昔、シンガポールを旅行した時のこと。
宿は現地で探すのが楽しいので、普段は予約をしないのだけれど、そのときは家族旅行だったし着いたその日にホテルを探すのがちょっと億劫だったので日本から予約ができる少しいいホテルの予約をしてでかけたのでした(とはいえ5000円くらいの部屋にエキストラベッドを入れてもらって家族三人で泊まったのですが)。
オーチャードストリートから少し入った裏通りにあるそのホテルには飛行機の関係で、宿泊客が寝静まった真夜中にこっそり着いたのでした。
そして翌朝。目が覚めるとそこは、南国の明るい抜けのいい光の中。
緑の中にブーゲンビリアが垂れ下がり、小鳥たちはさえずり、そんな朝のテラスで食べた朝食に、みずみずしてく美味しいスイカがたっぷり。
いまだにそれが忘れられずにいます。
そんなわけで、夏の朝食に美味しいスイカが食べたい、と思って、それ以来毎年、スイカを育てています。スイカのウネにはビニールトンネルをして水を切り、丹精込めて育てるので甘くてみずみずしくて美味しいスイカができてくるのですが、でもこの地だと、スイカが熟す最盛期はちょうど今頃。
もう秋なのです。
それでもせっかくだから、朝食にスイカを! と、いただくのですが、秋風が吹き、天は高くうろこ雲が広がり、アキアカネたちが飛び交う朝、あの日のあのテラスを思い出しながら、冷えたお腹を両手で暖めながら、いただくのでした。
ガビチョウ、ありがとう。君は素晴らしいよ!