ミツバチやキイロスズメバチなどと共にアレチウリの花にクロスズメバチがよく来ていて、肉食だと思っていたけど花の蜜も案外よく吸うんだなぁ……というくらいに、今年はクロスズメバチも多いなぁ、と思っていたのでした。そしたらきょう、同じ敷地内にある母の家のすぐ脇の土手にクロスズメバチが巣をつくってくれていました。玄関ドアをあけてすぐ1m以内にヒメスズメバチの巣が、そしてその近くの軒下にはキイロスズメバチの巣があって、今年はスズメバチのあたり年のようです。
⇧こちらは玄関斜め上の軒下に作られたキイロスズメバチの巣。きのうあたりから、左官工のワーカーたちはいなくなり、巣はこれ以上は大きくならなそう。寒さもあってかハチたちの動きも少し落ち着いてきました。
一方、きょう見つけたクロスズメたちはかなり活発です。巣に近づくと最初はまとわりつかれましたが、少しずつ近づきながら慣らしたら危害を加えないと認知されたようで、その後は撮影者のすぐ脇をかすめながらエサを求めて飛び去っていきますが、攻撃してくることはありませんでした。出入りが頻繁で、巣も大きく、たぶんたくさんの蜂の子が居そうだけど捕りません。
ちょうどいま読んでいる本(松浦誠著「スズメバチはなぜ刺すか」)に、昔は「スズメバチが軒先や家の近くに巣をつくると縁起がいいと喜んだ」という記述があり、さらには、宿主のことを分かっていて、盗賊や宿主を傷つけた人のことを襲ったなどという伝承が各地にあったとか。
極めつけは、後醍醐天皇の頃の摂津での話。劣勢だった官軍の兵士が逃げ込んだお堂でクモの巣に絡んでいたハチを助けてあげたところ、そのお堂から数万のハチが飛び出し、賊軍を成敗してくれた、というもの。時間の経過と共に尾ヒレが付いてしまった感じもありますが、この種の伝承や伝記はおもいのほか多いようです。
不思議なのはどうもハチたちは虫が嫌いな人のことが分かるように思えること。ウチのお客さんでは珍しいのですが、たまに虫嫌いの人が来ると、なぜかハチたちはその人にまとわり付くなどしてチョッカイを出すのです。
これまでヒトと共に里山で長い時間共棲してきたであろうハチたちからしてみれば、ヒトの家の軒先に巣作りをはじめてみて、その家の人が(縁起がいいと)歓迎してくれているのか、あるいは、ハチを毛嫌いしていて駆除されてしまうのかは個体の生死だけでなく、群れの存続、しいては自分たちの遺伝子を残すことができるかどうかに関わる重要な問題。
ヒトが発する虫嫌いフェロモン、あるいは嫌悪感のようなものを敏感に感じられるかどうかは種全体の存続にかかわる重要な遺伝情報になっていて、そうしたことを感じられる可能性はゼロではないようにも思うのです。
でも去年、ミツバチを襲いに来ていたキイロスズメバチをラケットでいたぶったら、急襲を受け、見事に顔の真ん中、鼻の頭を刺されて、その後、顔認証ができないくらいにパンパンになったけど、でも、それでも、ハチは憎めないなぁ。