Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


田舎から見たTPP(環太平洋パートナーシップ)

 我が家の東側には広大な畑が広がっています。いまから10年ほど前、雑木林を皆伐し、補助金などを使い膨大な費用をかけて圃場整備されました。

「ここはすべてダイコン畑なんだよ!」と話したら、自由の森の中学生たちは驚いていました。しかもそのダイコンは加工され、スーパーで売られている刺身の「ツマ」になります。ダイコンとして売ったのでは経営的に成り立たない、刺身のツマや(ただ珍しいだけの)白いイチゴのために膨大な農的な補助金を使っている、これが日本の農の現状だったりもします。

 TPPの影響もあって、国は今、農業のさらなる大規模化を図ろうとしています。農業の大規模化は単一作物を広大な面積に植えつけることになります。これは「自然の生態系」からすると異常な状態なわけです。そのためそれまで自然の生態系の中で生きてきた生きものたちは「これはまずい、どうにかしよう」と動き出すのです。植物をはじめ哺乳類や鳥(植物のタネを運んできます)、それに虫や菌などは必死に働き、単一作物だけが育っている状態から多様性のある状態に変えようとします(ナウシカ腐海はそれを表現したかったのかもしれませんね)。
 でも、大規模農家はそんなことになっては困るわけです。そこで、大量の除草剤をまいたり、殺虫剤や殺菌剤をまいたりして、広大な土地に単一作物だけが生えている状態を維持しようとします。田舎に住むということは、夏の間、毎日こうした行為を目の当たりにするということでもあったりします。大量にまかれたこうした薬剤(ここ鳥原にまかれる除草剤だけでもトン単位です)は、静かに地中にしみこんでいきます。有機物であるウンチやオシッコが土にしみこむのとは話が違うのです。
 そんな現場を知らずに国は、大量生産による効率化を図ることで外国との貨幣価値の違いを吸収できると考えているようです。そんなひとたちにこそ、この農薬散布の現場を見てあるいは一度体験してもらいたい、と思っています。しかも、途上国に対抗するための効率化を進めた末、いま大規模農家で実務を行っているのは、中国からの留学生で若い女の子たちだったりします。若い彼女らは、朝早くから本当によく働きます。田舎に暮らすということは、日本人の刺身のツマのために、必死で働く彼女たちの姿を毎日のように見て暮らすということでもあります。
 輸入のための関税が完全に撤廃されるということは、ある意味で「国境のない世界に一歩近づく」ということ……かなり強引ですがそう考えられなくもありません。関税だけでなく、きまりごとである法律なんかもだんだん統一されていけば、国というくくりはゆるくなり現在の地方自治体のようになっていく可能性があると思います。国益ではなくこれからは「地球益」を考える必要があると思うのです。
 そんなことをしたら、日本の食料自給率はもっと下がってしまう、という人がいるかもしれませんが、ここまで下がってしまったら食料自給率がさらに下がることはもしかしたら悪いことばかりではないかもしれません。それよりも、現在我々が外国で作ってもらっている食べ物のことに思いをはせることの方が大切ではないでしょうか? どこでどんな風にして作られているのか……。 
 餃子事件のときに分かったように、もうすでに日本は、中国からの食料輸入を止めることはできません。「安全性が確保できるまで輸出を止めたい」と言ってきた中国に対して、「それは困る」と言ったのは日本です。そのことを現実としてしっかり受け止めるべきで、もしも食料の輸入なしで自給自足を目指すのであれば、少子化対策なんてもってのほか、日本の人口は3000万人前後まで減らす必要があります。化石燃料は使わず、人糞尿はもちろん、かまどの灰までリサイクルしていた江戸時代には3000万人でさえ、ときどき飢饉が起こり餓死者がでてしまっていたのです。
 (実は今現在でも恐らくそうなのですが)食料自給率がもっと下がれば、外国との戦争なんてできなくなってしまいます。お米にしても小麦にしても、そうですがタネをまいてから一ヶ月や二ヶ月で収穫できるというものではありません。仮に戦争が始まり外国からの輸入が止まり食糧備蓄が尽きたら、たぶん10日間食べ物がなくなるだけでも人々はパニックになります。食料自給率が極端に低い国は戦争なんてできないのです。相手国からすれば、武器を使い戦争なんて起こす必要はないのです。(レアメタルと同じように)食料の輸出をストップしたり、それらに高い関税をかけるだけですむのです。このことは直視する必要があると思います。軍備にお金をかけているような場合ではないのです。
 でもいいこともあります。軍備が必要なくなれば、これまでそれに掛けていてお金をそのほかのことに使うことができるようになります。災害時に出動して人の命を救うのは、純粋たる「災害救助隊」の仕事になります。災害時のボランティアを見れば分かるように「純粋たる災害救助隊であればぜひそこで仕事をしたい」という人は実はたくさんいます。戦う相手が人ではなく、自然災害になることで、やりがいのある素晴らしい仕事になる、と考えている人が多いからです。
 あるいは、軍備が不要になると、抑止力のために必要などと言われている「高速増殖炉」や「核燃料の再処理」など、人や地球やその他の生きものたちにとって無益なものも必要がなくなります。自然エネルギーへの思い切った転向が可能で、原子力発電所自体がなくなる可能性もあります。コスタリカアイスランドのように、ボクらも薄着で笑いたい……。
 でも、TPPに加わった場合、困ったこともあります。たとえば棚田や里山の問題です。現状でTPPが導入されると日本人の原風景ともいえる棚田や里山がなくなってしまう可能性があります。おそらくそれは急激な動きなので、その環境にその生態を合わせてしまった数多くの種類の生きものたちを失ってしまうことにもなると思われます。都会の人たちを巻き込んだ農地の解放などによって、どうにか棚田や里山を残すことができないかなぁ?