きのう紹介したペール缶ぬかくどの詳しいスペックを知りたいとの問い合わせをいただいたので測定してみました。ただし、今回ここで紹介するのはとりあえずの「いい加減」というだけであってこれがベストというわけではありません。さらに改良を加え、より使いやすいものにしていただけたらと思います。
↑使用したペール缶は、近くのジュース工場(熊本果実連)から2〜3年前にいただいたものでどうやらブラジル製。グレープのコンク、つまりはブドウの濃縮果汁が入っていたもののようです(残念ながら最近は、ペール缶、ドラム缶共に分けていただけなくなってしまいました)。
高さは400ミリ、直径は300ミリで、一般的なペール缶よりも少し高さが高いタイプです。
↑そのペール缶の底の部分に穴をあけます。中心部を中心に直径6㎜の穴をたくさんあけます。数を数えてみたら、中筒に対応する中心部に40個、その周囲のもみがらに空気を供給する部分に16個の穴を開けています。ただし、この部分、もしかしたら、全体にステンレスのパンチング材に変更してしまったほうが正解のような気もします(いまのペール缶の底が抜けたら、やってみようかと)。
↑中筒にはステンレスのパンチング材を使用しています。以前はトマト缶に穴を開けて中筒にしていたのですが、この部分、高温にさらされるので鉄だとすぐに傷んでしまいます。写真のパンチング材は、横25㎜×高さ8㎜のサイズの楕円の穴がたくさnあいたもので、これはたまたま家にあったのですが、モノタロウなどから穴が正円のものが購入可能。たぶんそれでもOKだと思いますが、できれば廃材のリサイクルでどうにかしたいところです。
中筒のスペックは、高さ270ミリ、直径約150φでした。また、この中筒には外からの空気導入用のパイプを通す穴を三箇所あけてあります(三方から空気を導入しスワール効果を狙うというのもいいかもしれません)。
さらに上には、ガスコンロ用の廃品、(鋳物でないプレスの)五徳をセットします。プレスの五徳の特徴はモノコック構造であることで、面構造なのでこれで上部をフタされることによってもみがらから発生した可燃ガスが中筒に吸い込まれやすくなっている、という効果も、もしかしたらあるかもしれません。
でも一番の要因は、中筒内には上昇気流が起こるので、ベルヌーイの定理(移動する流体の周囲には負圧が生じる)によって蒸し焼きされたもみがらから発生したバイオガスが中筒内に引き寄せられるのだと思います(そういうことではスワールで上昇気流の加勢を狙うのは正解か?)。
↑ペール缶を置く際は、まずレンガを三つ置いて、ペール缶の底が浮くようにして(底の空気穴から空気が吸われやすいようにして)セットします。その後、中筒を入れ、パイプ(ビニールハウス用19φパイプの廃材)を3本セットし、中筒にもみがらが入らないようなカバーを被せ、もみがらを中筒の外側に流し込みます。
↑中筒の内部にも少しもみがらが落ちるのですが、写真の程度であれば問題ありません。缶の底の穴が完全に塞がれてしまっていると、点火がうまくいかないことがあるので、そのあたりを考慮して中筒のパンチング材の大きさを決めるといいように思います(ウチで使っているのはちょっと穴が大きすぎか?)。
点火は、杉の枯葉が本式ですが、ウチは邪道なので自動カンナの削りカスに天ぷら廃油をしみこませたものを使用しています。手ガンナの削りカスだと、長いのでトングでつまんだときにつまみにくく、その点で自動カンナの短いチップが最適。チェーンソーの削りカスでも代用できます)。天ぷら廃油は燃焼時の臭いの点で優れているのですが、着火性に劣るので火がつきにくい場合は灯油を少し混ぜてみてください。
火がついたら、そこに小枝を少しくわえます。蒸し焼きされたもみがらから発生したガスに火をつけるため、比較的長めの小枝を2〜3本入れておきます。
↑ある程度、温度が上がってしまえば、ステンレスのパンチング材も赤熱し、それも火種になるようです。写真はご飯を炊き終えた後の状態。小枝が燃えているうちは少し煙が出ますが、ガス化が進めば燃焼による煙はなくなり、白い煙は土鍋から湯気だけになります。
ぬかくどを使ったご飯の炊き方に関しては、こちらのブログを参考にしてください。
「もみがら」という素材は、硬くて、水を含みにくく、分解されにくいので、堆肥にするには向かないのだけれど、空気を含みやすく乾燥しているので、燃料としてはとても面白い材料だったりします。蒸し焼きにすると木炭みたいに可燃ガスを発生、しかも、ぬかくどで燃料として使い終わった後には灰ではなく、燻炭ができます。ペール缶ぬかくど、ぜひみなさんも試してみてください。そしてもっといい方法を見つけて、教えていただけるとうれしいです。