プロジェクトうんこ 合併浄化槽(市販品)の構造

 プロジェクトうんこ「わたなべの家のトイレ」の続きです。
わたなべの家のトイレは水洗トイレでその先は、合併浄化槽と呼ばれるタイプの浄化槽につながっています。この種の浄化槽には、単独浄化槽と合併浄化槽があり、単独は「し尿のみ」で、合併は「し尿だけでなく、生活雑排水も併せて浄化する」というものです。下のような構造になっています。

↑クリックすると少し大きくなります。
 ちょっと時間ができたので、続きを書きます。長くなりそうなので、ちょっとずつ書き足していきたいと思います。それともうひとつ、この先は浄化槽のことなので、食事中には見たくないような写真が登場しますので、どうかご注意ください。
 まずは浄化槽の仕組みをザックリと説明しましょう。左のパイプから「し尿」「生活雑排水」が浄化槽へと流れ込んできます。合併浄化槽の場合、水洗トイレも、台所のシンクの排水も、いずれもここに流れ込むわけですが、途中に何箇所かU字型のトラップのような仕組みがあって臭いが逆流しないようにはなっているはずです。だからジュンさん、シンクの排水口が臭うとすると一番怪しいのはシンクのすぐ下にあるS字トラップです。でも、第一室目のろ層(ろ過層)が詰まってしまうと、第一室の液面があがってしまい排水パイプを伝って汚水が逆流すると臭いし、非衛生的なので定期的な点検は必要です。シンク下のS字トラップまではあがってこないけど、もっと低い位置にあるU字トラップまでは逆流する恐れがあります(考えてみるとかなり恐ろしい……)。で、そんな場合、普通は汲み取りをするのですが、裏技的にろ層の掃除するという方法もあってそのあたりも「メインテナンス編」で紹介させていただこうと思ってはいます。

↑白いフタが汚水用の点検口です。マイナスドライバーでこじると中を点検できます。

↑これが汚水用のU字トラップ。写真の上下方向に本流が流れていて、右から枝流が流れ込むというもの。枝流側はUの字型の溝になっていて流した汚水によってフタされ、嫌気発酵によって生じたメタンガスなどが逆流しない仕組みになっています。もしも詰まった場合は、小さなほうの点検口から針金などを通せばいいわけです。
 さきに進みましょう。第一室のろ層を通り抜けた汚水は、第二室に移ります。これがなかなか良くできています。ろ層を通り抜ける際、第一室に浮かんでいる水よりも軽い固形物は分解されて沈殿しない限り次の部屋に行くことができません。一方、この部屋で沈んだ比重が大きく、サイズも大きめの固形物はろ層でキャッチされ、ここで行く手をさえぎられ、ここで嫌気性微生物によって分解されます。さらに、ろ層を通り向けることができた細かくて比重の重い沈殿物も、第一室の底にたまり、ろ層を通り抜けた上澄みだけが第二室に移動します。この移動の原動力となっているのは水の圧力で、圧力はどこも一定になるというパスカルの定理により(ろ層が詰まっていない限り)、第一室も第二室も第三室四室も液面の高さは同じ高さになり、流入口から新しい汚水が流れ込んだ分だけ、第四室の排出口から流れ出し、浸透枡に移動する、という仕組みです。
 第2室に移動した汚水は、今度は下から上にろ層を通過し、嫌気性微生物によって分解されます。でもこの「嫌気性微生物」という言い方、実はちょっと誤解があります。嫌気性微生物というと、一般には「空気の嫌いな微生物」と訳されていますが、でも本当のところは浄化槽の第一室や第二室のろ層に棲んでいる微生物の多くは、本当は空気が好きなんだけど空気なしでも生きていけるという種類の微生物が多いのではないかといわれています。これらの微生物は、通性嫌気性生物と呼ばれています。一方空気がある環境では死んでしまう微生物は、絶対嫌気性生物と呼ばれています。絶対嫌気性よりも、通性嫌気性生物の方が、酸素を取り込んで活動できる分エネルギー代謝が大きくて分解性能が高いと言われているのです。このあたりの微生物のこと、本当はすんごく面白いのだけれど、ここではこのくらいでサラリと流すことにします。
「微生物の側からみた自然農法のこと」や、「分裂や出芽で増える単細胞の微生物は不老不死であり、ヒトのように個体が死ねることの方が遺伝子の多様性の点では有利であって、でも、iPS細胞などの万能細胞化の仕組みが分かってきてそれに関係するのがやはり物質であるということが分かってきてしまったために、ヒトなどの多細胞生物を不老不死にする技術はおそらくそれほど遠くない将来に開発されてしまうであろうこと(細胞が一番劣化していない状態、つまりアポトーシスだけであってアポピオーシス(老化による細胞死)の少ない状態、ヒトの場合だと16〜18歳くらいに戻せるようになってしまうのだろうと思います)」などのことも、とても面白そうなのだけど、そのうちが機会があれば紹介させていただきたいと思っています。
 またまた話がそれてしまいましたが、話を戻します。うんこの分解の話でした。実際には浄化槽のろ層にはどんな生物が棲んでいるかというと、硝酸生成菌(アンモニア亜硝酸を酸化する菌)や脱窒菌、メタン生成菌や乳酸菌などの菌類が多く棲んでいるのではないかと言われています。できれば効率のいい特定の菌だけを繁殖させたいところですが、多くの場合、ひとつの菌だけで分解や浄化が行われているわけではなく、(日本酒のような)複合発酵のような状態で作用しているようです。
 いずれにしても大切なのは、多くの種類の微生物が大量に生育できる環境を作ってあげることで、ペーハーが大きくどちらかに傾いてしまったり、微生物にとって毒性の強い物質が一気に流れ込むようなことがないようにする必要があります。これは私の個人的な考えですが、EMと呼ばれるような商用化された微生物資材を投入するよりも、増やしたい生物にあわせた環境を作ってあげることのほうが大切なように思います。この地球上において微生物は素晴らしい存在であり、その素晴らしさをお金儲けに結びつけようとしているのが、どうも気に食わなかったりするのでした。
 それとそうそう、ちょっと面白いのは、微生物の世界でも「ジュンヨウ(馴養)」は可能だと言うこと。ダイオキシンやシアンなどの毒物を分解させる微生物を馴養する場合、一気にそれらの毒物を投入すると微生物は死滅してしまうけれども、少しずつ濃度をあげることでこうした毒物や重金属に対して耐性をもったり、あるいは分解が可能な微生物が現れたりするとのことです。これは抗生物質を飲むのを途中でやめてしまうことで、薬剤耐性菌ができてしまうのと同じ原理で、それを逆手にとった方法とも言えそうです。
 話を戻します。第2室を通り抜けた汚水は、再び上に上がって、第3室に流れ込みます。ここにはエアポンプで空気が供給されていて、好気性の微生物が多く生息していて、ここではそれらによって汚物が分解されます。空気に暴露されるのでこの部屋は曝気槽(ばっきそう)と呼ばれたりもしています。曝気槽で撹拌され、好気性微生物によって分解された汚水は、沈殿槽とも呼ばれる第4室に入ります。この部屋の上部は、上澄みだけを少しずつ流し取るような仕掛けになっていて、そこから浸透枡に流れ出します。その途中にはプラスチックの筒があって、そこに塩素系の薬剤を入れます。この部分で微生物を殺してから、浸透枡に流すという仕組みです。普通はここで土壌に浸透させてしまうわけですが、お隣の樋口さんの家では浄化槽の近くに池を作り、そこに浄化槽の排水を流しています。池には金魚や鯉が飼われています。炭鉱のカナリヤと同じようにこれらの生きものは指標生物にもなっていたりします。また、池にはホテイアオイアオミドロなどの水草も繁茂していて、排出水の富栄養分をこれらの水草が吸収してくれます。これは浄化槽として、かなり理想的な形と言えると思われます。この先は「浄化槽のメインテナンス法」につづきます。

↑樋口さんの家の池を観察させていただく自森生たち。池は半分、凍っていたが、金魚は元気で太っていた。最近は周囲の木が育ってしまったので、日が当たりが悪くなったのでホテイアオイの育ちが悪くなったが、以前は水面が占領されるほどに増えた、とのことでした。
 スミマセン、まだつづきます。このあとは『浄化槽の管理は自分でやろう!』をご覧ください。