした。
⇧100均で買ったネット(扇風機の冬の間のホコリカバー)をこれまでよりも短くしてみました。蜂球がネット内に落ちる際の距離を短くすることで、押しつぶされてしまうハチを少なくするためです。
夕方、ネットから巣箱に取り込みました。
夜になって、巣箱に底板を入れると同時に、巣箱の内部を撮影してみました。
⇧隅で蜂球をつくって固まっていました。
話しかけると、蜂球全体で「ほわぁー」という感じで、音をたてて反応します。アナグマの威嚇音とちょっと似た感じです。
夜、エノキのわきの下を見に行ったら、取りこぼしのハチたちは一頭もいませんでした。
代わりに、エノキの梢で、風もないのにナナフシモドキの幼虫が揺れていました。