Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


トートバッグ風取っ手付き工具箱 作り方2

かーなり前に紹介した「トートバッグ風取っ手付き工具箱の作り方1」の続き、後半です。

麻袋、切端、燃料ホースなどの廃品を使って写真のようなトートバッグ風の取っ手付き布が完成したら、次は、中に入れる箱を作ります。

↑野地板で枠を作り、底は下からコーススレッドで固定。木口が見えてカッコは悪いのだけれど、コーススレッドの張力に頼ったこの組み合わせのほうが、底板の側面に釘やネジを打つより強度がでます。さらに強度が必要な場合は、鉄の帯を使います(昔の木製のコーラのケース仕様)。
 そして箱が完成したらこれに、お酢などを使って作った浸透性の自作塗料を塗布します。

↑塗った当初はこんな感じで、年輪が少し強調されたくらいにしか見えないのですが、少しすると、下の写真の用に着色されます。

 ひと晩おくと、こんな感じ。塗料の基本材料は、お酢と鉄。仕組みとしては、木に含まれるタンニンを酸化鉄を使って黒染めしているのではないかと思うのですが、見事に着色されました。作り方を含めてこの塗料のことは改めて別のページで紹介したいと思います。
 塗装が終わったら、最後に取っ手を付けます。
近くの河原から拾ってきた流木にダボ用の穴をあけます。直径は10ミリ前後、深さは(取っ手の厚みににもよるけど)5〜6ミリくらいがいいように思います。

それとは別に、適当なパイプを用意します。今回は色の具合が良さそうなので折れてしまったビニールトンネル用のアーチ材を使いました。これを適当な長さに切断し、コーススレッドを通し、カラーとして使います。

カラーを通し、コーススレッドで取っ手を固定します。

取っ手側に厚みがある場合は、下の写真のように、裏から固定する方法もあります。今回は箱の側面板の厚み薄かったのでビスの部分だけ二枚重ねにしました。

テキトーな木の枝の先端部を少し削り、テーパー上にしてダボ穴に打ち込みます。テーパーがいい具合だと接着剤は不要。ちょっと心配な場合は、木工用ボンドをちょこっと塗っておくと木が収縮してもダボが落ちません。
また、枝は虫の活動が少ない冬に切った枝を春までに乾燥させたものがベターですが、立ち枯れた広葉樹の枝の芯材や流木なども虫が出にくくていいと思われます。

打ち込んだら、余分な部分をノコギリで切り落とします。このときノコの刃のアサリで母材側に傷が突いてしまいがちなのですが「ノコの側板側に厚紙やテープを貼る方法」「片側のアサリを玄能で軽く叩いてなくしてしまう方法」「側板から少し離して切断し、ヤスリで擦って仕上げる方法」などがあります。

取っ手の取り付け完了!

同様にして、鹿の角を取っ手として扉に取り付けることもできます。

そして完成。

箱に入り切らない道具や材料などのナガモノも運びやすいし、布の部分は機械を分解する際のシートにもなるし、このスタイルの道具入れ、意外と使いやすいと思います。

トートバッグ風取っ手付き工具箱の作り方3」につづきます。

野良着を考える。第一回目は 「長靴」

 突然ですが……農的で自給的な暮らしをする人たちで、機能的な野良着について情報交換したいと思いました。
 アウトドア雑誌やネット上のメディアサイトにオススメGoodsなどがいろいろ紹介されていたりもするのですが、たいていの場合、この種の記事は広告絡みやタイアップだったりで、「実はもっとオススメの製品があるんだよなぁ」と思いつつも、そのことを書きにくかったりするようです(以前、ちょこっとそんな思いをしたこともあります)。
 幸いいまはスポンサーもいないしシガラミもないので、このブログとコメント欄を使って実際に使っている人からの情報を集め、実用的な野良着について情報をシェアできたら良いなぁ、と思いました。
 ということでとりあえず叩き台として、前回のブログ「長靴の修理方法」でちらっと紹介したわたなべの独断と偏見に満ちた「長靴」たちをいくつか紹介したいと思います。


 今の時期、外仕事をするときはたいてい、メインパックブーツ(Maine Pac Boots)と呼ばれるこのビーンブーツを愛用しています。

 良いところをまず紹介すると、とにかく暖かい。そしてその割に蒸れにくい。インナーが着脱可能。
また、ヒモを緩めに縛っておけば、靴の脱着が容易であるという点も気に入っています。家で仕事をしていると、家の中と外を行き来することが多く、そうした際、ヒモをほどいたり緩めたりしなくても、かかとをなにかに軽く引っ掛けるだけで脱ぐことができ、はくときもふくらはぎ側のベロを片手で抑えてあげればスッと足を入れることができます。
 さらに、通常のビーンブーツと違ってソールがチェーンソールでなく、雪や氷や濡れた床の上でも滑りにくいビブラム風のソールという点もありがたい(すり減ったら剥がしてスタッドレスタイヤトレッド面を貼り付けられそう?)。
ただし欠点もあって、靴底に土がハマりやすく、それがそのうち落ちてワッフルのような土の塊が、テラスの上や玄関の中に散在してしまい、玄関の中がこうして持ち込まれた土で汚れます。

 この手のビブラムソール風のビーンブーツは、このモデルの他にもあるのですが、メインパックブーツやオリジナルのビーンブーツとはラバーの部分の素材が異なり、発泡ウレタン系?の軽い素材のものは、縫い目の部分でゴム側が切れてしまったことがありました。

↑ラバー部分が発泡ウレタン系?のものは、LLBeanの製品であってもラバーの部分で切れてしまい、修理が難しかったりします。

↑一方、メインビーンブーツと共通のこのラバーモカシンの素材はとても丈夫。夏の外出時はもう20年以上このラバーモカシンを履いているのですが、丈夫で、着脱が簡単で気に入っています。

↑ただ欠点もあって、LLBeanのラバーモカシンはチェーンソールと呼ばれるソールパターンで、すり減ると雨の日や雪の日、あるいは濡れた床などでかなり滑ります。


 そしてこちらは夏用の長靴。マルゴというメーカーの食品加工や給食を作ってくれる方たちが使っている(ことが多い)白の半長靴(耐油性長靴)で、真っ白であんまりカッコがよくないから、モスグリーンに塗装したら、それが禿げてきてしまい余計にかっこ悪いのだけれども、丈夫で壊れないから捨てられない、という逸品。

 半長靴はサンダル感覚でスッとはけるのがメリットです。マルゴでは同じモデルの色違いバージョンで黒もあるので、次に買うときには黒を買って見ようかと思っているのですが、夏、ほぼ毎日履いているのに切れずに丈夫です。はたして黒も、白と同様の耐久性があるのだろうか?
 
↑娘はこんな風に絵を描いてみたりしてるけど、足元が白っぽいのはそれでもなんとなくちょっとしまらない感じ。


 そしてこれはアトムの「隼人」という長靴で、田植えのときにはく長靴です。

 小学生の頃からのオールドタイマー読者で、古いテーラーや農耕車などの愛好家で、好きがこうじて?クボタに就職し、いまや鉄米の専門家である小口さんのオススメでもあります。「シーズン中は毎日田んぼ作業で仕事で使っているけど安い田植え長靴の倍持ちます」とのこと。
 内側が吸湿&速乾性に優れた素材で、靴底も空気の循環を促す構造になっているとのこと。そういえば靴底(内側)が凸凹していて蒸れない、という構造はマルゴの長靴も同じで、健康サンダル以上に凸凹がしっかりしているので慣れるまでちょっと痛いくらいでした。

↑田植え長靴を長く持たせる隠れた秘訣はブーツスタンドを使用すること(写真のものはダイソーで100円)。折れ曲がった状態でクセがつくと折れた部分からひび割れてしまいます。
 また、「田植え長靴は(紫外線などで)劣化しやすいけれども、タイヤワックスをスプレーしておくと持ちますよ」との情報を桜の山の耕太郎さんからいただきました。クレがラバープロテクトというスプレーを出しているけど、タイヤワックスの方が廉価でいいですね。


 ついでに家族が愛用している野良靴をちらっと紹介。こちらは娘が愛用しているアトムのグリーンマスター。ウエットスーツなどに使われているネオプレーン風の素材でできています。そんなに長く履いているわけではないけど、まあまあかなぁ……、とのこと。電車での移動などで折りたためる(丸められる)というメリットがあったり、田植え長靴としても使えるし(ふくらはぎのベルトをしっかり締めれば田んぼの中で脱げにくい)、結構気に入っている様子。

秦さんからのメッセージを転載します。
「グリーンマスターを愛用しています。僕が主に使っているのはショートタイプ。この長靴にヒールがないので麦踏みしても麦を痛めません。冬は暖かいのですが夏は蒸れるので履いていないです。山に履いて行くと竹の切り口などで裂いてしまいますが、ウェットスーツの補修剤で直せます。」


 で、こちらはさとみさんのアイテム。30年以上も前に買ったラバーモカシンをいまだに履いている(でも夏と冬とで靴下の厚さが違うので2つある)のさとみさんの冬のアイテムはこのふたつ。

↑5年くらい前に買ったメインビーンブーツ(インナー付き)。温存しているせいか、まだ靴底はそんなに減っていません。

↑こちらは創業1897年というラバーブーツの老舗LaCrosseの長靴で、買ったのは家を建ててた頃だから、もう20年くらい前。重いけれども丈夫で暖かくて、大雪が降ったときにはコレ、だそうです。
 
↑素材にThinsulate Ultraの800Gが使われていたり、たしかに細かな部分までなかなかしっかり作られている長靴ではあります。

長靴の修理

 1年中、ほぼ毎日、長靴をはいています。
暖かい時期は、マルゴ(というメーカー)の耐油性半長靴(素材がPVCでとにかく丈夫、しかも軽いので走れるし、半長はサンダル感覚で履けて蒸れにくい……でもイマイチかっこ悪い)。
寒い時期は、LLビーンのMaine Pac Boots(とにかく暖かくて、ゴムの部分はビーンブーツと同じ素材で、底は滑りやすいチェーンパターンではなくビブラムソール風)。
雪が降ったらスパイク底のインナー付き長靴(スタックしたクルマを押すにもスパイク底だと力が入ります)。
田んぼに入るときは、クボタの小口さんオススメのアトムの隼人(田植え長靴なのに丈夫)、そして解体屋さんや廃材、石を扱うときは、ワークマンの先芯入り安全長靴。
ってな感じで、年柄年中、長靴をはいているわけですが、さすがに使用頻度が高いと長靴も壊れます。
 で、今回、愛用の先芯入り安全長靴が切れてしまったので、チューブタイヤのパンク修理法を流用した修理方法の紹介です(いつもながら貧乏臭い技術の紹介でスミマセン)。

 切れるところはだいたいいつも決まっています。座るときに折り曲がる部分に負担がかかり切れてしまいます。

↑切断面に瞬間接着剤を塗って、ヒビを閉じる、という方法もありますが、今回紹介するのはもう少し耐久性があって本格的な方法です。

↑上からゴムを貼り付けて補修するのですが、貼り付けるゴムの大きさよりも大きめに表面を荒らします。時間を節約するため、普段、電動グラインダーを使ってしまいますが、手作業だけで行うほうが確実ではあります。というのも、熱でゴムの表面が溶けてしまうと、ゴムが変質してしまうらしく、接着力が劣ってしまいます。熱で溶けてしまった場合も、その部分をサンドペーパー(空研ぎペーパーがベター)で手で研いであげればOKです。

↑貼り付けるゴム板(パッチ)は、捨てずに取っておいた自転車のチューブから大雑把に切り取り使用します。パッチ側も長靴側と同様、接着面を荒らします。自動車のタイヤチューブでもいいのですが、薄いほうが曲げたときの違和感は少なくなります。

↑接着するゴム板を適当な大きさに切ります。このとき、ハサミを斜めに傾け、できるだけ切断端面が薄くなるようにすると剥がれにくくなります。

↑接着面にパンク修理用の接着剤を広めに塗布します。そしてその後、表面が乾くまで1〜5分ほど、放置します。

↑パッチは自転車用のパンク修理用パッチでもいいのですが、長靴と相性が悪く、付きにくいものもあります。

↑パッチを貼り付けたら、長靴の内側に当盤(あていた)をあてがい、表側から鈑金ハンマー(の丸い方)で叩き、しっかり密着させます。

↑鈑金ハンマーや当盤がない場合は、石ころと普通のトンカチでもOKです。金槌は、仕上げ打ち面(=緩い球面になっている側)の方が周囲を傷つけず叩くことができます。

↑パッチの周囲にも接着剤(この場合は融着性がより強い塩ビパイプ用がいいかも)を多めに塗布し、完成。

季節の作業、厳冬期前の土方仕事

 気合いを入れてスコップで穴を掘るのが好きです。夏にはやりたいとは思わないけれど、この時期は薪割りと共に、体を中から暖めてくれます。
 とはいえ、いまはそんな悠長なことを言っている余裕はなく、季節に追われるように土方仕事に精を出しています。このあたりは寒冷地なので、もう少しすると土が凍ってしまうのです。土が凍ると、土に穴を掘るのにツルハシや削岩機が必要になります。
 そんなわけでまずは、兼ねてから気になっていたJRコンテナの移動。ひとスパン、南に移動します。

↑JRコンテナは頑丈だけど重くて、ウチのユンボのアームではこれを持ち上げることはできないのですが、排土板のシリンダーであればうまくやると持ち上がります。コツは支点の位置をうまくセットすること。

↑端と端で持ち上げようとすると持ち上がらないのだけれど、こんな風に真ん中よりに支点を作ってあげれば荷重が小さくなるので排土板でリフトさせることができます。コンテナとユンボを鎖でつなぎ、リフトさせた状態で引っ張るとどうにか動きます。

↑日が暮れてしまい、気合いを入れて穴掘り。

↑凍結深度(40cm)より下に平らな石を敷き、その上にコンクリートの石柱を建てました。


 畑にも今のうちに点々と穴を掘っておきます。

↑冬の間、台所で嫌気発酵させた生ゴミや落ち葉などをいけるための穴です。


 若者は、土手に石を積み、自然石での土留めに精を出しておりました。

 ハーブ主体のロックガーデン&石垣イチゴの畑になるそうです。

 ヘビやトカゲ、それにオサムシなんかも喜びそうだなぁ。

季節に追われて……なんて、季節のせいにしているけれど、この手の作業はその気にならないとなかなかできず、実は季節に背中を押してもらっている、とも言えそうです。

軽トラ・少改造1 「鳥居にすべり止め」

 新しい軽トラ(とは言っても中古ですが)に、長モノの材を積もうと思ったら、鳥居がすべって積みにくかったので、滑り止めを付けることにしました。

↑材料は、自転車のタイヤの廃品。ミニキャブの鳥居は細いのでクロスバイクのタイヤが良さそうでした。

↑リムの硬い部分を植木鋏で切り離します。「輪」を「ストレート」にするために側面に切り込みを入れる方法もありますが、今回使ったクロスバイクのタイヤは側面がメッシュになっていたので、そのままでもいけそうでした。
強力両面テープで貼った上にさらに、要所にビニールテープを巻きました。
これで完成。

装着後、黒岩さんからいただいた廃材を運んだりしたのですが、クロスバイクの接地面は細くて面圧がかかり、いい感じでした。

灯油ボイラー(TOTO・RPE46KDS)修理の備忘録

 先日、設備屋さんがいらしてくれて、壊れていたボイラーを修理(分解清掃)してくださいました。
次回からはひとりでできるように、備忘録を残しておこうと思います。


 ボイラーは家の北側、かなり冷える場所にセットされています。半年以上前から不調で、晴れた日は太陽熱温水器の温水に頼り、曇りや雨の日は近くの温泉に行くことにでどうにかやり過ごしてきたのですが、厳冬期になりこのまま壊れたままボイラーを放置するとボイラー内部が凍結してしまう恐れもあり修理をお願いしました(以前、電磁ポンプが壊れた際、ボイラーメーカーに電磁ポンプが欲しいと電話したら、サービスマンなるひとがすぐに来てはくれたのだけれど、簡単な点検をしただけで部品がないから直らないと言われた上、高い出張料を請求され、もし新しいものに変えるのであれば今回の出張料はサービスになりますなどと言ったもんだからお金を払って早々に帰ってもらったことがありました)。

↑ボイラーの左側、黒いテープの巻かれたパイプが太陽熱温水器の配管。太陽熱による温水の温度が足りないときに加熱できるように、温水器を通ったあとボイラーに入って各部に給湯されるようになっています。ボイラーの左側、黒い大きなコブのようなものの内部に、温水器からの温水と井戸水とのミクスチャーバルブがあって、ボイラーに入るお湯が60度以上にならないようになっています。また、太陽熱温水器からの配管には実験的に凍結防止ヒーターを巻きつけていません(その代わりに塩ビ管ではなく凍結しても壊れにくい架橋ポリのサヤ管を使用)。やはり一番凍結しやすいミクスチャーバルブの部分で、何度か凍り詰まったので(金属なので冷えやすいからだと推測)、その部分を着なくなったフリースの服をグルグル巻きにして、その上から黒のテープを巻きつけました。おかげでそれ以降は、氷点下10度の朝もどうにか水が蛇口から出てくれるようになりました。
ちなみに、ボイラーの上の黒いものは、サントリーから飛んでくるウイスキーのカビ。白州、鳥原の名物で、白樺を黒樺にしてしまうほどの威力があります。

↑今回分解清掃したのはTOTOのボイラーで品番はRPE46KDS。2年くらい前にヤフオクで2万円(+送料6000円)で中古品を購入したもの。
 まずはフロントのカバーをあけます(上部のビスを2本緩めるだけ)。

↑内部はこんなふうになっています。ゴチャゴチャしていて一見手を付けられなそうですが、主要部分を隠すようについている電気回路の基盤を外すとその奥にいろいろ見えてきます。

↑基盤を外すには、まず手前のアース線を外します。次に基盤下部中央にあるスクリューを1本外すと基盤は外れます(たった1本のスクリュで止まっているだけでした)。

↑外した基盤はそーっとぶら下げておきます(ヒモで吊っておくと安心かも)。基盤を外すとその裏に電磁ポンプなどの主要部品が現れます。

↑赤い矢印の部分が電磁ポンプで、緑の矢印のあたりには霧化用のノズルや点火用のイグナイターなどがあります。そして黒の矢印が送風ファンのためのファン。

↑ノズル付近をアップで見るとこんな感じ。手前のカプラーがふたつ付いているもの(緑の矢印)が温度センサーで、左の黒いものはたぶん炎のセンサー(青の矢印)。炎のセンサーは外してみると燃焼室側がレンズになっているので、そこにカーボンが付着していると誤作動を起こすのでブレーキクリーナー&ウエスで磨きます。
銅のパイプが2本刺さっている部分がボイラーの心臓部とも言える霧化ノズル。赤の矢印のネジを外してまずプレート外し、銅パイプ2本を上に引き上げてから固定ネジ2本を外すと外れます。外してみたらこの部分には黒いビニールシートのようにタールが固着していました。また、ノズルは分解可能で内部に細かなメッシュのフィルターが付いているので、そこも詰まりがないか確認が必要です。先端部分はかなり小さな穴が空いていて、その内側にスワールを産むための小さな三角錐のような部品が入っています。このあたりも分解したついでに掃除しておきます。
そしてノズルの奥の部品がイグナイターで、燃焼室側にはノコギリクワガタの大顎のような突起がありここで火花を散らします。この部分のカーボンも落とし磨きました。

↑そしてこちらは電磁ポンプ。作業が前後しますが、大掛かりに掃除する場合はまずは、ポンプを外し、その後、ノズルやイグナイターなどを掃除したほうが作業性が良さそうです。ポンプが外れれば、缶体の一番上のフタ(副燃焼室のようなところ)ごとはずせる可能性があります(ただしノズルなどは缶体についている内に外したほうが外しやすいかも)。
ポンプは手前がフィードポンプで、奥が噴射ポンプ?でしょうか?(機種によって二種類のポンプを燃焼状態や風呂焚きなどに応じて使い分けていることもあるようです、詳しい方、分解清掃の方法を含め、補足いただけるとありがたいです)。ふたつのポンプの間(赤の矢印の部分)にもメッシュのフィルターが付いていてここも忘れずにチェックが必要です。

↑ポンプの取り外しはマウントボルトではなく、その上の手前のステンのタッピングスクリュー2個を外すと奥側にはスクリュがなくハマっているだけでグニュグニュやると抜けてきます。ただし同時に配管も外す必要があります。

↑入口側の配管は、クリップで止まっているだけなので、手でこじるだけでクリップを外すことができます。ノズル側はふたつの配管を抑えているプレート(を固定しているネジ)を外し、細い銅パイプを上に引っ張り上げると外れます。

↑送風ファンはサイドのスクリュー2個を外すと内側はハマっているだけなので外れます(絶えず振動が加わるクルマに比べ、メンテナンス性が重視されている印象)。

↑缶体の燃焼室部分(銅ではなく亜鉛メッキの部分)はプレート上の留め具で固定されていて、スクリューを外した後、プレートを手前に引くとプレートが外れ、缶体から分離することができます。ただしこの部分には不燃素材でできていると思われるパッキンが入っていて切れやすいのそれを切らないように注意が必要です。。

↑缶体の内部にもフィンが付いた銅のパイプが配されていて、ラジエターのような構造になっています。内部は、ゴテゴテ。ススとタールのようなものでフィンが完全に詰まってしまっていて、排気が隣の排気筒の方に流れることができない状態でこれでは稼働しないのも当然、という感じ。
フィンの間の詰まりを取りのぞいたのですが、ワイヤーブラシでは長さが足りず、自動車のワイパーゴムの芯として使われている細長いスチール板でフィンの間を突き、高圧エアで吹き飛ばしながら掃除機で吸う、という方法でどうにか6割型フィンを復活させることができました(修理当日は写真を撮る余裕がなかったので、あとからチョコっとばらして写真を撮っただけなので、申し訳ないのですが肝心の缶体内部の写真などはありません)。
おそらくこのゴテゴテのタールは、ボイラーの燃料として灯油に天ぷら廃油を混ぜていたことが原因と推測されます。

↑今回はそこまでで、次回やることがあったらそのときにはパイプを外し、缶体の下部も外して掃除をしたいと思います。
また、缶体周辺にはたくさんのセンサーが付いていて、本体は壊れていないのにそれらの誤作動で使えなくなってしまうことも多いようです。白いカプラー状のものたちがそれで、エラーメッセージに従いセンサーを特定し、点検することで比較的簡単に直ることもあるようです。

↑この写真の水色の部品もセンサーのひとつ。下にお皿があって、ボイラー内で灯油がこぼれた場合、この部分で灯油を吸い上げ、油漏れの警報を発し、ボイラーを止めるためのセンサー(「油漏れ」のエラーメッセージはこのボイラーの場合800番)。電磁ポンプを外す際、燃料がこぼれるとここに油が流れ、エラーになってしまうことがあります。その場合は、センサーを外して油をエアで飛ばし、ドライヤーで暖めます。水色の部分の下部にオンオフスイッチがあって、それがオフ(下に下がった状態であればエラーは出ないので、水色の部分の固定ネジでも調整可能でした。


 実際にはこんな感じで順調に作業が進むわけではなくて、他にも燃料タンクや配管の清掃など、今回は故障の原因と思われるところがいくつもあって、それを直しては組み直し、試してみたけどしかしまだエラーメッセージが出るので再び分解&清掃ということの繰り返しで、しかしそれでも諦めずに作業を行うプロの作業に感銘しました。小林設備さん、お忙しい中、本当にありがとうございました。蛇口をひねると雨の日でもお湯が出て、お風呂に入れるという幸せに、心から感謝しています。

最近のインパクトとタイヤ交換の進化

我が家はきょう、ようやく冬タイヤにタイヤ交換。ついでにオイル交換などもしました。

この地に引っ越してきてからというのも、毎年二回(毎回平均3〜4台の)クルマのタイヤ交換を20年間やってきたのだけれど、考えてみるといろいろ変わりました。
当初は十字レンチでホイールナットを緩めていたのだけれど、電気製品の性能があがり、いまや大工道具のインパクトドライバーで緩めることができるのです。

マキタの18Vだと10kgmで締め付けられたナットは余裕で緩めることができます。もしも緩まないとしたらそれは締め過ぎ。ハブナットをねじ切ってしまう可能性があるので注意が必要です。

↑14Vなどで力不足で緩まない場合は、ソケットにレンチをかけて叩いて緩める方法もあります。

↑しかしこのクルマ、よくぞこんなスペースにエンジンをレイアウトしたものです。サイドブレーキの下、3センチのところにタペットカバーがあったりします。

↑こちらは運転席のシート下。インジェクションポンプの周囲には意外と余裕があって、三方弁を取り付けるスペースが見つかりそう……

などと余計なことを考えていたら、日が暮れてきてしまい、慌ててオフクロのタントを冬タイヤに交換。

この時間は刻一刻と空の色が変わり、もう氷点下だというのに寒さを忘れ、山の美しさに見とれてしまうのでした。


■追記■
調べてみたら、マキタの18Vシリーズのインパクトの締付けトルクは175Nm(≒17.85kgm)で、14.4Vシリーズでも170Nm(≒17.34kgm)でだから、普通のクルマのホイールナットだったらかなり余裕があるようです。
単位換算 1kgm=9.81Nm≒10Nm弱
KTCのトルク換算サイト http://ktc.jp/support/unit-cal

■追記2■
あ、それと締め付けは必ずトルクレンチを使ってやってくださいね。最近のインパクトの最大トルクモードで最後まで締めてしまうと、ホイールボルトをねじ切ってしまったり、アルミの場合はホイールが割れてしまったりすると思います。

■追記3■
もしもトルクレンチを持っていなくても、体重計と普通のソケットレンチがあれば、「この方法」でホイールナットは規定の締め付けトルクで正確に締め付けることができます。
http://d.hatena.ne.jp/musikusanouen/20100916/1284602792
また、タイヤ交換自体を楽しむ、ということでは、「エアツールや電動工具を使わない方法」もあって、そちらも楽しいと思います。
http://d.hatena.ne.jp/musikusanouen/20111218/1324202282