結婚した当初は、ミソノの包丁がたったひとつだったのに、あれから30数年もたつと、包丁も数が増えてきます。
買ったのは、ミソノと、野良鍛冶・田むらさんが切れなくなったヤスリをひっぱたいてt作ってくれた「アジ切り」くらいで、他はほとんどがいただきものです(包丁は捨てにくいらしく、引っ越しの手伝いをしたりすると自然と集まってきます)。
数が増え、いままでのような平置きでの収納ではスペースを取ってしまうので、包丁を研いだついでに、包丁を収納するための包丁刺しを作ってみました。
刃先を硬いものになるべく当てないことが、刃を長持ちさせる秘訣のように思います。
材料はその辺にアルモンデ。
⇧(抗菌作用を期待して)杉の木っ端と、蕎麦屋のなかしまさんからいただいたゴムの薄板。
杉の木っ端は長さ12センチに切り揃え、ゴムは幅12.5ミリで都こんぶのように切りました。
これを、重ねてクランプし、ドリルで道穴を開けた後、コーススレッドを打ちます。
⇧横着してドリルであける道穴をあけずにコーススレッドをねじ込んだら、杉板は見事に割れました。コーススレッドの軸径よりも少し小さなキリで道穴をしっかり開けましょう。
で、完成。
汚れたら簡単に分解できるように、ふたつに分けて作りました。
⇧この刺さっている包丁が、結婚した時に悩みに悩み、迷いに迷って買ったミソノの包丁。一本しかないのだから使用頻度が高く錆びることはないだろうと、研ぎやすさ最優先でスウェーデン鋼の鉄の包丁を選んだのでした。片刃です。30年以上たって、だいぶ刃の幅が狭くなってきましたが、でも気を入れて研げば、よく切れます。
結婚した頃は錆びなどなかったコクヨの緑色の工具箱(産業用工具箱を台所のワークトップを載せる台に流用しています)の引き出しにこんな感じにセットしました。
⇧質実剛健、ガッシリした柄の「アジ切り」(奥から三本目)が、野良鍛冶・田むらの包丁です。
ありがたいことに刺し身包丁やパン切り包丁(イエローナイフではないのだけれど)などもいつしか集まってきました。ウチでは、猟師の方からいただいた鹿の解体なんかも、普通の包丁でやります(刃先に脂が固まるので、刃が鋭利であることより、刃物がたくさんあることの方が有利のように思うので)。
パン切り包丁はミツバチの巣のフタを切る時などにも使っています。
どうしても使わない包丁は、グラインダーで途中で切断し、スクレッパーに改造したり……。
いつの日か、自分で刃物を打ってみたい、などとも思っていて、温風の出ない壊れたヘアドライヤーや、古いオースチン・ヒーレー・スプライトの板バネなどもストックしてあったりもするのですが(古いクルマのものの方が歩留まりの悪い精錬をしているので鋼の質がいい、との噂を信じている)、そんなことができるのはいつの日になることやら。
立春を過ぎ、アオゲラが突付いたカエデの木から樹液がではじめたというのに、この冬完成させるはずだった農作業小屋もまだできていないし、今年の冬には必ず屋根をかけようと思っていた外台所もまだ手付かずのまま。自給知足などと言ってタルタル教を装いながらも、その実、やりたいことばかりがどんどん増えてしまいモアモア教にすっかりからめとられているのでした。