某国会議員(河野太郎ですけど)が、世の中の仕組みを変えるのにもっとも効率がいい方法はなにか? デモ行進はどうか? と問われて、「地元議員へ手紙を書いたり電話をしたりすることの方が効果があるのではないか?」と話していました。大勢の人がデモに参加したとしても、それをメディアが取り上げてくれなければあまり意味がない、と話していました(確かにそうかもしれない……)。地元の意向を伝える代表者である議員に働きかけをすることがおそらく一番効率がいい、とのこと。そこで、とりあえず以下のような手紙を書いてみました。
前略 後藤ひとし 様
南足柄のお茶から基準値500ベクレルを超えるセシウムが検出されてしまいました。南足柄は原発から300㎞、原発からの距離ではここ北杜市(350㎞)とそれほど大きな違いはありません。安全な野菜を厳選して提供している愛知の自然食のお店に、路地で完全無農薬で栽培したタラノメ(タラノメ畑は切り口から立ち枯れ病の菌が入ることを嫌うため、除草剤で管理されることが多い)を発送することになっていたのですが、今回の事故により発送をやめることにしました。しかしこれは風評被害ではありません。子供に影響を与える放射線の線量は積算値で評価されるべきものなので、たとえ基準値を下回っていたとしても、それらを積算していくことによって年間の内部被曝量をあげてしまうことになります。
ご存知のことと思いますが、現在行われている放射線量の検査は食品衛生法に基づいて行われているので、ヒトが食べる状態での検査です。そのため、ほうれん草などの野菜類は検査の前に念入りに水洗いすることが許されています。一方、お茶は、茶葉を洗ってから飲用するのは(日本茶では)一般的ではないので神奈川県では検査前に茶葉を洗っていないとのことです。葉物野菜などとは、その違いが出た可能性があります。
ところで、今回の事故は考えようによってはとても運が良かったと、見ることが出来ると思っています。幸いなことにメルトダウンしたときの燃料の凝縮が分散していたか、あるいは一気にではなく少しずつ溶け落ちてくれたか? そのため偶然、幸いなことに大規模な水蒸気爆発や暴走的な再臨界は起こらなかったものと思われます。またその時点では落下先にもまだそれほど多くの水がたまっていなかった可能性があります。そのために今回は(いまのところ)炉心直下での水蒸気爆発は免れました。これはとても運が良かったというだけであり、今回、大きな水蒸気爆発が起こってしまう可能性はかなり大きかったと私は思っています。仮にそうしたことが起こってしまい、風向きがたまたま東風だったとしたら、「東京放棄・30年以上」という現実も起こりえる状態でした。その場合は、東京だけでなく、茨城や埼玉千葉なども大きな影響を受けるわけで、これだけ広い地域にヒトが住めなくなってしまったら、日本全体が大きなダメージを受けていたことが予想されます。その可能性が、それほど低いものではなかったといえるのが現実だと思います。
今回、わずかな量とはいえタラノメが出荷出来なかったことで、長年かかって作り上げてきた家や畑をを放棄しなければいけないということを、現実のこととして捉えることが出来ました。福島の人たちはさぞかし無念なことと思います。
廃棄物の問題ひとつを捉えて調べてみても、原子力というエネルギーは人間のコントロール下にあるとは私にはとても思えません。しかも、夏場のピーク電力を減らすだけで全体の発電量は大幅に減らすことが可能であり、原子力に頼る必要がないということはすでにご存知のことと思います。しかもピーク電力の抑制はドイツやアメリカなどに倣って法律を少し改正するだけで可能であり、これは国会議員の仕事です。伝えたいことはまだまだありますが、長くなるのでこのあたりにしておきます。良識ある民主党議員のひとりと思っていた方が、新聞社が行ったアンケートに対して、「今後も原発に頼らざるをえない」と答えたこと、とてもとても残念でなりません。