今月は22日の朝が新月でした。2月の新月を逃すと次は3月。3月になると落葉樹は根から水をあげ始めると言われています。そんなわけで、22日の新月までにこの冬、伐採しようと思っていた木をできるだけ伐りました。
↑直径約20cm。10年前に苗木を植えたクヌギがここまで大きくなりました。伐採した木は倒したままの状態でできるだけ玉切りにしてしまいます。その方が幹が地面から浮いているのでチェーンソーで土を切る心配がなく、効率がいいように思います。ただし枝に応力が残留していることがあり、そのバランスによってはチェーンソーを入れた瞬間に跳ねることがあります。跳ねた枝に引っかかれて顔にみみず腫れができるくらいならいいのですが、木を倒してからも大きな事故にならないように十分に注意が必要です。
↑鉈を使って小枝を落とし、細い幹もできるだけ薪として利用します。細めの幹はチェーンソーで玉切りにするとたいへん。ある程度、量がまとまった段階で、ウチではテーブルソーを使って短く切っています。スピードが速いということはその分危険だということでもありますが、テーブルソーだとチェーンソーの3倍くらいのスピードで切ることができます。
↑写真の木には幹の中にシロスジカミキリの成虫が入っていました(切り口にある黒い穴の部分にいました)。これまでにもこうした固体(外から入った形跡のない成虫)を何頭か観察しています。シロスジカミキリは冬の前に羽化し、その成虫の状態で越冬し、春になってからトンネルを掘り外の世界に出てくるようです。またこうしたシロスジカミキリの脱出穴はボクトウガなどの幼虫と共に樹液を滲み出させる要因として、好樹液性昆虫類が生息していくための大切な要素であるとも言われています。
また、これまでは上の写真のように、なるべく「ひこばえ」を残して伐採してきました。
↑一方、こちらはひこばえをワザと全部切り落としてみました。これまでひこばえを残して伐採することでひこばえが成長し、苗を植えるよりも薪炭林は早く再生し更新できる、と思っていました。ところが、昔から薪炭林を管理されていた地元の方におうかがいしたところ、「(伐採時に)ひこばえをわざと残すようなことはしていない」とのことだったのです。クヌギやコナラ、それにカシなどのケルクス属は、再萌芽性に優れていてひこばえを故意に残さなくても、翌年には切り口から多くのひこばえを発生します。
里山を生息環境としていてひこばえに好んで卵を産むゼフィルス類は再萌芽したひこばえに卵を産むことで、人が薪炭林として行っていた管理の手法に適応してきたとも考えられると思います。というのも、故意にひこばえを残して伐採するよりも、再萌芽したひこばえを育てたほうが、もしかしたら木(林)の更新速度は速いのではないかと思われることが、これまでの観察から見てとれたためです。伐採後、新しく発生したひこばえは、徒長枝のような感じで、グングンと伸び成長が早いのです。そのあたりのことを実験するためにも今回は、ひこばえを残したものと、ひこばえも枝打ちしたものに分けて観察してみることにしました。