残飯で動くチキントラクターを作ろう! その2

 前回のブログの続き、チキントラクターを作ろう!の「その2」です(「その1」をまだ読んでいない方は「その1」から読んでいただけるとありがたいです)。
 廃材主体でどうにか骨組みまではできたのですが、さて、このあと屋根をどうするか? 悩みどころなのでした。

 というのも、横幅を波板の幅に合わせたつもりで外寸660ミリで作ってしまったのですが、それだと軒のほとんどない屋根になってしまいし、雨が降ると側面の骨組みが濡れてしまいます。木だからできればあまり濡らしたくないのです。
 波板はサブロク板をベースに作られているのですが、波に加工されているので横幅は660ミリ前後(正確には655ミリ)になってしまっているのでした。二枚重ねればいい(普通は2〜3波重ねます)のですが、親子そろってケチなので、ここはどうにか一枚で済ませられないかと、波を伸ばすことに。2枚仕様だと重くなってしまうということもあります。

 大ハンマーを縦にして波をたたき、波板を伸ばします。イギオヤジの影響か?最近はサビののった廃材波板が人気だったりします。この作業で波板は700ミリくらいになったのですが、それでもまだ軒が小さくて、木の骨組みが濡れてしまい耐久性に問題が出そうです。
 そこで仕方なく発想を転換。相じゃくりの長めの薄板があったので、それで屋根を葺くことにしました。

 まずは節穴の部分から雨が漏れないように、目止めをします。手元にあったベンガラ色の自動車用ラッカーパテを使用。厚付けはできない(内部が乾かない)のですが、ポリパテと違って扱いやすく、節にあるヒビを埋めるには最適。

↑こんな感じの節のヒビを、

↑こんな風に埋めることができます。
 これはなかなかに名案!と調子にのっていたら、節(ふし)の部分がそっくり抜けてしまう「死に節」が登場したのでした。ラッカーパテでは接着はできないので、ここは木工用ボンドで節が抜けないように接着後、パテで埋めようと思っていたのですが、硬めの木工用ボンドで節を接着したら、節の中のヒビも埋まってしまったのでした。

 ラッカーパテは上塗り塗料を何度も塗り重ねないと消えないので、どちらかというと、(塗装を上塗りして防水するのであれば)木工用ボンドでヒビを埋めるほうが正解だったかもしれません。
 また、木工用ボンドはこんな風にビニール袋に入れ、上部をリユーサルなタイラップでしばり、下部の角から細く出すようにすると、お湯を加えてもみほぐしやすく、使いやすかったりします。

↑木工用ボンドでヒビを埋めるとこんな感じ。白い部分は時間がたつとほぼ透明になります。
そして次は塗料の物色。
いまから18年前、家を建てた時に使った塗料を発見。18年前の塗料のフタを恐る恐る開けてみたのでした。

↑フチはサビでボロボロ、そしてサビが塗料に落下……だけどなんとなく使えそう。
 試しに板に塗ってみます。

 とりあえず硬化もするし、使えそうな感じ。この塗料は家の玄関用に18年前に購入したもので、水性の艶なし塗料。元ハンズ社員の中村ケンジさんによれば、水性塗料は防水性能に優れていて、石膏ボード(=表面は紙)の表面に塗装すれば雨ざらしでも、案外持つ、とのことでした。
 自作のローラーで、目止めを終えた板にグレイッシュな黄緑色の塗料を塗ります。

↑一度塗りだけでは、ラッカーパテの補修箇所が透けてしまっているのがわかるでしょうか? そんなわけで、防水強化も兼ねて二度塗りしました。

 ついでに、ポモナカートのホイールも同色に塗装。元色は薄いピンク色に見えますが、25年前は鮮やかなレッドでした。
 さて、屋根の骨組み。
本当は防水紙を貼りたいところだったのですが、それには野地板が必要で、野地板を貼ると重量がかさんでしまうので、フレームだけでどうにかごまかします。

 棟(むね)の部分は、ちょっと小細工。屋根に貼る板は薄板なので反ってしまうので欠き込みを刻み、木端をそこに刺すことにしました。

「溝切り」のような高価な道具は持っていないので、丸のこで代用。

刃の深さを調整し、自作のタテ切り用ガイドを使って刃の厚み分ずつずらしながら溝を刻みます。

↑これが自作のタテ切り用ガイド。茶色の12ミリの板の底に丸のこの台のオフセット分90ミリずらして2ミリ厚の合板を貼ったもの。さらに合板の下には滑り止めのゴムのメッシュを貼ってあります。これ、縦に材を裂く際にとても便利。定規の代わりにもなるし、材を罫線通りに斜めに切る際にも重宝します。
 塗装が乾いたら板を屋根に貼ります。ここでまたまた問題発生。
今回使用した相じゃくりの薄板は未使用の廃材。つまりは何らかの原因があって大工さんがハネた材料なのです。
「死に節」が多いのは木工用ボンドによる下処理でどうにかなったし、板目材による反りは小口をフチに刺すことで強制的に修正することでどうにかなりました。
 ところが板の「曲がり」や「捻れ(ひねれ)」はいかんともしがたく、どうしたものか……と悩んでいたら、比較的いい解決方法を思いつきました。

 今回の場合、目地間が揃っている必要はないので、「曲がり」は丸のこで縦に裂き、まっすぐに製材し直すことで解決できます。
 もうひとつの「捻れ」が問題で、重しをしてクセを直してみたのですが、それだけではどうにも心もとなく、結局、目地の部分に鈑金屋根の「瓦棒(かわらぼう)」のように目地板を打ち、それで強引に抑えてしまおうことにしました。

 結果、こんな感じになりました。目地板はカンナで表面をツルツルに仕上げ、雨落ちがいいように角も大きめに面取りしました。
 その上でさらに、目地板と屋根材との間にシリコンシーラーを打ちました。

 シリコンシーラーをキレイに打つコツは、常にウエス(プロはロールのトイレットペーパーであることが多い)を片手に持ちながら作業を行い、材から離したらその都度、コーキング剤の口を拭くこと。
 ところでコーキングといえば、高速道路のパーキングエリアの男子トイレです。ちょうど目の位置あたりをコーキング処理していることが多いのですが、目立つ部分だし、上手な人と下手な人の差が大きく気になるのでした。オシッコをしながらも思わず「おっ、この人、うまい!」とか「こりゃぁ、下手くそだぁ」とかつぶやいてしまうのだけれど、声に出すと隣の人に訝しげにのぞき込まれるので心の中でつぶやきましょう!


 産卵室は卵が取り出しやすいように、左右の側壁が開く構造としました。

 この期に及んでお金を使いたくなかったので蝶板をケチり、開閉部はすべて留め具式の開閉としました。横にずらして手を入れるところだけあけることができたり、トビラで鶏を追ったりできるので、案外これは使いやすかったりします。

産卵室の底は引き出し式の箱になっていて、箱の中にはモミガラが敷き詰められています。

 そして肝心要の車輪。前側にオフセットされているので、後ろ側を持ち上げると、車輪だけが接地するという寸法です。

力のかかるところなので、この部分はコーススレッドではなく、ボルト&ナットで厚い板にきつく締め付けて固定してあります。
 そしていよいよ、試運転。

最前部の最低地上高が少なめですが、少なくとも舗装道路では擦れることもなく、快調に動きます。重さも案じていたほどでもなく、10メートルくらいであれば、女性でも楽々移動できそうです。

おいおい、どこまで行くんだよぉ〜。


そして設置完了。鶏を入れ、ルッコラを蒔く予定の畝(うね)の上に置いてみました。

おーい、もっとウンコだせー。そして土をほじくるのだぁ。

化石燃料を使ったトラクターのように、あっという間に、とはいきませんが、人が家の中で食事をしている間も、そのあと昼寝をしていても、鶏たちはコツコツと土を耕し、肥料をまいてくれているのでした。
 また、自給用の栽培では、一度にたくさんタネまきしないことも大切なこと。それよりも時期をずらして、タネまきの回数を増やすことが重要。その点でも、チキントラクターによる耕転はちょうどいいサイズなのではないかと思います。

 廃材を使った地球に優しいアップサイクル? やっと、どうにか完成! 
あー、楽しかった! 
薪割りもストレス解消になるけど、モノづくりはやっぱり楽しい!

そしてモノを作っていると、いろんなことを考えたのでありました。
 印象に残っているひとつは、これ「自分たちの家族用」だからこんなに楽しいけれど、毎日の仕事だったら、手間をこんなにかけることはできず、従って、廃材なんかも使えないのではないか? 
 また、毎日、同じ作業をやるというのは、上達の楽しみはあるだろうけど、そして効率もあがるのだろうけれど、それをいつまでも「楽しみ」として捉えることは難しいのではないか? という問い。
 「効率」を優先すればするほど、「楽しみ」は失われてしまうようにも思えて、でもせっかくだから、どうせなら、一度きりの人生、生きるための作業まで含めて「楽しみたいよなぁ」なんて思ったのでした。
 そして、こうしてブログに書いてみたら、こんな小さなプロジェクトでも、たくさんの友達に助けられていることを改めて確認することになりました。みなさん、ありがとう!