今回のろくでなし子さんの展示が「女性向けの」アダルトショップで行われていたということを伝えるメディアは思いのほか少ないので驚いています。
女性器がわいせつ、というのは、(女性器に性的な興奮を感じる)男の論理なのではないでしょうか。女性の体の一部のことを男性が勝手にわいせつと決めつけているわけです。多くの女性は銭湯の女湯でわいせつ感を感じるようなことはないと思うのです。ということで、今回の裁判官は男性でなかった方が良かったようにも思います。
「何がわいせつか?」ということの判断はとても難しい。それよりもまずは、人によってはわいせつかもしれない、というモノを「見たくない、という人のことを守ること」の方が大切のように思います。
たとえば、満員電車の吊り広告でどうしようもないつまらない週刊誌の見出しを見せられていたりします。身動きできない状況で見せられるのですから、これはかなり深刻な状況。知らずのうちに心の奥底にダメージを受けていたりします。
これはちょっと違う例ですが、2014年12月23日のマイクロソフトのホームサイトの主要ニュースの見出し一覧。画像をクリックすると大きくなります。
中国、韓国、北朝鮮の悪口が7割、ほかも国民を分断するようなニュースで、「中国の人たちはゴミの分別が苦手」などというどうでもいいニュースは伝えていても、「沖縄県議会が辺野古移設断念を求める決議を可決した」ということは報じられていません。中国や韓国、それに北朝鮮にしても、こんなに毎日毎日、外国の悪口を報じている国はありません。いまの日本は異常なように思います。
でもまあ、MSNのニュースはまだいいのです。見たくない人は見なければすむ問題ですから。一方、テレビのニュースや週刊誌の吊り広告は、積極的に見ようとしなくても、目に止まってしまいます。こんな情報の流し方の方がよっぽども問題は大きいように思うのです。
ということで、わいせつかもしれないモノに関しても「見たくない人が見なくてすむ自由」と、「見たいと思う人が見ることのできる自由」を両立させればいいだけのことで、それは思いのほか、簡単。見たい人が見ることのできる場所を限定すればいいだけのことです。そういう意味では今回のろくでなし子さんのやりかたは公序に則したもので、少なくともこんなに長期にわたって留置するほどのことではなかったように思います。
彼女は自分の体の一部がわいせつとされてしまうことに対しての問題提起をしているわけで、逃亡の恐れも証拠隠滅の恐れもない彼女を三週間も留置拘束した検察や裁判官のほうがよっぽども、いかがわしくてわいせつで、えげつない。
証拠隠滅ということでいえば、贈賄の記録を消すために電動ドリルでパソコンのハードディスクを壊したことを取り沙汰された国会議員のほうが、よっぽども「ろくでなし」のように思えてしまいます。
たとえ悪行がバレても「そうか!ドリルでハードディスクを壊せばいいのか!」と、真に受けてしまいそうな国会議員もこのところチラホラ見受けられ、こんなヒドイことをしても罪に問われない、ということが前例となれば、それに乗ずる人も多そうで、ますます国会議員の質を落としてしまうようにも思います。
サザンオールスターズのコンサートに行っておちょくられているヒマがあったら、沖縄県民が選んだ新しい知事が、首相に会いにわざわざ東京までやってきたのだから、せめて直接会ってイヤホンなしで意見交換くらいしろよなぁ。