もうすぐ2月の新月。2月の新月を過ぎた次の日から、森の木々たちは一気に水を吸い上げ始めるような感じがしています。カエデやクルミの木の幹をキツツキが叩き、小さな穴をあけるのですが、新月を過ぎたその翌日からその穴から樹液を流れ始めるのです。それを目当てにアオゲラのまわりにメジロが集まってきて、その姿がなんともかわいいのでした。そうそう今年はメイプルシロップの採取も試してみたいなぁ。
そんなわけで新月まであと数日、いつになく真剣に木を伐っています。
とはいえ、木はいつもどの木も簡単に倒すことができる、というわけではありません。
たとえば、このウワミズザクラ。
どう見ても画面左側に倒れたがっています。
でもこの木の倒れたがっている方角にはビニール車庫があって、その中には、いとしの淑女(フェアレディ)がひっそりと眠っていたりします。
↑雪の中でも静かにたたずむ淑女さま。そして、右後ろの黒い幹の木が今回伐るウワミズザクラ。
で、こんなときはどうするか? 一番いいのはフェアレディを移動させ、パイプ車庫もいったん片付けてしまうのが一番確実で間違いないのですが、わが家の淑女は、もう10年以上もお不動様なのです。
あるいは、高所伐採の達人であれば、伐る木をロープで確保しながら上から順番に刻んでいくなんてこともできるのでしょうが、若い頃ならいざしらず、体重80kgのいまとなっては木の上で自分の体を自分で確保することもままならない状況。なにか別の方法を考えなければなりません。
ユンボなどの重機で反対側に押しながら強引に伐る、という荒っぽい方法もあることはあるのですが、伐採を侮ってはいけません。以下の動画を見てからは、あまり荒っぽい方法はやりたくないな……という思いを強くしたのでした(ちょっと強烈なので気の弱い人は見ないほうがいいかも)。
TOP FAILS 🔥 KOMPILACJA NIEUDANYCH WYCINEK DRZEW Nikomu nie życzymy takich komplikacji D
そんなわけで今回は、木の様子を見定め、かなり慎重に伐りました。
まずは外側の枝をできるだけ高い位置で伐ることに。
木の上の方、たとえば全長の半分の高さの位置で伐ることができれば、そこが蝶つがいになって、ぶら下がるような形で周囲の影響を最小限に伐ることができます。
ただし、その場合、切られた木は蝶つがいの位置を起点に振り子のように振れて暴れる可能性があり、それによって脚立を倒されてしまった、人に体当りして来たりすることもあるので注意が必要です。
そこで一気に切り落とさず、人が木から降りた状態で折る方法を試してみました。
まずは切る位置よりもさらに上方にロープを掛けます。
こんな方法もあり、オススメですが、今回は小枝が多かったので12尺(3.6m)の脚立の上から長い竿を使ってロープを掛けました。できるだけ高い位置に掛けたほうが有利です。
赤い矢印の位置にあるのがロープ。
その後、倒す木の高さの半分くらいのところにある幹に切り込みを入れます。
↑刃を挟まれないように、赤の矢印、青の矢印の順で切り込みを入れます。ただし青は切り過ぎず、幹が確保された状態を保っておくことが大切。
その後、人は木の上から退避し、下からロープを引っ張って切込みを入れた部分で幹を折る、という作戦です。
脚立から人が降りてからロープを力いっぱい引っ張り、幹を折ります。
大成功!
日々の絶え間ない努力で、体重を80kgに増やしておいた甲斐がありました。
↑左側に張り出していた枝を落とすことができたのでだいぶスッキリ。
でもまだ、重心は左側に傾いています。
でもまあ、これくらいだったらロープで引っ張れば、反対側に倒せるのではないかと、とりあえずロープを掛けて引いてみることにしました。この場合も、できるだけ上部にロープをかけることと有利に引っ張れます。
↑いつもはクルマで引っ張るのですが、ちょうどいいところにハリエンジュの木がポツンと1本生えていたのでその木に手伝ってもらうことにしました。
↑伐る木に受け口を切ったあと、980円のハンドウインチを使って引っ張ります。
ハンドウインチは引きしろが少ないので、できるだけ張った状態でセットする必要があり、そうしたとき、任意の位置でフックを掛けられるチェーン(金属の鎖)を併用すると便利です。
↑受け口を切った後、追い口を少し切ってはレバーで引き、左側に倒れていた木を少しずつ起こしていきます。
うまく倒れてくれました。ほっ。
冬の新月近くに倒した桜の木は、ナメコの菌を売ったり、枝でハンガーや棚受けなどを作ったり、薄く輪切りにしてしてボタンや鍋敷きを作ったりして、大切に使う予定です。
そしてこの場所には、単管パイプを使った廃材置き場を作る予定。廃材を上手に使うには、それらを使いやすいように整理して収納できる廃材棚が必要、ということにいまさらながら気がついたのでした。