壊れたのだったら、ずーっと壊れたままでいてくれるといいのですが、ひとりでに直ってしまったりする、というのが案外、困るのです。
ホンダZのヘッドライト、なぜかたまに、消えてしまうのでした。
国道はまだしも田舎道には街灯なんてないから、単独で走っているときに突然ヘッドライトが消えてしまうのは思いのほか恐ろしいもので、ワインディングをちょっと頑張ってコーナリングしている最中に突然ヘッドライトが消え、道がなくなるというのは、曲がった先の道路の真ん中に雄鹿が仁王立ちしていた、というのと同じくらい怖いことだと知りました。
そしてタチが悪ことに、その後ヒューズボックスあたりをチェックしようとすると、突然、直ってしまい、それ以降は症状がでなかったりするのです。
この種の故障は、直ってしまっている時にテスターを当てても分からないわけで、しばらく放置していたのですが、でも娘が夜使うこともあったりで、新しくヘッドライト用の配線を引き直すつもりで取り掛かったら、恐らくこれだなぁ、というのが見つかりました。ヒューズボックスのヘッドライトの部分が溶けてなくなっていたのです。
でも、これが今回の原因というわけではありませんでした。
かなり前のことですっかり忘れてしまっていたのですが、ヒューズボックスを溶かし、それを以前にいい加減に修理したようなのでした。
溶けたヒューズ配線の代わりに、分岐コネクターと板ヒューズを使って、主電源からの電気を板ヒューズを介してヘッドライトへと流していたのでした。青の分岐コネクターだから一応15Aまでが許容量なのかもしれないけれど、これをリレーなしのヘッドライト配線に使うのは無謀だけど、この頃はまだ若くそうは思わなかったようです。
よく見たら板ヒューズホルダーに刺さっていた圧着端子はカバーが焦げていました。
ではこれらをどうやって手持ちの材料で修理するか?
都合がいいことに、主電源側のヒューズホルダーは問題なく、もう一方は溶けてしまったことで大穴が空いています。そこでそこにミノムシクリップを流用し、従来の管ヒューズを取り付けられないかやってみることにしました。
捨てずに取っておいたミノムシクリップ、活躍の場がやってきました。
チェーンソー用の丸ヤスリなどで研ぎ、クリップ部で管ヒューズをくわえられるように加工しました。
圧着スリーブと熱収縮チューブを使って、それっぽい形にします。
ところで直流12Vの自動車電装系では「圧着による接続」が基本で、ハンダ付けは予備的に使った方がいいと言われています。どこかでショートが起こった場合、電圧が低いので大電流が流れることになり、ヒューズやヒュージブルリンクが切れるまでの間に配線が加熱されてしまい、ハンダだと溶けてしまうことがある、とのこと。古い車をレストアしていると、ハーネスの中に被覆が完全に溶けてしまったことがあったりします(その後、再び冷えて固まった配線があったりします)。
で、こんな感じに仕上がりました。
ヒューズボックスのステーも折れてしまっていて、取り付けに金属の金物などが使われていたので、ショートが起こりにくいように、ゴム&マジックテープでの固定に変更しました。
ゴムのバンドは古いトラックのタイヤチューブを切ってつくります。
ゴムにマジックテープを取り付けるときは、ペーパー掛けのあと、パンク修理用のゴムのり(ラバーセメント)がいい感じです。ゴムのりは意外や革の接着にも良かったりします。
そしてようやく修理完了。
ヒューズボックスの点検もしやすくなり、夜の田舎道でヘッドライトが突然、消える、ということもなくなりました、いまのところは。