締切仕事が重なり、2日ほど外に出ず、家の中にこもって作業をしていました。
ギリギリまで取り掛からず、グータラしてたのがいけないだけなのですが。
で、ニッチモサッチモいかなくなり缶詰状態になったとき、一番つらかったのは、裏山に住む友人からのツイートでした。
「チチタケ、出てた」
「チタケ蕎麦、うめえ」
「すんげぇぇうまいっ!!!舌を包み込むような、まったりなめらかな感覚は、おそらく、チチタケの天然ゴム成分によるもの。。それが、独特の風味と相まって、もうこれは最強(語彙力)。。。松茸よりも高額で取引されるというのも判る。。」
というツイートでした。
ということで、締切から開放され、真っ先に向かったのが、オオムラサキがたむろっているであろう昆虫酒場でも、一刻も早い草取りが必要な田んぼでもなく、裏山でした。
このところ、夕方になると雷を伴った雨が降っていたので、今年の夏きのこは豊作のようでした。
タマゴタケは、遠くからでも目立ちます。裏山には、まんべんなく点々と発生してくれていました。
そして秘密の場所を何箇所か、周遊。
しばらく来なかったので、地形が変わってしまっていたり、倒木で林道が通行止めになってしまっていたりしました。
巨大なイグチ系キノコ(イロガワリか?)もあったけれども、管腔はキノコバエの巣窟になっていたので諦めました。
こんなのもあったけれども、特殊なキノコのアルカロイドを使わなくても日々、十分に幸せだし、ヒトの脳の構造を考えれば、薬物を使えば簡単に変容できることはあたり前だし、そしてそれは怖いことでもあるので、酒は飲むけど、この手のものには手を出さないことにしています。
それからこんな感じのキノコもたくさん発生していました。
この手のキノコ、つまりは、タマゴ型のツボのある白いキノコには触らないようにしています。もし、これがドクツルタケやシロタマゴテングタケで、キノコ鍋に1本まみれてしまっていたら、一家全滅の可能性もあります。たった1本で成人男性を殺すだけの猛毒を蓄えているキノコはたくさんあるのです。
やっぱり、もう、ちょっと遅かったかなぁ……と思いつつ、それでも探索を続けていたら、見つかりました。
クルマが通れる立派な林道の脇で、ミズナラの大木の足元。以前はよく出ていた場所でした。
これがチチタケ。
もう、バグされてしまっているのではないかと、心配したのですが、この場所のチチタケにはちょうどいいタイミングのようです。
これだけ採れれば、美味しいチタケ蕎麦がいただけます。
ただし、乳がでればチチタケではありません。乳のでるキノコは案外、たくさんあります。疑わしきは食べず、がキノコ場合は正解です。似たキノコにドクササコというのがあって、食べてしまうとかなり悲惨なことになります。
さて、家に戻り、さっそく調理。
チチタケの断面から白い乳が出ているのが分かるでしょうか?
これが天然ゴムの成分であると同時に、独特の旨味&出汁成分をも含まれています。
ゴムの木から出る白い液と、アカハツでチタケ蕎麦を作れないのだろうか? などという妄想がよぎります。
キレイな状態で採集し、できれば水洗いなどせず(チチタケは手で触っただけでも乳は出てきてしまうので)、調理の直前に裂いて、乳をたくさん出しナスに滲み込ませます。
採れたてのチチタケでつくるチタケ蕎麦のポイントは、サラダオイル多めでナスにチチタケの旨味や出汁をいかに吸着させるかです(だと思います)。
いつもは、暖かいうどんでいただくことが多いのですが、裏山からツイートしてきた彼女も、つけ麺だったこともあり、今回は、1日、おいて炒めた具材を冷蔵庫で冷やした後、冷やし汁そばなどで、いただきました。
……。
うめえ。
(語彙不足、継続中)。
冷やした方が天然ゴムは硬化し、よりチチタケらしさが出るような気がしました。
うめー。
うめえ。
うめえー。
追記:
さらにチタケそば(うどん)に興味を持った方は、以下の記事をどうぞ。
さすがは標本さん! 研究熱心でとても参考になります。