朝日村で行われたイベント「あさひでい①」の続きです。
実は、朝日村のイベント「あさひでい」にはとても驚かされたのでした。北アルプス山麓の村で行われた比較的こじんまりとしたイベントだったのですが、にもかかわらず、それぞれのブースはとても充実していて、しかもどのブースも「再生可能」で、自然の生態系への影響を考慮した「適性技術」をベースとしていて、まるで時代の最先端をいくエコプロダクツ展のようなイベントだったのです。
過疎化が深刻、などと言われている日本の山村ですが、でも、お年寄りを含めて、そこに暮らしている人たちの意識のレベルは実はとても高くて、実践的な経験により無意識の内にエコロジーやサスティナブルを習得し暮らしているのではないか?ということを感じさせられたイベントでもありました。
スミマセン、前置きが長いとつまらないですね。ではさっそく、当日、会場に並べられていた最新鋭と思われるペール缶ストーブから紹介させていただきます。
↑これがそれ。以前紹介したメトロン星人に似たペール缶ストーブのさらなる発展型と思われます。メトロンストーブではヒートライザーの部分に薪を充填し、そこに上から点火したのですが、このストーブでは、その前に副燃焼室?があり、そこで適度な空気を混ぜて薪を燃焼させ、その後、それを燃焼筒に導き完全燃焼させると同時に熱交換させる、という仕組み(のように思われます)。(これを作られた山田さんはイベント運営者のひとりでもあり、独り占めするわけにもいかずしっかり聞く時間がありませんでした。スミマセン山田さん、違っていたら訂正お願いします)。
ちょっと分かりにくくなってしまったので、まずはオーソドックスなロケットストーブから。
↑これが一般的なペール缶を使ったロケットストーブ。
註:ペール缶ではなくドラム缶をヒートライザーとして使用し、排気を横引きして暖かいベンチなどを備える「ロケットマスヒーター」との違いをわかりやすくするため、このタイプのロケットストーブをここでは「キッチンロケット」と呼ぶことにします。
で、そのキッチンロケットをさらに進化させたのがコレ。
↑キッチンロケットの前に、アタッチメントのようにして副燃焼室?が付くのです。
↑そしてこのアタッチメントタイプの副燃焼室、内部はこんな感じになっています。下の部分にロストルのようにステンレスのザルがあって、その下はペール缶にスリットが入っていてそこから吸気を拾うような構造。
↑こんな風にしてまずは、副燃焼室で火をつけます。副燃焼室として流用されているペール缶の排気口と、点火後、薪を投入するための投入口がペール缶のセンターからオフセットされているのが分かるでしょうか? オフセットすることでスワールを発生させ、副燃焼室内で渦流を作って、横のスリットから二次空気をひろう仕組みのように思われます。
↑副燃焼室内の火が安定したら上部にフタを被せます。写真をクリックして大きくしてみてもらうとわかると思うのですが、薪投入口の下の吸気のためのスリットの向きなどにも、スワールを生むための工夫が凝らされています。
↑そして安定して燃え始めるとこんな感じ。ヒートライザー側からも炎が出ているのが分かるでしょうか? 副燃焼室の上でも調理が可能で、山田さんはこのストーブを使うようになってガスの契約を解約することが出来ましたとのこと。直火と輻射熱の両方が使えて、しかも燃費にも優れたとても実用的なストーブと言えそうです。
↑これはメトロン星人ストーブのプロトタイプ?
↑そして手前がメトロンで、奥が副燃焼室付きのメトロン?
ストーブ以外にも面白い展示がたくさんありました。こちらは非電化工房松本支部こと赤羽さんが出品されていたソーラードライヤー。太陽熱を使った乾燥器です。
↑小さなソーラーパネルがついていて、それでファンを回し上昇気流をアシストするというハイテクタイプ。お隣り山形村のSlow Cafeマハロも出店されていて、天然酵母で焼いたパンをスライスしてここに入れておいたら、見事に美味しいラスクになったのでした。
↑こちらは黒いアルミ缶とペットボトル、それにアルミ箔のボードを使ったボトルウォーマー? 晴れたり曇ったりの天候でしたが、さわれないくらいに暑くなっていました。
ペットボトルで風による放熱を押さえるとともに、黒いアルミ缶の下には割り箸をはさんで、接地部からの熱伝導(逃げ)を押さえることがポイントとのことでした。言われてみると簡単なことのようだけど、ひとつひとつ問題をクリアし、完成度を高めた製品ともいそうです。
↑こちらは発泡スチロールの容器を流用したソーラークッカー。中の反射板は斜めであったり、見た目はシンプルですが、なかなかに凝った作りになっていました。
中には黒い土鍋があって、その中にはソーセージや大根などの野菜が。ただ日なたに放置してあっただけなのに、夕方前には美味しいポトフができあがっていたのでした。しかも、フタを閉じることで保温調理も出来るという構造。そして、土鍋の下にはやはりこちらにも割り箸がセットされていました。
川内や辺野古、それにリニアなどなど、このところ暗澹たる思いになってしまう話題が多かったのだけれど、こうしたアイデアを惜しげもなく披露する人たちがいて、そうした人たちが集まりアイデアをシェアしていくイベントに参加し、久しぶりに、明るい未来を感じることができたのでした。
このあとは「あさひでい③」に続きます。