蛇口をひねると水の出る幸せ1(河川調査)


さて、これは何をしているところでしょう?

実はコレ、川の水の水質検査をしているところなのでした。のぞいているのは透明のアクリルパイプで長さが1mほどあります。底の部分にはテーブルの脚用ゴムがはめられていて、水が漏れないような構造になっています。
側面にはメジャーが貼り付けてあり、中には視力検査用マークのようなものが入っていて、糸を引っ張るとそのマークは上にあがってきます。
マークがしっかり見えるところの位置を記録することで、透明度を調べる、という水質検査装置です。実はほぼこれと同じような仕組みのものが浄化槽管理用などとして、市販されているのですが、でもとても高価……。


白州町は名水の町として知られています。
サントリーの天然水工場が有名ですが、他にも、世界一と呼ばれる規模のジュース工場(外国から濃縮果汁を仕入れ、それを天然水で希釈し製品にしています)や、日本酒、ウイスキー、ワインの醸造元、それにシャトレーゼや金精軒などのお菓子屋さんなど、美味しい水を求めて多くの企業が集まっています。働く場の少ない田舎ではとてもありがたいことでもあるのですが、一方で問題がないわけでもありません。

私は1996年にこの地に移り住んできたのですが、その頃とはいろいろなことが大きく変わってきました。そのひとつが水の問題です。移り住んだ当初は、近くの川でイワナやヤマメを釣って、貴重な動物性蛋白源としていました。でも、3年くらいすると、同じ場所でそれまで釣れなかった、ウグイやハヤが多くかかるようになってしまいました。一番大きな変化は石に付くコケです。一見、きれいに見える白州の河川ですが、10年前は石にコケは付いていませんでした。

こうした変化を数値として残したい、ということもあって、武川、白州の河川の水質を定期的に検査しています。行政でも似たような検査をしていることと思いますが、そうした検査と異なるのは、温泉などの公共施設に検査日を知らせず、抜き打ちで検査を行なっていること。検査結果を集計している山梨大学では、上流部なのに思いのほか、汚れが進んでいることがあったりして驚いているようですが、ひょっとすると抜き打ちでの検査による違いなのかもしれません。



素晴らしい水に恵まれた町だけに、水に関する問題も実は多くあります。
農業の経営規模が拡大され効率化が進むと、農薬や除草剤が大量に使われるようになります。土の中での水の浸透スピードというのは意外と早くて、1mを10分ほどで浸透してしまいます。家の近くのダイコン畑(スーパーで売っている刺身のツマ専用)では、一日に1000リットル以上の除草剤を撒くことがあります。ところが、天然水の工場や濃縮果汁を希釈している工場の井戸はこうした畑よりも下流にもあったりします。
 また企業が地下水を大量に取水するため個人の井戸が枯れてしまう、という問題も頻発しています。実は我が家でも井戸のトラブルがありました。企業が新しく井戸を掘り、取水を開始した数日後、蛇口の水がブスブスッっといって止まってしまったのです。こうした問題もおりに触れ、紹介させていただきたいと思っています。