Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


白州町鳥原、石尊神社のお祭り

この地に移り住んで20年ちょっと、これまで地元である白州鳥原区のお祭りを見たことがありませんでした。この時期、さまざまなイベントが重なってしまうという事情もあったりで(今回も「わとわまつり」と重なっていたりで)、今回、初めて見せていただきました。


石尊神社という名前の立派な木立ちに囲まれた神社が集落の最上部にあります。樹齢300年に達すると言われる立派な松並木(市の天然記念物)の参道を登ると、深い木立ちの中にポッカリと現れるひだまりがあって、そこに土俵がつくられています。その土俵で相撲が奉納されるという、ちょっとエキサイティングな面もあり、とてもいい雰囲気の感動的なお祭りでした。

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⇧なぜこんなに幅の広い階段になっているのか?この日はじめて判明。幅の広い階段は相撲を見るための観客席だったのでした。江戸時代後期には多くの人が訪れ、賑わったとのこと。

 
奉納相撲がはじまる前、少し時間があったのでまずは本殿にお参りすることにしました。
幅の広い階段状の観客席の先は、幅のせまい石段による急登。
登るのも大変ですが、これをつくったひとたちのことを考えると「登るのが大変」などとは言っていられません。登るのが大変なほどの石段がつくられていることに感銘しながら登りました。何段あるのか数えて見ればよかった(100段以上であることは確実です)。

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しかもこの石段、ひとつひとつが手刻みで成形されたものなのです。

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⇧ノミの痕にコケがのって、歴史が感じられる美しい表情をみせていました。

これは階段の中央にある手すり。これもまた美しい造形!

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石段の途中には、ところどころに自然石から掘られたお地蔵様がいたりします。

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あるいは、この世のものとは思えないような、美しいキノコとコケが生えた斜面があったり。

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そしてようやく、階上へ。
そこはそれまで登ってきた急峻な斜面とは対象的な思いがけない空間になっています。
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石尊神社と言われるだけあって、石像も多く建っていました。
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時代ののった御影石でつくられていると思われる石像たち。このあたりの山の石は多くが御影石で、砂は白く、白州(はくしゅう)の語源もこのあたりにありそうです。また御影石は水の浄化作用が強く、この地域の水は清らかで柔らかいことから、いまやウイスキーやミネラルウォーター、それに濃縮果汁を薄めてつくるジュース工場などが林立しています。

水がおいしいのは、石のおかげでもあり、水がおいしければあらゆる食べものも美味しくなり、食べものがおいしければ人は幸せなわけで、石を尊ぶ気持ちはこのあたりから生まれたのかもしれません。

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⇧自然石の粗さと彫刻の精巧さのコントラストが魅力的な石像が迎えてくれます。

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⇧欄干の金物の装飾や造形もいい感じでした。
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⇧拝殿は縦に長く、渡り廊下のような先に本殿が安置されています。

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⇧途中の天井は格天井で、見事な天井画が。

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⇧そしてこけら葺きの本殿。石尊神社は1398年の創建とのことです。

奉納相撲は午後1時すぎから始まりました。

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⇧艶やかな衣装の呼び出しと行司が場を盛り上げます。

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⇧終始にこやかな行司さんは、Facebook友達でもある長治さんでした。
判定が微妙なときには、お客さんたちに「いまどっちが勝った?」と聞くのがなんともいい感じ。お客さんたちは何度も見たいので多くの場合、「ドウタイ、取り直し!」と応えたりします。

そしてこの奉納相撲はなんと、江戸時代の後期(1829年)から続いているとのこと。

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⇧奥は「達磨富士」という四股名で、地域通貨などを一緒にやっている友達。繊細で大胆な素晴らしい焼きものをつくる陶芸家です。
友達が土俵にあがると、見ているこちらまで思わず力が入ってしまい息を止めて力んでしまうのでした。

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⇧なぜこれほどまでに手に汗を握るのか? 知り合いが多いということもあるけど、テレビなどで見る土俵と違ってここの土俵は余白がほとんどなく、土俵を割ると同時に力士は土俵から転がり落ちるのです。しかも高さがかなり高く、ヒヤヒヤするのでした。

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⇧今回、三人抜きで勝ったのは、手前のダイスケさん。素晴らしい運動神経の持ち主であると同時に猟師でもあり、わが家で解体するシカの多くは、ダイスケさんか、ダイスケさんのお父さんからのいただきものだったりします。

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⇧途中、赤ちゃんの邪気祓いの儀式も行われました。
これがまた、凄くよかった!

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⇧お相撲さんに抱っこされると無病息災に育つという言い伝えがあります。
深い木立の中で、光り輝くような光景でした。

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邪気祓いをしてもらう赤ちゃんには女の子もいるし、長い伝統があるお祭りですが、ここの土俵には女の子もあがれます。
いやぁ、本当に素晴らしかったなぁ。