Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


山は秋、自然の恵みをいただく休日

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家族でマテバシイを拾いに行った友達家族の姿があまりにも素敵で楽しそうだったので、「よし、稲の脱穀が終わったらひと段落だから、ウチも!」と宣言し、きょう、やっとその日を迎えることができたのでした。
マテバシイは南方系の植物で、このあたりにはないので、我が家は逆に標高を稼いで、白州には少ないヤマブドウ&サルナシの採集に行くことにしました。

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家からクルマを走らせること30分。なんと最寄りの100円ショップよりも近くに、ヤマブドウ採集の穴場はあるのでした(実は北杜市には100円ショップがないのです)。
しかもこの舗装道路、2時間近くも遊ばせてもらったのに、通った車両は5台。しかも、そのうちの3台はチャリンコ、というヤマブドウの採集には最高に恵まれた環境なのでした。ヤマブドウやサルナシの結実にはある程度の日当たりが必要で、深い森の中よりも道路脇のような日当たりが確保されたところに多産地があるのでした。
この日、近くの観光地では収穫祭が行われいて、そこは臨時駐車場までクルマが満杯。遠くの駐車場からシャトルバスがでていました。一方、ここではひとりも、人とはすれ違いませんでした。

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↑ほとんどクルマが通らないのでハイキングコースとしても最適。霧が立ち込み、幻想的な風景が広がります。

 

でも、今回は先客がいた模様で、取りやすいところのヤマブドウやサルナシはなくて、ちょっと無理しないと採れないようなところに多く実っていました。

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ヤマブドウ採りの女、橋から転落……」

などというニュースにならないように注意しながら慎重に採取します。

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↑サラナシ、じゃなかった、サルナシを採取中の娘。

小学生の頃、学校に行く途中の道草で、サルナシ採取中に木から落ち、病院に連れて行かれた前科者でもあります。

いまは木に登らなくても、ホルダー付きの高枝切りという便利な道具があるのでした。

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これがサルナシ。キウイを小さくしたような味の果実で、ドライにして保存しようかと思い、たくさん収穫してしまいました。

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そしてこちらがヤマブドウ。タネが多く大きくて果肉は少ないのですが、果皮に含まれる色素やタンニンは多く、青い宝石とも言われる美しいワイルドグレープなのでした。

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久しぶりの休日、あー、楽しかった(でもまあ、毎日、遊んでいるようなものですが)。

お米の収量を測る便利な道具

収穫したお米の軽量、これまでは体重計に∩型の台を載せ、表示部が隠れないようにした状態でハーベスタ袋を載せて測っていたのですが、こいつはかなり便利です。
吊り下げ式デジタル重量計

体重計だと、ハカリのあるところまでハーベスタ袋を移動しないといけないのですが、これだったら袋の取っ手にベルトを通し、その場でただ持ち上げるだけ。

本来は旅客機の小荷物の重量制限に引っかからないようにするため、あらかじめトランクの重量を測ることができる、という目的で開発されたらしいです。旅行の行くとき、靴下ひとつでも減らしたい方なので、こんなの持って旅行に出かける人の気持ちはどうも理解できないのですが……お米を測るにはかなり重宝します。
どうも売れてるらしくいまやamazonで1000円以下で購入可能
バネばかりと同じように使えそうなので、うまく使えばトルクレンチにもなりそうです。

以前紹介したトルクレンチの記事はこちらから。

満身創痍の脱穀機(ハーベスタ)の整備と鈑金

今年も稲がたわわにタネをつけてくれる季節を迎えることができました。ああ、ありがたい。

数日前のことですが、ハサガケしたお米の乾燥具合を測ってみたら、天日干しをしたのは前日だというのに、日当たりのいいとこはもうすでに15%台。美味しいお米を収穫する最大のコツは水分量、特に干し過ぎないことのようにここ数年感じています。
てなわけで「これはマズイ!」と慌てて脱穀機(ハーベスタ)の整備に取りかかかったのでした。

オイル交換の履歴を調べたら、なんと2014年から交換していないことが判明したので、まずはオイル交換。
ドレンボルト(オイル抜きの穴)のある側を低くするため、機械を傾けます。クローラー(キャタピラ)の場合、傾けるのは簡単。下に木っ端を噛ませればいいのです。

傾斜させるのに坂道を使ってもいいのですが、オイルを抜いたあと、フラットな場所でエンジンオイルの量を点検する必要があり、オイルを入れてからではないとエンジンをかけたくないので、エンジンをかけなくても簡単にフラットにできる場所がベターです。

その状態で、ドレンボルトを緩めるとオイルが出てきます。測ってみたら抜けたオイルは約500ccでした。脱穀機はほぼ全開で何時間も回し続けるのでエンジンは意外と過酷な状態に置かれています。そんなわけでほんの僅かなオイルなのだから、ケチらず、安いオイルでいいから頻繁に交換してあげたほうがいい、などと思っているのだけれど、ゴメン、ゴメン、3年もサボってしまいました。ゴメン。

そうでなくてもこのハーベスタ、満身創痍なのでした。
稲わらが噛んでしまい、ひしゃげてしまったプーリはかなり強引な鈑金作業で直してあります。

使っているうちに振動でだんだん緩み、エンジン回転がひとりでに下がってしまうスロットルレバー。知らぬ間にエンジン回転数が下がってしまうと、脱穀したモミを吸いあげる力も弱くなり、途中経路で詰まりを起こしてしまうのでした。機械の中でお米が途中で詰まってしまうトラブルの多くは、案外スロットルレバーの緩みが原因であることが多いように思われます。で、振動でスロットルレバーが動いてしまわないように、レバーの先端に穴をあけ、ヒモでツッカエ棒ならぬ、ツッカエひもを自作。これでかなり米づまりの症状は少なくなりました。

腰に手ぬぐいをぶら下げていた拓郎と違って(若い人たちは知らんだろうけど)、このハーベスタは腰にペットボトルをぶら下げています。
これは何に使うのかというと……

こんな感じで使います。農業機械の多くは、汎用エンジンをなかば強引に取り付けているので、オイルが抜きにくかったり、給油がしにくかったり。底を切ったペットボトルが活躍するのでした(中にゴミが入らないように切り取った底も入れ子にしてはめておきます)。

そして、これもオススメアイテム(と言うほど大したものではありませんが)。ハーベスタを軽トラなどに載せて運搬する際、シフトレーバーの取付部をトラックのアオリに当てた状態で固定することが多いように思います。でもそれをやると、車重がシフトレーバーの取付部にかかってこの部分を破損してしまうことがあります。写真は、アオリにシフトレーバーを当てずに、ハーベスタを固定するためのスペーサー(と言っても、ただの4寸柱の木っ端ですが)。
たこのスペーサーは横にして使うことで、バインダーのタイヤと軽トラのアオリとのスペーサーにもなります。
トラックに乗せて運搬することの多いこの手の農機の場合、こうしたスペーサーを作っておくことが機械を傷ませないポイントのひとつのように思います。

そして今回のメインの修理は鈑金作業。
先日、麦の脱穀の際、思いのほか時間がかかり、機械をコンテナにしまうころにはあたりは真っ暗になってしまったのでした。
あいにく月もなく、暗闇でヘッドランプもなしで、あわてて作業をしたら、足場板がひとつ外れてハーベスタを倒してしまい、外装部品がひしゃげグニャグニャになってしまったのでした。
で、久しぶりに鈑金道具の出番。昔、サビ取り雑誌をやっていた関係で道具だけはひと通りあったりします。

「潰れてしまったパネルは、元の姿に戻りたがっているから、まずはどこを押してほしがっているか、まずはそれを見極めることが大切」と昔、師匠(ケルン石塚氏)に教えていただきました。闇雲に叩き始めないことが肝要なのだそうです。
さらに、叩く場所は分かりやすいけど、裏にあてる当て板をどこに当てるか、それが大切で、それをしっかり考えてから叩く、ということも教えていただきました。オフドーリーと言って裏から当てる当金を叩く場所からズラして当てることが初期の粗出しでは多くなります。
プロと違ってそれらの見極めには時間がかかるのですが、大切なのは叩きすぎないこと。特にオンドーリー(ハンマーで叩く場所の裏側に当て板をあてる)では、金属は伸びやすく、一度伸びてしまうとそれを素人がハンマリングで縮めることは難しく、なるべく叩く回数も少なくしたほうがいい、とのことでした。
そしてこれが鈑金前。

こちらが鈑金後。

素人鈑金だけど、どうにか機能的には問題なさそうなところまで復元することが出来ました。
鈑金した部品を装着し、さっそく試運転。残念ながら問題なしというわけにはいかず、部品と部品の間に少しスキマがあってそこからお米がこぼれてしまうことが判明。
こうしたときはガムテープでベロをつけるのが簡単なのですが、でも手元にガムテープはなく取りに行くのも面倒なので、そのへんにあるもので修理。「藁一本の革命」ではないのですが、ありがたいことに藁一本で革命的におもらしはなくなったのでした。

そしてついに、脱穀開始。

と思いきや、畑の空き地に掛けたハサガケの三脚が沈み、再び軽トラに稲を載せ場所を移動することに。
今年お借りした田んぼは、10月から圃場整備にかかるとのことで、田んぼに稲を干すことが出来ず、畑の空いているところに干そうと思ったら土が柔らかくて三脚がどこまでも沈んでしまうのでした(当たり前ですね)。

いろいろ悪あがきをしてみたのですが、結局ダメでした……。

とまあ、相変わらずの行き当たりばったり、てんやわんや田んぼ作業ではありますが、今年も家族が1年間食べられる分くらいのお米は収穫することができました。
ありがとう太陽、ありがとう大地、そして命をありがたく、いただきます!

廃材と一斗缶の空き缶で作る「取手付き収穫カゴ」の作り方

どうも! ご無沙汰してしまいました。
こんなブログでも、いろいろな方がのぞいてくれているようで、長くお休みしていると「あいつ、生きてるのか?」と心配してくれる人もいるようなので生存報告を兼ね、今後はなるべく頻繁に更新するようにしたい! とネット上で宣言してみることにします。でも、まあ、なにもかも「テキトー」で「いい加減」な人間だから、その気持もいつまで続くことか?


で今回は、そのへんにあるものでテキトーに作った「取手付きのトレイ」の作り方の紹介です。Facebookでこんなの作りました、と完成品の写真をちょこっと載せたら、意外と反響があって、細部を知りたい、との声もわずかに寄せられたので、作り方をここで紹介させていただこうと思います(というほど大した作りでもないのですが)。

この夏からは畑が2反増え、合計で畑だけで約7反(2100坪)もの面積を使えることになったのでした。
おかげで、ぐうたら農法にもかかわらず収穫物の数も種類も増え、家族から「収穫カゴが足りない」との用命を受け、作ったものがこれです。

自動車やユンボやトラクターを天ぷら廃油で動かしているので、食堂から廃油をいただいてくるときの容器として一斗缶がもれなくついてくるので、我が家には一斗缶の空き缶がたくさんあるのでした。こいつをどうにか使いたいと、いろいろ試しているのですが、今回は縦に半割りにして「収穫用のトレイ」を作ってみました。
一斗缶の上部には、持ち運びのための持ち手がついているのでそこをよけて切りました。だから半割りと書いたけれども実際には半分ではなく、1対2くらいにオフセットしてカット。そのため、一斗缶ひとつで深いトレイと浅いトレイの二種類をつくることが出来ます。
切る道具はなんでもいいと思うのですが、比較的手軽でスピーディなのは、カッティングディスクとディスクグラインダーの組み合わせではないでしょうか。金属刃を付けたジグソーや金ノコ、両刃のタガネなんかでもいいと思います。とりあえず、そのへんにあるもので一斗缶を縦に切ります。
で、一斗缶を切ると切り口の処理をしないとケガをします。
切り口の処理としては割り竹ではさむ、というのが定番ですが、このときはそのへんに竹がなかったので、いま身近にたくさんある製材カスである切端(せっぱ)を使ってみることにしました(この切端、薪用にとマハさんからいただきました。ありがとうございます)。

一斗缶の切り口に切端を被せるには切端に溝を入れる必要があります。試しに溝切りを(普通の)丸ノコでやってみたら、具合が良さそうなので丸鋸で溝を作ることにしました。
まず、切端の真ん中(あるいはオフセットした)あたりに線を引きます(墨を打ちます、ピンクだけど)。

次に丸ノコの刃の出具合をテキトーに調整します。深いほうがグラグラしないし、取っ手用の柄もしっかり固定できます。

切端を台にクランプでくわえさせて、丸ノコで溝を刻みます。丸ノコにガイド定規などを付けて切る方法もありますが、墨が打ってあればそれを見ながら切ることでガイドなしでも大丈夫なだと思います(少しくらいなら曲がっても問題ありません)。

で、切端に切端を被せるとこんな感じになります。切端の固定は、捨てずに取っておいたテキトーな電線から銅線を取り出して使用。銅線の端部も処理が必要で、木にドリルで細穴を掘って、銅線の先端部はその穴に刺し込みました。

こんな感じです。

取っ手の柄は、ナベねじ2本で固定。金属用のドリルで下穴をあけ、一斗缶の金属部分を突き抜ける形で固定してみました。

コーススレッドも便利でいいのですが、この手の細いナベねじ(写真は軸径3ミリ)があると便利です。

取っ手側も同様。下穴をあけたあと、長めのナベねじで2本で固定。取っ手(手に握る部分)は、近くの川で拾ってきた流木です。、

そして、完成! パクチーが山ほど採れてもこれがあれば安心なのでした。

水稲の育苗の備忘録2 催芽と出芽・虫草農園流(つまり、かなりいい加減)

育苗作業はどこまで手を抜いても大丈夫か? そのあたりの検証も兼ねた、ぐうたら備忘録、「水稲の育苗の備忘録1」からの続きです。

備忘録1では、種モミの温湯消毒から浸種までを紹介しました。備忘録2では、クーラーボックスを使った催芽などを紹介させていただきます。

↑発芽の促進と時期を揃えるためにタネモミを浸種します。規定の時間ちかく浸種を行うと、モミは少し透明になり、白い胚の位置が分かるようになってきます(浸種の時間や方法など詳細については備忘録1を参照してください)。
規定時間の浸種が終わったら「催芽」という作業に入ります。これも発芽の時期を一定に揃えるために行う作業で、32度の温水に15〜20時間程度漬け込みます。
 お湯の温度をできるだけ一定に保つため、ウチでは保温ボックス(=クーラーボックス=Colemanのかなり古いスチールベルト)を使用しています。

↑保温ボックスに35度前後のお湯(モミを入れると温度が下がるので少し高めがいいように思います)を入れ、そこに浸水しておいたモミを漬け込み、時々水温を見ながら32度をキープする、というのが去年までの「催芽」の方法でした。
 そして今年からは新兵器が登場。

サーモスイッチ付きの熱帯魚用ヒーターです。amazonで1600円でした。

↑熱帯魚用のサーモスイッチ内蔵ヒーターは、設定温度が26度に固定されているものが多いのですが、これはアジャスタブルなサーモスイッチ付き。最大34度まで目盛りが付いています。

↑ヒーターは100Wですが、クーラーボックスだとあまり温度は下がらず、ヒーターがオンである時間はかなり短いようで、電気料金に換算すると催芽の終了までヒーターの電気代は10円にも満たない金額でした。

↑催芽に要した時間はどのくらいか?というと、デジタル写真のデータを調べてみたら、上の写真を撮ったのが2017年4月13日の8時20分。そしてその上の写真を撮ったのが2017年4月12日の11時01分。作業をしてから写真を撮るまで、数分のズレがあるとしてして、32度近辺だと約20時間ほどで上記のような状態になるようです。
 催芽完了の目安は種モミを見てみて、芽が1ミリ程度出た状態がベターで、芽が1ミリ異常出てしまい根も出てしまうと出過ぎ、と言われています。

 催芽と並行して、種モミを播くための育苗箱や床土を用意しておきます。
■育苗箱(苗箱)■
 水稲用の育苗箱には、稚苗用(主に機械植え用)と中苗用(手植えや特殊な機械用)の二種類があります。

↑写真の上が中苗用、そして下が稚苗用。いずれもひとつ100円前後で、コメリや農協系のお店で手に入ります。昔は苗をつくったけれども、いまは苗を買っているという兼業農家の方も多く、使わなくなった苗箱の処分に困っていたりして、うまくするとたくさんいただける場合もあります。

↑中苗用(写真の左側)は、箱の底の穴が大きく数が多いのが特徴。稚苗用(写真の右側)は底の穴が小さく穴の数も中苗用にくらべて疎だったりします。

■床土(とこつち)■
 育苗箱などで苗を育てるための土を床土といいます。床土は自分で作ってもいいのだろうけど、苗箱によって自作品を少し交えつつも、苗作りの失敗が怖いので多くの方は市販の床土を使っているようです。市販の床土には、肥料の入っているものと入っていないものがあるのですが、虫草農園では肥料の入っているものを使用しています。

 よく園芸書などに「水はけが良く、なおかつ水持ちのいい土壌……云々」と書かれていたりするのですが、「そんな土あるわけない!」と思っていたのですが、市販の床土はまさにその典型。粒子状で水はけが良いけれどもひとつひとつの粒子は水持ちがいいという理想的だったりします。その一方で自分で作った土は水はけが悪いのに乾きやすく、そのあたりにも床土自作の研究の余地があります。

■土入れ■
 苗箱には土を入れる前に苗箱の底に紙を敷きます。古新聞でもいいのだけれど、苗箱のサイズにカットされた専用紙があり、それを使用しています。専用紙は500枚で600円前後、毎年、新聞紙を20枚このサイズに切ることの25年分と考えてしまい……市販品の誘惑に負けてしまいました。底に紙を敷くことで、苗箱から苗をロールのようにしてマット状に取り出すことができます。

 紙を敷いたらその上に、床土を敷き詰めます。苗箱のフチよりも10〜12ミリ低い位置まで土を入れ、その上にタネモミを播きます(苗箱の深さは30ミリだから深さ約18ミリの土を入れるということになります)。専用の定規板(下の写真の赤い板)が売っていてこれを使うととても便利。
■必要な床土の量■
 床土の量は、今回測ってみたら20kg入りの床土1袋で(覆土まで含め)5箱の苗箱に土を充填することができました。目安は1袋で5箱。たとえば20箱作るには、20kg入りの床土4袋が必要ということになります。

■たねまき■
 催芽させたタネモミを土の上にまくことを播種(はしゅ)と呼びます。
苗箱の種類が異なるのと同時に、育てる苗が稚苗(ちびょう=主に機械植え)か、中苗(ちゅうびょう=主に手植え)かで、苗箱ひと箱にタネまきするタネの量も異なります。

↑こちらは稚苗。催芽モミ(水を軽く切った状態)で稚苗は140g〜180gが基準値。今年(2017年)は140〜150gで武川米(農林48号=通称ヨンパチ)を播種しました。

↑こちらは中苗。苗箱ひと箱あたり100g〜120gが基準値と言われています。こどもたちと手植えするように、長粒の香り米であるハッピーチルドレンと、コシヒカリを播種。写真はハッピーチルドレンです。

■追記 乾燥したモミの状態のお米を8日くらい浸種すると、うるち米の場合、1.3~1.4倍になる模様(2017年実測)。
よって、苗箱1枚あたり、稚苗の場合で催芽モミ145g(ウチは植えるのを遅めにするので少なめ)だと、催芽モミ145g÷1.35=乾燥モミ107g
中苗の場合だと、水を吸った催芽モミ110g(中間値)÷1.35=乾燥モミ81g
たとえば、2019年のコシヒカリは、乾燥モミを1600g浸種したので、箱は1600g÷107g/箱≒15箱 ということで試してみようと思います。

 タネまきをするときには、こんな感じのカップがあると便利。

↑ヒラタケなどのオガ菌が入っていたポットを斜めに切ったもの。箱に土を入れたり、覆土を掛けたりする際ときにも便利だったりします。
■覆土■
 たねまきが終わったら、タネが隠れる程度に上から軽く土をかけます。タネの上にかける土のことを覆土といいます。

↑覆土は、肥料分の入っていない土でいい(がいい)と言われていますが、ウチではたねまきする量が少ないので覆土も、市販の床土をそのまま使っています。
■出芽育苗■
タネまきが終わったら、次に出芽という作業を行います。規模の大きなプロの方たちは、育苗期と呼ばれる専用の加温器を使って出芽させることが多いようです。
でも、わが家のような自給的な田んぼの場合は箱の量が少ないので、家の中に取り込み、薪ストーブの前に苗箱を重ね、保温のためにキャンプシートなどを被せて管理しています。
また、屋外でビニールトンネルの中で出芽まで育苗する人もいるようです。
長くなってしまったのでこの先の育苗に関しては「水稲の育苗の備忘録3」に続きます。

水稲の育苗の備忘録1 ・虫草農園流(つまり、かなりいい加減)

 なんだかこのところ備忘録ばかりでお恥ずかしいのですが、百姓にはやることがいろいろあって、一年もたつとすっかり忘れてしまうので、来年以降にまごつかないように、それと人から尋ねられたときに困らないように、水稲育苗の備忘録を記しておきたいと思います(できればその都度、書き足して年々、完成度を高めていきたいと思っています、のでアドバイスもよろしくお願いします)。



●1 どのくらいの量のタネモミが必要か?●
1反あたり3〜4kgのモミを準備するというのが一般的だそうです。
■面積の換算値:1反=10畝=0.1町=300坪=990㎡≒10アール

でもこれだと、ウチの場合にはかなり多めで苗が大量に余ってしまう感じです。田植えの場合、どのくらいの間隔で何本植えするか? で大きく違ってきます。ウチは、歩行型という原始的な田植え機を使っているのですが、植える本数は普通は2〜4本(田植え機としてはかなり少なめ)にセットして、ウネ間は30センチ(一般的な田植え機の場合、これは変更できません)で、株間は最大に近い25センチくらいかなぁ、にセットしています。だからこれだとかなり少ない苗でいけます。今年こそはどれくらいの量が必要だったかをしっかり見極めたいと思っています。
 ただ、多めに設定する必要性も理解しています。たとえば昨年は、某ホームセンター(ちなみにコメリではありません。いまのところコメリの土はいい感じです)から購入した床土が異常だったようで、その土に播いた稲はほぼ全滅でした。

↑ひとつおきに土を変えたのですが、某ホームセンターから購入した土で作った苗箱は成長が明らかに異常。このあと黄色がさらに強くなって枯れていったのでした。我が家の崖の土(肥料なし)にもタネモミを播いたのだけれど、それよりも成長が悪く、なんと枯れてしまったのでした)。ホームセンターに連絡したところ古い土だった可能性がある、とのことでした(←古いくらいで崖土よりも悪くなってしまうものだろうか?)。(←後日談:これ、ひょっとすると、私のミスで、値段が安いからと間違って床土用ではなく覆土用(肥料が入っていない)を買ってしまった可能性もあるなぁ、と先日ホームセンターに行って気が付きました)。
 前の年の土が余っていて問題のある土を使用したのは半分だったので、半部は助かったのですが、できた苗は通常の年の半分。でもどうにか間に合ったのでした。それには一箇所に植える本数を少なくし、株間を田植え機の限界まで広げたら、半分の量でもどうにか足りました。田植えが「疎」だと、株間、畝間に光が入る時間が長いから除草は多少大変ではあるけれど、そのあたりはある程度調整可能ということでもあります。


 2017年はお借りした田んぼが4畝と2畝の棚田(松山沢川の最上流)で合わせて6畝。4畝用に武川米(ヨンパチ)1,500グラム、2畝は半分に分けて、コシヒカリ300グラム、ハッピーチルドレン(ハッピーヒルと香り米の雑種でバスマティ系の香り米)を300グラム浸水。
■追記■2017年4月13日
武川米の場合、1500gの乾燥モミは、催芽後(水を切った状態で)約2100gになりました(稚苗用140〜150g×育苗箱12枚+残り400g≒2100g)。水を含むと1.4倍になる、ということのようです。
コシヒカリは乾燥モミ300gが100g(中苗)×箱3枚+残り90g=390g。約1.3倍でした。よって、乾燥モミは催芽させて水を含むと1.3〜1.4倍になりということでいいと思われます。


●2 比重選●

 比重1.13くらいの塩水(生卵が10円玉くらいで浮くくらい)で比重選をするのが一般的だけど、稲の個体の多様性を重視したい(もしかしたら比重の軽い小さなお米のほうが冷害に強かったりするかもしれない)という名目と、作業が面倒なのと、お塩が大量に必要でモッタイナイということもあって塩水選はしていません。
 モミをただの水に入れ、浮いてしまうものは取り除き、取り除いたモミはニワトリにあげました(精米してなくても食べた)。また、大量にやる人は、モッタイナイから洗って乾燥させ精米してヒトが食べるという人もいるようです。
塩水選やボーメ度に関して詳しくはこちらのブログをどうぞ。



●3 温湯(おんとう)殺菌

 60度のお湯に10分(あるいは58度に15分)、浸漬しタネモミを消毒するというのが温湯消毒。いもち病、ばか苗病、ごま葉枯れ病などの予防効果があると言われています。我が家は、除草剤を含めた完全無農薬栽培なので、周囲の農家の方たちに迷惑を掛けないためにも、温湯消毒は行うことにしています。
2017年は、量が少ないので大鍋を薪ストーブの上にのせ、そこで温湯消毒しました。
2回に分けて65度で浸漬したのだけれど、それでもモミを入れるとお湯の温度は下がってしまい55度くらいまで下がってしまったので15分浸漬。
お湯を沸かすまでは薪ストーブで行い、モミを浸漬してからはオンオフの火力調整が簡単なガスコンロを使うのが正解のように思います。2017年は4月5日に実施。


●4 浸種●

↑モミが少し透きとおり、胚の部分が白く見えてきた状態。
 発芽の促進と発芽を均一にするために、胚がモミガラを通して白く見えるくらいまで水に浸します。
浸種する時間は、水温×日数の積算温度が100度Cに達するまで、と言われています。
つまり10度Cで10日、15度Cだと約7日、20度Cだと5日。
また常に流水にさらしておく人もいるようだけど、発芽に必要な水分は種子重量25%で、最初の3日は水の交換は不要で、その後は1〜2日ごとに換水と記載されている手引書もあり、それでも酸素不足にはならないようなので、ウチでは面倒でない、後者の方法(家の中の大きな鍋に入れておく)を採用しています。それでもちゃんとに発芽します。

そんなわけで最初の4日間は室内(台所)に置いて置いたので水温は15度〜18度前後。5日目の夜、もう少し手をかけたあげたほうがいいのでは……と、屋外にあるキノコ用の散水の水漏れ箇所に移動。翌朝起きたら寒かったので、気になり水温を測ってみたら4.8度C。これはまずいと慌てて家の中に取り込みました。
浸種の際の低温による障害に関してはこんな情報もあり、4.8度はちょっと心配なのです。

↑キノコ散水の漏水で浸種を試みたのですが、温度が低すぎて早々に断念。それ以降は家の中の大きめの鍋に入れ、一日に1〜2回水を取り替えるということで(少なくとも2017年は)問題なく発芽しました。流水につける人が多いようですが、水温が低すぎると返って障害が出るおそれがあるとの説もあります。家の中だと水温は10〜19度くらいで、平均15度として7日前後でいいようです。


長くなってしまったのでこのあとの催芽や播種は「次のページ」で紹介させていただくことにします。

「コードレスチェーンソー Powered by 太陽」作戦

 お気に入りの作業着である、国鉄の頃の紺色のナッパ服(←もらい物)で丸太を伐るお嬢さんが手にしているのは電動のチェーンソー。しかもコードレス。そんなのオモチャみたいなもんでしょ! と思っていたら、これがなかなか優れなものなので驚いているところなのでした。

 薪を運ぶ軽トラも電動ケットラになり、セレナに続いて軽トラの燃料にも化石燃料を使わず、太陽光または天ぷら廃油の発電機でどうにか動かすことができるようになったのですが、とはいえ、薪を刻むのに燃料が化石燃料のエンジンチェーンソーを使っていることになんとなくちょっと抵抗があったのでした。そんなときに登場したのがこのコードレスのチェーンソー。そして同時に「あれねー、かなりいいらしいよ!」っていうウワサがいろんな方面から流れてきたのでした。

 実は……マキタの御曹司が高校のときの同級生で、彼の話をいろいろ聞いていて「ああ天皇家のようなところに生まれなくて良かったんだなぁ」などと、お金の不自由はないけど自由がないことの辛さを意識することができるようになったのだけれど(生前退位は特例ではなく、せめても引退制は制度として決めてあげなければいけないと私は思っています)、
 そんなこともあって社会人になってからも、いちおう影ながらマキタの電動工具を応援していたのでした。そんなわけでインパクトドライバーはマキタの18V。コードレス丸ノコやサンダーなども、バッテリーが流用可能なマキタのコードレスチェーンソーを手に入れたのでした。メーカーの思惑通りにしっかり囲い込まれている、とも言えなくもないのですが。

↑そのマキタのインパクト用18Vリチウムイオン電池をこのチェーンソーは2個直列に接続し、36Vで使用しています。とはいえスペアのバッテリーセットは中国製の格安の偽物(マキタ、御免!)。チェーンソー本体はネットで安い店を探し、バッテリー別で2万8000円+税で手に入れました。バッテリーはマキタ純正だと1個1万円前後(ちなみにマキタ純正はベトナム製)。中国製の互換バッテリーは4000円程度で手に入ります(が、私が手に入れた中国製は同じアンペアhのものでも使える時間が純正よりも短いように感じられます)。でもまあ、純正を充電している間の時間稼ぎ、ということではスペアのバッテリーセットがあるかないか、が大切なわけですが。

↑電動チェーンソーを手に入れてもそれを化石燃料で発電された電気で充電してしまっては電動を手に入れた意味がないわけで、なんとか太陽光をメインに充電したいと思っているわけですが、当初これらのバッテリーは、DCACインバーター(写真の中央)を介して交流100V用の充電器で充電していました。ところが急速充電による充電電流値が大きいことと、直流のバッテリーを充電するのに一度交流に変換するロスもあってかこのサイズのソーラーパネル&鉛バッテリーでは直射日光の元でも満充電に達しないことが多くありました。

↑ソーラーシステムの方をもっと大きなシステムに変更すればいいのですが、直流のソーラー発電からの変換ロスをなくすため以前から欲しかった直流12Vから充電できる充電器(DC18SE)を購入(マキタの純正品で1万円弱でした)。コードの先端にシガプラグが付いている方が直流12V用(自動車用)。右の交流100V用充電器(DC18RC)は入力電流が410Wなのに対して、直流12V用は70W。当然、出力電流(充電電流)も交流100V用が9Aに対して、直流12V用は2.6Aと小さいので満充電までの時間はかかってしまうのですが、インバーターによる変換ロスなどがなくなるためにこれだったら比較的小さなシーラーシステムで充電可能です。

↑5Wパネルをチャージコントローラーなしで、12V38Ahの制御弁式鉛蓄電池のリユース品に蓄電、そこから12V用の充電器でマキタの18V5Ahのバッテリーを充電します。充電時間は約2時間。どうにか満充電できるようにはなりましたが、これだけだと毎日の充電はちょっとつらい感じ。日が当たっている時間は、前の家の屋根にのっている4キロWのパネルからの電気が系統に流れているので、それと併用して使っています。

↑なにより便利なのはエンジンチェーンソーと違って次の丸太を切るまでの間、アイドリングさせておく必要がない、ということ。そして木の上でもスターターロープを引く必要がないので楽ちん。スイッチがオフであれば誤ってスロットルレバーを引いてしまってもチェーンは回転しません。エンジンチェーンソーと違ってかかりが悪いとか、アイドリングが安定せずに作業の合間にストールしてしまうなどいうこともないわけです。強いていうと低回転でのトルクが大きいので、チェーンの回転がゆっくりのときに木に当てると本体を持っていかれることがあること。でもそれも回転をある程度あげてから木に当てれば解決する問題ですぐに慣れたし、いまでは手放せない道具になってしまいました。


そんなこともあってか、リチウムイオンバッテリーの普及とともにどうもチェーンソーはコードレスの電動チェーンソーが普及しそうな雰囲気です。マキタにつづいてエンジンチェーンソーの老舗でもあるSTIHLでもコードレスの電動チェーンソーを発売

↑36Vのバッテリーと充電器がセットで、バー長さ30cmのモデルの定価が3万9,800円とのこと。マキタのインパクト用バッテリーを持っていない人はこちらがかなり魅力的に思えてしまいそうです。


 また海外ではすでに、コードレスチェーンソーがかなり普及している模様で、こちらのモデルはガイドバー長さ18インチ(約46cm)の本格仕様で、バッテリーの電圧はなんと80V。

しかも値段は249ドルとのこと。80Vのリチウムイオン電池はたぶん飛行機には載せられないので輸出が少々面倒そうだけれど、値段を含めてちょっと手に入れてみたくなるスペックなのでした。

詳しくはこちらからどうぞ。しかしそれにしても、直流80Vのリチウムイオンとかって、アークや感電の危険はないのだろうか? またこのシリーズにはチェーンソーの他、刈払機や自走式の芝刈り機などもあり、今後も増えていきそうな予感。
「昔はねぇ、チェーンソーも草刈り機もエンジン積んでた頃があったんだよ」なんて言われるようになるのだろうか?