南アルプス東麓では、今年はクヌギの実がいつにないくらいに豊作のように思えます。
もしかしてこれ、ミツバチと関係があったりしないのだろうか?
この地では今年は異常なくらいにニホンミツバチの分蜂が盛んで、孫分蜂したものも数多く見られました。
この地域では、一時、アカリンダニの影響で、ニホンミツバチは壊滅的にまで減ってしまったのですが、ここに来て再び以前の個体数を取り戻したように思います。セイヨウミツバチが運んできたというアカリンダニに対して、もしかしたら耐性を身につけたのだろうか?
ウチで飼っているハチが飛んでこないような山の中でも、ウコギなどの雑木の花が咲くと羽音が耳につき、花を見るとニホンミツバチが盛んに吸蜜に来ていたりしました。
クヌギの実が多いと、クマが里に降りてくることが少なくなりそうな気もするけど、逆に個体数を増やして来年以降に事故の確率が増えてしまう可能性もあるのかもしれず、本当のところは分かりません。
ヒトはついつい自分の都合のいい方に考えてしまいがちだけど、自然の生態系は種や個の多様性を増やす方向に遷移しながらも個体数は常に増減を繰り返しながら平衡を保ち、個体数を増減させることで淘汰により遺伝子を変化させ多様性を身につけて環境の変化に対応してきた、ということは間違いないことのように思います。
ところが、いま、その生態系の仕組みから外れてしまっている生物がひとつだけあって、その生きものは平衡を保つことなく一方的に個体数を増やしてしまっているかのように見えます。
つまりこれは遺伝子淘汰による環境適応能力を失いつつある、ということ。
あるいは大発生したマイマイガがエントモファーガ・マイマイと呼ばれるマイマイガにだけ選択寄生する菌によって、壊滅するようにパンデミックが起こるのだろうか?
ヒトは、火や電気を使いこなし、前世代からの情報を知恵として次世代に伝える技術をも持っていたりもして、たしかにある点では非常に優秀ではあるけれど、ひとつひとつの個体は、自分や自分に近い種の遺伝子を残したいという本能には抗えていないようにも今の社会を見ていると思えます。
あるいはそれとも、蜂球を作ってスズメバチを熱殺するニホンミツバチのように、個を犠牲にしてでも群を守るような手段で種の保存を優先するような選択をするのだろうか? それもあんまりあって欲しくない選択です。
大豊作のクヌギの実の影に隠れているクリシギゾウムシを見つけて、そんなことをふと思ってしまったのでした。自然の生態系は素晴らしい!
⇧クヌギシギゾウムシが隠れているの分かるでしょうか?
(実は撮影したときには気がつきませんでした)。