日本もまんざら捨てたもんじゃない。

 父の介護をオフクロだけにお願いすることが限界になってきて、家の前に両親の家を建ててもらうことになりました。家を建てるに当たって、「風の森」という原村(長野県)にある少し変わった工務店にお願いすることにしたのでした。
 いま住んでいる家は、ステップフロアーやパッシブソーラーなどカラクリ仕掛けには満ちているのですが、トイレやお風呂は二階にあり、バリアフリーということでは最悪の家なのでした。リフォームも考えたのですが、だったら新しくもう一棟、別に家を建ててしまおう、という発想が生まれてしまうところが、土地に恵まれた田舎暮らしのいいところだったりもします。そんなわけで、バリアフリーでかつ、できるだけ地球に優しいエネルギー自給型の家を建てよう、ということになったのでした。
 で、その、風の森のリュウさんが、明日、工事用の仮設の電気を「持っていきますね」と言ったのでした。
 持っていきます? 仮設電源は『(東電にお願いして)設置します!』というのが普通です。でもそうではなくて「持っていきます?」 なんだかちょっと変だなぁ、とは思っていのですが、翌日になってその意味が分かりました。

 単管パイプの架台にセットされた出力約1キロWのソーラーパネルが運び込まれたのでした。リュウさんいわく「だって、工事の現場とはいえ原子力で作った電気を使いたくないでしょ!」。

 ユニックから次に降ろされたのは、在来工法?で作られたバッテリーやインバーターを収める木の箱でした。これで20Aまでの電気が使えることになります。丸ノコとエアコンプレッサーくらいだったら、これで十分とのこと。
 風の森は、ウッドマイレージの少ない地元材を生かして日本古来の伝統工法で家を建てる工務店であると同時に、セルフビルドやハーフビルドの施主をも応援してくれるという珍しいタイプの工務店でもあります。躯体や基礎など、初めて家を建てる素人が自分でやるには難しいところを施工してくれて、内装や塗装など「ニンク」がかかってプロにお任せするとお金がかかってしまう部分をハーフビルドすることを応援してくれる、というちょっと変わった工務店でもあります。変わったところでは、「ジャメ・コンタント・オマージュ」という独立操舵&独立駆動の電気自動車の木骨部分を担当していたりもします。
 ところできょうは、仮設の水道工事のために設備屋さんがいらしたのですが、設備屋さんは古いボンゴを愛車とされていました。エコカー減税が適用される新車より、ライフタイムアセスメントで考えたら、古いクルマを大切に乗ることの方が大切、という考え方で、以前に一度エンジンが壊れたのだけれど、その後も中古のリビルトエンジンに載せ替え大切に使っている、とのことでした。
 それに「古いボンゴは機能的で、定尺(4m)のパイプが、室内に入るんですよ」とのこと。
 意識の高いモノ作りの人たちに刺激され、プラスチック製の仮設トイレをキャンセルさせていただき、工事用に(以前から構想を練っていた)ドラム缶コロコロ式のコンポストトイレを作ることにしました。本格的な工事が始まる7月1日までにどうにか間に合うように、いま、時間を見つけては必死に作業をしています。

 あー、でもなんだかなぁ……、こうして、モノづくりの現場に実際に接してみると、日本もまんざら捨てたもんじゃないなぁ、と思うのでした。
 その一方で、何も生産的なことをせず、ただお金を右から左に動かすだけでお金を増えてしまうマネーゲーム、つまりはアベノミクスというものの根本にある考え方こそ、諸悪の根源ではないか? と思えてしまうのでした。