Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


混植・花園農法のススメ


 手前がディル、そしてその下は小松菜、そのとなりにはこぼれダネのマイクロトマトが出ていて、その脇にはセントジョーンズワート。そのわきにはこれまたこぼれダネのマリーゴールドが蕾をたくさんつけていて、その奥の白い花はコリアンダー。青はカンパニュラ。その下にはメディが育っていて、これまたこぼれ種芋から出たインカ、そして一番奥の高ウネには夏大根が鎮座。
「農」を「業」としてしまうとどうしても効率化が必要で、こうしたお遊びは難しくなってしまうのだけれど、自給的な農であれば、菜園を花園のようにして楽しみながら管理する、なんてことが可能だったりします。
 逆に自給用の場合、ひとつのウネに同一作物だけをつくってしまうと、同じ時に採れすぎてしまって困ってしまう、なんてことにもなりかねません。
 同じ植物はせいぜい1mの群落。できれば香りの強いハーブを交え、多くの作物を混植すると、虫たちも幻惑されるのか?壊滅的な被害を受けることは少ないように感じます。
 本来、自然の生態系のバランスがとれているときは、多様な生物が棲んでいて混沌とした状態であるように思います。しかし残念ながら農を業として仕事でやる場合は効率化がどうしても必要で、ひとつの種類の植物をかためてたくさん育てざるを得ず、一方で生態系はそのバランスを保とうとするから、虫や病気が一所懸命に仕事をせざるを得ない……との見方もできるのではないでしょうか?

↑ここは畑と畑の間の土手。アナベル、菖蒲(この地は「菖蒲沢」とい字で菖蒲が自生していたりします)、それにタラノキルバーブ、さらに地被植物としてリシマキア(ヨウシュコナスビ)が共棲しています。それぞれの植物がここまで育ってしまえば雑草と呼ばれる野草たちが入り込む余地が少ない状態。各植物が旺盛に繁殖するまで、季節当初の手入れは必要だけれども、ここまで育ってしまえば放置していてもそれほど乱れることはなくなります。

↑野菜の花の美しさにハッとさせられることがよくあります。これはニンジンの花。園芸種のチューリップや芝桜の派手な絨毯なんかよりも、どちらかというと私は、こっちの方が好きだなぁ。

コリアンダーも上級のレースフラワー。花ビラの散らばり方を眺めていると時間を忘れます。しかもこのコリアンダーは、去年のこぼれダネ発芽。春先「さて、何を蒔こうかなぁ……」と草を刈り、軽く耕したら一斉にコリアンダーが発芽してきたのでした、蒔いてもないのに。菊芋なんかもそうだけど、ヒトやケモノが土を耕すことと共生している植物というのもあるような気がするんだよなぁ。

↑これは食べても美味しいズッキーニの花。野菜にしておくのが惜しいくらいなのでした。

↑ズッキーニ(ウリ科)のウネもディル(セリ科)、ナス(ナス科)、トゥルシー(シソ科)などを混植しています。連作障害は、同じ植物を同じ所でかためて育てるから、のような気もしなくもありません。
 ところでこのズッキーニ(たち)のウネ、株元にマルチをしています。除草シートと呼ばれる黒い丈夫なビニールシートがあって、それのところどころ穴をあけ、そこに苗を植えています。
 普段は刈草マルチなのですが、残念ながら多くの作物で地温の上昇と水分の遮断性能に優れたビニール系のマルチの方が、成長のスピードが早いのです。でも逆にこれを利用したところと枯れ草マルチを併用すると、同じ日に蒔いたタネでも収穫期をずらすことができたりするのでした。生態系を強固なものにするためには種の多様性だけでなく、環境の多様性も大切な要素だったりもします。

↑これが除草シートで作った使い捨てでないビニールマルチ。比較的幅の狭い50センチの除草シートを使うと最初の頃は目立つけど、すぐにメヒシバなどに覆われ、気をつけてみないと分からないくらい(上のズッキーニのウネのように)目障りではなくなります。
 このウネはピーマンとインゲンの混植。除草シートマルチを使い始めた頃は、炭を熾こしてそれを空き缶に入れ、ほつれないようにシートを熱で溶かして丸い穴をあけていたのですが、カッターで十字に切り込みを入れるだけのほうが植えやすくて(シートを十字の状態に戻すことで)株元に他の草も生えにくくて正解でした。
 除草シートを流用したマルチ、10年以上使っていますが、まだダメになったものはなくて、まだまだ使えそうです。

↑こちらは冬の間、ビニールトンネルの中でフレッシュサラダを供給し続けてくれていたレタス類。初夏になってトウだって来ました。地味な花だけど姿はなかなか面白い。レタス系はタネをたくさんつけるので、耕したウネに枯れた花を積み重ねておくだけで次の世代が発芽してくれます。

↑こちらはアスパラとルー(ヘンルーダ)の混植。アスパラにはジュウシホシクビナガハムシという困ったハムシ(成長点を食害されると芽が縮れる)が付くのですが、土が盛り上がってきたところに強烈な香りのルーの葉っぱをちぎって被せておくと初期の食害を防ぐことができたりします。

↑ここは手前がハツカダイコン。次がメティ(フェヌグリーク)とコスモス、奥はマリーゴールドとカクテキ用ダイコン。そのわきはインドのコリアンダーより抽台が遅い中国のパクチー。臭いの強いハーブを混植することで虫害を防ぐことができないか実験中ですが、ダイコンに付くナガメだけはそんなことにはお構いなしでどこからか大量にやってくるのでした。


 管理は少し大変ですが、ウネを作らないというやり方もあります。こちらは玄関の前のアイランド型菜園。

↑真ん中に枯れ木を配し、そこにトマトをからませます。玄関前なので周囲には花のきれいなハーブ類を混植。

↑同じアイランド型菜園を南側から見たところ。南側はイチゴ畑になっています。南側に背の低い植物を配し、奥に行くほどに背の高い植物を。そして真ん中には上で広がる蔓植物を(トマトの代わりに、スイカズラアケビ、ゴーヤなんかも楽しいかも)。

↑逆に傾斜地に石を積んでロックガーデン風にすることで背丈の異なる植物を配する方法もあります。

↑きゅうりネットに這わすツル植物も混植。手前がトマト(昨年のこぼれダネ)で、隣のナスタチウムもこぼれダネ。奥はキュウリで、その隣はハナマメ。
 こんもり茂ったナスタチウムの中に、オバケきゅうりが見つかった!なんてこともあったりするけれど、まあ、それも楽し! なのでした。