水稲の育苗の備忘録1 ・虫草農園流(つまり、かなりいい加減)

 なんだかこのところ備忘録ばかりでお恥ずかしいのですが、百姓にはやることがいろいろあって、一年もたつとすっかり忘れてしまうので、来年以降にまごつかないように、それと人から尋ねられたときに困らないように、水稲育苗の備忘録を記しておきたいと思います(できればその都度、書き足して年々、完成度を高めていきたいと思っています、のでアドバイスもよろしくお願いします)。



●1 どのくらいの量のタネモミが必要か?●
1反あたり3〜4kgのモミを準備するというのが一般的だそうです。
■面積の換算値:1反=10畝=0.1町=300坪=990㎡≒10アール

でもこれだと、ウチの場合にはかなり多めで苗が大量に余ってしまう感じです。田植えの場合、どのくらいの間隔で何本植えするか? で大きく違ってきます。ウチは、歩行型という原始的な田植え機を使っているのですが、植える本数は普通は2〜4本(田植え機としてはかなり少なめ)にセットして、ウネ間は30センチ(一般的な田植え機の場合、これは変更できません)で、株間は最大に近い25センチくらいかなぁ、にセットしています。だからこれだとかなり少ない苗でいけます。今年こそはどれくらいの量が必要だったかをしっかり見極めたいと思っています。
 ただ、多めに設定する必要性も理解しています。たとえば昨年は、某ホームセンター(ちなみにコメリではありません。いまのところコメリの土はいい感じです)から購入した床土が異常だったようで、その土に播いた稲はほぼ全滅でした。

↑ひとつおきに土を変えたのですが、某ホームセンターから購入した土で作った苗箱は成長が明らかに異常。このあと黄色がさらに強くなって枯れていったのでした。我が家の崖の土(肥料なし)にもタネモミを播いたのだけれど、それよりも成長が悪く、なんと枯れてしまったのでした)。ホームセンターに連絡したところ古い土だった可能性がある、とのことでした(←古いくらいで崖土よりも悪くなってしまうものだろうか?)。
 前の年の土が余っていて問題のある土を使用したのは半分だったので、半部は助かったのですが、できた苗は通常の年の半分。でもどうにか間に合ったのでした。それには一箇所に植える本数を少なくし、株間を田植え機の限界まで広げたら、半分の量でもどうにか足りました。田植えが「疎」だと、株間、畝間に光が入る時間が長いから除草は多少大変ではあるけれど、そのあたりはある程度調整可能ということでもあります。


 2017年はお借りした田んぼが4畝と2畝の棚田(松山沢川の最上流)で合わせて6畝。4畝用に武川米(ヨンパチ)1,500グラム、2畝は半分に分けて、コシヒカリ300グラム、ハッピーチルドレン(ハッピーヒルと香り米の雑種でバスマティ系の香り米)を300グラム浸水。
■追記■2017年4月13日
武川米の場合、1500gの乾燥モミは、催芽後(水を切った状態で)約2100gになりました(稚苗用140〜150g×育苗箱12枚+残り400g≒2100g)。水を含むと1.4倍になる、ということのようです。
コシヒカリは乾燥モミ300gが100g(中苗)×箱3枚+残り90g=390g。約1.3倍でした。よって、乾燥モミは催芽させて水を含むと1.3〜1.4倍になりということでいいと思われます。


●2 比重選●

 比重1.13くらいの塩水(生卵が10円玉くらいで浮くくらい)で比重選をするのが一般的だけど、稲の個体の多様性を重視したい(もしかしたら比重の軽い小さなお米のほうが冷害に強かったりするかもしれない)という名目と、作業が面倒なのと、お塩が大量に必要でモッタイナイということもあって塩水選はしていません。
 モミをただの水に入れ、浮いてしまうものは取り除き、取り除いたモミはニワトリにあげました(精米してなくても食べた)。また、大量にやる人は、モッタイナイから洗って乾燥させ精米してヒトが食べるという人もいるようです。
塩水選やボーメ度に関して詳しくはこちらのブログをどうぞ。



●3 温湯(おんとう)殺菌

 60度のお湯に10分(あるいは58度に15分)、浸漬しタネモミを消毒するというのが温湯消毒。いもち病、ばか苗病、ごま葉枯れ病などの予防効果があると言われています。我が家は、除草剤を含めた完全無農薬栽培なので、周囲の農家の方たちに迷惑を掛けないためにも、温湯消毒は行うことにしています。
2017年は、量が少ないので大鍋を薪ストーブの上にのせ、そこで温湯消毒しました。
2回に分けて65度で浸漬したのだけれど、それでもモミを入れるとお湯の温度は下がってしまい55度くらいまで下がってしまったので15分浸漬。
お湯を沸かすまでは薪ストーブで行い、モミを浸漬してからはオンオフの火力調整が簡単なガスコンロを使うのが正解のように思います。2017年は4月5日に実施。


●4 浸種●

↑モミが少し透きとおり、胚の部分が白く見えてきた状態。
 発芽の促進と発芽を均一にするために、胚がモミガラを通して白く見えるくらいまで水に浸します。
浸種する時間は、水温×日数の積算温度が100度Cに達するまで、と言われています。
つまり10度Cで10日、15度Cだと約7日、20度Cだと5日。
また常に流水にさらしておく人もいるようだけど、発芽に必要な水分は種子重量25%で、最初の3日は水の交換は不要で、その後は1〜2日ごとに換水と記載されている手引書もあり、それでも酸素不足にはならないようなので、ウチでは面倒でない、後者の方法(家の中の大きな鍋に入れておく)を採用しています。それでもちゃんとに発芽します。

そんなわけで最初の4日間は室内(台所)に置いて置いたので水温は15度〜18度前後。5日目の夜、もう少し手をかけたあげたほうがいいのでは……と、屋外にあるキノコ用の散水の水漏れ箇所に移動。翌朝起きたら寒かったので、気になり水温を測ってみたら4.8度C。これはまずいと慌てて家の中に取り込みました。
浸種の際の低温による障害に関してはこんな情報もあり、4.8度はちょっと心配なのです。

↑キノコ散水の漏水で浸種を試みたのですが、温度が低すぎて早々に断念。それ以降は家の中の大きめの鍋に入れ、一日に1〜2回水を取り替えるということで(少なくとも2017年は)問題なく発芽しました。流水につける人が多いようですが、水温が低すぎると返って障害が出るおそれがあるとの説もあります。家の中だと水温は10〜19度くらいで、平均15度として7日前後でいいようです。


長くなってしまったのでこのあとの催芽や播種は「次のページ」で紹介させていただくことにします。