Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


マイタケの植菌とマイタケ染めの備忘録

 いー加減とテキトーをモットーとしているわれわれ家族には「リベンジ」なんて言葉は似合わないのだけれど、でも、このところあまりにもコテンパンにやられっぱなしなわけでして……、そんなわけで今回は珍しくちょこっと「リベンジ!?」に挑戦? 
何にコテンパンかというと、マイタケの原木栽培なのでした。雑菌が床に滑り落ちるようにスベスベの上着を着て、頭にはバンダナを巻き、体は中と外からアルコール消毒を行うなど、久しぶりに気を入れて植菌作業をやってみることにしたのでした。

 とは言ってもそれでもかなりテキトー。「マイタケ植菌用の無菌室」なるものが市販されていて、プロはそうしたものを使うらしいのですが、もちろん我が家はそんなものは使いません。失敗の原因は実はほかのところにあるのではないか?と勝手に解釈してしまっていて……秋にきのこの周囲で舞い踊る姿を夢見ながら、今年も懲りずにマイタケの植菌をしたのでした。
 数年前にやったときはまあまあだったのですが、かなり気を抜いてやったおととしは、2〜3株しかでず、さらに昨年はあれだけ手をかけたのになんと1株のみ。仮伏せ中にほとんどの原木が青カビに醸されてしまったのでした。


 備忘録を兼ねて今年の植菌作業を紹介します。まずは玉切りにした原木を、24時間ほど水に浸けます。去年は原木の水分含有量が少なかったようにも思われたので、ここはしっかりやります。

↑玉切りは浸水の直前に行い、ドラム缶の中で浮いてきてしまわないように、オモシにレンガを載せすべての原木を水の中に沈めました。今回使った原木は(伐ってすぐの)クヌギと(昨秋伐採した)コナラ。20個植菌の予定で7列3段組み(7×3=21ですが1個は予備)。
 浸水後24時間経過したら、ドラム缶の下から火を点けて、中の水を沸騰させます。朝の9時から夕方5時過ぎまで連続7時間、他の菌を打ちながらこの日は火を焚き続けました。

↑そして夕方になりドラム缶のフタを開けたところ。湯気が立ちのぼり、中は見えないけれども、原木を引き上げてみると木のタンニンとドラム缶の酸化鉄(サビ)が反応し、原木は真っ黒になっていました。これが原木殺菌の目安、という人もいるようだけど、色づきは酸化鉄の量によるように思われます。
 そしてこの後、袋詰作業に移ります。この部分で雑菌が混入してしまうのではないか?と、去年はあらかじめ耐熱袋に入れた原木を(煮沸ではなく)蒸すという手法で念入りに30時間以上蒸したのですが、それでもどうもうまくいきませんでした。というか壊滅的でした。去年の様子はこちら
 そこで今年は基本に戻り、原木煮沸後、耐熱のビニール袋に入れることにしたのですが、煮沸され熱々の状態の原木をビニール袋にいれることにしました。というのも、一番のポイントは原木の水分含有量ではないかと思っていて、去年の蒸し焼きの失敗は水分が少な過ぎたためではないかと推測しているのでした。

↑てなわけで、湯気がもうもうと立ちのぼり中が見えないドラム缶の中の熱湯の中から玉切りにした原木を拾い上げます。湯気で中が見えないという厳しい状況の中で熱々の原木を拾い上げるのですが、いろいろ試した結果、一番使いやすいのは(木工用の)「キリ」でした。キリの先端でお湯の中を探り、そこに木があることを確認した上で、キリを「ズン!」と突き刺します。ナラ科の原木は意外と重いのですが、キリによる突き刺しは意外と強固で思いのほか、はずれることもなく、原木をもちあげることができました。とは言え、落ちた場合は熱湯が跳ね返ってくるわけで、眼鏡やマスクなどがあった方がいいように思われます(写真では樹皮に挿していますが、木口がBetter)。

↑急いで袋に入れ、口を折り返し、洗濯ばさみで仮止めします。
 そしてその後、原木の温度が20度以下に下がったら植菌。なのですが、外気温は氷点下なのに原木の温度は以外に下がらず、夜中になっても50度を越えてしまっていたので、作業は翌日に。
 庭にあるJRコンテナから屋根裏部屋まで原木20個を運び上げ、発酵食好きの我が家の中では比較的菌が少ないと思われる屋根裏部屋で植菌作業を行うことにしました。息を殺し、無駄な動きをできるだけ少なくしつつ……、このときは真剣だったので、写真を撮る余裕はありませんでした。

↑消毒したレードルに軽くいっぱいオガ金を取り、それを袋の中の原木の木口に載せます。4分の1くらいは原木側面にこぼし、密閉後、底側の木口にオガ金をまわしました。今年は小麦のフスマなどの培地増量剤は入れませんでした。原木を殺菌しても小麦ふすまなどに雑菌が付いていては元も子もないからです。写真は袋の密閉が終わり、袋の外からオガ菌を原木に密着させているところ。

↑マイタケの場合は、オガ菌ポットの入口付近は雑菌に汚染されている可能性が高いので、容器ごと切り取って上の部分は捨てるのがいいそうです。いちおう、その通りにやったけど、捨てるのはモッタイナイので、1個余分にあった原木に普通のビニール袋を使って植菌してみました。

↑左が呼吸穴のある専用耐熱ビニール袋、右は普通のビニール袋にオガ菌ポットのフタをはさんで作った簡易袋。

↑あとは青カビが出ないことを祈ります。
 かなり手間のかかるマイタケの植菌作業ではあるのですが、副産物による楽しみもあります。原木はクヌギとコナラでホワイトオークなわけでそれを煮出した液にはタンニンが多く抽出され、サビたドラム缶で煮込むことでタンニンの鉄媒染液ができるのでした。

↑ドラム缶の中に、染めたいモノをつっこみかき混ぜます。

↑気が向いたらかき混ぜながら、1〜3日ほど放置。写真は毛糸の帽子、かなり濃く染まりました。これにお酢をいれたら浸透性木材媒染塗料になる?

↑厚手の木綿のシャツがこんな色に染まりました。自然のもので染めると不思議と、自然な色になるんだよねぇ。

自家製媒染型塗料の実験テーブル

 釜無川をはさんだ山向こうで、ヘンテコリンな小屋を作っている友達がいて、その友達が突然、虫草農園に物色にやってきたのでした。風雨に晒され腐りかかった合板だとか、何度も使い込んでコンクリートが付着したパネコートなんかがウチに来ればあるんじゃないか……、と川向うから臭いを嗅ぎつけた? とのこと。
こんなのだとか、

こんなの、

を、見つけては、喜んで物色していきました。
 こんな腐りかけた、しかもムク板ではなく合板を喜ぶ人がいるのもおかしな話ですが、こんなものまで捨てずにとっておく方もとっておく方だと、娘に呆れられたのでした。
 で、それに刺激を受け、春の植菌週間の合間をぬってちょこっと、いたずら工作。
以前紹介した自家製媒染型塗料の実験の続きです。今の季節はシロアリの活動はあまり活発ではないので、春の強い紫外線&風雨暴露の野ざらし実験をしてみることにしました。
 杉の野地板にとりあえず、お酢にスチールウールを溶かし込んだ塗料?を塗ります。

↑久しぶりにビンをあけてみたら中に入れていたスチールウールは完全に溶け、影も形もなくなっていました。塗布にはコテ刷毛を使いました。これはこの種のステイン系塗料を塗るのにとても便利です。また、この塗料は塗った当初はあまり色が付かないのですが、半日くらい時間がたつとかなりしっかり着色されます。
 テーブルの天板は4枚の野地板で構成されるのですが、とりあえず4種類にわけ、それぞれの違いをみてみることにしました。

↑その内の2枚は、食用天ぷら油のバージンオイル(とはいえ賞味期限が昭和のもの)を塗ることにしました。お酢塗料?を塗ったものは、半日置いて、乾いてから塗りました。

↑そしてできたのがこんな感じの4種類の板。手前から、「お酢+スチールウール+昭和の油」、つぎは「80番のペーパーを掛けただけの杉板」、次は「お酢+スチールウールのみ」、そした一番向こうは「80番研磨に昭和のオイル」の組み合わせ。

↑廃材板を深めに面取りして、4種類の板を固定します。

↑そして岡さんからいただいた、スチールの廃テーブルを黒く塗り、その上に載せて完成。屋外用なので水はけが良いように木裏を表に使ってみました。

↑さっそく雨が降りました。すると、油なしのお酢+スチールウールの板の上に載っていた木くず(シイタケ植菌穴をあけたカス)が見事に染まっていました。写真の左側の木くずは比較のため、雨に濡れなかったものを並べてみました。

↑こちらは裏側、雨が降った後のシミがなんともいい感じ。こんなのも面白く使えそうです。


 ところで、山向こうの友達ですが、25日の昭島を皮切りに、動くタイニーハウスを引き連れ、ロードムービー「simplife」の上映&Open Houseで全国キャラバンに出るそうです。動くタイニーハウスのどこかにセメントの付いたパネコートや腐った合板が使われていたら、それは虫草農園から物色されたものかもしれません。ぜひ探しにお出かけください。
全国キャラバンのスケジュールなどはこちらのサイトを。素晴らしく素敵な動くタイニーハウス、そしてタイニーをベースとしたシンプルな暮らしを提案するムービー、九州まで行きます。ぜひどうぞ。

©Yuichi Takeuchi

薪炭林の萌芽更新 と 薪貯金

 この写真を見てみなさんは、どう感じられますか? 
桑畑にも似ているけど、これはクヌギの林。

 どの木も、根元から伐られてしまっていてなんだかちょっと可哀想にも見えますが、虫好きの私にはちょっと嬉しい光景だったりもします。


 日本に住む人の多くが再生可能エネルギーをやめ、手軽で便利な化石燃料に頼るようになってから、実はまだ数十年しかたっていません。しかしそれによって里山林の主役である薪炭林やそこに棲む生物たちには大きな変化がおこりました。それまで薪炭林は定期的に皆伐され、萌芽更新によって再生されてきたのでした。
 そして上の写真が萌芽更新のため台木部分を残して皆伐されたクヌギ林です。ちょっと可哀想な姿にも見えますが、クヌギやコナラはこのあとひこばえが発生し、7〜15年で再び薪炭として利用できるまでに成長します。つまり薪炭林は7〜15年のサイクルで再生可能なエネルギー源なのです。またこの切り株、よく見ると二回目の萌芽更新であることがわかります。


 薪炭林を管理し、薪を燃料として使っていたこうしたサイクルは少なくとも数百年以上、もしかしたら千年以上続いていたものと思われます。そのためにそこに棲む生物たちの遺伝子に萌芽更新のサイクルが刻み込まれるまでになっているのですが、ここにきて薪炭林が更新されなくなってしまったことで、里山の雑木林に棲む生物相は現在、かなり貧弱なものになりつつあります。たとえば里山に棲むゼフィルスの仲間、オオミドリシジミやキリシマミドリシジミ、ミズイロオナガシジミ、ウラナミアカシジミなどは、面白いことに皆伐され再萌芽した「ひこばえ」に卵を産む習性があります。

↑上の写真はひこばえを特に好むと言われるウラナミアカシジミ。私がこどもの頃は横浜にも薪炭林があり、年に一回、オレンジ色の花吹雪が舞うかのようにたくさんの個体が発生していました。いまは薪炭林が萌芽更新されなくなり、最近は自然が豊かな白州でも希少種となりつつあります。

↑台木が萌芽し、ひこばえが成長しつつあるクヌギ林。里山ゼフィルスの絶好の生息地なのですが、最近はほぼ姿を消してしまいました。かろうじてシイタケの原木栽培用に定期伐採された林でかろうじて見ることができます。しかし写真の林も、圃場整備により今年限りでなくなってしまうとのことでした。


 こうしたかつての人の暮らしとリンクした生物たちは、元々こうした習性をもっていたのではなく、たまたま人の習性に合った遺伝子を持った個体がいて、そうした個体が有利に世代交代できた、ということにより、そうした遺伝子を持っていなかった個体(の遺伝子)が淘汰されていった、ということのように思います。ヒトと違って虫は、世代交代のサイクルが早いので1000年という時間は、そうした淘汰が遺伝子に刷り込まれるのに十分な時間だったように思います。虫が好きなのでここでは蝶をたとえに挙げましたが、他にも林床の植物だったり、小動物や大型哺乳類、あるいはキノコなどの菌類に至るまで、人ともに里山に暮らしていた多くの生物たちはいま、激的な環境変化に見舞われ、それに追従できず絶滅に瀕していたり、あるいは逆に個体数を異常に増やしてしまったりしているように見受けられます。

 そんなこともあって、虫が主役の虫草農園ではできるだけ薪を使うようにしています……というのは半分真実で、半分ウソ。正直なところは、お金稼ぎがあまり得意ではないので、銀行の預金が少ない、ということがあります。その分せめてもの貯えとして薪棚に薪貯金を蓄えようと。
 それともうひとつ、政治家のみなさんにいまみたいな税金の使い方をされてしまっては、いつか日本円は紙切れになってしまうのでは? という危機感を持っていて、銀行ではなく薪棚の残高を気にするようになりました。畑もあるし、田んぼも家族が食べていくくらいはお借りできているので、あとはよく乾いた薪さえあれば、質素ながらも美味しいものを食べて、案外幸せに暮らせていけるのではないか? という思いもあります。
 あれあれ、のっけから話がだいぶ脱線してしましたが、きょうブログを書こうと思ったのは、このところ薪棚の作り方を聞かれることが何度かあったので、薪棚の話をするつもりでした。ここでちょっと軌道修正。
 薪棚を作る上での一番のポイント、それは薪を濡らすことのない薪棚を作ることだと思います。つまり軒を深くする、ということ。木の含水量が高いと、カミキリやクワガタなどに卵を産まれてしまったり、あるいは菌類に醸されてしまったりします。そのためのひとつの方策としては、虫や菌たちが活発になる夏までの間にできるだけ水分量を抜くこと。それにはできれば南向きの日当たりのいいところに薪棚を作りたいところですが、とはいえ軒が浅く雨が降ったときに薪に雨が吹きかけてしまうことのほうが虫や菌によるダメージは大きいように思います。

↑当初作った薪棚は軒がかなり浅かったのですが、それだと薪が痛みやすく、いまでは写真のように薪の長さの倍以上、軒先を伸ばしています。

↑軒の骨組みはいろいろ考えられますが、波板を貼る場合、このあたりがシンプルな骨組みではないかと思われます。屋根の上に人が載って作業をすることがある場合は、これに頬杖(ほうずえ)を追加するといいと思います。

↑コンテナとコンテナの間に屋根をかけて物置にしているのですが、コンテナの壁面のボロ隠しを兼ね薪棚にしています。材は、大工さんがハネた曲がりやひねりのあるCCA材。薪棚であれば、曲がっていても強引にコーススレッドで修正して使えば十分。

↑薪(特にクヌギやコナラ)は思いのほか重いので、薪棚の底はしっかりした構造である必要があります。積んでいたら重さに耐えられず土台の材が折れたなどということが以前ありました(薪棚が崩壊するとかなり危険です)。また基礎は独立基礎で十分ですが、寒冷地では凍結深度まで掘ってコンクリートガラなどを縦に入れ、その上にブロックなどを設置するようにしています(凍結で基礎が浮き沈みしたために薪棚が崩壊してしまったという危険な目にあったこともありました)。

↑これはコンテナの上に降った雨がコンテナ側面を伝う際のトイ。せっかく屋根がかかっていても、壁面を伝わる雨水を薪が拾ってしまい、薪棚の中を雨水が伝うと薪は濡れ、菌類に醸されスカスカになってしまいます。とはいえ、壊れたブラインドをシリコンシーラーで貼り付け、水の通り道を誘導しただけのもの。このあとここに薪がさわらないように縦に1本平板を通しました。
 そして薪棚でもうひとつ大切なのは、パーテーション。薪は下から積み上げるわけで、仕切り板で分かれていないとその薪棚が空っぽになってからでないと、そこには新たな薪を積み始めることができないわけです。で、以前は縦横に仕切り板を入れていたのですが、横に仕切りを入れて二階建てのようにしてしまうと薪を積みにくい上に、横の仕切り板の上に木くずや虫の糞がたまり、風の強い日は薪を取り出す際、それをかぶってしまうことがあります。つまりカミキリの幼虫の糞を目の角膜で受けてしまう、ということ。これ結構つらいです。というわけで、オススメとしては縦方向にだけ仕切った方がいいように思います。

↑ただし縦方向にだけ仕切った場合、側壁にはかなりの力がかかります。
 そこで、側壁となる柱の固定方法に少し工夫が必要になります。木口にコーススレッドを打って、柱を固定しただけではコーススレッドが抜けてしまう危険性があります。

↑既存の建物の軒下に作った薪棚。既存の建物に固定してしまうのが簡単だけど、寒冷地の場合は既存の建物は動かないのに、薪棚だけは凍みあがりやその後の凍み下がりで上下に動くのでそのあたりを考慮する必要があったりします。

↑これは廃材を使ってL型のプレートを作り、柱の底の部分を少し彫って土台の上面と固定したもの。柱の上部を既存の建物に釘や木ネジなどで固定した場合、土が凍み上がったり下がったりすると柱の上部の固定が簡単に外れてしまいます。金属製のL型のプレートを使うと凍み上がったり下がったりする分をここである程度は吸収してくれます。

↑もっと簡単にやるには、柱にドリルで穴をあけ、羽子板(と呼ばれる金具)を通す方法。金属は木と違って粘い(ねばい)ので、破断しにくくこうした用途には適しています。

↑これが羽子板。ホームセンターに行けば新品の羽子板を適価で手に入れることができますが、古い建物の解体作業などを手伝うことができると、味のある手づくりの羽子板を見つけることができたりします。

↑こちらは薪棚ではなく薪小屋。収納力には優れているのですが、風の抜けが悪く、乾きにくいという欠点がありますが、貯蓄がたくさんあれば長い時間を使って乾かすことが可能なわけで、薪大臣たちはこちらのタイプを好む傾向にあります。

↑薪小屋は奥の薪を取り出した積み出しやすいように中で人が立てるくらいの高さがあると使いやすいように思います。ただし慣れてくると奥の列も、外から投げてもうまく積めるようになったりします。

↑もうひとつオススメなのは、ガレージなどの壁面を薪棚にしてしまう、という方法。柱に側圧がかかるので、できれば写真のように柱の脇は井桁に組むといいようです。

↑薪だけでなく「焚き付け」の材料となる柴もストックしています。特にコナラやクヌギの乾いた柴は火力も強く、ヤカンでお湯をわかすくらいだったら、しっかり乾いたナラ系の柴が少しあれば、あっという間にお湯はわきます。ということで最近は柴貯金も併設。

↑いろいろなやり方を試してみましたが、コードテープの先端にモヤイ結びで輪を作り、そのヒモを一直線に置き、そこに小枝を(あとで抜き取りやすいように方向を揃えて)重ね、ある程度の量が溜まったら、先端の輪にヒモの他端を通して、グイグイとヒザで押しながらヒモを引き締め束ねる、というのが柴を束ね方としてはいいように思われます。

もっと簡略にやるには小枝を集めて山を作り、そこに波板を被せてその上にオモシをおく方法。そして林の中に波板を置いておくと、その下にはたくさんのオニグルミの実が収納されるようになります。ヒトだけでなく、ネズミやリスもクルミ貯金を持っていたりするのです。
 里山に生きるヒト以外の多くの生物たちも、ヒトという動物がお金にあまりこだわり過ぎず、どちらかというと銀行の預金よりも、薪貯金を大切にして生きてくれることを望んでいるのではないかと思うのです。地球上の生物の中でヒトだけが特別な存在ではなく、ヒトも自然と共生し、それをうまく使い自然から給わりながら、それぞれに幸せに暮らしていくということが、生物の多様性にも大きく貢献し、そしてそれは生態系のバランスをより強固なものにしてくれるのではないか? ということを自然の近くで暮らしてみるとしみじみ感じるのでした。

井戸のメインテナンスとトラブル集

 文句なしに自慢できるものが我が家には、ひとつあります。
それは「お水」。 水がとても美味しい、のです。
なんだか申しわけないようにも思うのですが、お風呂も、洗濯も、そしてトイレも「南アルプス天然水」です。
 近くにサントリーの天然水の工場があるのですが、それよりもさらに少し上流、家に隣接する林の中に井戸小屋があって、そこから天然水を汲み上げて使っています。
 そんなわけで、お水はホント美味しい! お水が美味しいとお茶やコーヒー、お酒はもちろん、炊きたてご飯のなんかの味も大きく違ってきます。
 当時のサントリー社長がこの地に惚れ込んだのは、ここ鳥原区を流れる松山沢川の伏流水だったと言われています。しかしいま天然水としてサントリーが取水しているのは主に、神宮川水系の地下水(十分にそれも美味しいのですが)で、深井戸による取水のため伏流水とは少し違ったタイプの水のようではあるようです。そんなわけで、我が家は松山沢川水系の浅井戸ということでお水はとても美味しいわけです。でも個人が管理する浅井戸はトラブルが多いのも事実。
「蛇口をひねると水がでる」というのはとてもありがたいことで、常々感謝しながら蛇口をひねっているのですが、いつしかそれを忘れ、当たり前になってきた頃、蛇口から水が出る幸せを思い出させてくれるかのようにトラブルはやってくるのでした。
 そんなわけで、井戸はトラブルの種類も多く、対処の方法を忘れてしまいがちだったりもするので備忘録を兼ねて、書き留めておこうかと思います。

↑林の中に建つこの小さな黄色い小屋が井戸小屋。そろそろ作り変えてあげたいところなのですが、田舎暮らしはやらなければいけないことがたくさんあって、なかなかそこまで手がまわらないのでした。
 その一方で、林の中のこうした小屋は林に棲む生きものたちの格好の棲家でもあります。

↑扉付近は(たぶんアナグマに)何度も何度も掘り返されたので、鉄板を敷くことにしました。石はどけてしまうけど鉄板は苦手なようなのですが、しかし全周に敷くほど鉄板がありません。

↑すると鉄板の敷かれていないところを見つけて侵入してきます。
 また、棲んでいるのはアナグマだけとは限りません。

↑この食痕はアカネズミかな? ネズミはカワイイのだけれどもそれを求めてやってくるヘビたちはなぜかあまり、カワイイと思うことができません。また、アナグマはひょうきんな顔をしているけれども凶暴な側面をも持っていて、犬の鼻先を噛みちぎってしまうこともあるといいます。
 そんなわけで、小屋の入り口には鉄パイプが置いてあります。不思議なことに鉄パイプやスコップのような武器になるものを持っているかいないかで、野生動物と対峙したときの心の余裕度はかなり違ってくるのです。そしてそれが相手にも伝わるような気がします。

 特に夜は中に誰かが寝ていることが多く、昼間であっても鉄パイプで小屋を軽く叩き、先住人には裏の出口から出ていってもらってから、恐る恐る戸をあけ中をのぞきます。とはいえ、最初からあまり乱暴に叩くと先住人がスズメバチの場合は起こって襲ってくるのでそのあたりは注意が必要です。
 小屋の中はこんな感じになっています。

↑左の茶色いのが圧力タンク。右の白いケースに入っているのが、水を汲み上げるためのポンプです。

↑これがポンプ。ちなみに白いケースの上の黒っぽいものは、真っ黒クロスケことカマドウマの糞です。赤いのは止水バルブで、凍結防止の断熱材を外した状態。

↑白いケースを外すとこんな感じ。ケースは上にまっすぐ持ち上げると外れます。白いテープは凍結防止のための電気ヒーター。
 ウチの井戸ポンプはジェット式と呼ばれるタイプで、吸い上げ長さが8〜20mくらいの家庭用ポンプとして普及しているタイプなのですが、ポンプ自体は地上にあって、井戸の中にちょっと面白い部品が付いています。
 一般に電動ポンプはその構造から流体を押し出すのは得意なのですが、引っ張るのは不得意です。そのため深さが20m以上の深い井戸には水中ポンプが使われています。井戸の底にポンプがあってそこから水を押しあげるわけです。ポンプの構造からすると水中ポンプが正解なのですが、電気コードを水中に通す必要があったり、故障した場合、井戸の底から配管と共にポンプを引きあげなければならず、メンテナンス性に劣るなどのデメリットもあります。
 そこで考えられたのがジェットポンプという方式。ポンプ自体は地上にあって、そこから井戸の中に水を送り込むことで井戸の底にある水をも引っ張り上げてこようというものです。
 そのためジェットポンプは2本のパイプを井戸につっこみ、配管の一番低いところには図のような部品がついています。これは「流動する流体の周囲には負圧が生じる」というベルヌーイの定理を応用したもので、自動車のキャブレターやエアブラシなどにも似たような仕組みが使われています。

↑ジェット式ポンプには2本のパイプが井戸の中に入っているわけですが、そのうちの1本(図の左のパイプ)は、ポンプによって地上から水が圧送されてきます。この水は井戸の底部でUターンし、ジェットと呼ばれるノズルから太いもう一つのパイプ内に上向きに噴き出されます。ジェット部はそれまでのパイプよりも細くなっているので、水は流速をあげ勢いよく噴出されます。もうひとつの太いパイプの中には井戸底の地下水があって、上向きに噴出された水に引っ張られて地上へとあがっていきます。1の水を送り込むことで3の水を引っ張り上げてくるのです。
 そのためジェットポンプの場合は、最初に圧送側パイプの中にある程度の水が入っている必要があります。ポンプが稼働していないときにこの水が抜けてしまわないように、一番底の部分にはチャッキ弁(チェックバルブの読み違い)が付いていて、逆流を防止しているのですが、その部分に砂が噛んでしまったりすると圧送パイプ内の水がなくなってしまいポンプは水を汲み上げることができなくなってしまいます。そんな場合に備えて、チャッキ弁には地上から手動で操作ができるヒモが付いています。チャッキ弁の締りが悪いようで圧送パイプの水が抜けてしまうような場合はこのヒモを引っ張ってバルブを操作してみると直ることがあります。

↑我が家の井戸の場合は、カマドウマの糞や小動物などが井戸内に落ちないように100円ショップで買ったプラスチックのゴミ箱でフタを作りました。そのプラスチックのゴミ箱の脇からでているヒモがチャッキ弁を操作するためのヒモ。過去に一度、チャッキ弁が劣化し、この部分を交換したことがあり、それまではたびたび何度も祈るような気持ちでヒモを操作したものでした。また、配管の一番下にヒモがあると、パイプを引き上げる際も安心だったりします。
 さらに、ゴミ箱の底の部分(フタの上面)にはプラグをつけて、そこから水位計測のコードを入れて置けるようになっています。井戸のポンプの間の配管(2本)はエアキャップなどを巻きつけて凍結防止を図っています。この部分は暖かい井戸水が動く部分のためかこの程度の断熱でもいまのところ凍ってしまったことはありません(ここは標高が750mで最低気温は氷点下15度くらいにまでしか下がらないということもあるかもしれませんが)。


 ところで、圧送側の水が抜けてしまった場合は、そのままポンプを駆動しても水はあがってきません。パイプ内に水を入れてあげる必要があり、これを呼び水と呼んでいます。きれいな水があればいいのですが、長い停電などで圧送パイプ側の水が抜けてしまい呼び水が必要な場合は、風呂の残り湯などを使い、汲み上がってきた当初の水を捨てるなどの方法もあります。

↑これが呼び水を入れるための栓。圧送パイプ内の水がなくなってしまっている場合、この栓をあけ、(チャッキ弁の締り具合にもよるけど)バケツ一杯程度の水を呼び水として入れると、ポンプが空打ちしているような音がする場合、復活することがあります。
 井戸のポンプは、一般に配管内の圧力を感知し、それによって電源をオンオフしています。ポンプ本体のトラブルとしては、この圧力スイッチが原因のことが比較的多いように思います。

↑そしてこれが圧力スイッチ。どんなポンプでもだいたいこんなカッコをしていると思います。トップの部分にたしかゴムのフタが付いていたと思うのですが、ネズミの仕業かなくなってしまったので、白い木片でフタをしてあります。どこから入り込むのか、このプラスチックのケースの中にアリやカメムシなどが入り込んでしまい、それが悪さをしてポンプが稼働しなかったり、所定の圧力に達しても止まらなくなってしまったりというケースがあるのでフタは大切です。

↑圧力スイッチの中はこんな感じになっています。配管内の圧力が低いときには、上についているバネの力の方が強いのでスイッチ接点は接触しつながった状態。配管内の圧力があがってバネの力よりも大きくなると接点が離れ、スイッチがオフになる、というアナログな構造です。バネの上には調整ネジがあって、バネのセット長を変更することでスイッチ開閉の圧力を調整できるという寸法。このスイッチの接点部分にアリやカメちゃんが挟まってしまっていることがあったりします。


 でもわが家の井戸の場合、一番トラブルが多いのは、圧力タンク周辺です。

↑これがわが家の井戸の圧力タンク。こうした別体式の他、ポンプと一体になったタイプもありますが、容量が大きい方がポンプへの負担が小さく節電にもなります。
 水は圧力がかかっても小さくならないのですが、空気は圧力がかかると圧縮されて小さくなります。圧力タンクの中には正常な場合、主に空気が入っていて、ポンプが汲み上げた水でこの中の空気を圧縮します。
 たとえば圧力スイッチの設定で2kg/c㎡という圧力達するとポンプが駆動を止めるようにセットされていたとします。すると圧力タンクの中の空気は2kg/c㎡になるまで圧縮されタンクの中にかなりの水が入ってきます。で、たとえば0.5kg/c㎡という圧力まで圧力がさがると、再びポンプは稼働を始める、と設定されていたとすると、0.5kg/c㎡になるまで、しばらくの間、圧力タンク内で圧縮されていた空気が水を押しだしてくれるのです(空気ポンプ)。

↑我が家の圧力タンクにはメーターが付いています。以前はkg/c㎡表示のものだったのですが、壊れてしまいいまはMpa(メガパスカル)表示。目安としては、0.1Mpa≒1kg/c㎡です。


 もし圧力タンクがなかったとすると、圧縮された空気が水を押してくれないので、蛇口をひねるとすぐに配管内の圧力は0.5kg/c㎡に下がってしまい、蛇口をひねるたびにポンプは稼働してしまい、摺動部分やスイッチが劣化しやすくなり、またモーターは起電時に大きな電気を必要とするので電気も沢山必要になる、ということになってしまいます。

 そんなわけで、圧力タンクなどが正常であれば、ちょっと洗い物をしたくらいでは、あるいは、配管の凍結防止のためひと晩中、水をポタポタ垂らしていても、ポンプは駆動しないのが正常です。
 ちなみに我が家では、太陽熱温水器からの配管(北側屋外の部分もある)には凍結防止の電気ヒーターを巻いておらず、翌朝が氷点下5度以下になりそうな日は、夜寝る前に洗面所の蛇口を少しだけ緩め、2秒に1回くらい水が垂れるくらいにセットしています。こうしておかないと氷点下5度以下の朝は水が出なかったりチョロチョロだったりするのだけれど、これをやっておくだけでヒーターなしなのに寒い朝も気持ちよくジャーと水が出ます。

↑ポタポタ垂らしておく水もモッタイナイので、一応コップに受けておいて、翌朝、朝一番に置きた人が使います。
 寒さに応じて自動でポタポタ垂らしてくれるという蛇口も市販されているけど、これを家の中の水栓に付けて使うと家の中が氷点下になる家の場合、排水が凍って家の内がスケートリンクになる可能性があり注意が必要です。
 圧力タンクの不調で多いのは、タンク内が水で一杯になってしまうというトラブルです。そうなると圧縮される空気がないので、蛇口をひねるたびにポンプが稼働してしまい、スイッチが悲鳴をあげ、スイッチのサボタージュ?で圧力が下がっているのにポンプが稼働しないという症状などがでます。
 とりあえずの解決策は、ポンプのリセット。我が家のポンプの場合、基盤の入った黒いボックスがありその側面にリセットスイッチがあります。

↑赤いボタンがリセットスイッチですが、見つからない場合やケースをあけるのが面倒な場合は、一度、コンセントからプラグを抜いて再びさす、ということでもどうにかなります。
 でもこれはその場しのぎの解決法で、根本的な解決方法としては、タンク内の水を抜き、タンク内を空気で満たして上げる必要があります。
①それにはまず、ポンプの電源を切り、ポンプとタンクの間のバルブ、それとタンクと屋内配管との間のバルブを閉じます。ポンプとタンクの間にバルブがない場合、ポンプ内の水も抜けてしまう可能性が高いので、あらかじめ呼び水を用意しておくことをおすすめします。
②次にタンクのトップにあるプラグを外します。

↑私は大きめのモンキーレンチを使って緩めますが固くしまってしまっていて緩まない場合は柄にパイプなどを延長して緩めています。

③その後、タンクの底付近にあるドレンコックを開いて、タンク内の水を抜きます。
↑なぜか水はなかなか抜けず、半日ぐらい放置しておくこともあります。
水がほぼ抜けたら、逆の順序の作業を行い、再びポンプを駆動させればいいのですがせっかくタンクの水抜きをしたのだから、ポンプから水を供給し、屋内配管側には水を流さないようにしてタンクの中の掃除をしたりすることもあります。
 蛇口をひねるとすぐにポンプが駆動していしまうという症状はこれでたいていは解決できると思います。
 その他のトラブルとしてこれまで多かったのは、バルブ関連の凍結&破裂でした。

↑壊れたバルブの数々。

↑タンクの水抜きのためタンクの前後にバルブがあり、これらがよく壊れれるのでした。

↑そしてこれの解決策のひとつは、バルブを金属製から樹脂製のものに替えたこと。これ以降は漏れもなくなり、これはかなり効果がありました。

↑バルブ部分は可動部なので防寒が手薄になりがちなのですが、凍結防止用ヒーターを通した上で、まずはバルブの形に加工した発泡スチロールの断熱材、次にエアキャップを巻き、古着のソデで仮止めした後、ゴムのバンドで端をそれぞれ密閉。こういしてからはこの部分のトラブルはありません。
 ついでにもうひとつ、便利な道具を紹介。
圧力タンクの脇にぶら下がっているこのコードは水位測定のためのコード。

↑ところどころにメーター数を表示したビニールテープが貼ってあります。

↑そして井戸の中に垂らす先端部はこんな感じになっています。ツインコードでそれぞれのコードの先端の被覆が剥かれています。接触してしまわないように少しずらして剥いておくのがポイント。
 そしてもう一方の先端には、抵抗測定のレンジに合わせたテスターをセットします。水は通電体なので、その状態でコードを垂らしていって抵抗がなくなったところが水位というわけ。定期的に水位を観察することで、どのくらいの変動があるのか、あるいは地下水は増える傾向にあるのか、あるいは減る傾向にあるのか? などを知ることができます。


 蛇口から水が出ない……という困った状況がまずあって、それをどうにかしなければ……と、これまで素人がいい加減な方法で対処してきたものだけに、もしかしたら間違っている対処法や解決法などもあるかもしれませんが、困っている人に何かとりあえずの解決法の助言になればと思い、書きとめてみました。
 井戸は美味しい水を供給してくれると同時に、「蛇口をひねると水が出る」ということがありがたいことだということもしっかりと味あわせてくれます。この地に住むようになって20年、井戸はトラブルが多く、20年の間には上水道が近くまで来たりもしたのだけれど、でもやっぱり我が家は、井戸が好きだなぁ。

ハヤトウリ=センナリ=サヨーテ

 外国産果物の段ボール箱をスーパーマーケットからもらってきて、根菜類の保存箱として使っています。日本の段ボールと違って、外国の農産物の段ボール箱はデザインが美しく部屋に置いておいても目障りにはならない上に、通気性に優れ、野菜類を保管する上でかなり機能的だったりするのでした。
 そんな根菜類のストック場所が洗面台の前にあって、段ボールがタワーのように積み重ねられています。
中に入っているのはてっきり、ジャガイモだと思っていたら、どうも違うみたい。

↑巻きヒゲを伸ばしながら、つかまるものを探しています。中を見たらハヤトウリでした。

ハヤトウリは、たくさん実ることから「センナリ」などとも呼ばれ、日本ではそれほど人気がないようなのだけど、フィリピンではサヨーテという名前で呼ばれていて、とてもポピュラーな野菜とのことです。
娘によると、巻きヒゲも美味しいらしく、フィリピンのローカルマーケットでは束ねて売られているとのこと。

↑こんな感じで洋梨のような美しい緑の果実が実ります。

↑キュウリを押しのけ、キュウリの支柱を占領し、それでも足りなくて、虫草農園のシンボルツリーであるエノキに這い登るハヤトウリ。


ときどきイベントなどでフィリピンの家庭料理として屋台出店させてもらっているチキンティノーラにも欠かせない野菜。

↑奇跡の植物などとも呼ばれるマルンガイ(=モリンガ)(ピカレからもらったタネが発芽して育った)の葉とフィリピンの魚醤「パティス」で味付けされたチキンティノーラ。ハヤトウリの若芽も入っています。

↑フィリピンの家庭料理で、優しい味の汁かけご飯。緑色の大根のような具がサヨーテです。
チキンティノーラに関しての詳しくは、こちらからどうぞ。
musikusanouen.hatenadiary.jp

■ハヤトウリを使ったその他のレシピ■


↑こちらはハヤトウリを容器に見立てた創作料理。
お肉やきのこ&チーズがたっぷり入ったミートソースを投入。美味しかったです。

レシピの検索は「ハヤトウリ」より「サヨーテ」の方がエスニックなレシピがいろいろヒットするので正解のように思います。


こちらはサヨーテ入りのポテトサラダ。
このあと、芽が出た果実は、土を入れた鉢の上で春まで室内で保管し(根も出ます)、暖かくなったら露地植えにしてあげると、猛烈な生命力で成長し、千個とまではいかないけれどもたくさんの実を着けてくれます。
収穫した実は冷暗所におけば日持ちもいいし、ジャガイモや白菜、大根などと共に我が家では、冬にいただくことのできるとってはありがたい果実なのでした。

トートバッグ風工具箱 作り方3 「木材用媒染型?塗料の自作」

 のろまなので夏にやったことを、いま頃になって書いてます。トートバッグ風工具箱の作り方2からの続きです。今回は、木の箱の部分に塗った手軽に作れる自家製塗料のことを紹介させてもらおうと思います。

 こんな感じで、木材をいい感じに着色できて防腐効果もある塗料を、身近な材料から案外手軽に自作できますよー、という話です。

 実は宇宙農民さんやナカケンさんから「酸(お酢など)に金属(スチールウール)を溶かしたものを木に塗布する意外といい色になるですよねぇ」しかも防腐塗料としても効果があるらしい、という話を聞いていたのだけれど、なかなかそれを実践することができず、いつの間にか時間だけが流れてしまっていたのでした。
 そんなある日、モバイキッチンの木のシンクの部分にスチールウールのタワシを置いておいたら、その部分が見事に黒くシミになってしまい、その話を思い出したのでした。しかもよく見ると、その部分にはカビが生えにくい感じ。

↑シミは、ただ色がついただけではなくて、化学反応で染まった感じがしました。スチールウールが雨(酸性雨)にあたり、そこを通った液が流れたところにシミができたようです。部分的に青魚のような微妙な光沢があって、しかもその部分に発生していたカビは少なくなっているように感じられました。
 宇宙農民さんの地球基地を訪ね、そのときに教えていただいたのは、お酢にスチールウールを溶かしたものを作り、それを木に塗るという方法。DIYが盛んな欧米では、広く知られた方法とのことでした。
 一方、いまセルフビルドで基地を建設中のナカケンさんの場合は、柿渋をドラム缶で作って保管しておいたら、普通の柿渋よりも黒っぽい感じのいい色の柿渋ができた! というものでした。
 実際にやってみて感じたのは、塗料というよりイオン化させた金属(酸化鉄)が木のタンニンと反応しているという感じ。木材に含まれるタンニンを草木染め要領で、酸化鉄で媒染しているようにも思えるのでした。
 そこでまずは、オーソドックスにお酢にスチールたわしを浸し、試してみることにしました。

お酢はどこでも売っているリーズナブルなお酢。モッタイナイなくて千鳥酢は使えませんでした。

↑スチールウールのタワシは、100円ショップから入手。15個入って100円でした。とりあえずそれらをテキトーに投入。
 ひと晩置いて、木材に塗ったら、塗った当初はただの水のような感じだったのですが、1時間もすると色が出てきて、なかなかいい感じ。時間がたつと色が出てくるあたりは市販されている防腐塗料であるウッドロングエコと似た感じです。

↑やはり、タンニンの多い芯材の部分が濃く着色される傾向にあります。
 そこで、それをもう少しアレンジしてみることにしました。

 じゃーん! 美味しそうだけど食べられません。
 お酢の量を減らし、その代わりに(食べ終わった)レモンやミカンの皮やタネを追加し、塗料を塗るときにピクルスの香りがするという幸せな塗料を夢想し、そこらに生えていたディルやタイムやオレガノを添加。見た目もきれいだし、開封したときの臭いもいい感じです。でも中身の主役はスチールたわし。間違ってお客さんに出してしまわないように要注意です(そんな人いないですね)。
 さらにもうひとつ、防腐&防虫効果を狙ったバージョンも作ってみることにしました。
こちらはお酢とスチールたわし、それにお酢の重量の10%ほどのホウ酸を添加してみることにしました。

 ホウ酸は腎臓を持つ動物、人間やその他の哺乳類にとっては毒性は低く致死量は食塩と同程度(半数致死量LD50は、体重1kgにつき5gで体重60kgの人の場合、約300gが半数致死量だそうです。ちなみに食塩は60kgの人の場合、270gでホウ酸よりも毒性が高いとのこと)。人に対しての毒性が低いことから目薬などにも使われているのですが、腎機能を持っていない昆虫の場合は、ホウ酸を排泄することができず、蓄積されてしまい毒性が強く現れることから防虫剤などに使われていたりします(ゴキブリ退治のホウ酸だんごが有名ですね)。
 また、ホウ酸は揮発や分解によって滅失することがないので、雨で流されるなど物理的な移動が起こらない限りそこにとどまり続けるという特徴があり、雨に当たらない床下の木材などに塗布した場合、長時間にわたって効果が持続するのではという期待されるのだけれど、純子さんスミマセン、もうとっくに床下の工事は終わってしまいましたよね。


 とりあえず、これら三種類を比べてみることにしました。

↑左から順に「お酢+スチールたわし」、「レモン&ディル入り」、「お酢+スチールたわし+ホウ酸」。塗った直後はどれもほとんど色はつきません。

↑ところが1〜3時間くらいすると、こんな風に着色されます。写真ではホウ酸を添加した右端が一番薄い感じですが、どちらかというと色の濃淡は、ホウ酸よりもスチールたわしとの接触率(酸化鉄イオンの量)に左右される感じで、スチールたわしの近くの液をハケで取ると色が濃くなる感じです。スチールたわしを割り箸でつかみそれを木に塗布するとかなり濃い色になります。
 で、さっそく実験。シロアリを飼育し、その中に「いい匂いだけど中身はお酢&たわし塗料」や「木をかじると密かに体内にホウ酸が蓄積されてしまうというだまし討ち塗料」を塗った木片を置いて、シロアリたちの様子を観察してみることにしました。あ、この先にシロアリの写真があります。苦手な人は要注意です。
 まずはシロアリの採集。
 不意打ちで見つけてしまうと、思わずギョエーとしてしまうシロアリですが、いざ採集しようとするとなかなか見つからなかったりします。彼らはかなりの臆病者なのです。前日にたくさんいることを確認して、飼育用の水槽を用意し翌日行ってみるとモヌケの殻だったり。
 シロアリはなぜこれほどまでに臆病なのか?というと、どうもオイシイらしいのです。シロアリは「アリ」と呼ばれているけれども実はアリやハチの仲間(膜翅目)ではなく網翅目(もうしもく)。網翅目はゴキブリ目とカマキリ目に分かれ、シロアリはその中のゴキブリ目に分類されます。アリは蟻酸という毒をもっていてマズイのですが、ゴキブリの仲間であるシロアリは蟻酸を持っていないのではないかと思われます。
 で、シロアリの一番の天敵はアリ(黒アリ)。蟻酸を持たないシロアリはどうもかなりオイシイらしく、黒アリに見つかるとガシガシ食べられてしまいます。そのためもあってシロアリは移動にあたってまず蟻道と呼ばれる土で囲ったストローのような細いトンネルを作り、移動する際は姿を見られないようにそのトンネルの中を移動します。床下の黒アリを退治したら、シロアリが大発生した、という話をときどき聞くのですが、どうもそのあたりに原因があるのではないかと思われます。自然の生態系のバランスはとても大切なのです。
 シロアリも黒アリも社会性をもった昆虫で、それぞれに役割分担があったりするのですが、黒アリはハチの仲間なので完全変態なので幼虫は成虫とはまったく形の異なるウジ虫です。一方、シロアリはゴキブリの仲間なので不完全変態。幼虫も成虫と似た形をしています。そのあたりが具体的にどう違うかというと、黒アリの働きアリたちは(女王になれなかった)メスの成虫で、働きアリとして育てられ成虫になるのですが、シロアリのコロニーにいる働きアリたちは、実は皆、シロアリの幼虫。
 黒アリの女王アリはこどもの頃から女王アリとして育てられ、一度働きアリと成虫になってしまった働きアリが女王になることはありません。一方シロアリはこども時代は皆、働きアリとして下働きをするのですが、兵隊アリになる一部を除き、そのほとんどは時期が来ると羽化し、女王または王(あるいは副女王や副王)になることができます。しかもこのときには羽根が生えて、体色も黒くなり、結婚飛行を終えると羽根を落とし、自分のコロニーを作る、ということだったと思います(遠い昔に覚えたことなのでちょっと違っている部分があるかも)。
 おっと、この調子で虫の話をしているといつまでもたって終わらないので話を戻すと……、シロアリの場合、物凄い数の女王&王が生まれるわけですが、コロニーを作って女王アリとして生殖&産卵に専念できるケースはとても稀な運のいい場合で、たいていは途中で死滅してしまうわけです。そんなわけで水槽を用意したけど、翌日にはいなくなってしまっていたコロニーは、朽木を動かしたことにより黒アリに見つかってしまい、すべて食べられてしまったか、あわててどこか逃げた可能性があります(逃げる場合は土の中か?)。
 別のコロニーですが、でもどうにか見つかりました。

 かわいいシロアリのこどもたちです。矢印のところにアゴの大きな兵隊アリがいるのが分かるでしょうか?
アップにしてみましょう。

↑これが兵隊シロアリ(兵蟻)。ヤマトシロアリの場合、兵隊アリは戦う能力があまりなくて、頭の大きさで蟻道をふさぎ、侵入してくる黒アリを体を呈して通せんぼし、時間を稼ぎ、女王などを逃がすのではないか?と言われています。また、エサがなくなったときの歩くお弁当などという見方も最近はされていたりするようなのですが、このあたりの話をしだすとまた脱線しそうなので、詳しく知りたい人はこちらのページをどうぞご覧ください。シロアリに対する愛がそこかしこからにじみ出ている素晴らしいサイトです。
 そんなわけで今回採集できたのは、働きアリ(シロアリのこどもたち)と、兵隊アリ数頭で、女王や王は見当たらなかったのですが、黒アリと違ってシロアリは女王が死んでも違う個体で補うことができるのでうまくすれば、これらの個体群が増えていく可能性もあります。
 飼育容器はこんな感じ。

 土の上に、右からA「無処理」、B「ディル入りお酢+スチールウール」、C「お酢+スチールウール+ホウ酸」の木片(スギの野地板:連続した板を3つに分割」を置き、様子を見ることにしてみました。

で、だいぶ落ち着いてきた数日後、板を裏返してみると……。

右端の無処理の杉板の下にはたくさんのシロアリがいたのですが、彼ら彼女ら、逃げ足が速く、みっつ裏返して、カメラを構えるころには多方は土の中に潜ってしまいます。かろうじて残っていたノロマな子たちが右端の木片下にいるのがわかるでしょうか? かなりの臆病で、撮影を一回失敗するとその日はもうでてきてくれなかったりするのでした。
 よく観察すると、BやCの板片の裏にもシロアリがいた形跡(木をかじった?)があるのですが、裏返した際にはBやCには誰もいない(いても2〜3頭)、ということがほとんどでした。

 シロアリはセルロース(枯死した植物の木繊維)を分解できる貴重な生物と言われているのですが、日本に住むヤマトシロアリやイエシロアリは、実際にはシロアリ自身がセルロースを分解できるのではなくて、体内に共生している微生物が分解してくれているのではないか?との説もあります。
 シロアリは社会性を持つだけでなく、菌類との共生もしていて、外国には巣穴の中で特定のキノコを栽培するシロアリもいたりするのですが、今回の木片をよく見ると土に触れていて湿度があり菌類が繁殖した部分のみをヤマトシロアリは食害しているようにも見えて、体内の菌とだけでなく、体外の菌とも共生しているのではとも思えてきます。材が乾いている場合、土から水分を運ぶなどとも言われています。もしそうだとすると、殺虫効果を添加する以外に防腐剤を塗布し、木材を分解する菌が育たない環境を作る、ということもシロアリ被害を拡大させないための方策、のようにも思われます。
 などと悠長に観察を続けていたある日、水槽の角に見つけたくないものを見つけてしまったのでした。蟻道です。

 シロアリが姿を隠して移動するためのトンネル=蟻道が壁をつたい外に続いていたのでした。居心地が悪かったのか、シロアリたち蟻道を作って逃げてしまったのです。まずいよなぁ、この小屋の周囲には、大切な廃材たちがたくさんストックされているというのに。お願いだから、使えなくなるほどには食べないでね!
 ところで、この金属イオン媒染型の浸透性塗料?はどんな使いみちがあるか、いくつか試してみました。
 これはカウンター用にストックしておいた廃材に塗布したところ。
 まずは汚れてしまっている表面をオービタルサンダーで大雑把に磨きます。汚れ落としを兼ねていたので、かなり粗い120番の空研ぎペーパーを付けて磨きました。また腐ってしまっていた角部も丸ノコでちょこっと落とし、ヒビの先端にダボを打つなどして下地を少し整えます。

 そこにお酢にスチールウールを漬け込んだ浸透性塗料を塗布(食べものを載せたりもしたいので、ホウ酸は入れていませんでした)。また、濃い目に着色したかったのでスチールウールを直接スポンジバケのようにして塗布。

 乾いたらその後、サラダオイル(いちおうバージンオイルだけれど賞味期限切れ)を塗り込みます。その後、しっかり乾拭き。するとしっとりした艶が出ます。

 で、完成したらこんな感じになりました。

 臭いもなく、べたつく感じもなく、少なくともいまのところ良好。カビが生えたりしないかちょっと心配だったのですが、その心配も無用でなかなかいい感じに仕上がりました。

 そしてこちらは古材を使った棚。
樹種によって含有しているタンニンの量が異なるのか、同じ塗料を使っても色がだいぶ違って着色されます。
 自給にこだわる人は、柿酢を使えば市販品によらない完全なる自家製塗料も可能だし、柿はタンニンを多く含むので色みも違ってきそうです。また、酸化鉄以外でも、ミョウバンやアルミを溶かした酢を使うアルミ媒染、あるいは銅や木酢液+スチールウールなどを使って試してみるのも面白そう。ただし使う材料によっては、鉱物由来、植物由来に関係なく危険なものや毒性の高いものなどが含まれていたり生成されてしまう場合もあるので(特に木酢液は要注意)、安全性にもちょっと気を配りながら塗料の自作、楽しんでいただければうれしいです。


スチールウールの量や柿渋を加えることで、色味を変えることも可能。こんな感じの廃材ドアをつくったりして楽しんでいます。



 その後、紫外線や風雨暴露のテストなども行っています。上からサラダ油を塗ると、色落ちも少なくいい感じのように思います。

電動ケットラ充電物語part3 「天ぷら廃油で走るハイブリッド軽トラ登場?」


 電動軽トラをなんとかして天ぷら廃油(再生可能エネルギー)で走らせたい、と思い、中古の電動ケットラに付いてきた単相交流200V用の充電ケーブルを小細工していたのでした。交流100Vでも充電できるようにならないものかと悪あがきをしてみたり……。
 アダプターを自作してみたり、初期の頃の200V用ケーブルをお借りして試してみたりと、いろいろやってみたのだけれどもなかなかうまくいかず、電気に詳しい友達に助けを求めたところ「10KWhリチウムイオン電池って、TNT火薬にすると何kg分だか分かってる? 大容量の電池を舐めてはいけません」と叱られ、仕方なくメーカー純正の100Vケーブルを購入することにしたのでした。一瞬、200Vのディーゼル発電機を買おうか、とも思ったのですが、我が家の経済状況と今後、出先での充電などの汎用性を考えて100Vケーブルを買うことにしました。

↑下が中古の電動ケットラに付いてきた新しめの200V用ケーブルで、上がお借りした比較的初期の頃の200V用ケーブル。古いタイプであれば、アダプターを自作することで100Vも自動認識する……との情報があったので試してみたのですが、上記のタイプのケーブルではダメでした(詳しく知りたい方はこちらのブログを)。

↑そして右が新しく購入した100V用ケーブル。プラグの形状が違うだけで、他はほぼ同じに見えるのですが中身に違いがあるようです(最初期のケーブルは100V、200V兼用で使えたのだけれども、その場合、100Vでも15Aが流れてしまい専用コンセントを使わない人が多く危険なので、100V用ケーブルを別に設定して100Vの場合は10Aしか流れないようにしたのではないか? とのウワサがあります。あくまでウワサです。裏は取ってません)。
 そんなわけでネットで一番安いところを探したのだけれど、それでもたかがケーブルなのに5万円近くもしました。5万円あれば普通に動くケットラの中古車が1台買えるご時世なわけで、届いたケーブルを見て、ああ、やっぱりもう少し時間をかけて中古のケーブルを探すべきだったかも、と一瞬後悔(ドラゴン製のSAE J1772であれば電圧や電流値を任意に選べるものもあるらしいのですが、果たしてそれがMiEVに使えるのかは不明)。
 気を取り直してさっそく試してみました。我が家にあるオールドタイマーな交流100Vディーゼル発電機からの充電です。

 まあ、当然といえば当然なわけだけど、うれしいことに久しぶりに充電ランプが緑に灯りました(写真の赤いコードはアース線。なくても充電はできるけど、危険なのでアースはしっかり取っておいたほうがいいと思います)。
 ところでこのディーゼル発電機ですが、天ぷら廃油で走ることができるように改造が施されています。

 などと書くとまるで世紀の大改造が施されているかのように思うかもしれませんが、実際にやった改造は、エアクリーナーとインマニに間に直径3ミリほどの小さな穴をあけただけ。この穴、普段はゴミを吸ってしまわないようにネジでふさいであるのですが、冬場、気温が低く、天ぷら廃油ではエンジンがかかりにくい時に、ここからCRC556(モドキのMonotaROの安物浸透性潤滑剤)を吹き込むと、それを燃料と勘違いしてエンジンがかかる、という寸法。
 また、直接道路を走るためのエンジンではないので天ぷら廃油に軽油や灯油を混ぜても脱税にはならないはず(もしこれが脱税になるなら、EV用の電力は一般の発電とは分けて課税された燃料を使って発電してはいけなくなってしまう、と思うのだけれど、でも日産の新しいノートに搭載されているレンジエクステンド用の発電機とかは道路税が課税されたガソリンを使っているものと思われ、そのあたり、法律の方が追いついていっていない可能性もありますね)。そんなわけで冬季など気温が低い時期には灯油や軽油を天ぷら廃油に混ぜて粘度を下げる、という方法も可能と思われ、とりあえず現状では天ぷら廃油を暖めるための熱交換器は不要だったりします。

↑エアクリーナーより先なので、この穴からゴミを吸わないように普段はネジと廃タイヤチューブで作ったパッキンとでフタをしておきます。ちなみにウチでは草刈り機や藁切り機など、長時間放置され機嫌を損ねていることの多い農機の多くにもこの穴があいています。また、天ぷら廃油自動車には、シャンプーボトルなどを使って運転席から軽油がインマニ内に噴射ができるように改造されていたりします。

↑インパネを見ると、キーが抜いてあるのに電量計が液晶表示され、メーターパネルの右下には「赤いプラグのマーク」が点灯しています。
 最大が100V10Aなわけで、最初から分かっていたこととはいえ、やっぱりちょっと気になるのは充電のスピード。時間がたってもなかなか電量計の目盛りは増えません。

↑どのくらいの電気が流れているのか、クランプタイプの電流計で測ってみたところ8A以下だったので(ちょっと冒険だけれども)ケーブルとコンセントの間にエコワット(簡易電量計)をはさみこんでみました。その結果、やっぱり電力は800W弱。これだとエコワットが壊れることはなさそうだけど、ひと晩中以上、発電機をまわしている必要があります(200V15Aでも満充電まで4.5時間、100V10Aだとその約3倍、15時間近くかかることになります)。
 写真では音を伝えられないのが残念なのですが、我が家のディーゼル発電機はオールドタイマー(お年寄り)なので、昔の村祭りの縁日を彷彿させ、なおかつ余りあるような壮絶な音を発し続けるのでした。ダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダダッ。

↑そんなわけで、発電機のマフラーに乗用車の消音器を接続! 
 しかしそれでもまだ「ユンボをエンジン全開で家の前で使っているときよりもウルサイ!」と家族からクレームが入り、そしーて僕は途方に暮れる、のでした。
 ならば……、ということで、新たな善処策!

↑チェンブロで発電機を吊り上げ、電動ケットラの荷台に載せ、周囲にひとっこひとりいない村はずれまでひとっ走り、そこで充電すれば……問題解決?

 ということで期せずして、天ぷら廃油発電機を搭載したハイブリッド軽トラが登場したのでした。しかも、いま流行りの「クルージングレンジ・エクステンダー」タイプ。市販のハイブリッド車と違ってちょっと不便だったりもするのですが、こちらは「ラブ・ミー・テンダー」タイプ。優しく愛してね。


まだ読んでいない方は「電動ケットラ充電物語Part2」もぜひどうぞ。