今年、もしくは来年はマイマイガとコメツキムシの大発生の年になりそうです。
ある年、虫が大発生すると何かの前兆現象でもあるかのように異常なこととして騒がれがちですが、でもこれはとても正常なこと。17年ゼミが17年ごとに大発生を繰り返したり、セミの世代交代のサイクルが7年や13年だったり、またそれらが「素数」であるのは、虫が氷河期を乗り越えてきた名残であり、乗り越えるための戦略だったと言われています。
氷河期のような過酷な環境で、種の生存が脅かされた場合でも、有性生殖ができるように、大発生の周期を素数にして出会いの確率を高めることが遺伝子に組み込まれた、いや、偶然そうした遺伝子をもった個体のみが生き延びることができたことにより遺伝子に刷り込まれる結果になった、というのが正解のようです。
あっ、この先、毛虫の写真があります。苦手な人は先に進まない方がいいかもしれません……と一応、お断りをしておいてと。
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で、マイマイガですが、マイマイガの仲間の幼虫はオシャレな連中が多いです。
これが元祖マイマイガの幼虫です。「あっ、これ、きょう見た!」という人も多いのではないでしょうか? どうも、今年は全国的な大発生のようなので、八ヶ岳だけでなく、その他の地域でも多く発生しているようです。
↑特にこの固体は、赤や青の紋の発色が鮮やか。でも個体変異が大きくて、一般的にはもう少し地味だったりします。正面から見ると、目が「ハ」の字型をしているように見えるのが特長。結構、愛嬌のある顔をしていて外国ではアニメのモチーフになっていたりもするのですが、でも放置するとリンゴの木は丸坊主になってしまいます。
↑そしてこちらは黒くてシックなカシワマイマイ。こちらも雑食性で、カシワ以外にもコナラ科やバラ科の植物を食樹としています。写真の固体は黒味が強いですが、ライトグレーの落ち着いた色調の個体もよく眼にします。
こうした毛虫や芋虫も、数が少なければ問題ないのですが発生数が多いと、問題になってきます。特にリンゴやモモ、アンズやウメ、ブルーベリーなど農薬の使用を前提に品種改良された果樹は、虫の嫌がる何かが足りないのか?集中して食害されがちです。放置すると葉っぱがなくなり丸坊主にされてしまいます。
とはいえ、殺虫剤は使用したくありません。そこで殺虫剤の代わりに我が家で愛用しているのが殺虫「材」。竹を割って作った竹製のピンセットです。作り方は簡単。ナタで適当なサイズに割った竹二本を銅の針金で巻き、二本の竹の間に適当なスペーサーをさしいれます。竹の弾力を使ったピンセットです。
これをたくさん作って果樹、1本1本にぶら下げておきます。そして毛虫を見つけるたびに、「ゴメンね」といいながらこれでつまんで地面に落とし、足で踏み潰します。これだと薬を使うわけではないので、つぶされた毛虫はアリのエサになります。これなら生態系を崩しにくいように思うのです。
追記:
マイマイガの幼虫は外国のアニメのモチーフになっている……と書いてしまいましたが、ニャッキは日本のクレイアニメです、と指摘いただきました。ついでなのでマイマイガの幼虫の顔の写真のアップを追加します。
ね、なんとなく、愛敬あるでしょ! まさにニャッキ。
マイマイガに似た顔の毛虫は他にもいて、こちらはオオヤママイマイ。なんだかさらに表情があるように思いませんか? ちょっとアンパンマン風?
もう、この際だから、他の写真も追加してしまいます(ブログの閲覧者が減るんだよなぁ、毛虫を載せると……)。
こちらは、カシワマイマイの灰色バージョン。こちらの方が見かけることが多かったりします。
そしてこちらは、イモムシマニア憧れのシャチホコガの幼虫。この時期、緑の葉の間に点々とあるコナラの枯れた葉っぱに色、形共にそっくりな形で擬態しています。普段はこうして新体操の選手のようにアクロバティック姿勢で固まっています。
ところが、アリが近くにやってくると、今度は突然、脚を広げクモに大変身。
こんなのを見つけてしまうと、すっかりトリコになってしまうのでした。で、この世界にさらにもっと深くドップリとはまりたいという人にオススメの本が、以下の写真の「イモムシ」という名のハンドブック。
自由の森の元教員、安田さんが書かれ本で、イモムシという名前ではありますが、安心してください。毛虫もたくさん収容されています。