今年の秋から山中湖でタイニーハウス(Tiny House)のワークショップが行われていて、それがとても気になっていたのでした。
タイニーハウスというのは、TINY(=小さな)HOUSE(=家)。でもそれだけではなくて、小さな家である、ということはセルフビルドを行う上でも大切な要件であるし、そしてなにより身の丈にあった小さな家での暮らしは、地球に優しい暮らし方でもあります。
そんな「タイニーハウスとその周囲にある考え方」を学ぶワークショップが山中湖畔で行われていたのでした。その公開DAY、オープンハウスが21日にあり、おっかなびっくり天ぷら廃油のジープで行ってきました(エンジン載せ替え&SVOの仕様変更後、初の高速走行で、出口を塞がれた軽油用の純正機械式フィードポンプの残圧が高回転での連続走行でどうなるか?心配だったのですが、とりあえずは大丈夫なようでした)。
さて、タイニーハウス。これがとっても美しかった!
見てください、この壁材の有機的なライン。そしてシラタとアカミの対比。
↑杉の丸太を4分で挽いてもらい、それをそのまま耳を残した状態で使ったとのこと。こうしてみると、枝打ちされていないフシのある材の方が美しいラインを醸してくれることがわかります(暴れやすいという欠点はありそうだけれど……)。
↑屋根はこけら板張り。最初の全景の写真を見てみるとわかるのだけれど、このこけら板も一枚一枚に色の微妙な違いを出すために、処理が施されていたりします。外壁に塗布されたウッドロングエコとの組み合わせがまた絶妙。
↑そしてまた、このタイニーハウスは移動可能なシャーシーの上に作られたモバイルハウスでもあります。シャーシーはトレーラー用の汎用品ではなく、モバイルハウス用の専用品とのこと。しかもこの手のトレーラーシャーシーは車検を取るのに苦労するのですが、これは米国製で認可されたものであるため、トレーラーシャーシーとしての強度検討などの書類が不要とのこと。ランプ類はもちろん、リアにはナンバープレート枠までセットされていました。
↑そしてもう一台、注目されていたのがこちらの軽トラ。こちらも、ワークショップに参加された方たちが作られた作品とのことでした。
↑アーチ状の屋根に、丸い窓。そして生成り色のカーテン。まるで、現代の馬車なのです。
↑フロント側、キャビンの上にはオークションで手に入れたというアクリル製のドーム状の明かりとりが。
↑イギオヤジを連想させる錆びたトタンと、古材風木材とが美しい曲線で組み合わされていました。
↑そしてこの古材を使った板張りに見える側壁は、古材風のプリントの上にガラスクロスを貼り、その上からFRP用樹脂で固めたもの。軽自動車規格のモバイルの場合、屋根に軒を取ることができないので側面の防水性をどう処理するか?が課題のひとつなのですが、透明度の高いFRP樹脂をうまく使うことでクリアしているのでした。
↑そしてもうひとつ、今回のイベントでは音楽のライブやブースの出店があり、オープンハウスを盛り上げていたのですが、その質の高さも印象的でした。
↑こちらはiPhoneのサウンドを共鳴&振動させることで電気のアンプを使わずに音を増幅する装置。天然木を使った仕様で驚くくらいに澄んだ音を響かせていました。詳しくはこちらを。
↑金属部分にひとつひとつていねいに糸を巻き付けて作られていた瀟洒な髪留め。横浜からいらしたという素敵なご夫婦の出店でした。
↑ひとつの木をふたつのリング状に掘りとられたクサリ彫りのネックレス。そこに秘められた精神性のような美しさを感じてしまいました。身延で「yagate」というアトリエを営まれているそうです。
↑そして今回のタイニーハウスのお披露目が行われたのは、PICA山中湖ヴィレッヂというコテージの点在するリゾート施設。ハンモックcafeがあったり、焚き火が点在し、その周囲にさりげなく椅子が置かれていたりして、ゆったりとした時間を楽しめるスペースでした。
↑なかでも驚いたのは、コテージを囲むエリアの真ん中あたり、一等地とも言える位置に、堆肥を積むためのスペースが確保されていたこと。太陽のエネルギーと微生物の力を借りて、土からの栄養で育つ植物の葉や枝を、再び土に返すという循環の場であるコンポストをこうして目につきやすい位置に配置していることにこの施設のコンセプトを感じるとともに驚かされたのでした。
目の前に広がる大きな富士山と、ていねいで細やかな心遣いのイベント、夏と違って冬の山中湖は落ち着いた雰囲気があって、なかなか良かったなぁ。