Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


バインダーを使った麦刈りのコツ

天気予報とにらめっこしていて、「うん、きょうしかないね」と家族で合唱し、「梅雨の晴れ間」というか「梅雨の曇り間」に、麦刈りをしました。
この時期、あまり長く雨に当ててしまうと、無農薬栽培の麦ではカビが出てしまうことがあるのです。そして麦のカビ毒は侮れない毒性があり、この時期、鬱陶しい天気の日がつづくとなんとも気をもんでしまうのでした。

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⇧これはライ麦。人の背よりも高いので刈るのはちょっと大変ですが、お米用のバインダーでもどうにか刈ることができます。

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⇧こちらはスペルト。まだ緑色の部分が見えたりで、もうちょっと後の方が良さそうではあるのですが、今年はカビの恐怖の他にスズメによる食害がひどく、軒下にハサガケすれば追熟するだろう、ということでスペルトも刈ってしまいました。

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⇧こちらは黒小麦。茎にもアントシアニンを含んでいるのか?茎も赤紫色をしています。育てている麦の中で、一番美味しいのか? この麦を狙ってスズメはやってきていて、ほとんど食べられてしまいました。次回の種採り用が確保できるか微妙なほど。自然の美しいところはそれだけ、自然が厳しいところでもあるのです。

 

で、バインダーを使った麦刈りのコツです。忘れないうちに備忘録として書いておきます。

まずひとつは、刈る前に、刈払機で麦の根本(片側だけ)ギリギリまで草を雑草を刈っておくこと。
それでも雑草が混じってしまうので、バインダーのハンドルに体重を載せ、フロントをウイリーさせながら刈るといい感じでした。

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⇧背の低い雑草をよけるため、ハンドルに体重を載せてフロントを浮かし気味にして刈ります。

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⇧刈り取った後は、こんな感じ。かなり高い位置で刈られていることが分かります。

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⇧刈り取る際は、バインダーの左側の縁がギリギリで麦を拾うようにすると(右側は雑草が刈られているので)、麦の束に雑草が入りにくくなります。

そして一番のポイントは、麦が詰まり、麦束の排出がされなそうなときには、すぐにクラッチを切ってバインダーの歩みを止めること。

バインダーの前進を止めたら、刈り取り&結束レバーはオフの状態で、シフトレバーを後退に入れ、刈り取り装置は動かさずバインダーを少しバックさせます。

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この状態で走行シフトをニュートラルに戻し、アクセルを全開にして、刈り取りレバーを入れ、その場で刈り取り装置だけを作動させるとうまく排出されることが多いと思います。それでも麦束が排出されない場合は、麦束を押さえているステーを外側に、カチッという音がするまで引くと排出されると思います。
今回は、一度も詰まることなく、結束ミスも2束だけで、スムーズに麦刈することができました。
バインダーは詰まる直前に、「ウッ」というような小さな音を発します。その声を見逃さず、瞬時にバインダーの動きを止めること、が一番のポイントだと思います。またこの方法は、麦に限らずお米の場合でも有効です。

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⇧結束ミスも少なく、半日でどうにか終えることができた麦刈り。
ただし、この日はハサガケまではできず、軽トラをフル動員し、荷台に山積みにして、とりあえず軽トラを屋根下に収納することにして、雨が止んだらハサガケすることにしました。
しかしそれにしても、もう数日、雨が続いたら、今年の麦は壊滅的だったと思われます。麦を刈る上での一番のコツは、天候の見極め、かもしれません。

エントモファーガと伝統農法「こしゃり」

草の茎や木の枝に、しがみつくようにして死んでいるバッタの姿を見たことがある人は比較的多いと思います。
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これはエントモファーガ・グリリと呼ばれる昆虫寄生菌の仕業。
この菌の凄いところは、どうも宿主であるバッタたちをコントロールして草や木に登らせている、と思われること。頂上まで行き着いたところでしっかりと茎や枝にしがみつかせ死亡させる、のです。


娘が小学生だった頃、学校から帰るとよく木登りをしていました。娘が「おとーさーん、たいへん! ウコギの木の上でバッタがたくさん死んでる」と血相を変えて畑にやってきたことがありました。彼女がいつも登っているミズキのすぐ隣にあるウコギの木のテッペン付近がミズキの木に登るとちょうど目線あたりに見えるのですが、その枝先にたくさんのバッタがいて、枝にしがみついた状態で皆、死んでいたのでした。なんとも恐ろしい光景。
グリリは、できるだけ高いところにバッタを登らせ、そしてそこで茎や枝にしっかりしがみつかせた状態で成仏させる、のです。グリリの胞子をできるだけ高いところから広い範囲に拡散させたいからではないか、と思われます。グリリという菌は、寄生することで宿主をコントロールすることができるようになるとしたら、それは凄いことであると同時に、我々のような宿主の側からすると恐ろしいことでもあります(菌だけではなく、アオムシコマユバチのような大きな寄生虫でも、交尾に有利だからか、支柱などを登らせ、高いところに宿主を移動させる傾向にあるように思います)。


ところで、当時はタミフルのせいにされてしまったけれども、タミフルを飲んだあとで異常行動を起こした場合と、タミフルを飲む前、あるいはまったく飲んでいないのに同様の症状がでた場合とで、統計的には有意の差がないことがいまは知られていたりします。インフルエンザというウイルスが直接ヒトに異常行動を起こすとは必ずしも思えないけれども、間接的に何かに作用させて感染者に異常行動を起こさせる可能性もあるのではないか? などと思ってしまうのでした。

 

ところでエントモファーガ(昆虫寄生菌)では、グリリに並んで、マイマイが有名です。

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⇧こちらのカラフルなかたがマイマイさん。ブランコ毛虫としても知られ、愛嬌のある顔をしているのですが、ときに大量発生することがあります。ちなみに、成虫の鱗毛には毒があり、卵や若齢幼虫はそれに守られているのですが、写真の幼虫くらいの大きさになるとそれもなくなるので、普通は素手で触っても大丈夫(なはず)です(ただし最近では、成虫の鱗毛にも毒はなかった、という説もあります)。

話を戻します。エントモファーガです。エントモファーガ・マイマイ(ガ)は、マイマイガの幼虫に寄生する昆虫寄生菌です。
マイマイガは周期的に大発生を繰り返すことが知られています。
最近では2007年のペンシルベニアでの大発生が有名ですが、マイマイガは食性が広く、雑食なので、木が1本、丸坊主にされるだけでなく、山全体が丸坊主にされてしまうくらいの大発生をすることがあります。

 でも、自然の場合は、これが自然なことでもあったりします。毎年、平均的な発生数を繰り返すよりも、大きな環境変化が続いた場合、定期的に大発生をする、ということが種の存続のために有利だったりするようです。そのために、セミなどは地上に羽化するまでの期間が7年だったり、13年だったり、17年だったり素数なのではないか(公約数がないことが大発生を誘引することができる)と推測されていたりします。


⇧そのあたりのことを詳しく知りたい方はこちらをどうぞ。

 

 

で、エントモファーガですが、エントモファーガには、エントモファーガ・アウリカエ Entomophaga aulicaeと呼ばれる菌類がいます。アウリカエも、それぞれ個々に分離して調べてみるとそれぞれに選択的な毒性をもっているようで、アウリカエの中の一種がエントモファーガ・マイマイガのように思われます。分類されていないというだけで、アウリカエの中にはさらにいくつか独立した種がありそうで、冬虫夏草などもそうですが、それぞれの菌種による選択性はかなりしっかりしていそうです。

ところで、エントモファはラテン語系で「虫」の意味。エントモファーガになると「虫に寄生する菌」という意味になります。
昔の日本人は、ひとつひとつの虫こぶ(五倍子=フシ)にまで個々に固有名詞を付けていたというくらいに虫に対する観察眼に優れた人たちでした。そんなわけで日本には古くから、エントモファーガに対応する呼び方がありました。

日本では昆虫寄生菌のことを「コシャリ」または「カツゴ」と呼んでいました。
一番注目されていたのはカイコにつく「コシャリ」=「白彊菌(はくきょうきん、この漢字をそのまま「かつご」と読む場合もあります)」で、この菌が発生してしまうと、カイコが全滅してしまうのでとても恐れられていました。と同時に、この菌の仲間を使った農法なども知られていて、それのことも「こしゃり」と呼ばれていたりしました(ここでは農法はひらがなで表記することにします)。

話は変わりますが「夜盗虫(よとうむし)」と呼ばれている虫がいます。ヨトウガやハスモンヨトウなどの幼虫のことなのですが、ある年、虫草農園で大発生してしまったことがありました。実はこれ、待ち構えていた事態でもありました。

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⇧こちらがヨトウムシ。食欲旺盛で、ヨトウムシも雑食性で多くの植物を食べることができるのですが、特に十字形植物を好むようで、わが家の野良坊はこの年、どこも葉脈標本のようになってしまっていたのでした。

 これだけ大発生すれば、エントモファーガを見つけられるに違いない、と探したのですが、当初はなかなか見つかりませんでした。
しばらくしてようやく見つかり、幼虫を飼育すると共に、培養を試みたのがこの写真。

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⇧虫の体から、子実体のようなものがでているようにも見えます。

そして胞子もたくさん出ました。
虫の体を、そーと横によけてみるとこんな感じ。

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⇧胞子で幼虫の体の形が転写されたかのようになっていました。

伝統農法こしゃりでは、感染した幼虫をたくさん集め、それをすりつぶしたのち、水で薄めて散布したり、死骸を集めて感染がない他の畑に散布していたらしいのですが、この方法でも胞子を集めることはできそうです。

試しに胞子を集め、撒きやすいので水に混ぜて散布したのですが、それが功を奏したのか(それとも元々パンデミックを起こす要素があったのか、そのあたりは不明なのですが)、ヨトウガが大発生したように、エントモファーガ・アウリカエも大流行し、野良坊菜はどうにか冬前に持ち直して冬を越え、春には美味しい菜花のお浸しをいただくことができました。

コシャリにやられることなくカイコを育てる方法を発見した人として、永井紺周郎(江戸末期の養蚕家)という人が知られています。そしてその方法は、温度を下げないことでした。カイコに感染する「コシャリ」は、暑さに弱いらしく、夏も囲炉裏で火をたきながらカイコを育てる方法が永井紺周郎が提唱した飼育方法でした。
ヨトウガに感染するエントモファーガの場合も、どうもその傾向にあるようです。気温が25度以下になると活性化すると言われ、このときも秋になって気温が下がると共に、菌は活性化し、幼虫は大幅に数を減らしました(カイコの場合は逆なので幼虫が減っては困るわけですが)。

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⇧自然状態で感染した、もしかしたらハスモンヨトウ? 本来、ハスモンヨトウには緑彊菌という緑色の胞子を産む菌に侵されるとのことなのですが、この個体の胞子は白く、白彊菌のようでした。

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⇧普段、昼間は土の中に潜っていて目立たないはずのヨトウガの幼虫がこんな感じで昼間から葉先にいたりします。寄生菌になにかをコントロールされてしまっている、ということでしょうか? 右側の白い個体はすでに病死したもの。バッタに寄生するエントモファーガ・グリリ同様、野良坊菜の頂上付近で死んでいる個体を多く見かけます。


この出来事があったのは、2017年の夏から秋にかけてなのですが、その後、ヨトウガも幼虫の姿はあまり見かけませんが、全滅してしまったわけではなく、食害されたと思われる野菜の苗の根本を掘ると土の中にはいるので、いつもの年のようには棲息してはいるようです。
また、ヨトウムシが大発生していたときにはほとんど見かけなかったモンシロチョウの幼虫を、野良坊菜の復活とともに見かけるようになりました。ヨトウガに大感染する白彊菌(はくきょうきん)は、モンシロチョウには感染しないようです。

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バッカク菌系の冬虫夏草もそうですが、どれも似た同じ仲間の菌ではあるにもかかわらず、宿主に対する選択性はしっかりしてい、たとえばセミタケはニイニイゼミの幼虫に寄生はするけれども、アブラゼミには寄生できず、アブラゼミに寄生するのはオオセミタケと呼ばれる別の冬虫夏草だったりします。エントモファーガに関しても似たようなことが言えると思うのですが、正確なところは分かりません。

気になるのはヒトへの影響ですが、ヨトウガに寄生するエントモファーガが人に感染するという情報やあるいはそれらを食べる、という情報はないのですが、カイコのエントモファーガである白彊菌に侵されたカイコの幼虫の死体は、白彊蚕(はくきょうさん、もしくは「びゃくきょうさん」)などと呼ばれて、漢方薬のひとつだったりします。白彊蚕は、鎮痛剤として知られていて、インフルエンザに伴う異常行動のひとつでもある熱性けいれんの緩和にも効用があるとのこと。関連性があるかは分かりませんが、ちょっと気になるところではあります。

 

種は定期的な大発生というメカニズムを使って大きな環境変化が起きても、種としての遺伝子をなんとか残そうとする一方で、自然の生態系は、大発生による個体数バランスの崩れを平衡に保とうと、選択性の高い感染症などを使ってその種の棲息密度に応じて個体数コントロールをしているようにも見受けられます。

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⇧エントモファーガの最盛期は各所でこんな感じでした。
ヒトも地球の生態系からすると現在、大発生中であることはあきらかで、ヒトのパンデミックを想像すると、ちょっとぞっとする光景でもあったりします。

 

電気自動車のユーザー車検

電気自動車で、初めてユーザー車検を受けてきました。エンジン車とは少し違いがあって面白い経験でした。結論から言うと、エンジン車よりも手軽でユーザー車検向き、のように思いました。最近、楽しいことがいろいろあって、いろいろなことをすぐに忘れてしまうので、忘れないうちにメモしておくことにします。
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⇧ついうっかり、車検を切らしてしまったので今回は仮ナンバーを借りて車検場に行きましたが、普通は車検が満了する1か月前から、有効期間を短縮することなく車検を受験することができます。

ということで、ユーザー車検でまず必要なのは、車検場の予約。ウチの電気自動車は軽トラなので、各都道府県にある軽自動車協会が窓口になります。
最近はネットで予約ができるので楽ちんです。ところが今回はたぶん私のミスで、ネットで予約したつもりでいたのに最後の完了ボタンを押し忘れたのか、当日現地で確認したら予約ができていなくて焦りました、が、事情を説明したらどうにか当日受付ということで受験させてもらえました。ありがたや。
全国の軽自動車協会での車検予約は、ここからできます。
(リーフなどの普通車は陸事が車検場なので、予約はこちらにになります)。

 

車検の予約ができたら、点検&整備を行うといいと思います。
昔と違って法律が改正され、車検後に整備を行う、ということでも良くなったのですが、ウチと車検場とは距離があって、当日、車検に落ちると面倒なので、車検で指摘されそうなところを中心に点検&整備を行いました。それとこの地域は冬季の融雪剤の影響で下回りが錆びやすいので、ジャッキアップのついでに下回りの防錆(ぼうせい)作業も合わせて行いました。

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⇧春、雪がふらなくなったら、下回りを洗車し、サビが発生しているところにはPOR15という強力錆止め塗料を塗布し、その後、フレームやロッカーパネルなどの袋構造部内部を中心に防錆ワックスをスプレーしておく、というのが寒冷地でクルマを長持ちさせるポイントではないかと思います。
ウチでは雪国である北欧スウェーデンで開発されたノックスドール700という無溶剤性(溶剤性の場合は毛細管現象で浸透していくは溶剤が中心となってしまう)の浸透性防錆ワックスのスプレーを愛用しています。実はこれ、ウチ(虫草農園&ビルダーズハウス)でも販売したりもしています。良かったら試してみて下さい。

話を戻します。車検のための点検&整備にあたっては、点検整備記録簿というものがあって、それをベースにチェックしながら行うと便利です。

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で、電気自動車の場合は、エンジンや給排気管、点火系となどがないので、点検記録簿の以下の緑枠で囲った部分は不要。そんなわけで、かなり楽ちんなのです。

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⇧エンジンがないわけだから排気ガスはでないので、排ガス検査のためのキャブや点火タイミングの調整なんていう作業も要りません。
車検で落とされやすいマフラーの穴も、マフラー自体が存在しないわけで、同様に、エンジンオイルのにじみや漏れで落とされることもないし、排気温度センサーの警告灯が消えないことでその日は車検が通せなかった、なんてこともないわけです。

さて、点検整備。記録簿に従って、各部を点検していきます。
軽トラの場合はボンネットがないので、ウォシャー液や冷却水などは座席の下にあります。

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今回ちょっと手こずったのは、ブレーキフルードのタンクの位置で、軽トラならでは。こんなところにありました。

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ダッシュボード脇、カバーを外したらブレーキのリザーブタンクを発見。

それともうひとつ、当日まごつかないように事前に調べておくといいのは、車体番号の刻印の位置。ミニキャブミーブトラックの場合は、助手席の座席の下、カバーを外すとそこに刻印されていました。(見つからない場合は、ネットで「車種名、車体番号の位置」で検索するとたいてい出てくる世の中です、ありがたや)。

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他に、注意するべきところとしては、発煙筒の有効期限が切れていないか(ユーザー車検の場合、稀に指摘されることがあります)確認しておきましょう。ユーザー車検によく行く人は、有効期限のないLEDタイプの車検対応の非常信号灯を手に入れておくのも手です。

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⇧足まわりの検査の際、センターナット(ホイールベアリングナット)に緩みがないか点検ハンマーで叩いて検査するので、センターキャップをあらかじめ外しておくといいと思います。

点検整備が終わったら、必要書類を揃えます。
1 車検証
2 自動車損害賠償責任保険証明書(新しく取る車検の有効期限よりも先までの自賠責が必要になります)。
3 自動車税の納税証明書(普通のクルマは県税で、県税事務所が車検場に併設されていることが多いのですが、軽自動車税は市税なので、紛失してしまった場合は市役所まで取りに行かなければなりません)。
4 ハンコ(認印でOK)
5 検査票(車検場でもらえます)
6 重量税納付書(これも車検場にあり、その場で印紙を購入して貼り付けます)。
7 継続検査申請書(車検場にあり)
8 バインダー(なくても問題ないけど、あると便利です)。
こんなところかなぁ。

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⇧山梨の車検場のおねーさんたちは親切、こんな風にバインダーに挟んで必要書類を提出すると、必要な順番に揃えてセットしてくれます。

 

これが検査証。

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⇧車検のラインに入ったとき、検査が終わると、これを読み取り機械に差し込むと合格の場合は「◯」が付いて出てきます。

 

そして特筆すべきことがコレ。重量税は印紙を買って台紙に貼り付けて納税するのですが、普通の軽自動車は6600円ですが、電気自動車はエコカーとして減税されていて5000円と1600円も割引してくれます。

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そしていよいよコースに。

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⇧コースに入る手前、こうして並んでいるときに、検査員の方がやってきて、車台番号の確認や、方向指示器、ブレーキランプ、ヘッドランプ、ワイパーやウォッシャー液などが正常に機能するかの検査があります。
このとき、エンジンが掛かったあとは、消えないといけないモニターランプ(たとえばシートベルトの警告灯)などが点灯したままだと、修理するように勧告され、修理できないと車検には受からないので、エンジンが掛かったら(電気自動車の場合は「Ready」の状態で、すべての警告のモニターランプが消えることをあらかじめ確認しておくといいでしょう。

また、山梨の軽自動車協会では、慣れないユーザー車検者は、ダッシュボードの上に初心者マークを提示しておくことになっていて(車検場で貸してくれる)、ラインを通す際など、係の人が付き添ってくれます。

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そしていよいよ、ライン突入。

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ライン上には電光掲示板があって、その指示に従って検査を受けます。

山梨(石和)の場合、まず最初にあるのは、排ガスの検査。
でも、電気自動車は排ガスを出さないので、この検査はパス。

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その後、サイドスリップ、ブレーキ、スピードメーター、ヘッドライト、そして最後に、足まわりの検査と続きます。

今回は、なんと、ヘッドライトの光軸で落ちてしまいました。

そんな場合は、車検場の近くにある予備検屋さん(地方によってテスター屋さんと呼ばれていることもあり)に飛び込みます。
予備検屋さんにも、車検場と同じテスターがあり、光軸を調整してくれます。今回は光軸調整のみで3000円でした。
車検場での検査は、その日のうちであれば、追加の費用なしで再検査を受けることができます。

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⇧ちなみにミニキャブの場合、調整ネジがヘッドライトサイドにあって、ふたつある穴の上の穴が上下の調整、下が左右の調整だそうです(穴の奥の方に調整スクリューはあるので、軸のかなり長いドライバー必要)。

再び車検場に戻って検査を受けて、今度は合格。
有効期限の記されたフロントウインドウに貼るシールをもらい、それを貼って車検完了。
検査&申請手数料は1400円。それに今回は予備検屋さんにお願いしたヘッドライトの光軸調整があったので3000円。重量税が5000円と自賠責の保険料2年分25880円。
合計で35280円でした(それと今回は仮ナンバーを借りたからプラス800円でした)。
手間はかかりますが、電気自動車の場合は検査項目も少なく、自分でやれば費用も安く抑えることができます。
しかも白州から石和の車検場までは、往復で100㎞以上あり、途中にいくつか無料の急速充電所があるので、車検場までの燃料代も無料。

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そして、EV for EARTH。
太陽光発電や天ぷら廃油発電で電気自動車を充電し使えば、化石燃料を買うために外国からお金を払って石油を買わなくても済むし、エネルギーまで含めて地産地消することができれば、産油国の紛争や戦争に加担することもなく暮らしていけるのでした。



 

 

 

 

 

 

 

虫草農園の野菜たちを日本一おいしい水?で育てるための埋設工事。

もしかしたらコレ、永遠に終わらないんじゃないか? とさえ思ってしまった畑やハウスの散水用配管、埋設工事……、ようやくやっと終わりました!

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最初に買った塩ビパイプが10本、1本が4mだから40m分。
でも途中で、あ、これじゃあ足りなそうだなぁ、と思い、もう10本買い足したのですが、それでも足りず、さらにもう10本追加購入。
結局、30本、買って、残ったのは2本。
ということは、4m×28本だから、112mの配管工事だったということ。なるほど、簡単には終わらないはずです。
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⇧ここだけでも30m以上ありました(せめても大雑把に測ってからはじめましょう!)

当初は……、ユンボで掘れるんだから楽勝、と思っていたのです。
でも、林の中とか建物や石垣の近く、とか、手掘りでなければ掘れないところも結構あって、そしてなにより、ユンボが機嫌を損ねてしまうことが多く、ユンボの修理にもだいぶ時間を費やされてしまったのでした。

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⇧畑の真ん中でエンジンがかからなくなったときには、このままオブジェにしてしまおうかと(笑)。

ユンボで掘ったハリガネムシ、ひとつ私にくださいな」とばかりにキジが加勢に来てくれたりもしたのですが、ユンボは相変わらずご機嫌ななめ。

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⇧ところでキジ、知らぬ間にすぐ近くまで来ていることがあり、ヒトに見つかると丸見えなのに、それでも首をすくめ背中を丸めて小さくなって、早足で逃げ去るのですが、その姿がなんとも可愛いかったなぁ。


配管の行き先ですが、最終目的地はビニールハウスです。
給水設備のないビニールハウスというのは、かなり厳しいものがあったのでした。
これまではなんとか水汲み&水運びをしてしのいできたのですが、さすがにこの先、死ぬまでこれをやり続けるのかぁ、それはちょっとつらい、ということで、ハウスまでなんとか給水配管を引っ張ろう! というのが工事のきっかけ。

そしてそれらの配管は当初、農園内の道路の下を通す予定だったのですが、逆に、畑の真ん中を通して、畑の真ん中にスプリンクラー用の水栓があると(いちいちホースを引っ張らずにすむので)便利そう、ということで、畑の真ん中を貫通させることにし、配管の真上には、耕すことのない宿根系、アーティチョークとか、セイジとか、ローマンカモミールなんかを植え耕さなくてもすむ不耕起畝としました。

 

配管には呼び径13の塩ビパイプを使用。塩ビパイプはビニールホースよりもはるかに安く(4mで300円前後)、耐久性でも優れているので常設でホースを使っている場所にもオススメです。

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⇧ただ、13φの塩ビ管は、保管の際、気をつけないと、ハチたちのホテルになってしまいます(写真手前は、たぶんクマバチ)。

なので、すぐに使わない場合はパイプにキャップをしておくのが正解。頭が丸いキャップの方が美しいけど、少し高価だったりします(それでも1個25円くらい)。また、このキャップは施工の際も多用途に使えるので、少し多めにあっても良いかも。1ミリの穴をあけると、噴水にもなります。

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⇧13φの塩ビパイプは逆に、こうして軒先に吊るしておくことで、バグホテルとしてもクマバチやオオハキリバチなどに人気だったりします。

 

ところで、寒冷地の給水配管で注意が必要なのは、冬季の凍結対策です。
すべての配管を凍結深度よりも深く設置できればいいのですが、それはかなり大変。しかもその場合には給水口には不凍栓(市販品はかなり高価)を付ける必要があり、費用もかさんでしまいます。
そこで今回採用したのは、晩秋くらいまではどうにか使えるけど、真冬は使用をあきらめ水抜きをする、という全行程、傾斜配管仕様。
配管に傾斜を付け、一番低いところに水抜きのためのバルブをセットするという作戦です。

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⇧この畑は、奥のJRコンテナ側にわずかに傾斜しているので、コンテナ側に水抜きバルブを付けることにしました。

で、その水抜きバルブですが、傾斜地の場合はそれほど問題ないのですが、上の写真のようにフラットに近いところでは、地中、ある程度深い部分にセットすることになります。専用のマスなどもあるようなのですが高価なので、一斗缶を流用して作ってみることにしました。クルマやトラクターを天ぷら廃油で動かしている家には、一斗缶がたくさん集まってくるのでした。

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⇧一斗缶ひとつでは、深さが足りないのでふたつを縦に連結。内側に合板(廃材)を抱かせて、外側からナベのタッピングで固定し接続部を補強しました。

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⇧腕を突っ込んで届くギリギリの深さの位置に配管のための穴をあけます(手が届かない場合は、棒などでリンクをつくり延長する方法もありそうです)。水抜きバルブはチーズを介して取り付けるので、穴位置は真ん中ではなくオフセットさせた方がバルブを操作しやすいと思います。

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⇧ほぼ完成。こんな感じのものが土の中に埋まります。一番下のタイヤは抜いた水が一斗缶から抜けるための浸透桝の役目。

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⇧で、さっそく設置。以前はタイヤにゴロタなどの石を入れ、つぶれにくくしましたが、今回はフォークリフト用のガッシリしたタイヤだったので、水が抜けやすいようにタイヤ内部は空洞のまま使いました。

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⇧タイヤがセットできたら、その上に底に水穴をあけた一斗缶を置きます。

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⇧一斗缶の内部はこんな感じ。バルブも塩ビ製のボールバルブ。
井戸の配管などで以前は鋳造のバルブを使っていたのですが、どうも塩ビバルブの方が柔軟で、凍結に対する耐久性があるように思います。そしてなによりも安いのでした(鋳造のバルブは1000円前後であるのに対し)、こちらはひとつ250円くらい。

 

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⇧廃材の畦板を積んだ石垣の下を貫通。そしてこの部分にも水抜きをつくりました。段差の近くの場合は水抜きのバルブの深さが低くて助かります。

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⇧ここは行き止まりなのでただバルブを付けるだけ。
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⇧ハウス内の引き込みもトンネルを掘って貫通させます。

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⇧そして水抜きバルブに向かって水勾配をとります。
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⇧配管は、畑を横断し、林の中を抜けて続きます。

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⇧この手の配管をユンボで掘る場合、一気に何本分も掘ってすべてのパイプをつないでから埋め戻すより、1本分、4mちょっと掘ったら、とりあえずパイプをつなぎ、つないでいない方の端部にはキャップをして土が入らないようにしてから、1本分を埋戻すという方法が正解、ということに終わる頃に気が付きました。
でもたぶんプロは、掘ったらバケットの土をそのままにキャビンを180度回転させ、その土で反対側を埋め戻しながら進むのだと思います(でも、穴が崩れてしまって私にはその方法ではうまくできませんでした)。

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⇧配管がどこを通っているか? 工事直後は覚えているのですが、1年もたつと見事に忘れます。で、目印にパイプの継ぎ目に梱包用テープを結びつけ、地上部にちょこっと出しておくことにしました。さらには埋め戻したあと、その部分に目印としてタイムを植えてみました。タイムがあったらそこは仮払わないので、梱包用テープを刈払機で引っ掛けないための策なのですが、はたしてうまくいうのだろうか?

■給水口いろいろ■
途中、蛇口(給水口)は7か所つくりました。
これが今回の目的であるハウス内の給水口。

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⇧味噌が仕込まれていた木樽でしょうか? 蔵を解体した際に出てきたかなり古いいただきもので漏れが心配だったのですが、水を含んだらピッタリ漏れは止まりました。さすがです。
ジョウロを使った潅水の場合は、蛇口から出た水をジョウロで受けるよりも、大きめの容器に貯水しておいて、そこにジョウロを沈めて給水するほうがはるかに早く効率的だったりします。

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⇧こちらは園路の途中に作った水溜め。底に穴のあいたステンレスの寸動鍋で、こちらもいただきもの。ステン用の溶棒があったので、アークで挑戦してみたものの、より穴を拡大してしまいうまくいかなかったので、ガラスクロスとJBウエルドで塞ぎ、補修。火にかけることはできなくなってしまったけれど、屋外の貯水容器としては、サビないし、これでも十分だったします。

こちらは林の中の流し台。かなり前に友だちからもらったオールステンレスのシンクで、夏用に木陰で水仕事ができるようにセットしました。

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⇧実はこの水、知る人ぞ知る、松山沢川の伏流水なのです。地元の人たちによると日本で一番美味しいお水とのこと。というのも、サントリーがこの地に蒸留所をつくるに当たり、日本全国から美味しいと言われる水を集め、飲み比べてみたその結果、白州町の鳥原に蒸留所を作ることになったそうです。そのときの水が松山沢川の伏流水だったとのことで、まんざら大げさな話ではないのでした。その後、蒸留所には天然水の工場が併設され、ペットボトルに詰めて出荷されています。
でも市販されている南アルプス天然水は、伏流水ではなく、地下水。カンボジアのPKO以降、鳥原の上水道も地下水になってしまったのですが、農業用水はいまだに松山沢川の伏流水で、地元のお年寄りたちはお祭りなどで気を入れて「ほうとう」を打つときやあんこを煮るときには、こちらの伏流水の方を使ったりしています。
たしかに味が違うように感じます。ちなみに、虫草農園でお借りしている田んぼは、その松山沢川の最上流にあるので、ありがたいことに上から農薬や除草剤が流れてくることもありません。でも、水がきれい過ぎてか米粒は小さいけど(笑)。

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⇧こちらは畑の真ん中の給水口。ぐうたらなので、近い将来、スプリンクラーとタイマーをセットする予定。

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⇧そしてここが大元の蛇口。奥の赤いバルブを開くと、ビニールハウスまで水が供給されます。ジョウロの下の一斗缶が水抜きバルブのマス。
地面から少し浮かせるため、木樽の下にも廃タイヤが入っています。
この周囲にはサトイモやショウガなど、湿潤な土を好む植物をこの周囲に植える予定。

20年以上、農薬も化成肥料も使わずにやってきたおかげか、このところ土壌の微生物が元気で、土もだいぶ良くなってきた感じがします。その上、潅水設備も整ったので、今年は、美味しい野菜がたくさん収穫できる、かな?

カレハガ

リンゴをはじめとした品種改良された果樹には、他の樹木と違って驚くほどたくさんの虫がつきます。放って置くとあっという間に木は丸坊主
おいしさや収量を追求して品種改良すると、その他の部分には弱点がでるようにできているのだろうか? 

「誰かがひとり勝ちしないこと」、もしかしたらそれが地球の生態系を保つ上での大切な仕組みなのかもしれません。
そう考えると、ますます、ヒトの都合のいいように遺伝子を組み替えてしまうことに、恐ろしさを感じます。

とまあ、そんなわけで、果樹の多くは、殺虫剤や殺菌剤を使って育てられるのが普通なのですが、虫や草との共生をめざす虫草農園では農薬を使いたくないので、毎日巡回しては、心を鬼にして果樹につく虫たちを手作業で殺しています。


そしてきょうは、親子で忍法・隠し身の術をつかうことで知られている、カレハガの(たぶん)終令幼虫を発見。なんと体長は8cmくらいあります。

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しかも刺激するとこんな風に、おしゃれな姿にも。変わり身の術をもつかいます。

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そしてそのとき、どんな顔をしているかというと、こんな顔。

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やっぱり、殺せませんでした。
(カレハガはサクラでも生きていけるはずなので、そちらに移ってもらいました)。

女王バチと共に、冒険の旅に出る働きバチたちは誰が決めるのだろうか?

春爛漫。虫草農園の虫たちはいま、元気に活動を始めています。
ニホンミツバチはきょうで、三群目が分蜂しました。
そしてきょうも蜂球ができたのは、エノキの幹。
ヒトが作った蜂球トラップには目もくれません。

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⇧不織布とシュロ縄で作った蜂球トラップ(分蜂板)で休憩中のカメノコテントウ。
(蜂球トラップのトトカルチョの記事はこちら)

ということで、脚立に登り、エノキの幹の蜂球を観察していたら、そのすぐ横をオオムラサキの越冬幼虫が通り抜けていったのでした。

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あわててカメラを取りに行ったのですが、幼虫の歩く速度は案外速く、戻ってきたらだいぶ上の方の枝まで移動していました。


越冬から覚めてエノキの幹を元気に歩くオオムラサキの幼虫

 

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⇧そのすぐ横では、成虫で越冬したテングチョウがエノキの若葉に卵を産んでいました。

ところで、ミツバチのその年、最初の分蜂は、母女王が娘たちに住み慣れた巣箱をあけわたし、ある程度の数の働き蜂たちを引き連れて外の世界に出ていきます。その時の人選、というか、母女王との冒険的な運命を共にする蜂たちはどうやって選ばれているのか? ということに興味をもっていたのでした。
年功序列? 生まれた順なのだろうか……?
で、なんとなく感覚的にきょう思ったのは、その日の働き蜂たちの気分のような気がしたのでした。ヒトが「女王」をイメージする場合、権力者のようなイメージを持ってしまいますが、それはヒトの世界の場合の話で、ミツバチの場合は「卵を産むことに特化した個体」という見方もできます。女王が人選を決めている、というのはヒトの場合から類推した勝手な想像で、ミツバチの場合は女王の意志はそこには働いていない可能性があります。

 

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⇧前回の分蜂では、取りこぼしのないようにできるだけ多くのハチを取り込もうと思って、エノキの幹をシリコンの縁で舐めるようにして蜂球を掻き取ったのですが、それによって蜂球を支えていた一番上の樹皮に取り付いていたハチ(かなりの力がかかっていたはず)の(一部の)体が引きちぎれてしまったのでした。その失敗の反省もあって今回は、取りこぼしが多くてもいいからハチの損傷のできるだけ少ない方法でネット(100均の扇風機カバーの不織布)に取り込むことを第一目標に作業を行いました。

三回分蜂した中で、きょうの蜂球が一番大きく、多くの働き蜂が参加していました。風はあったのですが、きのうよりはマシだし、ここ数日の中ではきょうが一番、分蜂日和だったように思えたのです。そのために、お供のハチも多かった?
(前回の分蜂の様子はこちらから)。

やはり今回は、取りこぼしが多く、取り込み後もエノキのわきの下には、取りこぼされた働き蜂たちが戻って集まってきました。

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⇧取りこぼしの働き蜂たち。取り込みの際、新しい巣の捜索に行っていたハチたちもいそうです。

これらの取りこぼしハチたちの一部は、女王のフェロモンに呼ばれたのか今回取り込んだネットの周囲に集まってきたのですが、それは一部で、よくよく観察してみると多くは元の巣箱に戻ったようでした。
なんとなくですが、「きょうの女王による分蜂」ということにそれほど重きを置いていなかったのではないか、という感じがしたのでした。

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⇧100均で買ったネット(扇風機の冬の間のホコリカバー)をこれまでよりも短くしてみました。蜂球がネット内に落ちる際の距離を短くすることで、押しつぶされてしまうハチを少なくするためです。

夕方、ネットから巣箱に取り込みました。

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夜になって、巣箱に底板を入れると同時に、巣箱の内部を撮影してみました。

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⇧隅で蜂球をつくって固まっていました。
話しかけると、蜂球全体で「ほわぁー」という感じで、音をたてて反応します。アナグマの威嚇音とちょっと似た感じです。

夜、エノキのわきの下を見に行ったら、取りこぼしのハチたちは一頭もいませんでした。

代わりに、エノキの梢で、風もないのにナナフシモドキの幼虫が揺れていました。

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ニホンミツバチの巣箱づくり(ワンバイ材を使った重箱タイプ)

ニホンミツバチの飼育にはたくさんの面白いことがあるのですが、そのひとつに巣箱づくりがあります。外来種である洋バチと違ってニホンミツバチは、昔から日本の自然の中で暮らしてきたわけで、住み慣れた環境下でかなり自由奔放に暮らしています。
つまりは、巣箱やその周囲の環境などが気に入らないと、簡単に家出してしまうのです。
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「飼育」とは言うけれど、実はヒトとハチとの関係は、借家の家主と店子(たなこ)のような間柄で、家を提供する代わりに家賃としてハチミツをいただく、という関係だったりもします。
そんなわけで、ハチに気に入ってもらえるように試行錯誤しながら、分蜂に備えて新居を作っているのですが、ある程度、形が定まってきたので、備忘録として記録しておこうと思います。

 

 


まずは巣門の形ですが、いくつか作って使い比べてみたところ、こんな形で落ち着きそうです。

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⇧一般的には、蝶番(ちょうつがい)を使った開閉式が多いのですが、扉が箱についたままだと内部の撮影の際などに不便だったいるすこと、それとハチを蝶番の部分で挟んで殺してしまう(それによって攻撃フェロモンが分泌されてしまう)ことがあるので、取り外し式になりました。蝶番を買わないで済むというメリットもあります(もっとも蝶番も金属の薄板や革などを使ってつくることもできるわけですが)。

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⇧とびらの受けは2本のネジで受けます。よっぽどトロいハチでない限り、とびらをゆっくり閉じることでこのネジとの間にはさまれてしまうことはないと思われます。

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⇧とびらは、木片(濃い茶色の板)で受けるのですが、とびらを周囲の門構えよりも少し出っ張らせておくと木片で受けたとき、ガタツキがありません。以前は扉側に受けをつくっていたのですが、写真のようなタイプのほうが扱いやすいように思います。

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⇧木片は反対側にもストッパーをつくっておくと、とびらのスムーズな開閉が可能です(さもないと開けるとき邪魔になりました)。

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ひとつ前のブログでも紹介しましたが、女王バチの逃避防止に、中国製167円(国際送料込)のスリットなどが使えるようにしてあります。

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⇧手前の扉をひらくことで、サイズの異なる二種類のスリットとして使用できます。

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⇧巣の底板は、巣内の温度が高くなる時期に換気を兼ね、開閉できるようにしています。底板の穴には3mmメッシュの金網が貼られています。抜き取った板も捨てずにとっておき、冬季の防寒対策に使っています。

 

重箱のサイズは、最初の群れをいただいた重田師匠のサイズに準拠しています。使用している木材は重箱部が1×6”(ワンバイシックス)で、巣門部分は1×4”(ワンバイフォー)。板厚はいずれも19.5ミリ。内寸235ミリ、外寸274ミリ(長辺274ミリ、短辺235ミリ)の正方形です。
重箱はたくさん作る必要があるので、こんな感じのバカ棒をつくりました。

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⇧これがそのバカ棒で、短い部分が短辺用。長いほうが長辺用です。

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⇧バカ棒は仕上がりサイズの板のサイズで作る方法もありますが、丸ノコの刃の厚み(2ミリ)を加え、仕上がりサイズよりも2ミリ大きくつくると線どおりに切ることができて正確に切断できます。

 

 

巣落ち防止の棒を入れる位置もボール紙でガイドを作り、それを目安にポンチを打ってマークをすると量産には便利です。

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⇧ボール紙を谷折りと山折に折って、その部分をコーナーに合わせ、オートポンチでマークします。

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⇧巣落ち防止棒用の竹ひごは、長めのバーベキュー用竹串などでもいいと思うのですが、竹が近くに生えているので両刃のナタで割ってつくりました。

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⇧巣落ち防止棒は、こんな感じで井桁状に組みます。

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⇧穴からはみ出した竹ひごは、片側のアサリを落としたノコ、または裏にガムテープを一枚貼ったノコで切り落とします。

巣箱作りにあたって一番面倒なのが、巣箱の一番上に乗せるスノコ(この部分にハチが巣を作り始めます)かもしれません。
ひとつの巣箱の中に7枚の巣板を作って欲しいと思っていて、スリット間は10ミリ弱。幅を22ミリ前後でスリットを作っています。スリット間は6ミリがいい、幅をそれに合わせて太くしてあげたほうがいい、などの情報もありますが。いろいろつくってみてそのあたりは検証してみたいと思っています。

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⇧まずはドリルで穴をあけ、それを丸ノコで溝状に拡大していくのですが、その場合も、穴位置をマークするためのガイド板があると作業がはかどります。

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⇧両端にあけた10ミリのドリル穴に沿って、丸ノコで溝を切ります。


ところで友だちの薩美さんから教えていただいたTritonのスーパージョーズというクランプ台、とても便利で重宝しています。

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⇧ワンタッチで開口部が固定できて、締め付ける圧力も任意に調整できます。あぶみのようなところを足で踏むと固定でき、ロックレバー(赤いレバー)を解除してからもう一度踏むと緩むという仕組み。

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⇧トップの黒い部分は反対返しにも取り付けることができて、サブロク板なども固定できます。
また、薪ストーブを使っている人の場合は、玉切り台としてもとても便利。軽トラからの移動にちょうどいい高さで、この高さで玉切りできると腰への負担も少なく、しかも片側を玉切ったことでバランスが悪くなっても倒れにくいというのもありがたかったります。

スノコはこんな感じのものを使っています。

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⇧ガイドのようなもので、これに沿って巣をつくってくれることが多い、というのと同時に、アカリンダニ対策で天井の上(このスノコの上)にダニが嫌いなメントールなどを置き、箱内に充満させる場合の置き場所にもなります。スノコの上に写真のような枠とメッシュ(100均で売っている鉢底メッシュ)を置き、その上にメントールの結晶を薄いお皿に載せ、新居を気に入ってくれた頃にセットします。

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スノコの真ん中あたりには蜜蝋を溶かして付け、巣作りのきっかけのようなものを作ってきたりもしました。この面が天井側、下側になります。

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⇧巣枠式で使われる三角形の角材をタッカーで止めたものなども作ってみました。果たしこれをハチが好むか? 半分だけ取り付けてどちらから巣を作り始めるか観察してみたいと思います。

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⇧あるいはこんな感じ。合板をくり抜くのではなく、無垢材で組み立てるタイプのスノコも作ってみました。これの方がかんたんじゃないかと思ったのですが、ハチがスノコよりも上(メントールを置くスペースに)入ってしまわないようにするには周囲に縁が必要だったり、ちょうどいい幅(22ミリ前後)の板材がないのでそれから作らなければならなかったりで、合板にスリットを開けるほうが簡単は簡単かも。どちらをハチが気に入るかもテストしてみたいと思っています。

そして完成。

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⇧主には、分蜂した蜂球の取り込み用ですが、もしかしたら自然巣の分蜂群が入ってくれる可能性もあるのではないかと期待して、できあがった箱たちはハチが好みそうなところに待ち箱として置いてみることにしました。