写真の「植木バサミ入れ」のつくり方を知りたい、というメールをいただきました。
この植木バサミ入れはアオツヅラフジという野草で作られています。このつる植物は都会の住宅街のフェンスにも生えている、とても身近な植物です。しかもアケビなどよりもしなやかで急角度に曲げやすく、しかもクズのようにカビが生えません。アオツヅラフジの写真を探したのだけれど見つからないので、近く撮影して掲載させていただきます。とにかくオススメです。
↑これがアオツヅラフジ。晩秋に紫色の実をつけます。また、冬、葉が枯れていても若くて細いツルは緑色をしています。だから冬の方が見分けやすく、収穫は冬の新月の日が適しています。
で、つくり方ですが、植木バサミ入れの場合、ちょっと形が複雑なので、骨組みには銅の針金を使っています。形を作るための縦のラインを銅の針金でつくり、編みやすいように上部は開放しておきます。そこにアオツヅラフジの細い茎を銅線に対して交互に通して編んでいきます。それとは別に、ズボンに引掛けるためのフックをつくります。これは少し太めの鉄の針金をペンチで曲げたもので、成型後、金づちでちょっと叩いてあります。丸断面の針金がD断面になるだけでも、剛性が出るのです。編みあがったら、鉄の針金で作ったフックに銅線をからげればそれで完成。
最近は洋式の剪定ばさみが全盛ですが、日本の植木バサミも捨てたものではありません。洋式の剪定ばさみは、ケンカの度合い(はさみの刃の合わさり具合)が一定で、切る枝の太さが限定されているのですが、日本の植木バサミは、刃と刃のクリアランスが大きく、ケンカの具合は切るものに応じて人間の手が調整することになっています。そのため洋式の剪定ばさみでは、ある程度の太さの枝は誰が切っても切れますが、紙のような薄いものを切ることは出来ません。日本の植木バサミは刃のケンカの具合を人間がその都度、相手に合わせて調整できるように作ってあって(そのために指を通すところがループになっている)、薄い紙から太い枝まで切ることができます。包丁で切りにくいもの、たとえば豚骨だとか、ルバーブだとかも、ウチでは植木バサミを使っています。でもその同じ植木バサミでティッシュもサクッと切ることができる、というのが日本の植木バサミの凄いところだったりします。