Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


寒冷地の青物野菜温存作戦

 かつて我が家は森の中の一軒家だったのでした。林を少し開墾し、自給用の野菜をそこで作っていたのでした。ところがある時、家の周囲で圃場整備という開発工事がはじまり、それによってウチの東側と南側の林は皆伐されてしまったのでした。

 その上ここに「モンサントのような農業法人が入ってきたら目も当てられない」と、「隣接する農地ひと区画を我が家でお借りしたいのですが」と申し入れし、ありがたいことに借りることができるようになったのですが、そのひと区画がなんと5反、1500坪もあったのでした。
 田んぼと違って、畑の5反は管理だけでもなかなか大変なのですが、おかげで広い面積を必要とする麦や大豆などの穀物なども作れるようになり、それによってパンやお菓子、それにお味噌なんかも自給できるようになったのでした。

↑いまの季節の麦畑。雪の上にわずかに芽をのぞかせています。その芽を食べに鹿が侵入していないか?老犬ながらも毎日、見まわりをしてくれています。ありがとうね。


 ところがなのです。1500坪も畑をやっているというのに、寒冷地なので、冬になると畑からとれる作物はほとんどなくなってしまうのです。かといってこんなに畑をやっているのにスーパーで野菜を買うのもなんだかとっても悔しい……、ということで、あの手この手を尽くして冬季の青物野菜温存作戦を行っています。
 とりあえずの目標はお正月のお雑煮に自家製のアオモノを使うこと。

 もっともオーソドックスなのは、霜よけとして、冬囲い(屋根をかける)をしてあげる方法です。
 冬囲いの場合もいくつかの方法で違いを試しているのですが、ただ波板を張っただけの屋根よりも、中古波板の下に廃材の発泡スチロール板を入れ、段ボールでフタをした屋根のほうが下の植物(野良坊で実験)は傷みが少ないことが分かってきました。

↑写真の左端は段ボールだけの屋根。断熱効果はまあまあなのですが、霜で湿って垂れ下がってくるのが欠点。真ん中は波板の下に発泡スチロールの板を入れ、それをダンボールで下側から刺させているもの。明らかに野良坊の成長がいいのでした。右端は波板だけ。最初の頃はそれほど違いはなかったのですが、年末ころになってかなり傷んできたのでした。
 一方でかなり好成績なのがビニールトンネルです。

↑これは3年くらい前に購入した穴あきタイプなのですが、いまだに問題なく使えています。ビニールというと使い捨てのイメージなのですが……。
 そしてビニールトンネルの中はこんな感じ。

↑植物の種類を一種類にしてしまうと、ハダニや病気が発生しやすいので、いろいろな植物を混植しています。
 そのほか思いのほか、いい感じなのがコチラ。アーチをした上から白の(不透明な)防炎シート(廃品)を全面に被せたもの。

 晴れた日にはカバーを外して、内部の植物を日光浴させてあげるのですが、それもかなり気まぐれで、一週間に1〜2日程度なのですがそれでも案外いい感じなのでした。冬は植物の成長がゆっくりなためか、それほど徒長もせず、柔らかそうで美味しそうに育っているのでした。

↑白の防炎シート(二重で使用)の下で育つ植物。ちょうど、大雪の冬、春先に雪の下から現れた植物のような感じです。

↑こちらは夏草を積み重ねてウネの上で堆肥を作るための波板カバー。この下の植物たちも意外と元気だったりします。

↑こちらは寒冷紗。写真はタマネギのウネで、刈草のベッドを敷き詰めたタマネギ(と簡単に書いてしまうけれども、刈草をこうして敷き詰めるのはタマネギの苗を植えるよりもはるかに大変だったりもするのですが……)にはちょうどいい感じですが、アブラナやレタスには寒冷紗だけの環境は厳しすぎのようで、中の植物はだんだん衰弱し溶けてなくなってきてしまいました。
 そしてこちらはアーティチョークのための御殿。

↑輪切りにしたドラム缶(ホワイトアスパラや白化ウド育成用に作った)と壊れた一輪車を合体させた御殿です。霜と風がよけられること。そしてこのくらいのスキマが冬場の日光浴にちょうどいいようです。
 廃品も使いようによっていろいろ楽しめます。こちらは、天ぷら廃油をろ過するための衣装ケース(の壊れたもの)。

 中をあけるとこんな感じ。サラダ菜がかろうじて生き残っていたりします。

 で、これらも猛烈な寒波がやってきたり(たまの氷点下10度くらいまではどうにか大丈夫なのですが、それが何日も続くと厳しい)、大雪が降ったりしたときのために、鉢上げしたものも用意してあったりします。

↑右はサラダ用のレタス&アブラナで、左はタイム、オレガノ、ディル、ボリジ、コリアンダーなどのハーブ。鉢も、廃品の古タイヤやファンベルトなどを使ったテキトーでいい加減な植木鉢。持ち手があると、便利なのです。


 ということで、どうにか今年はお雑煮に自家製の青物野菜を入れることが出来ました。初日は小松菜。

↑関東風のトリのお雑煮。おせちも、お隣の樋口さんから分けていただいたブリを昆布〆したお刺身と野辺山の佐々木さんから分けていただいた花豆、それにウチの庭の栗100%のイモ抜き栗きんとん。
 二日目は、富山風のブリのお雑煮で、青味は(何年か前に中村雅志さんからタネをわけていただいた)野良坊。30日についたお餅を、薪ストーブのオキで少し焦がし気味にしていただきました。お雑煮というのは日本の「おこげ料理」だと思いませんか?

 お正月まで青物を野菜を持たせるという、とりあえずの目標は達成できると同時に、多くの方々のおすそ分けのおかげもあって、(お金はあまりかかっていないけれども)おなかと心が豊かになるおせちを堪能することができたのでした。
 みなさん、ありがとうございます。そして今年もよろしくお願いいたします。