Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


Walbro(ワルボロ)のロータリーバルブキャブレター、素晴らしい設計です。

法面(のりめん)をクモのように這いつくばりながら土手草を粉砕しながら刈ってくれるスパイダーモア、素晴らしいのです。
ところがこのところ、頼りのスパイダーモアの調子がすぐれず、困っていたのでした。

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負荷がかかるとエンジンが吹けなくなり、エンストしてしまうという症状。
走行(自走)は問題ないのに、刈刃を回転させると止まってしまうのでこれは、刈刃のシャフトに何か巻き付いてしまっているに違いないと苦労して刈刃のディスクを外したりしたのですが改善されず、つぎに刈刃のクラッチを疑ってみたり……、でも調子は相変わらず。
そのうちフルスロットルにすると、吹き上がれずにエンジンがストールしてしまうという症状に変わったのでした。
こうなるとどうもキャブがオカシイ気がしてきたのでした。

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⇧これがスパイダーモアに付いている純正キャブ。Walbro(「ワルボロ」と言われることが多いけれども本家の日本語表記は「ウォルブロー」)のWYJタイプと呼ばれる、ロータリーバルブタイプのダイヤフラムキャブレターなのでした。
可変ベンチュリー(空気の通路を細くすることで流速を稼ぐタイプ)ということではSUやCVキャブと似ているのですが、SUやCVがピストンバルブが上下することでベンチュリーのサイズを変えるのに対して、ロータリーバルブタイプの場合はピストンバルブが回転することでベンチュリーサイズを変更するというこちらも画期的な可変ベンチュリー機構なのでした。

そしてこの手のキャブ、いまやamazonでたくさん販売されていて翌日には届いてしまうのです。かつてこの手の部品を、部品屋さん経由で調達していていた頃は、取り寄せまで1週間近くかかった上、部品屋さんまで取りに行かないといけなかったし(往復30㎞以上ある)、単価の安い部品の注文の場合はあまりいい顔をされませんでした。おかげで「そのあたりにアルモンデ」なんとかするという流用ノウハウが身についたというありがたい面もあったのですが。
ところがいまや、この手のキャブ、新品まるごとがamazonだと送料込みで1000円台というベラボーな値段。ひと昔前のダイヤフラム単体やガスケットの値段なのでした。
この値段で販売できるということは、おそらくワルボロ純正ではなく社外品と呼ばれる互換品(模造品)の可能性も高く、そんなわけで良心はちょっと痛むけど、ゴメンねぇ、とつぶやきながらamazonでポチッ。
これまでの経験から、この手のキャブは、取り付けボルトのピッチ(たいていこの手は31ミリ)とポートのボアサイズ(10ミリと15ミリがよくあるサイズ)が合い、チョークの構造が同じであればなんとかなるのでした。
純正キャブのボアは12ミリだったのですが、amazonには10ミリと15ミリしかなく、仕方なしに10ミリを注文。これもこれまでの経験からすると、ボアサイズは多少違っていても案外、どうにかなるものなのでした。

そしてこれが送られてきた新品のキャブ。給油やリターンの配管、燃料フィルターやガスケット、それにスペアのプライミングポンプまでついて送料込みで1850円。

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チョークレバーの色も赤で同じだし、これでバッチり、と思ったのですが、同じように見えるけれども決定的な違いがあったのでした。
ひとつ上の純正キャブの写真とよく見比べてみて下さい。
ライミングポンプやチョークバルブなどの位置が逆、つまりは左右の部品が逆なのでした。

万事休す、かと思ったのですが、ひょっとしてもしかして、チョークレバー側の部品をそっくりまるごと上下を入れ替えて組み直したらいけるじゃなかろうか?
とはいえ、このキャブはロータリーバルブと呼ばれるタイプで、チョークレバーにバルブ(SUキャブで言うところのピストンバルブ)がくっついているはずです。
そんなうまい具合にはいかんよなぁ、と思いつつも、とりあえずチョーク側の部品を外してみることに。
そしたら、こんな感じでロータリーバルブごと抜け出てきたのでした。

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SUキャブのニードルジェットよりもより複雑で、ロータリーバルブの中のセンターにある細い真鍮の筒の中にニードルが入っていてそれを横にずらしてクリアランスを広げることで始動時のチョークの役割を担わせているという構造。
はたしてこんな複雑なものを天地をひっくり返して組み付けできるものなのか? 試してみたら、スッポリ! 天地逆でも収まるではないですか!

これがロータリーバルブを上下逆さまに組み替えた状態のキャブです。

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はたしてこれでエンジンは掛かってしまったりしてしまうのか?
キャブを組み込み、エアクリーナーなども取り付け、プライミングポンプをペコペコし、祈るようにしてスターターロープを引いてみたところ、なんとあっさり1発目でエンジンは掛かってしまったのでした。
しかもスロットルを全開にしても、あるいは刈刃を回転させてもエンジンはストールすることなく、スロットルレスポンスも上々。試し刈りでも調子よく刈ってくれます。
まさか、スロットルレバーやロータリーバルブなどを天地ひっくり返して取り付けることができるとは!
ワルボロが設計した汎用キャブの基本設計の素晴らしさに感動させられたのでした。

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⇧気がつくと、日はドップリと暮れてしまっていたけれど、調子を取りもどしてくれたスパイダーモア。