長野県の原村で、日本EVクラブ主催、八ヶ岳ヒューマンエナジーの協力による「ジャメ・コンタント・オマージュ」という電気自動車の組み立て講座が行われ、その様子を取材させていただきました。ジャメという車両、それに組立教室というイベント自身もとてもユニークなもので、日本の自動車趣味の世界もついにここまで来たか……となんだかとてもうれしくなるくらいに素敵なイベントでした。このイベントの模様は次号(10月26日発売)のオールドタイマー誌で紹介させていただこうと思っています。
ところで、今回のイベントの主役であったジャメ・コンタント・オマージュという車両も、そして今回偶然にも試乗させていただくことができたコムスという電気自動車も、道路運送車両法上では原動機付き4輪車(通称、ミニカー)とうカテゴリーに分類されます。
原付4輪は、総排気量50cc以下(または定格出力0.6kW以下)で、なおかつサイズが全長2.5m以下、全幅1.3m以下、全高2.0m以下である必要があるのですが、このカテゴリーは原付なので車検がありません。しかも、同様に車検のない小型特殊の一般車両が15㎞/h、農耕車でも35㎞/hであるのに対して、道路交通法では原付4輪は原動機を有する普通自動車と分類されるので最高速度は60㎞/hまで許されているのです。オリジナリティがあって、エコロジーなクルマを作りたいという自動車趣味人にとっては、これは素晴らしいカテゴリーのように思えたのでした。
↑これがジャメ・コンタント・オマージュ。世界で始めて時速100㎞/hの壁を破ったクルマがジャメ・コンタント。世界で始めて100㎞/hを超えたのは、ガソリン車ではなく、電気自動車だったのです。外観はそのまま、それを現代の技術でオマージュしたのが今回組立られたジャメコンタントオマージュ。木骨は原村の「風の森」が担当。
↑ボディの下には、ケージ型のスペースフレームがあり、そこから前後共にダブルウッシュボーンが生えているというシンプルながらもマニュアックな構造。上の写真は取り外した状態ですが、角パイプでできたケージ型のフレームの外側には、木質の構造用合板が張られ、セミモノコックフレームのような構成で剛性を増しています。ハイテンションスチールと木の組み合わせというのも、未来的で素敵です。
動力はネオジムタイプの永久磁石を使ったブラシモーターをツインで装着。フェライト磁石を使ったものに比べ、このタイプのモーターは小型な割りに高出力を発生させることができるとのことでした。自動車の動力を語る場合、今後はこんな風にモーターの特性を語るようになるのかもしれません。
↑こちらはトヨタ車体が作った電気自動車のコムス。後ろを追いかけたのですが、ウチのポンコツJEEPではとても追いつけないほどの加速性能でした。
隣の芝生かもしれないけど、なんだか原村は素晴らしいところのように思えてきてしまったのでした。村をあげて天ぷら廃油自動車や電気自動車に関する取り組みが行われていたりします。電気自動車の現状での問題点は、長距離の際の航続距離。村内に電気自動車のための急速充電器を備え、電気自動車による観光の拠点作りなどを考えていたりします。今後、エコロジー的な意識の高い人たちを中心に増えるであろう電気自動車の拠点を作ることで、優良なお客さんを誘致したいと考えているようです。
村内を走ると、剣道のお面のようなフロントマスクのディーゼルトラクターがたたずんでいたりしました。このトラクターの動力を天ぷら廃油仕様に改造し、ギア比を変えてスピードが出るように変更し、原付4輪登録できないだろうか?などと、澄んだ空気の広い空の下で思ったのでした。
ジャメのスペックはこちらも参考にして下さい。
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