補修工事の途中で煙突が崩壊し、下敷きになって死んでしまったのではないか? と心配している人もいるかも知れないので「煙突ボックス補修1」の続きを紹介します。まだ、どうにか生きてます。
⇧なんだかブカブカする、ということで表面のサイディングを剥がしてみたら、構造用合板と主柱であるツーバイ材は溶けてなくなっていた……という煙突ボックスの補修作業の続編です。
キツツキがあけた無数の穴から雨水が侵入し、木材腐朽菌により材が醸されると同時にシロアリの餌食となり、なくなってしまったものと思われます。
⇧崩れて落ちてこないようにとりあえず単管パイプを添わせ、唯一残った石膏ボードの上に構造用合板を二重に貼って補強。二重であれば石膏ボード側からビスを打ったとき、コーススレッドの効きがいいのです。
⇧補強後、どこまでウエハースが続いているのか? サイディングを切り取って確認します。サイディングや屋根材は下から貼るのが基本なので、はがすときは本来は上からなのですが、足場を撤去してしまったので上からはがすことはできず、仕方なしにビスが打ってあるであろうところをカットして、下から強引に剥がしました。いろいろやってみたけど、金属サイディングのカットは、丸ノコにチップソーが一番いいようでした。とはいえ、4m以上の高さの脚立の上で、薄板とはいえ金属板を切るのはかなり厳しい作業でした。
⇧サイディングを1スパン、取り除いた状態。ようやくウエハースではないツーバイ材が現れました。もうこれ以上は届かないということもあり、ここまででどうにかすることにしました。
⇧一気に柱を入れ替えたいところなのですが、それをやると崩壊の危険性があり、傷んだ部分を少しずつ切り取っては健全な材と入れ替えるという方法で作業を進めます。13尺(4m)の脚立の上で……。
⇧全部壊して、ゼロから作ったほうが早いんじゃないだろうか? という思いと戦いながら、地道な作業が続きます。
⇧一気に削れないので少し削っては、新しい材と入れ替えます。ところによっては、見えなくなってしまうのがモッタイナイような複雑な寄木細工の壁になりました。
⇧ひとりで作業をしているので、助っ人はパンタジャッキ。強力な助っ人なのですが、相手がウエハースの場合は、力を込めるとドンドンめり込んでしまうのが難点。
⇧こんなクサビをたくさん作り、隙間にそれらを打ち込みながらの地道な作業。
⇧でも、手を動かしていれば少しずつは進みます。
⇧4mの脚立の頂上付近で、無我夢中でコーススレッドを水平打ちしていると、壁が自分から離れていくことがあります。壁は動かないわけで、動いているのは人間側。つまり脚立が倒れようとしているのでした。どうにか倒れずにすんだけど、かなり危ない瞬間でした。それ以降は面倒でも長めのコーススレッドを打つときにはなるべくした下穴を開けることにしました。
⇧石膏ボードに添わせて合板を2枚打ってしまっているので、壁の厚みの関係もあり、ツーバイフォー材を横にして貼り付けるようにして格子を重ねていく作戦にしました。素人ならではのちょっとヤリ過ぎの感があります。
⇧格子の中にはグラスウールを詰め、合板でフタをします。
⇧北側の壁の剛性が確保できたところで、西側にも取り組みました。
⇧こちらも土台から材の入れ替えが必要でした。
⇧床組の外側の2✕10材はほぼウエハースでした。
⇧内側の2✕10材にも菌は進行していましたがその部分はグラインダーでていねいに削り取ります。
⇧CCAの2✕10材がたまたまあったので、それを組み込みます。
⇧自分へのご褒美を兼ねて今回の工事用に買ってしまったマルチツールと呼ばれる電動工具。薄い歯が振動することで入隅部の切断が可能という製品。コードレスでもあり、なかなか画期的な道具でした。
⇧西側の壁は煙突ボックスメインテナンス用に扉をつけることにし、マグサを入れます。
⇧マグサが入ったところで内側の石膏ボードをマグサぎりぎりで切り抜くのですが、市販されているジグゾーの刃では石膏ボードに届きません。そこで……。
⇧金鋸の刃の端の部分を改造して長い刃を自作。手前はマキタ純正の刃。取付け部をマキタの刃に似た形状にグラインダーで削ってあげると、たいていのものを取り付けることができます。
⇧切り抜くことができました。ところで煙突ボックスのこの部分、奥のグレーの壁(ケイカル板)との間にスペースをつくって、そこにパッシブソーラー用のパイプを通していたのですが、この部分、人が入ることができず、掃除ができずに困っていました。しかもこの部分は薪ストーブのすぐ裏にあたるので綿ぼこりが貯まるとそれに火がついてしまう可能性があるのです。そのため薪ストーブ側にメインテナンスホール(白い部分)を作っていたのですが、そこからでは完璧な掃除は難しく……そんなわけで外から掃除ができる扉を作ることにしたのでした。
⇧西側の壁の上部。こちらは、石膏ボードに当板をしていないので、ツーバイフォー本来のやり方に近いかたちで補強することができました。
⇧グラスウールをぎっしり入れ、構造用合板でフタをします。
⇧やっとどうにか安心できるようなカタチになってきました。
⇧二度と木材が濡れることがないように、入念に透湿防水シートを貼ります。
⇧そしてその上から、サイディングを貼るための支えとなる1✕4材を貼りました。
サイディングを横張りして仕上げの予定なのですが、その場合、角の部分の雨仕舞をどうするか? 悩みどころだったのですが、ちょうどありがたいことに半端者の定尺サイディングがあるとのこと分けていただくことができ、入隅も出隅も1本ものでそれを縦張りすることができました。
⇧溝のあるサイディングを縦張りすることでラビリンス効果も期待できるのではないか? との思惑もあって下地を縦張りしてみました。でも貼ってみたら案外スマートで、もうこれで仕上げで良かったのではないかとも思ったのですが、1本もので取れるものの数が限られていたので、やはり地道にこの上に横張りすることにしました。
⇧いただいたサイディングはガルバリウムの薄板の下にウレタンが貼られているもので、ウレタンに切れ目を入れることで、入隅用は簡単に加工ができました。
⇧一方、出隅はこんな感じ。内側のウレタンを四角くそぎ取り曲げました。金属には弾性があるので、直角に曲げる場合は、一度直角以上に曲げる必要があり、そぎ取るウレタンの量も直角以上が必要。それに気がつくまでなかなかきれいに曲げられず、ちょっと苦労しました。
⇧メンテナンス用の扉の付く部分にはあらかじめ水切りを入れて起きます。
⇧一気に下張りを終えたいところだったのですが、半端なサイディング材がでたらそれらをパッチワークするようにして下張りすることでゴミも出ないので、下張りと仕上げばりを並行しながら作業することにしました。
⇧さすがに専用品。よくできています。上に重なる凹の奥にはパッキンが入っていたりします。
⇧サイディングの切断ですが、当初は木工用の使い古しチップソーを使っていたのですが、途中から、金属も切断可能というチップソーを購入。
⇧切れ味は劇的には変わらなかったのですが、付属品としてついてきたこのスポンジボールが逸品でした。写真の位置に取り付けることで、金属切り粉が顔めがけて飛んでこなくなります。
⇧朽ち木の寄木細工修復と比べると、サイディング貼りは捗るし楽しい作業でした。ただ問題は、すでに貼られているサイディングとの接続部分をどうするか。クランク型の水切りを挟み込むのが定石で、当初はそのつもりでいたのですが、すでに貼られている上のサイディングも、これから下から貼り上げるサイディングもウレタンの肉のあるものなので、このウレタン部分を削り取ることで上のサイディングの下に下からのサイディングを挟み込めるのではないかと試してみることにしました。
⇧結果、こんな感じで約10センチほど、入れ込むことができました。
⇧角の出隅の部分は、同質のサイディングをL形に曲げ、平ワッシャーとコーキング材を組み合わせ、コーススレッドで外側から取り付けました。コーススレッドの軸の部分にコーキング材を付け、ある程度のスピードでコーススレッドをねじ込むと遠心力でワッシャーの周囲をきれいにコーキングできます。
⇧メンテナンスホール用の扉も同質のサイディング材作りイリコになるようにしてはめ込みます。
⇧そして、ようやく完成!
サイディングも半端ものや誤発注品とのことでいただきものだし、合板と1✕4材以外は家にあった中古材や廃材なので、手間はかかったけれども、お金はあまりかからずにどうにかなりました。
今回の作業でしみじみ思ったのは、家は平屋に限る、ということ。特に自分でメインテナンスしようと思っている人は、平屋で屋根の傾斜もあまりきつくしないほうがいいように思います。
それと同時に思い出したのは、最近ときどき耳にするタワーマンションの雨漏りの話。外壁のコーキング剤が劣化したり、微振動で外壁に亀裂が入るなどしてタワーマンションでも雨漏りをする物件があったりするそうです。脚立はもちろん、足場も掛けられないだろうからタワーマンションの外壁補修とか、どうやるのだろう? ゴンドラ? 想像しただけでも身のすくむ思いなのでした。