こんなときだからこそ、できるだけ楽しくできる節電対策を考えていきたいと思っています。なるべく電気を使わずに楽しく暮らす方法を紹介できたらいいなぁ、と考えています。
1年くらい前だったかなぁ、突然、電気炊飯器が壊れました。そこでその日は家にあった土鍋でご飯を炊きました。それまでもときどき土鍋を使っていたので、土鍋で炊いたご飯が美味しいことは知っていました。その炊飯器には保温のためのジャー機能もついていたのですがそれも壊れてしまったので、そのときはご飯をおひつに入れておいて、必要な分だけ電子レンジで暖めて食べました。そしたら炊飯器で保温したご飯よりもそれの方がはるかに美味しかったのです。しかもそれ以降、電気代はひと月1000円くらい安くなりました。電気炊飯もそうですが、ご飯を保温しておくためのヒーターも相当に電気を消費しているんですね。
ところで上の写真は、自動車の(ベンチレーティッド)ブレーキローターを使ったかまどです。ローター側面のエア通路から空気が常にふんだんに供給されるという仕組み。たくさん採れたトマトを保存用に煮込んでいます。
よく燃えるかまどは燃料も早くなくなります。炊事をしながらもできれば他の作業もやりたい……、そんなことを考えて作ったのがコレ。自動車のタイヤチューブを使った自動燃料供給装置です。もの凄く原始的なカラクリですが、意外とうまく作動しました。でも、うまく働くかそれを見ているのが楽しくて、かまどに付っきりだったので、畑仕事を行いながら……という当初の目的は達成することができませんでした。しかも最終的には耐久性の点に問題がありました。丸棒に針金を巻きつけてコイルスプリングを作り、それで引っ張ったほうが良さそうです。
さらには、バイメタル(熱による膨張率の異なる金属を張り合わせた板)を使うと、もっと面白いものも作れそうです。バイメタルは安めの軽自動車などのエアクリーナーの吸気口などにも使われています。寒い日にはエンジンの近くの暖かい熱を吸気するようなダンパーをバイメタルの伸び具合で自動調整しています(高級車にはもっと複雑な機構が使われてしまっているので軽自動車クラスが狙い目です)。それを使うと、温度によって自動的に吸気口の大きさが変わる薪コンロ(チロチロ長く燃える薪コンロ)なんかも作れそうですね。
現代の技術を使って、江戸時代のような暮らしをしてみると、楽しそうなことがたくさんあるような気がします。いまさら江戸時代には戻れない、とはよく聞くせりふだけど、江戸時代の人たちと現代人と、(時間的な余裕も含めて)どちらが豊かで幸せだったか? 江戸時代のことを調べてみると分からなくなってきたりします。
↑家電量販店に行くと、原子炉メーカーが作った10万円以上もする高価な電気炊飯釜が売られていて人気とのこと。「かまど炊きを超えた」というのがキャッチコピーだったりします。でもせめて原発に反対する人は(消費電力の大きな)あのような製品を使わないで欲しいです。
ホームセンターに行くと980円くらいで写真のような二重ブタの土鍋が売っています。これで十分。必ずしも薪で炊飯する必要はありません。最初は室内のガスコンロで試してみてください。
「はじめチョロチョロあとパッパ」がご飯を美味しく炊くコツと言われていますが、火加減の調整を自分でやってみると、それよりももっと美味しく炊ける炊き方があったりもします。土鍋の場合はじめから火力強めでもいい感じ、そして「赤子泣いてもフタとるな!」ではなく、沸騰した時点で勇気を出して一度フタをあけ、中身をかき混ぜてみてください。その後、できるだけ圧がかかるようにして8分〜10分炊きます。それのほうが美味しく炊けるように私は思います。しかもこれは電気炊飯器にはできない芸当です。
最初のうちはおこげに感動するのですが、毎日土鍋で炊いている本当に美味しいご飯はおこげがなくて、少し固めに炊けたご飯のように私は思えてきました(そのうちこのあたりのこともぜひ紹介したいです)。とにかくいろいろ試して楽しんでみてください。ご飯を炊くのも奥が深くて、それだけでもかなり楽しめることだったりします。不便なことは、不幸なことではないし、時間をかけ、ていねいに生活をすることができる、ということが「豊かなこと」のように私には思えます。
そして暖かくなってきたら、外で薪を使ってご飯を炊いてみる、というのをぜひやってみてください。薪という、優しくて暖かみがあって素晴らしい燃料を使って、ご飯をていねいに炊く……これがまた本当に楽しいのです。薪の面白いところ、それはたくさんあると思うけど、ひとつは樹種や乾き具合、大きさや太さによってそれぞれに味があることだったりします。
100歩譲って、味に関しては電気炊飯器がかまど炊きを超えたとして「ご飯をおいしく炊く」ということの楽しさは土鍋+薪のかまどには到底かなわない……と私は思います。ホント言うと、味も、まだかまどのほうが美味しいと思っているんだけどね。「健康で、おなかがすいている」ということと「いつも同じでない」ということが、味を語る上で、大切な要素だと思うし……。
↑他にも、自然エネルギーでご飯を炊く方法はいくつかあります。これは「ぬかくど」というモミガラを燃料とした方法。モミガラを蒸し焼きにしてガスを発生させ、それを燃やすので上手く燃えると青い炎で燃えます。小さな土鍋で炊くならこのサイズがピッタリ。田んぼで収穫したものだけで、ご飯の美味しくいただけてしまうというのも素晴らしいでしょ!
↑こちらは、ぬかくどの改良型、中筒に向けてパイプを接続しそこから外気(酸素)を中筒に送り込みます。中筒内には上昇気流が発生しているので、「移動する流体の周囲には負圧が生じる」というベルヌーイの定理によりパイプを通して外気を中筒内に取り込むことができるという寸法。実際、中筒内のパイプ先端部は火炎放射器のようによく燃焼してくれます。またこのタイプであれば、外筒の側面にはほとんど穴は必要ありません。蒸し焼きにされたモミガラから発生したガスは、上昇気流により中筒内に引き込まれ、パイプから入ってきた外気(酸素)と混じってほとんど煙を出さずに燃えるというカラクリです。
↑こちらは、ロケットストーブもどき。とても燃焼効率のいいストーブ。これも燃焼筒の上昇気流によって引っ張られて、吸気口の空気の流れは燃焼筒に向けて流れるので、薪を立てた状態で供給可能。立てた薪が下から燃えてくれるので、燃料の自動供給が可能なのです。