ネット上、マイクロソフトのニュースページに「NHK会長が偏向報道を是正する考えというニュース」がトップニュースとして流れています。
政府におもねった情報操作&偏向報道の多さに自主退職者が増え、NHK会長もついに決断したのか? と思ったら、驚いたことに、彼らが考えている「偏向」の方向はまったく逆でした。
「NHKは脱原発&反原発報道に偏っている」というのが、政財界からの批判だそうです。さらには、秘密保全法が成立しそうだと言うこの時期に、自身の保身のためにNHK会長が政財界にこびておもねってしまったようです。
「秘密保全法」が施行されれば、原発はテロの危険をはらむとして、秘密指定されることが予想されます。NHKを大本営に仕立て、戦前の治安維持法に代わるものとして秘密保全法を作る。安倍首相の目指す原発事故の完全コントロールというのは、このことだったのかもしれません。
■秘密保全法に関しての元東芝技術者・後藤政志氏の見方■を紹介させていただきます。
東芝で原子炉を設計していた当時、原発の情報はできるだけ隠しました。
住民が中部電力に運転差し止めを求めた浜岡原発の訴訟では、裁判に出す文書で格納容器の寸法や圧力、温度の条件などの数値を墨塗りにした。
安全性について少しでも突っ込まれないように、企業秘密と称してなるべく伏せました。
本来、原子力の安全確保には、技術的な情報の共有が絶対条件です。しかし、今回の法案は情報開示を牽制(けんせい)し、伏せ字を合法化する。
原発は、法案で秘密指定される
「特定有害活動の防止」と
「テロ活動防止」の2分野に該当するでしょう。
テロの標的になるという口実で、出したくない情報を出さないと決めたら、どうしようもなくなる。
2年半前に起きた東京電力福島第一原発事故の翌日、炉心溶融が始まり深刻な事態に至る恐れがあることを記者会見で指摘しました。でも、東電が炉心溶融を公式に認めたのは2カ月余りたってからです。
秘密保護法がなくても、追い込まれるまで電力会社や国は事態を矮小(わいしょう)化しようとした。
その体質は変わっていない。
いまの内部通報制度は名ばかり。
現役の社員が告発しようとすればクビ覚悟でしたが、この法案が通れば懲役覚悟になる。
勇気ある発言にブレーキがかかるのは間違いありません。
(聞き手・川本裕司)朝日デジタルより
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ごとう・まさし 1949年生まれ。東芝で原子炉格納容器の設計を担当、2009年退社。明治大・芝浦工大非常勤講師(機械工学)。
写真は4万人が集まったという10月13日の国会前デモの様子(時事通信より)。