枯れ枝や廃材を燃料に、ガスや電気がなくても、あっという間にお湯が沸かせて、ご飯も15分くらいで炊くことができるという、簡単に作れるけど、意外と性能のいい、簡易かまどの作り方を紹介します。
夜、屋外で暖を取る場合にも火の扱いが容易なので適していると思います(消すときはレンガから降ろし、上を鉄板などで密閉します)。
材料としては、空き缶が全般的に使えます。
↑写真右から、ペール缶、4リットルのオイル缶、一斗缶。
今回は一斗缶を使った作り方を紹介しますが、ペール缶や4リットルオイル缶、あるいはもっと小型のトマト缶などでも作り方はほぼ同じです。
■一斗缶かまどの作り方■
密閉型の一斗缶の場合は、上面のフタの部分をスクレッパーやマイナスドライバー+石またはトンカチ、あるいは、缶切りなどで切り取ります。
内部が天カスなどで汚れている場合は、古新聞などで拭き取ります。
このとき油を拭いた新聞紙も捨てずにとっておきましょう。
↑一斗缶をひっくり返し「プラスドライバーと石ころ」などを使って、底の部分に穴を開けます。
インパクトドライバー+ドリルなどでもいいですが、プラスドライバー+大きめの石の方が仕事が早いです。トンカチがあればなおさらいいです。
↑だいたいこんな感じで、このくらい穴を開けます。
穴は真ん中あたりに集中させ、周囲はかなり疎でOKです。全体に密にあけると火力はかなり強くなるけれども、火持ちが悪くなります。
で、一斗缶の加工はこれで完成。
↑完成した一斗缶の下にレンガ、あるいはコンクリート片、あるいは石ころなどを3つ置いて一斗缶を少し浮かせます。これで完成。浮かせるためのスペーサーは、4つでもいいけど、下がデコボコな場合は3つの方が安定します。
仕組みとしては、燃焼によって上昇気流を起こし、それによって底から空気を取り入れます。缶の側面に穴をあけるのが一般的ですが、それだと、燃焼温度が下がってしまい燃費が悪くなります。ロケットストーブ(キッチンロケット)の原理です。
燃えにくい場合は、灰などで底の吸入空気穴が塞がれていないか、缶の上部とナベとの間に上昇気流が十分に抜けるだけのクリアランスがあるか? を確認してください。
■火のつけ方■
最初に燃料となる木を詰め、その後、上から火をつけると煙も少なく、燃費もいいのですが、それは上級者向きなので、火がつきにくい場合、以下のようにしてみてください。
最初から燃料を詰め込み過ぎないこと。
↑丸めてしわくちゃにした新聞紙を一度広げ、再び軽く丸めて火をつけます。そしてそれを一斗缶の中に投げ込みます。新聞紙をたくさん入れ過ぎると灰が多くなり、底の穴がつまり気味になるので注意してください。
また、このとき、さきほど使った植物油の染みこんだ新聞紙を使うと、新聞紙の火持ちが良くなります。植物油が余分にあれば少し垂らしてしみ込ませてから火をつけると有利です。灯油やエンジンオイルの残りなどでもいいのですが、化石燃料の場合、石油ストーブのようなイヤな臭がしてしまいます。
新聞紙の他、杉の枯れ葉なども油分が多く、スターターに適しています。
次に、割り箸と同等、あるいはそれよりも細いくらいの木の枝(枯れてていてよく乾燥したもの)=「焚きつけ」を燃えている新聞紙の上に投げ込みます。
焚きつけは、地面に落ちている枝よりも、立ち枯れた木や生きている木の下枝で何年か前に枯れてしまったような枝がよく乾燥していてよく燃えます。
濡れた枝を入れると燃焼温度が下がってしまい火力が衰えてしまいます。逆に、火の勢いが強すぎるような場合は、濡らした枝を投入します。
こうしたとき、トングがあると便利ですが、投げ込んでもOKです。
あるいは時間的な余裕があれば、トングも比較的簡単に作れます。
写真はビニールハウス用のパイプを使って作ったトング。
↑石ころやハンマーでパイプを適当につぶし、適当に曲げると、市販品以上にかなり丈夫なトングが作れます。
細い枝を少しずつ投げ込み、次第に太い枝にしますが、ご飯を炊く、というときには太い枝や廃材などを入れすぎてしまうと火力が強すぎて、焦げてしまうので、様子を見ながら少しずつ燃料をスキマからくべる、というのが正解です。
燃料を追加する際は、一斗缶とナベとのスキマから枝などを入れます。枝は横にする必要はなく、立ったままの状態でもOKです。
↑ちょっとの燃料でも還元気味に燃えてくれるので、燃料が木炭化し、熱が逃げにくいので火持ちが良く、T字型のロケットストーブよりも火力の調整が容易で、材料も一斗缶が1個あれば作れる、という手軽さが特長です。
↑お鍋などをかける場合には、五徳などを使って一斗缶の上面から少し浮かせた状態にセットしてください(上面をふさぎすぎるときれいに燃焼しません)。五徳がない場合は鉄のアングル材、角パイプなどでもOKです。
また、ナベがない場合には、(食用油の入っていた)一斗缶などをナベとして使用することもできます。熱いお湯をしぼったホットタオルで身体を拭くだけでも、意外と幸せな気持ちになれます。インドの砂漠地方の宿では、一斗缶で沸かした熱いお湯が部屋に届けられ、それがホットシャワーの代用でとても快適でした。
↑上に木でフタをして(もちろんスチールのフタでもOK)、適当なオモシを乗せれば、これでご飯を炊くこともできます。5〜6分で沸騰するので、それから7〜10分くらい炊き、その後は火から降ろして、15分くらい蒸らします。でも、フタ付きのお鍋やダッヂオーブン、土鍋の方が美味しく炊けます。
また、お湯を沸かしたり、水を運んだりする一斗缶は、写真のようにカットすると持ち運びに便利です。
一斗缶ではなく、ペール缶を使ってカマドを作る場合も、同様です。
4リットルのオイル缶の場合は、こんな風に切って、底部に吸入空気口の穴をあけます。
↑この4リットルオイル缶を横にして使う簡易コンロ、ちょっとお湯を沸かしたり、お鍋や飯盒でちょっとご飯を炊く、というとき、案外、便利だったしします。
また一斗缶やオイル缶の他、コンクリートブロックやU字溝もカマドとして使い勝手のいい材料です。
↑これなら大鍋も載せられます。もう2つブロックを足すと、200リットルのドラム缶を載せることができて、中に敷くスノコを作ることができれば、お風呂に入れたりもします(お湯が入っていれば、ドラム缶のフチはそれほどは熱くなりません)。
追記:ここでは、火のつけやすさ優先で書いたので、火の付きやすいものでまず火をつけて、徐々に太い材料を入れていく方法を紹介していますが、上級者や慣れてきたら、下に太めの薪、だんだん細くしていて一番上に燃えやすい小枝やスターターという燃やし方の方が、燃焼部の温度が稼げて燃費がよく、煙が出にくいので上級者にはオススメです。楽しいのでキャンプなどでは違いをぜひ試してみてください。