畑を7反(2000坪以上)もやっているというのに、冬は野菜をスーパーから買わなければいけない……、というのはなんとも悔しいのです。
そんなわけでこれまではビニールトンネルを駆使して、どうにか冬も自家製野菜のフレッシュサラダをいただけるようには暮らしてきました。
そんな折、ありがたいことに、近くの方から(撤去を条件に)ビニールハウスをいただけることになったのでした。
これで冬もフレッシュサラダを食べることができる……と喜んでいたのですが、ビニールハウスは真冬の朝、意外と温度が下がることが発覚。
ハウス内の気温は外気とほぼ同じで、氷点下8度の朝は、ハウス内も氷点下7度にまで下がってしまうのでした。
でもまあこれ、考えてみれば当然のことではあります。断熱材なしで外と内があんなに薄いビニール1枚で隔てられているだけなわけですから。
でも、せっかくハウスをいただいたというのに、このまま引き下がるのは悔しいので、冬の朝、ハウス内の温度を下げない方法はないものだろうか? とはいえ、できれば化石燃料は使いたくない、という前提の元、いくつか試してみることにしました。
まず最初に試してみたのは、蓄熱効果の高い素材をハウス内に置いて昼間、そこにできるだけ昼の温度を蓄熱しておいてその予熱で最低気温をできるだけあげる、という作戦です。
蓄熱効果が高い比熱の大きな物質で手軽に手に入るものとして「水」と「石」があります。
⇧一斗缶の一面を黒く塗装し、その面で太陽熱の吸収を高めた上で中に水を入れ、そこに昼間の太陽熱を蓄熱しようという作戦。水に触れていない部分の黒く塗られた一斗缶表面は手で触れなくなるくらいに熱くなります。
それと同時に、
田んぼの改修工事の際にいただいてきた畦板(畦畔ブロック)を随所に敷き、石に昼間の太陽熱を蓄熱しようという作戦。これは管理用の踏み石としても便利でした。
はたまた……、
廃タイヤの中に落ち葉や鶏糞、米ぬかや生ゴミなどを入れ、発酵させることで発酵熱で暖房しようという装置。
このタイヤのコンポストもなかなか良さそうだったのですが……、
でも最終的には、ハウス内で大々的に堆肥を作るというのが効率がいいことが分かり、タイヤを使わず、もっと大量に堆肥を作ることになりました。
また、タイヤに土の詰まったものは蓄熱体としても優秀であることが分かり、タイヤを積み上げ、ロックガーデン風のスペースも作ってみることにしました。
まずは仮組み。
⇧タイヤを少しずらして組むことで、ロックガーデンのようなものができないものか、いろいろ組み合わせ中。タイヤをずらして積むと、上の段のタイヤの底を下のタイヤでふさぎきれない場合があるのですが、その場合は石でフタをしたり肥料袋などでふさぐことで上の段のタイヤの中の土をこぼさずに積み重ねることができることが分かり、タイヤ積みの自由度があがりました。
⇧廃タイヤは側面にまでしっかり土を入れると安定します。しっかり詰めて積み重ねれば土留めなどにも使えます(詳しくはこちらを参考にして下さい)。
Earthshipなどではハンマーで叩いていたりするようですが、この程度の積み上げだったら、長靴のつま先を使うのが正解。土をトーキックで中に詰め込み積み上げました。
⇧とりあえずこんな感じになりました。
で、いまはこんな感じになっています。
⇧将来的にはタイヤウォールの部分はリッピアなどの地被でカバーしたいと思っています。
石垣いちごならぬ廃タイヤいちごも花をつけてくれました。
シイタケのほだ木を入れてみたら、真冬だというのに、こんなに発生。ハウス内は湿度が高いのでキノコの発生には適しているようです。
また、北側の妻面には、太陽光や赤外線のリフレクター効果を狙い、ビニールの内側にアルミの反射シート(100円ショップで2m×1mが108円)を貼り、光量の確保(屋根以外のビニールは中古で透明度が悪いので)と温度低下を抑えるようにしています。
発泡断熱材の付いた反射シートですが、ビニペット用レールにビニールと共に一緒に挟み込むことができ便利でした。
⇧ビニールハウスにビニールを貼るためのビニペット&レールと言うシステム、なかなか優秀でいろいろ使いみちがありそうです。
蓄熱体であるタイヤを使ったテーブルも設置してみました。厳冬期でも、日が当たっていればハウスの中はポカポカ。
⇧晴れた日曜日には昼間からビールを飲みながら……、といきたかったのですが、結局はそんな余裕もなく春が近づいてきてしまいました。
それでもハウス内の気温は厳冬期、氷点下になってしまうのですが、さまざまな蓄熱対策が功を奏したのか、ハウス外のように地面が凍りつくということはなく、そのおかげで今年の冬はさまざまな野菜たちをいただくことができました。
畑で凍えたいた苗たちをとりあえず移植。
植え始めたときは、こんな感じだったのですが、
いまはこんな感じ。
ところで、虫草農園の野菜はなぜか長持ちするのが特徴で、晩秋、霜が降りる前に路地で収穫したトマトが2月まで腐らず、カビも生えず、食べることができたりします。
また、秋に収穫したカボチャも冬至どころか、いまもまだ問題なく食べることができたりします。あるいは有機肥料をたっぷりすき込んだ畑では、路地でもパクチーやネギ、キャベツやレタスなどがどうにか寒さに耐えていて、冬はそれらをいただいていたりもします。
そんなわけで、意外と冬はまだ野菜があるのですが、一番厳しいのはこれからの時期。畑からの収穫物は5月にならないとないし、山菜が採れ始めるまでの今の時期が野菜不足になりがちだったのですが、ハウスをいただいたおかげで今年は3月4月にもフレッシュサラダをふんだんにいただくことができそうです。
芳村さーん、ありがとうございました! 大切に使わせていただきまーす。