電力自由化、わがやの選択

 発電事業と送電事業が分離され、これまで大手電力会社による独占状態になっていた電力の発電供給事業が、4月からの自由化されました(出力が1000キロワット以上の発電事業者であっても、届け出によって事業を行うことが認可されるようになったとのこと)。
 これによって多様な発電方式によって多くの事業者が現れるかと思ったら案外そうでもなくて、自然エネルギーやゴミの焼却熱などを使って発電を行う会社は地方では選択できず、どちらかというと他の事業とのセットアップで電気代が安くなるようなイメージによる電気通信事業者の囲い込みの競争になってしまっているようにも思えます。なんとも残念だなぁ、電気のこと、発電のことを多くの人がいろいろと考える上ではいい機会だと思ったのだけれど……。
 とはいえ、せっかくのこの機会、ウチもどうにかしたいと思ったわけです。
で、はじめたのが、まずは軽トラの荷台に廃材で鳥居を立てること?

キャビンとのスキマから雨が吹き込んでこないように板を貼り、ふたつの鳥居をつなぎます。

そしてそこにいただきものの中古の太陽光パネル(150W)をセット。蝶板で固定し、夏と冬とで角度を変更できるようにしました。

↑ところでこの幻想的な写真は、日の出前、朝4時頃の景色。自分で電気を作るようになって気がついたのですが「電気は作るよりも、その分の電気を使わないようにすることの方が簡単だ」ということ。
 必要以上には電気を使わない暮らしをしよう! ということで、たとえば今の季節は朝4時くらいから明るくなってくるし、しかもこの早朝の時間帯、とても気持ちが良いのです(あのネボスケがこんなことを言い出すなんて、歳をとった証拠か?)。


 パネルはもう一枚追加し、ふたつのパネルの間も雨がまわりこまないように処理しました。パネル本体をそのまま屋根材として流用しようという作戦です。

 とはいえ、やったことは稚拙。白の防炎シートを横長に切り、ガムテープを向かい合わせに貼って雨仕舞としました。下のパネルも蝶板による固定ですが、この雨仕舞によって角度を変更しても雨はパネルの下に入ってこない……予定です。

 上側もマハさんからいただいた三角形の切端を使って雨水が内側に垂れてこないように小細工。

 側面は、切端や廃材を使って板張りにして、雨風が吹き込まないようにして……、パネル下には発電や蓄電、それに検電のための機器を収納します。

 そして完成したのが、パネルをたくさん背負ったこんな軽トラ。
パネルを軽トラの荷台に載せることで、パネルの向きを午前と午後で変えることも容易だし、直射日光を追って移動することも可能。

 そしてさらに今回のカナメは、この配電制御機器、グリッドタイ・インバーター(Grid Tie Inverter)と呼ばれるちょっと変わったインバーターです。

 ソーラーパネルで発電した直流電流を、家庭用と同じ交流電流に変更してくれるのは従来からある普通のインバーターと同じなのですが、このインバーターはそれに加えてソーラーパネルを使って自分で作った電気を優先させて家庭内で使用することできる、という優れものなのです。
 新品バッテリーを使う従来の独立型太陽光発電では、バッテリーによる環境負荷がネックでした。そこで廃バッテリーをどうにか再生できないかと、パルスをかけたり、極板を洗浄したり、振動を加えてみたり、高電圧微弱電流で充電してみたりしたのですが、いい場合もあるし、うまくいかない場合もあって、これと言った決め手はありませんでした。
 一方このグリッドタイインバーターはバッテリーを使うことなく、発電した電気を優先させて家庭内で使うことができます。
 仕組みとしては意外とシンプル。インバーターからのコードを家庭内のコンセントに接続することで、流れている電圧を検知し、それよりも少し高めの電圧の電気を作って供給する、という寸法。電気は水と同じで、圧力の高い方から低い方に流れるので、ソーラーパネルを使って自分で作った電気を優先して家庭内に流し使うことができるというカラクリです。
 売電できるような大掛かりな設備に投資する資金を持たない者に向けた、あるいは再生エネルギー賦課金に依存しない、いわば清貧のためのプアマンス系統連結発電装置とも言える装置なのです。
 また、グリットタイインバーターの他にも、最近はIDPTC(インテリジェント・デュアルパワー・トランスファーコントローラー)と呼ばれる電源切り替え装置なんていうのもあって、これは独立型太陽光発電でバッテリーに蓄えた電気を優先して使用し、バッテリーの電圧が低くなった(設定値11V前後が多い)時点で瞬時に(パソコンが落ちない速度で)商用電源に切り替えてくれる、などという製品もあったりします。
 ただしこのあたり、子ブレーカー先のコンセントに接続する電気機器に関しては、法的にあいまい、というか法整備がなされていない部分の盲点的な要素であることもあって、問題を起こしてしまうと他人やこれまで使っていた人にも迷惑をかけてしまう可能性もあるので、使用にあたっては十分な注意が必要のように思います。

 とはいえ、配線はかなりシンプルで簡単。ウチで使っているグリッドタイインバーターは、MPPT制御できる直流電圧の範囲が24〜48Vなので(インプットレンジは22〜60Vともう少し広い)なるべくその間になるようにパネルを組んで、入力側の端子につなぎます。
 そしてあとは、出力側のオスのプラグを家庭用コンセントにさすだけ。その後、インバーターのスイッチを入れると、50ヘルツ、60ヘルツの違いを自動検知し周波数の設定をしてくれた上、電圧を常に監視し、かなり細かく電圧制御をしてくれるという知的なインバーター
 そして実際に使ってみるとスイッチを入れた時と、切った時とでは電気メーターの円盤の回る速度が遅くなることで、自分で作った電気が優先して使われていることが実感できたりします。
 でもそれだけではどのくらい発電し流せているのかが分かりません。そこでクランプタイプのテスターで流れている電流を測ってみました。すると測定結果は1アンペア弱。

↑発電時の交流出力電流は、プラグ端子の片方だけを多穴のソケットに挿して、もう一方を別の線(写真の赤いコード)で取り出し、そこにクランプテスターを当てて測定してみました。写真のこのときは、0.96A。

↑このときの出力している電圧を測ってみたら約103ボルトだったので、約100Wの電気を家庭内に供給できている、ということになりそうです。
 さらにもっと簡単に電力を測ることができないかとワットモニター(市販されている電力測定器)を試しにつないでみたら、これを使っても電力を測定できることがわかりました(交流の場合、流れる電気の向きはあまり関係がない模様)。
 今回つないでいるパネルは150ワットと100ワットの二枚を直列につないでいます。本来は200ワット以上の出力が出ているはずなのでちょいと少なめ。そこでグリットタイインバーターに入力している電流を調べてみることに。

↑電流は3.62アンペアでした。
 電圧はというと……、

↑約32ボルト。ということは3.62A×32V≒115W。グリッドタイインバーターの変換効率は120VAC出力の場合でも83%前後とのことなので、中古なのでパネルの性能が少し落ちているのかもしれません。


 ところでこの軽トラ「自家発電号」、グリッドタイインバーターを使って家庭内に電気を供給してくれるだけでなく、小さなパネルをいくつか背負っていて、また別の役割りも担ってくれます。
 ひとつは廃バッテリーの再生&蓄電。

自動車用廃バッテリーが3つ直列(約36V)で接続されていて、これを小型のソーラーパネルで充電します。

5Wのパネルをふたつ直列で接続すると、直射日光が当たった際の開放電圧は40V前後。これをチャージコントローラーを使わずに、ダイオードだけで直列に配置した3つの廃バッテリーを充電します。少し高めの微弱電流で充電することで再生をも狙おうという作戦。
 そして、側壁をあけると、そこにはバッテリーテスターや充電器などと共に、溶接用ホルダーとアースクランプが収納されているのでした。

 それを3直列のバッテリーの両端につなぐと、アーク溶接機になるという寸法。

 東電との契約を40アンペアから20アンペアに落としたので、電気溶接機は使いずらくなっていたのですが、商用電源を使わず、独立したバッテリーを起電力とする溶接機であれば、東電との契約は10Aでも問題ありません。

 また、パネルの配線を組み替えることで、従来通りのMPPTチャージコントローラーで、電圧&電流を監視しながら産業用の制御弁式中古バッテリーに電気を蓄電することなどもできます。

 あるいは、携帯可能な小型のリチウム電池(モバイルバッテリー)を太陽光で充電し、携帯電話やノートパソコンへの給電、それにバッテリー上がりを起こしてしまったクルマのエンジン起動用ジャンプバッテリーにも蓄電できるシステムなども搭載していて、現在テスト中。
 リチウムイオンの小型のモバイルバッテリーが安くなってきたので、それを小型のソーラーパネルで充電する方法がなかなか良さそうで、そのあたりもそのうち紹介したいと思っています。



追伸:グリッドタイインバーターの調達方法に関してですが、わたなべが調達したのは500Wのタイプでかなり以前に個人輸入したのですが、最近は日本でもamazonなどから調達可能です(amazonの場合、なぜかカタカナではダメで、「Grid Tie」で検索するとたくさん出てきます)。
 オススメとしては、「NPO法人「非電化地域の人々に蓄電池をおくる会」」からの調達で、国際宅急便の送料などを合わせると、私が個人輸入した値段よりもだいぶ安い値段(たとえば200Wのタイプ(入力11Vから30V)が1万3千円)で販売されていたりします。特に中古ソーラーパネルとのセットはリーズナブルな上に、パネルを新しく作る環境負荷もかからないのでオススメ(今回、記事中で使っているあまりうまく発電していない可能性のある中古パネルは、以前に地元の友人からいただいた多結晶タイプのパネルで「非電化地域に……」のものではありません、念のため)。