Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


シカの足の美味しいいただき方

 よっぽど残念そうな声だったのだと思います……。
自給知足仲間の麻実子さんから「シカが手に入ったのだけれど、ヤル?」という電話がかかってきたのですが、ちょうどその時、娘も私も家を留守にしていたのでした。
 家に戻った娘が、母から「シカが捕れたらしいよ……」との話を聞き、折り返し電話を入れたのですが、ギリギリ間に合わず、シカは別の家に行ってしまったのでした。そのときの残念そうな声が麻実子さんの耳に残っていたらしく、夕方、足を一本持ってきてくれたのでした。ありがとうございます。

↑まるで三味線でも持つかのように、うれしそうにシカの足を持つ娘。

 そうそう、話を進める前に、まずはお断りを。 
この先、かなりグロテスクな写真があります。苦手な方は見ないほうがいいと思います。とはいえ、お肉を食べる人は、動物たちを誰かに殺してもらって、その死体をいただいているわけです。お肉屋さんの陳列棚に並んでいる肉は大丈夫なのに、毛皮がついていたりするとその先の想像力が働きダメ、というのはなんだかちょっとオカシナコトだとも思うのですが……。

 ということで、いちおう、お断りは入れさせていただきました。
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で、シカの足はこんな感じです。

↑丸く見えるものが大腿骨の関節。写真をクリックすると大きくなるのでご注意ください。

↑たまたま、遊びに来ていたら娘の友だちたちも手伝わされることに……でも、好奇心旺盛で興味深そうに作業を行っていました。
 最近は狩猟女子が増えている、とのこと。そういえば狩猟免許の試験会場にも若い女性が何人かいました。実はここ数年、自給的な暮らしを欲する人は増え、若い人を中心に狩猟免許を取る人の数は急増しています(このところは試験を行うたびに受験者数は過去最高とのこと)。にもかかわらず、狩猟者の数が増えないのは試験に受かっても、その後、狩猟者として登録するのに(保険代などに)お金がかかりすぎる、という事情があるように思います(私も今年は登録をやめました)。狩猟者の高齢化が狩猟者数減少の原因では必ずしもないのです。
 シカの生息数が自然の生態系のバランスを崩してしまうほどに増えてしまっていて、それにはいろいろな要因があるように思うけれども、シカが高山帯にまで入ってしまうほどに個体数が増えてしまっていて狩猟圧による個体数調整が必要な状態だというのに、いまだに関係省庁が狩猟を「お金持ちの道楽」としてしか考えていないこと、そしてそれに伴う利権の維持という側面もあるように思われます。

↑まずは皮と肉の間に刃をあて、皮を剥ぎます。

↑剥がした皮もなめして使いたいとのことで、骨董品の高圧洗浄機でこびりついた筋膜を落としていました。

↑「早く食べましょうよ!」と、分け前を一歩下がってじっと見守る方もいます。

↑足一本でもかなりの量の肉がとれます。米と違ってお肉は蓄えることが難しい食材でもあります。シカやイノシシを解体してみると、稲作文化の前、狩猟採集の文化がギブ&ギブを基調とした文化であったことを実感させられます。

↑すねの筋肉まできれいに剥がし、ついに終了。この先は、料理です。
 鹿肉(ベニソン)は、欧州では高級食材。いろいろな食べ方があると思うのですが、スモークしてジャーキーにする、というのが我が家では一番人気があります。

↑まずは濃度の濃い液につけて、浸透圧により余分な水分を除去します。今回は、塩、三温糖、にんにく、コショウの「塩ベース」と、これにお醤油や赤ワイン、セージ、ローズマリーなどを加えた「醤油バージョン」の二種類を作りました。
 これらの材料をビニール袋に入れて空気を抜き、2日ほど漬け込みました。その後、塩抜き。漬け込み時間が長かったので流水で4時間ほど塩抜き。

↑一斗缶を使ってスモーカーを作ります。一斗缶は我が家の油田、台ケ原宿のくぼ田というお蕎麦屋さんから天ぷら廃油とともにいただいたもの。サラダオイル用なので食品に向いています。これの上ぶたを切り取り、底の部分にも10センチ角くらいの穴をあけ、そこにチップを載せた金属製のお皿を載せます。お皿の置き方によって下からの熱気をコントロールできるという構造。

↑チップを載せるお皿も一斗缶の上ぶたを切った切り端で作ります。取っ手の基部をプライヤーでかしめ、取っ手が垂直状態で固定できるようにしておくと便利です。

↑塩抜き後、火が通りやすいように薄切りにし、コショウをまぶします。

↑お肉を針金で作ったS字フックに刺して網に吊るし、「いいから早く食べようよ!」という方を尻目にスモーカーにセット。

↑スモーク中はこんな感じ。今回はウワミズザクラをチェーンソーで切ったときのチップを使いました(気になる場合は、チェーンオイルを天ぷら廃油にしておきましょう)。

↑熱源は、鋳物のかまど。火力の調整ができる上に、還元状態での燃焼が可能な昔ながらのかまどが一番便利だったりします。薪が炭化し、チロチロと長く燃やすことができます。スモーカー内が70度前後であることを目標に、3時間弱、スモークしました(付ききりではないのでときどき、100度を越えてしまったり、60度になっていたりりもするけどとりあえずOK)。

↑かまどの火から煙が出てしまうと、その煙の味が混ざってしまいます。かまどから煙を出さない秘訣は、よく乾いた薪を使用すること。また、かまど用の薪には伐った日にちと樹種を書いたメモを添えておくと便利です。今回は2年前、コブダイニングをつくるにあたって伐ったクルミの薪を使いました。

↑そして完成。コショウの効いたパストラミジャーキーで、自分で言うのもなんだけど……抜群の美味しさでした。臭みもなく、硬くもなく、スモークの具合もちょうどいい感じ。ポイントは筋膜などを取り除いてからスモークにかけること(筋膜が臭いの元)、そして温度を上げ過ぎず、その分時間をかけること(硬さ対策)のように思います。鹿肉はフランス料理では高級食材。手間は必要だけれども、手をかけることでとても美味しいお肉になります。

思った方向に木を伐り倒すために便利な道具

 19日の新月に向けて、相変わらず、伐採&剪定を楽しんでいます。で、伐採の際、使ってみてとても便利で紹介したくなるような道具があるので、今回はそれを紹介させていただきます。
 そしてこれがそれ。なんだか分かりますか? 
 本物はツリークライミングなどで使われる道具なのですが、それを真似して、家にある材料で作ってみました。木の枝にロープを掛けるための道糸を、投げるための道具なのですが、これがあれば、木登りすることなく、ロープをかなり高い枝にかけることができるのです。

 ベースは蛍光色の水糸です。これの片側は、娘が保育園の頃使っていた幼稚園バッグに繋がれています。この保育園バッグちょっと加工がされていて、縁の部分に針金を入れ、写真のように口をぱっくり開いた状態で固定できるようにちょっと改良しました。
 蛍光色の水糸のもう一方の端にはオモリがついています。ツリークライミングの世界ではスローパウチと呼ばれ、市販されてもいるようなのですが、これは娘が乳幼児だった頃の靴下の中にボルト&ナットを仕込んで作ってみました。ホンモノはここで紹介しています。
 どんなときに使うか?というと、こんなときに使います。

 背の高い木が家の近くにあって、それを伐採しようと思うのだけれど、家の方に倒れてもらっては困る、こんなときに使います。
 オモリの部分にキーホルダー用のリングが付いていて、この道具はこんな風に持ちます。

 で、オモリを股の間でこんな風にしてブラリ、ブラリと前後に振って……。

 見定めた枝、目掛けて投げます。

 大成功、見事に狙った枝にからみました。この投げ方、少し慣れてくると、思った以上に狙ったところにオモリを投げることができます。

 木の枝にからんだら、その状態で一度、オモリを地上に落下させ、オモリにロープをくくりつけて、蛍光塗料の糸を引っ張り、ロープを引き上げていきます。今回は水糸用のロープを使用しましたが、乱暴に引っ張ると途中で切れてしまいそうで、もう少し太め直径2〜3ミリくらいのロープのほうが良さそうな感じでした。

 今回は赤の矢印の位置にロープを掛けることが出来ました。しかも一発で。テコの原理で、作用点は高いほど安心で少ない力で引き寄せることができます。

 ロープはまっすぐ引くと、木が引き手の方に倒れてきて危険なので、立木を利用して、角度を変えます。

 角度を変えたら、ロープの端をジムニーの牽引フックにつなぎ、引っ張ります。ひとりが追い口を切りながら、もうひとりがジムニーを運転し、倒れ始めたら一気にバックして、木を引き倒します。チルホールやハンドウインチだと、木が倒れ始めたときに倒れる速度に合わせて一気にたぐり寄せることができないので、引き綱がたわみがちで途中から予想外の方向に倒れてしまう、などいうこともあったりします。
その点、クルマの場合は、木が倒れる速度よりも早くロープを引くことができるので、途中からあらぬ方向に倒れてしまうというトラブルを防ぐことができます。

 今回のこの木は大事を取って、一度に元から切らず、3回に分けて、切り倒しました。被害もなく、希望通りの方向に倒すことが出来ました。

↑今回伐ったこの木は、クリの木なのですが、10年くらいまえにかなりバッサリ伐ったのですが、それでもあっという間に家の屋根を越えるくらいに大きく成長してしまったのでした。

 そしてこちらはエノキ。オオムラサキは幼虫越冬で、根本の落ち葉の下にいます。そこを踏まないように、そして、越冬から覚めた幼虫がすぐに葉を食べられるように、できるだけ枝先(の芽)が残る状態で伐採しました(カッコ悪いけど今年は我慢)。木に登っての高い位置での伐採で、木の上だと逃げ場がないので、確実に思った方向に倒す必要があり、こんなときにも重宝します。

 しかし、それにしてもエノキに付く虫たちは不思議です。オオムラサキゴマダラチョウは落ち葉の下で幼虫越冬(鱗翅目の越冬形態としてはかなり珍しい)だし、テングチョウやヒオドシチョウは成虫越冬(こちらも少ない)なので、冬に枝を強剪定されてしまっても、被害を最小限に留めることができます。
 エノキは一里塚に植えられることが多かったと言われていて、ひょっとすると、冬に木を伐採するという人の暮らし方に沿ってこの木を食樹とする昆虫たちは、遺伝子レベルで淘汰による変化を受けているのではないか? などと思ってしまうのでした。
 遠い外国から化石燃料や材木が運ばれるようになったごく最近こそ、里山の木々は燃料や材として伐採されることが少なくなっていますが、それ以前、少なくとも数千年年くらいは、ヒトは里山の木を伐採しながら暮らしてきました、そして、生物たちもそれに沿って遺伝子を(淘汰により)変化させてきたのではないか? などと空想し、オオムラサキが滑空する江戸時代の一里塚を夢想するのでした。

冬の日の楽しみ方 「伐採とバスケタリー」

 今月は19日の朝8時47分が新月です。海の生物たちと同様、地上の植物たちも月による引力の差異を感じることができるようなのです。そして2月の新月は重要。この日を境にその後は、春に向けて植物たちは根から一気に水を吸い上げ始めるように感じられます。
 そんなわけで、今月の18日までにできるだけ、木の伐採、果樹の剪定などの作業を終えておきたい、と思い、このところは、伐採&剪定、薪作りにいそしんでいます。
 とはいっても「楽しみながら」が基本ではありますが。

↑このところ大活躍の360㏄のジムニー。足が長くてストロークがあり、車幅が細いので、軽トラでは入れない林の中にも入って行くことができたりします。副変速機付きなので、板バネが反り返ってしまうほど荷を満載にしても、360㏄なのに踏破力にはかなりのものがあります。この場所に行く途中にも、一箇所、土手があるのですが、どうにかクリア!

↑チェーンソーがあれば木を伐採するのは簡単なのですが、その後の片付けに手間がかかります、というか、そこに手間をかけることができるのが地給知足な暮らし方であり、楽しみだったりもするのですが。

↑片付けに必要な道具は、ナタと剪定鋏と、太枝切り鋏。特に便利なのが太枝切りで、ナタだと刃を数回振り下ろさないと切れないような枝も、太枝切りを使うとワンアクションで切ることができます(しかもブルーワーカーがなくても胸筋の筋トレができる?)。作業効率としてはチェーンソーを使うのが一番早いのですが、化石燃料が必要だし、音がうるさくせわしないということもあって、枝の整理片付けの際にはこれらの手道具を愛用しています。

↑倒した木は「焚き付け用の細枝」、「粗朶(そだ)」、「シイタケ植菌用の中枝」、「薪用太枝」それに「ツル類」の5種類に分けて片付けます。

↑粗朶はテーブルソーを使って切っています。写真の向かって左側(軽トラのうしろあたり)に立って、ネコがいっぱいになるまでガンガン切っていきます。このときは音のうるささは我慢。テーブルソーだと、小枝はチュン、チュン、チュン、という感じで切れて、チェーンソーを使うよりもはるかに早いのですが、その分、危険性も増します。この種の回転系工具を使用する際は、マフラー&長髪は厳禁。メガネ&帽子は必携。だらだら長時間作業をせず、ネコがいっぱいになるまでとか、気をはっている時間にメリハリをつけることも大切なように思います。

↑写真のような細枝も、束ねて屋根下に保管します。主に焚きつけとして使用するのですが、コナラやクヌギの細枝は思いのほか火力があって、炊飯などはこのあたりの細枝だけでどうにかなったりもします。実際インドの砂漠の村などでは、薪が貴重品で驚くほどわずかな細枝でビリヤニを焚いたり、チャパティを焼いたり、チャイを入れてくれたりします。

↑細枝を束ねるロープには、クズのつるを利用しています。クズはデンプン質が多くて虫が入りやすく、カゴを編んだりするのにはあまり向いていないのですが、生のときには丈夫でしなやかなので、ロープの代わりに使うには便利だったりします。ラベルとして作った日付を入れておき、1年くらい乾かしてから使います。

↑ツルは主にアオツヅラフジを集め、採取しています。バスケタリーでは、アケビやカズラ類などが有名ですが、実際に編んでみて一番使いやすいのは、折れにくいアオツヅラフジのように思います。ツル植物は林辺の木に多く絡むのですが、オオツヅラフジ以外のツルを根本から切っておくと、効率よくアオツヅラフジを集めることができます。アオツヅラフジは枝先の細い部分が冬でも緑色をしていることで見分けることができます。

↑日が暮れると共に、暖かい家の中でつる編み開始。薪のはぜる音を聞きながらのバスケタリーは冬の夜の楽しみのひとつなのですが、犬のベリーにとっては退屈な夕べになります。

↑カゴ編みは時間を忘れ、犬の存在も忘れ去られます。カゴ編みは性格が出ます。彼女は結構、几帳面。

↑夜もだいぶ更けた頃、やっと形になってきました。ベリーはあきらめ、グッスリ夢の中。

↑そして完成。

↑こちらはいまから10年前の2005年に作った畑用の収穫カゴ。持ち手が取れたり、ときどき壊れたりもしたのですが、アオツヅラフジはどこにでも生えているので、その都度修理して、いつまでも使うことができます。今回も補修を終え、かなり頑丈なカゴになりました。

↑こちらもその時(2005年)に作った植木バサミ入れ。

↑裏には針金で作ったフックがあって、ベルトやポケットに引っ掛けて使います。

↑ガラガラだった薪棚にもやっと少し、薪が溜まり始めました。美味しいお米とお味噌とお醤油、それにカボチャや根菜類、ジャムやトマトソースなどの保存食、そして薪貯金があれば、たとえ銀行に貯金がなくても、あるいは電気がなくても、そして一ヶ月くらい雪で閉じ込められたとしても、たぶんどうにか生きていける……、そしてその安心感がもしかしたら、暮らしを楽しむことのできるベースになっているのかもしれないなぁ、などと思うのでした。

「お餅をついて」……新年を迎える準備をしました。

 かつて、地域通貨の仲間が「ルン」というフリースクールをやっていました。自動車や機械のメインテナンスを知ってもらうという授業があって、ちょこっとだけ参加させてもらっていたりしました。そのときの生徒だった耕作さんが、この年末、八ヶ岳に戻ってきて餅つきの会に参加してくれたのでした。
 そして……「わたなべさん代わりましょう」と言って、ウチのお餅をついてくれたのでした。今年、80歳の大台にのるオフクロがモチを返します。
 耕作! ありがとう。

 耕作にかぎらず若い人たちが、気をまわし、機転を効かせて働いてくれている姿をみたら、なんだか涙が出そうなくらいにうれしくなってしまったのでした。
 Facebookの友達たちの投稿をみたら、全国津々浦々で餅つきが行われ、しかもその多くが自分で育てたもち米だったり、中には自分で作った杵(きね)と臼(うす)なんていう人もいて……「幸せな暮らし」というのは、こういう瞬間の積み重ねなのかもしれませんね。

↑こちらは菊池さんご夫婦。夫婦そろっての陶芸家。練りも返しも、さすがです完璧。ついたモチを形にするのもやっぱりアーティストなのでした。

 会場の石川さんの家がまた素晴らしいのでした。セイロは「買うもの」という固定観念にいつしか縛られていたのでした。石川さんの家で初めて手作りのセイロをみたとき、セイロは「丸いもの」と思ってしまっていたことに愕然とさせられたのでした。
 しかも今年のセイロは、釘などのカナモノを一切使っていない手作りのニューバージョンなのでした。

↑石川さんの家にさり気なく置かれていた足踏み脱穀機。これも市販品ではなく、石川さんの手づくりなのです。製品があることを知ってしまうと、ついついそれにとらわれてしまうことを反省。

↑こちらは、廃品の時計型ストーブを使った燻煙器(製作途上だそうです)。

↑その横には使い勝手のよさそうな石窯もありました。

↑こちらは、とてもシンプルなロケットストーブ。鉄筋メッシュの切れ端が
スタンドと五徳を兼ねています。
「持ちよりご飯」の忘年会も、素晴らしい料理の数々。入れ替わり立ち代わり、美味しい料理と珍しいお酒がやってきます。ヨーロッパでは作れなくなってしまったというカルメネールというぶどうのワイン、初めて頂きました。美味しかった! 

 そしてこれは畑の網にかかってしまったという鹿の(足の)燻製。

©写真:有紀さん
 こちらは、送られてきた新巻き鮭を使って作ってみました、というサケの押し寿司。お米も、そして素敵な器も自家製、なのでした。
 今年も素晴らしい1年でした。
 来年もまた、みなさん、地給知足的な幸せな暮らしを、楽しみましょう!

落ち葉の中から、ヒラタケを見つけるほうが、まだ簡単!

 ヒトの脳はほかの生きもののものと比べるとかなり優秀ですが、しかしそれでも、人称を区別することが出来ないと言われています。
 他人の悪口を言ったり、ネガティブな感情を強く意識してしまうと、それが他人のことであっても他人のこととは認識できず、知らぬ間に自分が傷ついてしまっている、ということがあるそうです。
 そんなこともあって、人の悪口はできるだけ言いたくないのだけれど、福島でいまもたくさんのひとたちが不安を感じ、苦しんでいるというのに「東京は福島から250キロも離れているから安全です」なんてオリンピックの誘致のために平気で言ってしまえる日本の首相の行いを見ていると、ついついネガティブな感情が脳内に広がりそれに支配されてしまいます。それで慌てて「あーでもこれは、いまの私の現況とは違うからね、私はいま、とっても幸せに暮らしていますよ」と必死に自分の脳に言い聞かせたりしているのでした。
 そんなわけで、なるべくマイナスなことは考えずに、彼のいいところを見つけてなんとか褒めてやろうなどとも思うのだけれど、それは枯れ葉の中からヒラタケを見つけることよりもはるかに難しく、仕方なしに、おいしい食べもののことだとか、お金や化石燃料に頼らない楽しい暮らし方のこと、なんかを考えて気を紛らわせるようにしています。

 それと肉体労働、これも心の健康のためにとてもいい。体を動かすことは細胞の老化防止ということでもいいらしいけど、これが脳にとっても一番のご馳走のようにも思えます。

 昨年は麦のタネまきが遅れてしまし、さんざんな結果になってしまったので、できればジョウビタキの姿を見る前に蒔きたい。少なくとも10月中にはタネ蒔きしたい。と、あわてて畑の準備をしています。残っていた小豆を刈り取り、地上部の草を芝刈機で粉砕し、その後、それらを鋤きこむようにしてトラクターで耕運。ケチなので元肥はなしで、鶏糞や生ごみを嫌気発酵させて得た液肥追肥で与える方式で育てる予定。

 早朝から耕していたのですが、出かける時間になってしまい娘にバトンタッチ。年代物のポンコツトラクターなので、クセをつかむまでが大変、などと思っていたのに、最近では娘のほうが要領が良かったり……。このトラクターも2タンク式で天ぷら廃油を燃料として使えるように改造されていたりします。
 そしてこの日は、河川の水質調査の日でもありました。この地域の宝ものは天然水。南アルプス天然水やいろはす、などはこの地域の水を使って作られています。ところが、5年くらい前のこと、この山奥に灰溶融炉ができる、という計画が突然出現。少なくとも施設が出来る前のデータを取っておこう、と有志がボランティアではじめたのが今も続いています。

↑この日は、小雨で川も流量が多く、白濁していました。雨の後、このあたりの川の水が白いのは、てっきり空気を含んでいるからだと思っていたのですが、どうもそうではなくて川筋の砂が白いからのようです。測定のために取水し、それをしばらく放置すると、白い砂が底に沈み、水は澄んできます。このあたりの沢筋には御影石が多く、それが粉砕されて白い砂になるのですが、それによって濾過された水がおいしいミネラルウォーターになってくれているようです。

↑取水のために釜無川を少しさかのぼった林道脇で撮ったカット。今年は紅葉の当たり年。写真だとちょっと色あせてしまうけれど、目がさめるような美しさでした。
 自然環境に恵まれたところに住んでいると景色を見るためにわざわざどこかに出かけるということが少なくなってしまうのですが、水質検査は半ば強制的に川を訪ねるのでいろいろな発見があります。これまでで一番感動的だったのは、河原に温泉が湧きだしているのを見つけたこと。一面の雪原の河原でそこだけ雪が溶け、真冬だというのにクレソンが生えていたりしたのでした。
自然の中で暮らしていると、うれしい発見だとか、気持ちのいい体験とかが突然やってきます。脳の健康のためにはもしかしたら、これが一番かもなぁ。

生活を遊ぶ……秋編

「大きな台風が来る」というので、家族で珍しく家の周囲の片付けをすることになったのでした。
 まずは「一輪車を運んできて……」と思ったらその一輪車には栗のイガがたくさん乗っていたのでした。しかもそのサビた一輪車には雨水が溜まっていて、その水は真っ黒。
「イガで鉄媒染するとこんなに黒くなるんだ」ということで、家の周囲の片付けは急遽、イガ染め、になってしまったのでした。

 娘いわく、「いま片付けてもどうせ台風で散らかるのだから、台風が通りすぎてから片付けたほうがいいんじゃない?」
 それに同意して、イガ染めに熱中してしまう母親も母親です。

 イガ染めのいいところは、燃料もイガで完結できるというところ。

 そんなふたりを横目で見ながら、父親は何をしていたかというと、栗のイガを使ってサビた鉄製品の黒染めに興じておりました。

 一方、台風はほぼ、真上を通過したというのに、すっかりやるきをなくしてしまい、勢力を弱め、結果、我が家は相変わらずの散らかり放題なのでした。

 そしてそんな台風の翌日、21年前に我が家にやってきた時にはボロッボロだったスカイラインの車検が行われたのでした。
 ハンドドリルに砥石を付けてシリンダーボーリングをしたり、サビたボディの切り貼りのために溶接機まで自作し、どうにかこうにかやっと最近になって復活?したスカイラインだったのですが、車検の直前になってまた機嫌を悪くし、前日までキャンセルをしようかと悩んでいたのですが、どうにかワイパーも動いてくれて、車検を受験することはできました。
 結果は、オールドタイマー誌の次号(26日発売)で詳しく紹介しています。気になる人は、本屋で立ち読みしてみてください。

 台風一過の素晴らしい快晴の日、軽トラ・モバイルハウスのポリさん(堀さん)と、軽バン・モバイル事務所で取材の全国ツアーをされている新井さんがいらっしゃったのでした。

↑こどもたちが描いてくれたというポリさん号の外観と犬の太郎クン。堀さんは普段、この軽トラで寝泊まり&自炊し、暮らしながら、雑誌の編集や動画の配信をされています。電気の自給をしたいとのことで、新井号のようにソーラーパネルを付け、て欲しいとのことで相談にみえました。いま、材料の手配中。パネルの取り付け時にまた詳しく紹介させていただこうと思います。

↑こちらは新井号。どうしても外食が多くなってしまう、とのことでしたが、お茶や軽食は作れるくらいの炊事道具がそろっていたりします。
 新井さんは現在、オフグリッド(独立型ソーラー発電)で暮らすひとたちをこのモバイルオフィスに寝泊まりして全国に訪ね、それを本にまとめるための取材中で、その途中に立ち寄ってくれたのでした。
 出版社に頼らずクラウドファンディングという形で資金をつのり、本にまとめる予定とのことです。応援してくれる方を現在、募集中。詳しくはこちらをご覧ください。

↑フラットになるように合板を貼った床の上にキャンプ用のマットを敷き、枕にもなる座布団を枕に夜はここで宿泊し取材を続けているとのこと。厳選した道具を使うことで、キャンピングカーのように大掛かりなものでなくともモバイルライフを楽しむことができる、ということを実践されています。

↑これは新井さんモバイル用として愛用されている椅子。アフリカの人たちが使っている椅子とのことで、腰にぶら下げて持ち運ぶことが可能。

↑しかも、底の部分が写真のような形状になっていて、傾けて使用することも可能で、座りながら作業をする上でとても便利なのでした。

 風の森にお願いして建ててもらった母の家。太陽熱温水器と太陽光パネルが屋根に載っているのでお風呂(給湯)と電気に関しては化石燃料フリーなのですが、昨冬は薪ストーブの設置が間に合わず灯油ストーブでどうにかしのいだのでした。朝の室温が15度をしたまわるようになったとのことで、急遽、薪ストーブの設置を行っています。

 手に入れた薪ストーブは、新保製作所の角型ストーブ。値段が7000円というリーズナブルな日本製の鈑金ストーブなのですが、これの側面、一箇所と扉部分に窓をつけてもらいました。

 調理用のコンロとしても使えるように流し台のすぐわきにセットするため、遮熱壁を製作中。当初は遮熱壁はレンガで作る予定だったのですが、キッチンとの間隔を出来るだけ近づけたかったことと、レンガは持ち合わせがなくお金がかかってしまうのでありあわせの材料で出来る方法に変更。

↑以前、源太さんがサルベージュしてきてくれたアルミの廃材と、家を作った時に使ったあまりのケイカル板を使うことに。対流が起こる間隔で二枚のケイカル板を、ロングボルトを使い立ててみました。

↑足のあたりはこんな感じ。サイズの異なるアルミのアングル材を2個組み合わせることでケイカル板を固定します。
 煙突の径の違いをどうするか? と、ストーブを調理用コンロとして使いやすい高さにセットする台をどう作るかを現在検討中。
 そしてやっと、明日から稲刈り。それと共に、そろそろ麦のタネまき用の畑の準備もしなければなりません。そこで縦横無尽に畑を占拠していたカボチャを収穫。

 美味しいかぼちゃのタネを残しタネとりを継続していくと、ラグビーボール型が多くなります。今年はちょっと小ぶりですが、これで来年の春までどうにか持つ……といいなぁ。

摘果の季節 果樹からの美味しいプレゼント

 もし、田舎に土地を手に入れることができたら、まずはその土地に果樹の苗木を植えることをオススメします。
 少し手はかかりますが、その手入れを楽しむことさえできれば、果樹も無農薬でも育てることが出来ます。果樹は花も(紅葉も)美しいものが多いし、そしてなにより自分の庭から無農薬のくだものが採れる幸せを多くの人に知って欲しいと思います。

↑これは、摘果桃と摘果リンゴと桑の実を煮詰めて作ったジャム。無農薬の果樹はペクチンが元気で、市販の柔らかいジャムがなんだかもの足りなく感じられてしまいます。

↑ドラム缶回転式トイレの奥の木が、我が家の桃の木。1本ですが、毎年100個以上の(木成り完熟の)美味しい桃を提供してくれます。そして手前はドラム缶回転式コンポストトイレで、ここから出たコンポストもときどき桃の木の根本にまいています。これが美味しくて甘い桃のヒケツか?

↑完熟桃としていただく分には、桃用の二重袋で袋掛します。袋をかけてカメムシスズメバチの侵入を物理的に防いでやるわけです。カメムシやゴマダラノメイガの刺し口のないものを選び、食べたい分量だけ袋掛して、残りはあらかた摘果します。年によって異なりますが、残す桃は5個に一個くらいかなぁ。だからほとんどの桃は摘果されてしまうことになります。

↑そしてこちらが摘果した桃。ウチの場合は、冬季の剪定も控えめで、摘蕾もほとんどしないので(切り花として蕾の付いた枝を切って楽しむ程度)、摘果桃は500個から多い年には1000個くらいでます。で、それをそのまま捨ててしまうのはモッタイナイ、ということになったのでした(木の下にそのまま放置しておいたら、犬がほとんど全部食べてしまった、なんてこともありました。お腹の強いベリーもそのときはさすがにピーピー。室内飼いなので、それはもう、たいへんなことでした)。

↑そしてこちらは、摘果リンゴを使って作ったマンゴーピクルーならぬ「リンゴーピクルー」。アチャール(インドの漬物)なので、時間がたって発酵が進み味が馴染んだころが食べごろで、なかなかやめられない後引きの美味しさ! 
 このスパイシーピクルス、リンゴの他に、摘果桃でも作ったのですが、どちらもそれぞれに美味しいのだけれど、どちらかというと、桃の方が本来のマンゴーピクルーに近い感覚。マンゴーピクルーはインドの梅干しとも呼ばれていて、その点では未熟桃の方が梅に近いからかもしれません。

↑こちらがリンゴの木。 今年の春はミツバチが少なくて心配したのですが、その一方で社会性のない、一匹狼のビロードツリアブが頑張ってくれたようでたくさん結実しました(ネオニコチノイドは、昆虫のそのあたりの受容体に作用するのか、社会性をもつ虫に対しての影響が大きいように思います)。

 ところで、リンゴは自家不稔性に優れた果樹なので、2本ペアで植えることをオススメします(生物の多様性ということで言うと「不稔」は有利な特性で、不稔性を一方的に悪いこと、あるいは危険なことのように決め付けるのはおかしいように私は思います。ただし、種苗メーカーの収益向上のため自家採種されないようにとF1を作ることにはもちろん反対です)。
 また、品種改良?されたリンゴの中には生殖細胞が三倍体の品種(ジョナゴールド陸奥、緋の衣、ハックナイン、みさきなど)があり、これら三倍体の品種の花粉は(染色体の数が奇数なので)減数分裂できず不稔なので受粉樹にはなれません。そのため三倍体のリンゴは、受粉樹(アルプス乙女など)を別に植える必要があります。
 こうした三倍体のリンゴは、不稔であるがゆえに実のサイズが大きいなどの特徴があるものと推測されますが、まずは4倍体の品種を作り、それとかけ合わせることで減数分裂できない奇数の遺伝子を持った品種を作るなどという不自然なことをやってまでして大きなリンゴを食べたいか?ということは、消費者の側の意識の問題でもあり、食べものを自分で育てることのできる環境に住んでいる人は、ぜひ自分で作ってみてこうした状況を知っていただきたいと思います。
 ついでだからもうチョロと書くと、種なしのぶどうは未熟果のうちにジベレリンという薬品に漬け込むことで、生殖細胞を三倍体化させ不稔性を作り出しています(素人目には雄性不稔なんかよりもこちらの方が怖い気がする……)。
 また川魚のアマゴは、受精したばかりの卵をぬるま湯につけることで、卵子側の減数分裂を阻止することが出来、三倍体の個体を作ることができることが知られています(不稔の個体は大きく成長し、細胞の老化が遅く、美味しいとのことです)。
 ということで、ネズミの細胞を弱酸性の液体に漬け込むことで細胞を初期化できる可能性はゼロではないような気もしていたのだけれども、でもまたなんで、よりによってあんな大事なところにあんな写真を使ってしまったのだろうか? 


 話を戻します。無農薬で果樹を育ている上で、一番のポイントは食害する虫達たちとどうつきあっていくか?ということではないでしょうか? 

↑写真はブランコ毛虫との愛称もあるマイマイガ。嫌いな人も多いけど、私の中ではこの毛虫、かなり美しい種類の毛虫として分類されています。でも我が家では、これらの毛虫たちは可愛そうだけど、見つけるたびにそれを手作業で取り除いています。取り除く、というと、言葉は悪くないけれど……実際には虐殺。

↑果樹には写真のような竹で作ったピンセットが吊るされていて、幼虫たちは見つかり次第、なるべく傷みを伴わように一瞬で踏み潰します(でも虐殺であることには違いありません……)。
 今年はハマキクロバという蛾の幼虫がリンゴの木に大量発生してしまいました。名前の通り、葉を巻いてその中に潜んでいるので、それらも見つけ次第、踏み潰します。ただしハマキクロバの場合は、棲息場所が枝の先端部と決まっているので、その部分をハサミで切って集めることである程度まとめて数を減らすことができます(その分、光合成できる葉が少なくなるので、それを見越して、冬の剪定を弱めにする?)。

↑交尾中のリンゴハマキクロバ。成虫は、黒くてシックな蛾です。


 オビカレハやアメリカシロヒトリ、それにモンクロシャチホコなどは、若齢幼虫期に集まってネットの中で暮らすという特徴をもっているので、その時期を見逃さず、金属棒の先に灯油を染み込ませたものを作り、それで焼き殺します……(でも小枝をあんまり炙りすぎると枝ごと枯れてしまいます)。
 虫好きからすると、これらは決して楽しい作業ではありませんが、でもいまのところこうした作業をしないと、果樹は他の雑木と違って丸坊主になってしまいます。
 でも最近は別の方法も探っています。ひとつは、スズメバチアシナガバチのような肉食性のハチに手伝って貰う方法。また、リンゴの害虫として知られているモンクロシャチホコですが、うちの場合はすぐとなりにクヌギの木があって、また近くにはコナラもあって、どうも彼らはクヌギやコナラの方が好きならしく(メスが羽化した木から移動することなく産卵する可能性もある←ミノムガをはじめ蛾にはそうしたものが意外と多い)、一種類の果樹(バラ科)だけでなく他の科の木を混植させるというのもどうも良さそうな気がします。

↑そしてこちらはリンゴ。リンゴを袋掛する人は少ないようですが、リンゴも虫が入らないように、そして鳥が食べにくいように袋掛けしています。

↑そしてこちらが袋掛けの際、摘果された未熟リンゴ。未熟ではあるけれど、無農薬のためかペクチン酵母の力は強いようで、パンはよく膨らむし、煮汁を吊るして滴らせると、プルンプルンのアップルジェリーができあがります。

↑試しに作ってみたら、思いのほかいい感じに出来た摘果したリンゴの実で作ったアップルジェリー。透明度が高く、青りんごの香りでプルンプルン。

↑摘果リンゴの酵母(りんごと水だけ)で作った自家製ライ麦入りのレトロバケット。全粒のライ麦入りだと膨らみが悪くなるのだけれど、よく膨らみました。

↑奥の木枠は、煮込んだ摘果りんごを吊るすための枠。絞らずフリーラン(自然滴下)だけで、ひと晩吊るしておくと、濁りのない美味しくて美しいアップルジェリーができます。