Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


キクイモの墓標?

 このところ毎晩、イノシシの襲撃を受けています。ネットを噛み切り、あるいは鉄筋メッシュを押しのけて入ってきます。穴は毎日補修するのですが、そこに行けばエサにありつけるということを一度学習してしまったイノシシに柵やネットはあまり意味がありません。仮にクルマを置いておいても、軽自動車だったら押しのけてしまうのではないか?というくらいのモウレツなパワーで畑に押し入ってきます。
 キクイモを目当てにやってくるのですが、アスパラを掘り起こされたくらいで、そのほかにはそれほど被害はありません。試しにイノシシが食べ残したキクイモを食べてみたのですが、たしかにいまはキクイモがとても美味しい。すぐ隣のたまねぎのウネは無傷だったりで、イノシシはどうも、そのあたりのことを承知しているようです。
 この調子で、すべての作物を一番美味しい最盛期に食べられてしまうのは悔しいので、ワナの免許を取ろうか……なんて思っていたりします。こんなに毎晩毎晩、強引に押し入ってくるのであれば、落とし穴でも取れそうな気がします。


 さてさてこの写真、何だか分かりますか?

 約2m置きにキクイモの茎を刺してあるのですが、イノシシにやられたキクイモの墓標ではありません。犬のウンチを埋めた場所の目印に、ウンチをつまんだハシを埋めた地面に刺しておくのですが、それとも違います。犬のウンチバシは主にヨモギやコスモスの茎で同じ長さのものが二本立っています■注意■我が家にいらっしゃるお客さんはその点、十分に注意していただきたくお願いします。間違っても、ハシにちょうどいいからなどと思って、2本並んで土に刺さっていたヨモギの枝でバーベキューの焼き鳥を引っくり返さないように……お願いします。

 実はこれジャガイモのウネなのでした。しかしそれにしても株間2mというのは、ちょっと広すぎです。なにしろ10mのウネでも5個しから植えつけられないのですから。
 ところで、ジャガイモはストロンと呼ばれる地中の匍匐茎にイモを実らせます。ストロンはタネイモよりも上にできます。そのため新ジャガはすべてタネイモよりも上にできます。それでジャガイモには土寄せが不可欠なのです。そんなわけでこれまでジャガイモは土寄せしやすいことからジャガイモだけまとめウネで育てていました。ところが昨年、試しに畑の脇の土手で草に埋もれさせながら育ててみたら、そちらがなかなか良かったのでした。

エノコログサアメリカセンダングサ、カナムグラなどにまみれ、ニジュウヤホシテントウに見つからず? あるいはニジュウヤホシの天敵に守られながら成長しているアンデス。草に完全に埋もれてしまうとどこに植えたか分からなくなってしまうので、1mくらいの高さのラベルは必需品(名前を書く部分は壊れたアイボリーのブラインドがオススメ)。

↑ほぼ同じ時期のウネに植えたアンデスニジュウヤホシテントウの集中攻撃を受けています。ただし、これでもイモがまったくできないわけではないので、これでもよしという考え方もあります。
 そんなわけで、今回は、ウネに植え、株間を2mと極端に離し、その間にコリアンダーだとか、アブラナだとか、いろいろな植物を配してみようという試みなのでした。そのほかにも、ネギのウネでネギを食べた隙間に植えてみたり、いろいろ楽しんでいます。
 同じ種類の植物だけがたくさん生息している環境は、自然にとっては不自然な状態で、それを自然な状態に変えるためニジュウヤホシテントウがやってきて、ジャガイモ「だけ」の状態をなくそうとしてくれている、そう考えるわけなのですが、なかなかどうして、そう簡単にはいかないところが自然の生態系の面白さ。

↑こちらは同じく、草にまみれさせて土手に植えたキャベツなどのアブラナ科植物。試しにアオムシをとらず放置しておいたのですが、葉が巻く前に食害されてしまって収穫はできませんでした。

 ところでタネイモを植える前に、浴光催芽(陽光催芽や育芽などとも呼ばれる)という方法を行っています。これはプロの多くが行っている方法で、直射日光に当てて芽を催眠状態から起こすことで芽の出がそろい成長も早いので、春遅くギリギリに植えることが可能で遅霜対策にもなるなどともいわれています。
 あるいは切り口のキュアリング(コルク層を形成させる)の上でもいいとも言われています。切り口に灰を塗る方法が古くから知られていますが、これまで20年以上、ジャガイモは毎年作っていて、較べてきたけど灰を塗った場合と塗らなかった場合とで顕著な差はありませんでした。ただ灰は、土壌をアルカリにするのでそうか病の発生を増やしてしまうとの説があります。たしかに鶏糞とストーブの灰を大量にまくとそうか病が出やすく、でも、そうか病自体は、イモにコルク質が形成されるようなものだから、キュアリングにはいい可能性はあります。
 我が家で浴光催芽する一番の理由は、イノシシ対策です。ジャガイモは太陽の光に当たるとその表面に有毒のソラニンが生成されます。イノシシはそれを嫌っているのではないか?と。浴光催芽しなかったイモを、タネイモを植えた翌日に全部食べられてしまったことがあり、それ以降、おまじないように浴光催芽しているのでした。

↑浴光育芽中のインカとメークイーン。最近はインカが人気だけど、インカにも種類があるようで、多収のもの(大きなもの)はやっぱり味が落ちる傾向があるようにも思えるのですがいかがですか?

 ジャガイモひとつとっても、とにかく面白いことがたくさんあります。一般的な農業書には、タネイモを植えつける際、芽を上に向けると断定的に書かれていますが、逆の方がストロンが多く出るという説もあったり、毎年毎年、その季節に応じて、いろんなことを試すことができるのも農的な暮らしの楽しみのひとつでもあったりします。