Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


廃タイヤを使った土留めは露天積みのできるアースバッグ?

種モミを温湯消毒し、きのうから水に浸け始めました。
いよいよ始まりました。

実は農作業が始まる前、冬の内にやっておきたかったこと、というのがいくつかあったのですが、なかなか思うようには進みまないものです。
もっとも「土工事」の類は、土が凍っている間はできないので、できる期間は限られてくるのですが。

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「隣地との間の土留」もそのひとつ。
傾斜地であり、お隣は大型の農業機械で大規模に耕転を行うので、土がだんだん低い方に流れてしまっていたのでした。

当初、土留は、近くで田んぼの圃場整備が行われていて、そこで廃棄物として出る畦板をいただき、それを小端積みにして土留を行う予定でした。

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⇧これが、畦板(あぜいた=ケイハンブロック)の小端積み。

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⇧小端積みであれば、割れた畦畔ブロックも、有効に使うことが出来ます。延板同様、小端積みは十字目地をできるだけ作らないことがコツ。
昔、造園をやっていた頃、小端積みのロックガーデンが好きで、いろいろな材料を使って小端積みを行いました。丹波石のようなさまざまなサイズが手に入る素材の場合は大小、大きさに変化をつけるといい感じに仕上がります。
また、以前、廃アスファルトを使った小端積みなんかもやったことがありました。当初は良かったのですが、夏になって気温が上がったら、端部が垂れてきてしまって廃アスファルトの小端積みは失敗でした。
ということでできれば、畦畔ブロックの小端積みで行きたかったのですが、残念ながら思ったほどには材料が集めることが出来ず、途中で予定を変更しなければならなくなったのでした。
で、畦板に小端積みの代わりに当初考えていたのは、コンクリートガラの小端積みでした。これも面白そうとは思ったのですが、これも材料が簡単には手に入らず、悩んだ末に廃タイヤを小端積みにして土留にしてみることにしました。

廃タイヤであれば、手に入れるのは容易。しかもゴミとして捨てられているものを有効活用できる、という点にも興味がそそられたのでした。


ところで廃タイヤの小端積みは、タオス(北米)のEarthshipなどでも行われていて、使えるという実績はあります。でも、写真では見たことがあったんですが、自分でやってみるのは初めて。試行錯誤しながらの施工になりました。

まず最初やったのは、この方法。タイヤの中に土を入れるのが難しそうなので、タイヤウォール部分(タイヤの側面)を切りとり、土を入れやすく加工してから積んでみました。
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大きめのカッターを使い、なんどがなぞるようにして切り込みを入れていくとタイヤの側面は(接地面と異なり金属ワイヤーなどが入っていないので)比較的簡単に切り取ることが出来ます。コツはカッターの刃が挟まれないように、切断面を広げながら、そして刃を斜めにスライドさせながら切ること。たくさん切ってみると、同じサイズのタイヤでもメーカーによって、ゴムの厚みがかなり違うなどがの発見がありました。

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ただ、このやりかた、土は入れやすいのですが、タイヤの剛性は損なわれてしまいます。

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⇧特に直射日光を浴び、温度が上がるとゴムはダレてきてこんな感じになってしまいました。ただし、タイヤウォールを切って、廃タイヤを利用する方法は他にもいろいろあるので、機会があったら別に紹介したいと思います。

とりあえず今回は作戦変更。タイヤの側面を切り取らなくても土を入れやすい扁平率の低いタイヤをなるべく集め、側面は切らずに積んでみることにしました。
するとこれがなかなかいい感じ。必ずしも扁平タイヤにこだわる必要もなく、土留めに使えそうなので、少し詳しく紹介したいと思います。

■一段目のタイヤの設置■
土を掘って、まず一段目のタイヤをセットします。

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⇧このときタイヤが接地する地面は地平線に水平ではなく、土手側に傾斜させるといいようです。

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⇧こんな感じ。

タイヤをセットするスペースができたら、そこにタイヤを置きます。隣のタイヤと同じサイズのタイヤがベターですが、なかなかいつもそういうわけにはいかないので、そのあたりは土を持ったり掘ったりして調整しました。

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■タイヤに土を入れます■
土はいっぺんに全量入れるよりも、一度目は軽く7分目くらいまでにして、その状態で一度踏み固めるというのが良さそうでした。

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⇧最初はこのくらい土を入れます。

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⇧そして、タイヤの中に長靴を突っ込んでタイヤ内側を中心に踏み固めます。

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⇧しっかり踏み固めたら、さらにスコップ2~3杯、土を入れます。そして踏み固めます。

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⇧最初のときのように踏み固めることはできないので、片側の長靴をタイヤ内に突っ込み、タイヤウォールを左足で上に持ち上げた状態にして、右足の長靴でトーキックをするようにしてタイヤ内に土を押し込め突き固めます。長靴でのトーキックが最大のポイントかなぁ。ハンマーを使ったりスコップやクワなどいろいろな方法でやってみたのですが、長靴でトーキックが一番いい感じでした。慣れてくるとかなりしっかりタイヤ内に土を入れることが出来ます。また、必ずしも扁平タイヤである必要もなさそうです。

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⇧土をさらに入れ、最後もトーキック。手で入れたりもしましたがトーキックが一番のようでした。

■二段目を重ねる■
次に二段目のタイヤを重ねます。半分ずつ重なり合うように交互に組みます。しかしそうなると下の写真のように穴ができます。
この穴に土を注ぎ込み、下から埋めてしまう方法もあるのですが、それだと下の土がなくなると、タイヤ内の土も穴から流れ出てしまいそうので、この穴はコンクリート片で塞ぐことにしました。

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とはいっても、こんな感じ。ただ穴の上にコンクリート片を置くだけ。かなりいい加減です。

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⇧写真左側は穴を塞ぐためのコンクリート片、そして右側はタイヤがずれないようにコンクリート片をタテに挿すようにしてみました。

145~165くらいの幅のタイヤを積んだので、2段で30センチくらいの土留になります。
今回は2段でしたが、土を詰めたタイヤは案外剛性があり重いのとゴムのおかげでズレにくく、もう少し積み上げてもいけそうです。
ただし高く積む場合は、ズレて崩れないように鉄筋を入れたコンクリートを併用したり、単管パイプを刺したりすると良さそうです。
廃タイヤ積みのいいところは、雨にぬれても大丈夫なところで、防水性のあるアースバッグとも言えそうな感じで、もっと高く積んでみたくなりました。

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こんな感じで、矢羽根積みする方法もありそうです。

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ただ、見栄えがあまり良くないのが欠点か? 
今回は仕上げとして、下段のタイヤの側面が見えるスペースには植物を植えてみることにしました。

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⇧ここに植えたのはカモミールツルニチニチソウやアイビーなどのつる植物も良さそうです。

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⇧寒い時、体を温めるにはちょうどいい肉体労働。ヒマを見つけては、こんな感じで作業を進めています。土も大量に必要で、重労働ではありますが、成果が目に見える建設的な作業なので楽しい作業だったりもします。

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⇧土留が必要な総距離は約50m。まだあと残り半分くらいあるのに、近所のタイヤ屋さんの廃タイヤはなくなってしまいました(全部で200個くらいのタイヤが必要そう…)。
ということで、お近くの方で、12インチ80~14インチ55くらいの軽または小型車用廃タイヤ(ホイールなし)をお持ちで処分にお困りの方、無料で引き取らせていただきます(タイヤショップなどにお願いすると処分代として250円~500円くらいかかるそうです)。同時に、(2面の水平がでている)コンクリートガラ(畦板のように薄くなくても可)も募集中です。よろしくお願いしまーす。

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きのこ(エノキ、ヒラタケ、ナメコなど)の短木(原木)栽培の備忘録

ソメイヨシノが咲く頃になると、菌類も活動を始め、空気中を漂う菌類の数が増えてくるそうです。
自然状態に近い、きのこの原木栽培では、他の菌たちが活動を始める前に植菌を終え、ほだ木の中にきのこの菌を蔓延させておくと、他の菌に侵されにくいなどとも言われています。

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でもいろいろとノロマな我が家、本当はサクラが咲き始める少し前に植菌作業を終えていたほうがいいのに、隣町の神代桜はすでに満開、とのこと。
さらには、手に入れていたオガ菌からエノキタケがこんなに大きくでてきてしまい、さすがにこれはまずいだろう、ということで慌てて植菌作業を始めたのでした。

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⇧タネ菌であるオガ菌のボトルのフタをこじ開け、発生してしまったエノキタケ。ありがたくお味噌汁でいただきました。

シイタケなどの原木の長木栽培の方法は、ネットでも多く紹介されているのですが、ナメコやエノキ、ヒラタケなどの原木短木栽培の方法は、ネットにも意外とないみたいなので備忘録を兼ねて紹介してみようと思います(先達のみなさん、もっとこうした方がいいよ、というのがあったらぜひ教えてください)。

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⇧原木の短木栽培は、米ぬか、チェーンソーチップなどをまぜたオガ菌を原木でサンドイッチして菌を原木に繁殖させる方法です。特長としてはコマ菌などよりも繁殖が早く、うまくすると植菌した年の秋から収穫可能だったりしますが、合うキノコと合わないキノコもあったりします。

■原木の玉切り■
まずはそのキノコにあった樹種の原木を15センチくらいの長さに玉切りにします。今回は、ヒラタケはオニグルミ、ナメコはウワミズザクラ、エノキタケはエノキとケヤキクルミに植菌しました。

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⇧輪切りにした後でも合わせ目がわかるように玉切り前にマーキングをしておきます。

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⇧シートの上で玉切りし、チェーンソーチップを回収します。タネ菌の3倍から4倍のチップが必要になります。

■サンドイッチ用オガ菌づくり■
短木栽培では、オガ菌をベースに作ったサンドイッチ用の培養オガを短木でサンドイッチします。まずはそのための培養オガづくり。

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⇧ポットの口をカッターで切って、タネ菌を清潔なトレイにあけます。

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⇧サンドイッチ用のオガ菌は、タネ菌1:米ぬか2:玉切りした樹種のチップソーチップ3(か4)の割り合いで混合したものを使用します。チェーンソーチップの量はヒラタケは繁殖力が強いので4,エノキやナメコは3がいいと言われています。

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⇧混ざったら、握って水が少し滴るくらいまで、消毒されていない水を加えます。

■菌の接種■

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⇧玉切りにした短木の合わせ目に、周囲を盛り上げ(10ミリくらい)、真ん中を少し凹ませた(5ミリくらい)状態に盛り付けます。その後、玉切りの際にマーキングした合わせ目をあわせ、体重をかけてふたつの短木を密着させます。

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⇧その後、サンドイッチしたオガ菌の部分にラップを巻きます。これをやるようになってから、活着率があがったように思います。

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⇧巻きつけるラップは食品用のラップでもいいと思うのですが、我が家では荷物に巻かれてきた梱包用のラップを段ボールに巻き取っておき、それを適当な幅でダンボールごと切って使っています。

■仮伏せ■
本伏せする前に、ほだ木内に菌を蔓延させるため仮伏せという作業を行います。

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⇧できあがった2個1ペアの短木を常緑樹の下に並べます。

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⇧しっかり冠水した後、湿度を保つためシートで覆います。活着するまで、ときどき冠水して湿度を保ちます。活着すると上下の短木は菌で接着され、上の木を持っても下の木は落ちなかったりします。ウチでは梅雨前まで仮伏せしますが、温度が上がりすぎないように注意が必要で、暖かくなったらシートではなく、葉付きのヒノキの枝などで覆うようにしています。


●ついでにオガ菌の駒打ちに関しての余談●
我が家も当初は、ホームセンターなどから種駒(たねこま)を買ってきて打っていたのですが、オガ菌の方が活着が早く、収穫までの時期も早いので、穴をあけて打つ場合もオガ菌を使っています。

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⇧菌打ち棒というのがあって、大量にやる場合はこれがあると便利。

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⇧棒の先端にオガ菌を詰め、

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⇧棒の上のノッチを押すとオガ菌を穴の中に注入することができます。なんかいい感じなのです。

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⇧でも、こんな感じで、オガ菌を指先で詰めてもOK。

で、その後、普通は封蝋をするのですが、我が家のように野生動物が多いところでは、封蝋は動物や鳥たちの好物で、これがあるとほだ木を突かれ、なぜか穴の中身まで食べられてしまったりすることが多いのです。
ところが、成型菌と呼ばれる発泡スチロールでフタをするタイプのコマ菌を使うと、発泡スチロールは嫌いと見えて動物や鳥にフタを食べられてしまう問題を防ぐことができるのです。

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⇧で、それを真似ています。厚み3~4ミリくらいの発泡スチロールの板を、穴径よりも少し大きめのポンチで抜いてフタを作り、そのフタを使うようになってから、発生も早いし、フタを食べられることもなくなりました。キノコは最初、穴の部分からでてくるので発泡スチロールのフタの回収もそれほど大変ではありません(うまくすると集めてとっておけば再使用できるかも?)。

 やっと、どうにか終了。

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2日目、あたりは暗くなってしまいましたが、どうにか短木栽培の原木たちの仮伏せをほぼ終了。あとは美味しいキノコの発生を待つだけ?
うまくすると秋には、こんな感じになります。
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100円ショップの材料で作れる、それでいて案外、具合のいいコーヒー豆焙煎器の作り方。

きのうは雨、そしてきょうは雪だったので、久しぶりの骨休み、でした。
そんなわけで外の雪を見ながら、コーヒーをいただきました。

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市販品も含めいくつか試してみたのですが、コーヒー豆の焙煎は、いま、こんな組合せに落ち着いています。

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以前にもこれに似た組合せを紹介したことがあったかも知れません。以前のものとの違いは、以前はザルを2つ組合せたものだったのに対し、最新型はザルひとつ(上側)と、下側はザルと同じ直径のステンレスのボールの組合せになっています。

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⇧ステンレスのボールは100円ショップで購入。でも、100円ではなく150円でした。
あとは以前から使っていたザルと、文房具用のクリップ、それにロッキングプライヤーです。ウォーターポンププライヤーなどでも良さそうですが、手を離した状態でも固定できるロッキングプライヤーの方が、ザルトボールがズレにくく、扱いやすいように思います(これも百均で売っています、でも、300円くらいだったかなぁ)。

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⇧事務用クリップはボールとザルを止めるため、こんな風に使います。滑りやすい場合は、プライヤーでフチの形を修正します。「コ」の字型の針金はたまたまこのザルについていただけで特に必要はありません。

熱源は、薪ストーブの中の熾(おき)。薪ストーブを炊かない夏は、外でカマドやぬかくどなどを熱源として焙煎します。もちろんガスコンロでもOKですが、たき火の方が楽しいのでオススメです。

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⇧以前のように下側もザルだと、直火(炎のある状態)で使えないのと、熾(おき)であっても焦げ付きやすかったのですが、下側がステンのボールであれば、直火での焙煎も可能、しかも常に持って揺すっている必要はなく火の上に置いておくことができます。
熾の上に焙煎器を載せ、その後20分ほど、10秒に1回くらいの割り合いで、焙煎器の中の豆をひっくり返します。フライパンでチャーハンをひっくり返す容量で、手前から億に鍋肌に沿ってコーヒー豆をスライドさせひっくり返します。1回で天地がひっくり返るわけですが、半回転を3回やるといい感じ。
そして、この20分が、ゆとりのある幸せな時間になります。
球形に近いから豆をひっくり返しやすいのと、上側がザルなので中身の色の具合を常時、見ながら焙煎できるのが特長で、使いやすく、失敗も少なくおいしく焙煎できるように思います。

 いい色になったら、火からおろし、大きなザルに開けて、豆を空中に放り出すようにして表面の熱をさまします。お蕎麦を茹でるときの「びっくり水」の要領で、豆の中側をそれまでの予熱で加熱する上でも表面を急冷します。このときはできれば二人で作業できると手際く冷やせるのでオススメです。ひとりがウチワで風を送り、もうひとりはザルの上でコーヒー豆を踊らせます。
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焙煎を行う場合、香ばしい匂いの広葉樹のオキであること。ただ、サクラだとちょっと匂いが強いので、コナラやクルミ、それにハゼルことがあるけどクリがオススメかなぁ。樹種によって焙煎したコーヒーの香りが少し違ってくるのもこのやり方のいいところ。
それと同時に、焙煎後すぐにコーヒー豆の表面温度を下げること……、これらが、コーヒー豆を美味しく焙煎する際の秘訣かもしれません。

 

今回は、ハンノキの熾と豆はパプア・ニューギニアの豆でした。
こんな感じ、いい感じに焙煎することが出来ました。

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焙煎した豆の中のガスが抜けた翌日、
お彼岸だと言うのに、外はしんしんと降りしきる「なごり雪」。

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落ちても溶けず、しんしんと降り積もる窓の外の雪景色を見ながら、ときどき薪のはぜる音が聞こえる静かで暖かな部屋でコーヒーとカフェオレをいただきました。

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冬の内にやっておきたいことがまだまだたくさんあって、まだちょっと暖かくなってきてもらっては困るけど、久しぶりにやってきた、気持ちをゆったり休ませることのできる、幸せな時間でした。

ディーゼルエンジンを天ぷら廃油で使う一番簡単な方法?

忙しくて急いでいるときに限ってやってしまうのです。
天ぷら廃油から軽油への切り替え忘れ。


精製していないストレートの天ぷら廃油を自動車の燃料として使用するためには、儀式がいくつ必要なのですが、そのひとつに、エンジンをストップさせる前に、燃料を天ぷら廃油から(ディーゼルエンジンの正規の燃料である)軽油に切り替えておく、というのがあります。天ぷら廃油は気温が低いときには粘度が高く、冬の朝などはうまく霧状になってくれずエンジンを始動できないのです。
でも、その切り替えを、忙しくて急いでいるときに限って、忘れてしまうのでした。

今朝もそう。朝、突然のお客さんがいらして、でも道の駅に出荷に行かなければならず、グローもそこそこにセルをまわしたところ、初爆がありませんでした。そのうちセルの回転も悪くなり、一度、キーを戻して確認したところ、昨晩クルマを使った際、燃料を軽油に切り替え忘れていたのでした。
春の気配がかなり濃くなって暖かくなってきたとはいえ、まだ朝晩は涼しくてさすがにこの時期、天ぷら廃油では、エンジンはかかりません。

仕方なく、電動軽トラで道の駅の出荷へ(娘が)。

こうしたときのために、ユンボやジープ、ディーゼル発電機、それにトラクターにはエンジン始動用の追加インジェクターを取り付けてあります。
などというと、たいそうな高度な装置が付いているように思えてしまいますが、かなりアナログな低級な装置です。

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⇧このところ、大活躍中のわが家の天ぷら廃油ユンボ。停車させているときはできるだけロッドがシリンダーの中に入った状態で止めておくのがいいそうです(排土板はだんだん下がってきてしまうけれど)。

始動用追加インジェクターなどというと大袈裟な装置を連想しますが、実際には「軽油を入れたシャンプーボトル」だったり、「MonotaROの格安浸透潤滑剤スプレー」だったり……。

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⇧このユンボの場合は、缶スプレーとそれにつながる白いホースが始動用の追加インジェクターです。

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⇧緑の矢印の部分から、ホースはエンジンルームに入り、エアクリーナーの先の吸気配管につながれています。

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⇧ついでに紹介すると、この黒いヒモは、エンジンをストップさせるときに引っ張るヒモ。スロットルのワイヤーケーブルが不調で、直接ヒモで引っ張ってストップレバーを引くといういい加減仕様。

 

ということで、今回、切り替え忘れに懲りて、セレナにも始動用の追加インジェクターを装着することにしました。

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⇧5年くらい前に13万円で手に入れた古い型のセレナ。でも、この形は結構気に入っています。そしてなにより、燃料代がほとんどかからないところが公共交通機関が少ない田舎で暮らす上ではありがたかったりします。

ところでこれだけだったら作業自体は至って簡単です。作業に要する時間も1時間もかかりません。
エアクリーナーとシリンダーヘッドとの間のパイプに穴をあけ、そこに細いホースをつないで、反対側の端に浸透性潤滑剤の缶スプレーを接続させるだけです。

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⇧セレナはシートの下にエンジンがあるので、エンジンのメインテナンスをするのがちょっと面倒だったりします。そのため、シートをあげずに燃料を噴射できるインジェクターがあると、バッテリーの力がある内に早めに対処できるのでつまらないトラブルに悩まされずにすみます。
上の写真の黒い太い配管の左側がエンジンの吸気用配管。そこに細いホースが通る穴をあけ、ついでにエンジンルーム側壁にも穴をあかて、細い耐油性ホースをつなぎ、一方の端に浸透性潤滑剤の缶スプレーを接続します。

 

たったこれだけの作業ですが、霧化性に優れた浸透性潤滑剤をセルを回す直前に吸気パイプ内にちょこっとスプレーしてやるだけでエンジンはあっけなくかかってくれます(スプレーしすぎるとディーゼルノックを起こしエンジンを壊すことがあるので注意は必要です)。

助手席とはいえ、足元にいつも缶スプレーがあるのは煩わしいので、普段は缶スプレーをはずしておくことにしました。
このとき大切なのは、缶スプレーを外したあとのホース端に栓をしておくこと。これ案外、大切。さもないとこの部分、エンジンがかかると常に負圧がかかった状態になり、掃除機のようにカーペットのゴミを吸い取ります(エアクリーナーの先だからこれもエンジンを痛める可能性があります)。

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⇧缶スプレー接続用のホースはシートの下にセットし、先端には木の枝で作った栓をしました。

一度、エンジンが掛かってしまえば、たとえ天ぷら廃油が冷えていても、たいていはそのままエンジンは回り続けてくれます(エンジンによってもそのあたりに違いはありますが)。
つまりは、この装置さえ付けてあげれば、2タンクにしなくても、純正の燃料タンクに天ぷら廃油を入れ、始動用の缶スプレーでエンジンをかけることで天ぷら廃油エンジンは可動できるということです。
わが家では、発電機はこのやりかたです。純正の燃料タンクに天ぷら廃油(冬は灯油を混ぜて少し緩くする)を入れ、インマニにあけた穴から浸透潤滑剤を吹き込み、それでエンジンを掛けたらその後は天ぷら廃油(+灯油)燃料で可動させています(発電機は道路を走らないので灯油を混ぜることができるので熱交換器は必ずしも必要ではありません)。

でも私は「自動車の場合は」このやり方をしていません。軽油を入れた純正の燃料タンクとそれとは別に、天ぷら廃油を入れた自作の燃料タンクを別々にセットして、2タンク切り替え方式で走らせています。

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⇧燃料の切り替えは、エンジンルームの中につながるヒモを引っ張り、水道用三方弁のレバーを操作するという原始的な2タンク方式。


このやり方だと、燃料フィルターなどもそれぞれの経路に別々に付けることができるので、もしもどちらかの配管ラインにトラブルが生じた場合も、トラブルのあったラインからもう一方に切り替えることでとりあえずは家まで帰ってくることができます。天ぷら廃油カーを家族が使う可能性がある場合は特にこの方式がオススメです。一番多いトラブルは燃料フィルターの詰まりで、完全独立経路型の2タンク方式であれば、たとえ出先でフィルター詰まりを起こしたとしても家までは帰ってくることができるわけです。

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⇧詰まりやすい天ぷら廃油用の燃料フィルターはすぐに確認できるように車室内の見やすい場所に設置しています。ちなみに現在一般の乗用車に使われているガソリンは乙4第一種危険物(引火点が21度未満)ですが、天ぷら廃油は引火点が250度以上なので、乙4第4種(引火点が250度未満)どころか危険物でもありません。だからこそスーパーの食品売り場で大量に販売することができるわけですが。


また、公道を走らない重機、農機、それに発電機などは、天ぷら廃油に軽油や灯油を混ぜることが許されていますが、自動車の場合は道路税が加算されていない違法軽油を作ったことになってしまうので、燃料の混合が認められていません。
そのため寒い冬は冷たい走行風で燃料配管なども冷やされてしまうので、化石燃料を混ぜないストレートの天ぷら廃油では、ハンチングを起こしたりして、エンジンのためにもよくなさそうなので、自作の熱交換器を取り付け、天ぷら廃油を暖めて使っています。

熱交換の方法も、ワンボックスカーならではの新しい方法を試しているのですが、これまでのところかなり快調です。そのあたりも、また機会があったら紹介させていただきたいと思っています。とりあえずは長くなってしまったので、今回はこのあたりで失礼!

ヒネクレモノの更生

解体屋さんからいただいてくる廃材の中にはたまに、釘がまったく刺さっていない未使用品、つまりは、新品の材料が含まれていることがあります。
「ラッキー」と小さくつぶやいていただいてくるのですが、新品なのになぜ捨てられてしまったのか、それには理由があるのでした。

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ひねくれもの、なのです。
ということで、ひねくれた材の更生方法を紹介したいと思います。
まずは、ひねくれたなりに、上に載る材を打ち付けます。

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⇧こんな感じです。

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このとき、材の接合にはコーススレッド(木ネジ)ではなく、釘を使います。
できれば五寸釘が頑丈なので理想的。ただし打ち込みにくいので硬い材の場合はドリルで道穴をあけてから打ちます。

その後、上に載せた材の端っこを持って矯正します。

完全に垂直にまでは戻りませんが、これだったらまあ、支障はない、というくらいのレベルにまで更生させることができます

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⇧このとき、コーススレッドだと折れてしまうことが多いのですが、釘(2本打ち)だとかなり粘ってくれます。
もう一方の材もひねれてしまっている場合は、こんな風にして矯正してから、固定します。

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上の写真では長い柄のクランプを使っていますが、クランプでなくても材を釘で打ち付け(奥まで打ち込まない)、それを使って起こす方法もあります。


日がだいぶ伸びてきて助かります。

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普通は壁面に使う、ガルバリウムの角波板を屋根材に使ってみました。
雨漏りしないで使えるようだったら、またそのときに報告したいと思います。

単管パイプに木材を固定する方法

毎日、いろいろなことがあって楽しいのです。
きのうは今年二回目の味噌づくりをしました。床下の貯蔵庫に潜ってタネ味噌を探していたところ、味噌玉から作ったと記載された味噌瓶を見つけ、味見してみたらそれがとても美味しいのでそれをタネ味噌にしたのですが、味噌玉から作る味噌ってどうやって作ったのか、それがほとんど思い出せないのでした。春、空気中に漂う菌類が増えてから味噌玉を吊るしたような記憶はあるのですが……。
こんな暮らしをしていると、毎日面白いことがいろいろと起こるのですが、それらのいろいろなことを物凄い勢いで忘れてしまっている、ということに、前からうすうす気がついていたのですが、ときにどんどん忘れてしまっているという、そのことさえ忘却のかなたに消え去られてしまっていることもあったりで、「コリャまずい、とにもかくにも、記録しておこう!」そしてどうせ記録しておくのであればブログのように検索が簡単にできるところに書き留めておこう、ということで、小さなことでもブログに書き留めて置けるように「自給知足のアイデアチップ」というカテゴリーを作り、日々のちょっとしたことをそこに書き留めておくことにしました。

 

で、今回は、単管パイプに木材を固定する方法についてです(いまちょうど、単管パイプと木材を組合せて資材置き場を作っているので)。

単管に木材を固定するには、垂木受けという単管クランプを使うのが一般的なのですが、でもケチだから、垂木受け用の専用のクランプを購入するのにちょっと抵抗があるのでした(最近値段がだいぶ安くなってきたとは言え、2連のクランプに比べて割高だし、垂木受けクランプの中古品はほとんど見かけることはないので)。
もうひとつの理由としては、垂木受けクランプよりも、普通の2連クランプを流用して垂木を固定したほうが頑強に固定できるからです。
やり方としてはこんな感じ。

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2連の普通のクランプを使って固定します。ボルト&ナットで金具を木材に食い込ませるようにして挟み込むので、市販の垂木受けクランプを使うよりも(手間はかかりますが)、はるかに頑丈に固定することができます。

まず、クランプのボルトを通すための穴を12ミリφくらいのキリであけます。
その後、この穴の手前側、深さ10ミリくらいを20ミリφくらいのキリで拡大し、ボルトの付け根の太い部分が木材に食い込むようにします。

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⇧穴をあける時のポイントは穴を斜めに掘ること。クランプのボルトは水平ではなく、斜め上方にセットされています。←これかなり重要!

次に、受け側の金物の当たる部分をマーキングして、そこも12ミリφくらいのキリで適当に穴を掘ります。

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⇧赤いボールペンで位置をケガいてあるのが分かるでしょうか? ここにも10ミリくらいの深さで穴を掘ります。

その後、クランプを万力ではさんでボルトにナットがかかるようになるまで金具を木材の食い込ませます。

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ボルトにナットがかかったら、ナットを締め込んで、金具を木材にしっかり食い込ませます。

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⇧そして完成!

小屋を作る場合、骨格をすべて単管パイプ組む方法もあるけれど、垂木(母屋?)が木材だと、その上に載せる材の固定に木ネジ(コーススレッド)が使えて廉価だし楽ちんなのでした。

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早春の林からメイプルシロップとウォルナッツシロップを!

窓の外、ちょうど目につくところにカエデの木があるのですが、2月の新月を過ぎる頃、カエデの幹を叩きにアオゲラがやってきます。そしてその穴から樹液が流れ出し、その樹液を吸いにメジロがやってきます。

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人もそのオコボレを頂戴しちょこっと舐めさせてもらうことがあるのですが、ほんのりと甘くて、ふーむ、これを集めて煮詰めたのがメープルシロップなんだなぁ、などとイメージを膨らませていました。
 それにしても、カエデもアオゲラメジロも、月と太陽と地球が一直線上に重なるときの引力の違いの差を感じることができる、ということなのだろうか? 凄いなぁ。

 2月の新月が来るのを待って、カエデの樹液を集めみることにしました(もっと早くから始めていれば、新月を過ぎた次の日から、本当に樹液の量が増えるのか?検証できたのに……残念!)。
 そしていま、樹液シロップづくりにドップリとハマっています。

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⇧なぜかありがたいことに、虫草農園にはカエデの林があったりします。これみんなカエデ。イロハやデショウジョウ(ノムラかも?)、ハウチワなどの種類があるのですが、これまでの感じからすると、樹液の量は、樹種よりも木の幹の太さや土壌の水分の多さに依存しているように思われます。
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 ⇧こちらは、キツツキがあけた穴から流れ出るメイプルウォーター。指にとって舐めてみるとほんのりと甘さが感じられます。概して、キツツキが穴をあけたカエデやクルミは樹液の出がいいように思われます。どの木が樹液を出したがっているか、分かるのだろうか?

 

 ところで、どうやって樹液を採取するか? タケノコニップルを流用したり、金属製のパイプを差し込んでみたり、いくつか試してみたのですが、「幹にドリルで穴をあけ、そこに直接ホースを差し込む」というシンプルな方法が一番いいようでした。

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⇧ゴミや雨が入らないように、一升瓶の頭にいちおう傘を被せてあります。

■樹液採取の方法■
ちょっと可哀想で、木にはたいへん申し訳ないことなのですが、まずは生きた木にドリルで穴をあけます。この時期、カエデの他にも、オニグルミ、スズカケノキ(プラタナス)、あるいは白樺などのカンバ類(キシリトール)、などから樹液が採取できます(白樺はカエデやクルミよりも少し時期としては遅めとも言われていますが)。

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⇧ホースを密着させるため穴は、使用するホースの外径よりも若干小さめのキリであけるのがいいようでした(外径10ミリのホースに9ミリの穴をあけ突っ込んでいます)。また、朝はまだこのあたり氷点下まで下がるので、早めに日が当たって凍った樹液を溶かしてくれるように東に面した幹に穴をあけることにしました(糖度は少ないのでシャーベット状に凍ります)。
 それと、上の写真のように、水平ではなく、少し斜め上に向けてあけるのがいいようです。

 樹液は根から道管を通って吸い上げられ、道管は辺材(=白太)部分に多いことが知られています。そこで同じ木でいくつか穴のあけ方を変えてみて、どこから一番たくさん出てくるか試してみました。
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⇧たくさんチューブをつながれ、ちょっと可哀想だけど、この木は今年伐って、ヒラタケやエノキタケを植えます。日当たりがいい場合、クルミもひこばえが出て切り株は再生されることがあります。
 さて、どんな穴のあけ方が良かったかというと、予想に反して、辺材だけに貫通するようにオフセットして穴をあけるよりも、芯材(幹の中心)に向けて開ける方が樹液の出はいいようでした。中心に向けて、そしてなおかつ少し斜め上方に向け、クルミのように芯材がある木は芯材に届く手前くらいの深さであけるのがいいように思われました。直径30センチくらいの太めの木で3センチくらいであけています。

 接続するホースは、あまり細いと表面張力が働いて、樹液が流れにくくなってしまうので、木には可愛そうなのですが、ちょっと太めで外径10ミリのホースを使用することにしました。穴とホースのスキマから樹液がこぼれてしまうとモッタイナイので、あける穴はホースの外径よりも少し細い9ミリのドリル刃を使ってあけ、そこにホースをピッチリねじ込みます。

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 ⇧この写真では、樹皮の裂け目に穴をあけホースを挿していますが、オニグルミのように樹皮の厚い木では、なるべく樹液を漏らさないためには、裂け目よりもコルク質の樹皮を貫通するように穴をあけた方がいいようでした。

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⇧ビン内が正圧になってしまうと、樹液は流れ出にくくなってしまうので、ペットボトルの場合はホースを通す穴の他に、キャップにエア抜きの穴をあけています。このくらいのサイズの穴であれば、表面張力が働くので雨も入りにくいと思われます(雨が入ってもまあ、このあたりの雨だったら、その後、煮込むわけでそれほど問題なさそうですが)。

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⇧一升瓶を使う場合はこんな感じで、ゴミ&雨よけのキャップを作りました。ホースを通すキャップの穴もホース外径よりも少し細くすると抜けにくく雨も入りにくくなります(ただし今の時期、一升瓶は氷結に要注意です)。

■細い木からの採取方法■

樹液を採取するには、太い木がいいのですが、太い木がない場合でも樹液の採取は可能です。メイプルシロップの本場カナダで、単位面積あたりの収量をあげるやり方として注目されている方法で、細枝を切断し、そこにホースをつなぎ、負圧をかけて収穫する方法です。太い木に穴をあけた場合と比べると、一箇所あたりの収量は少ないのですが、細い木からも収穫できるので圃場面積あたりでの収量では優れているとのこと。

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⇧枝のサイズにあった太めのホースを使用し、ホースの内径よりも少し太めの部分で枝を切断し、そこにホースを接続します。枝の先端を少し面取りしてあげるとホースを挿入しやすくなります。カナダでは樹液が漏れないようにその上からホースバンドで縛っているようでしたが、うまくサイズを選べば、ホースバンドなしでも樹液は漏れませんでした。

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⇧負圧を維持するため、ペットボトルのキャップとホース接続部にはシリコンのコーキング剤でシールをしました。

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⇧負圧をかけるためペットボトルをつぶした状態でキャップを締めます。負圧を得るためペットボトルが少し潰れているのが分かるでしょうか?

■樹液の採取■
樹液の採取には蓋付きのこんなポットがあると便利です。

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⇧大量の収穫があった場合でも、片手でポットを持てるように取っ手にヒモを結び、持ち手を付けました(ヒモは切れたスターターロープ←こんなものまで捨てずに取ってある、で、黒いグリップは廃車から外した燃料ホースです)。

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⇧フタはお皿にもなるので、外したホースに落ち葉などを付着させずに置くことができます。このクルミの大木は、ヒトだけでなく、キツツキやメジロ、それにリスやノネズミにとっても大切な木。みんなでシェアして大切にいただきます。フタのすぐ脇にある穴の空いたクルミの殻はこのあたりにノネズミが棲んでいる証拠。

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⇧ヒトが夜、ベッドでパンケーキを食べる夢を見ている間も、カエデやクルミの木はポタン、ポタンと樹液を垂らし続けてくれます。

 

■シロップづくり■
 集めた樹液は、薪ストーブの上で煮詰めます。

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⇧多い日は3リットル以上の樹液が収穫できるので、ストーブの上には鍋が林立。いつになく、薪もリッチに焚いています。

メイプルウォーターやウォルナッツウォーターは40分の1くらいに煮詰めると、糖度が66度くらいになり、メイプルシロップやウォルナッツシロップになると言われています。4リットルで約100cc。スズカケノキやカンバ類はさらに樹液の糖度が低いので、さらに煮詰める必要があるそうです。

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⇧こちらはもうすぐ、シロップになりそうなメイプルウォーター。煮詰めると褐色に色が付き、部屋に幸せな香りが漂います。

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⇧そしてこちらは、10分の1くらいに煮詰まったウォルナッツウォーター。オニグルミの樹液は煮詰めると、表面に透明の膜のようなものができます。膜ができると蒸発しにくくなるのでときどきスプーンでかき混ぜ、膜を溶かし込んでいます(もちろんそのついでに味見もしています)。

 

 そして完成したメイプルシロップ。

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まさに森の恵み、木の汗と涙の結晶。
気品ある香りのメイプルシロップに対して、ウォルナッツシロップは、ほんのりとナッツの香りがしてこちらもまた絶妙な甘味料、いや甘美料。

毎日、少しずつ量が増えていくのも楽しみのひとつ(食べなければ、ですが)。
早春のこの時期ならではの気品に満ちた甘みと、部屋中を幸せな香りと暖かさで満たしてくれる、早春らしく心をウキウキさせてくれる楽しみなのでした。

2019年のメイプルシロップ採取に関してはこちらから。

musikusanouen.hatenadiary.jp