今年の新米も思いのほか美味しかったのですが、でも、今年のお米づくりは大失敗でした。収量はたぶん例年の4分の1程度。
初期の頃にヒエが大量に発生してしまったので深水で管理したのですが、深水にしたら草取りをしなくてもヒエが弱っていくことに驚き、ホウネンエビやミジンコも大量に育っていたので調子にのっていつまでも深水にしていたらヒエだけでなく稲まで元気をなくしてしまい、その後、水を落としても、いくら草取りをしても稲は元気を取り戻すことなく、畝間の雑草たちだけが勢いをどんどん増すという最悪の状況でした。
稲作に限らずこれまでずーっと無農薬でお米や野菜を育ててきたのですが、お米の収量がこんなにも少ない年は初めてで、さらには田んぼの草取りがこんなにも大変だった年も初めてでした。
そんなわけで無農薬でのお米づくりに関して自信をなくし、来年も今年みたいなことになったらどうしよう……などとちょっと弱気になっていたのですが、山口進さんのこの本を読んで励まされました。それと同時に、迷うことなく来年からも除草剤や苗箱処理剤は使わずにお米を育てよう! と決意したのでした。
この本はそれくらいに、無農薬で稲作をしているひとたちにとって励みになります。
ノンフィクションでありながら、読み物としても面白いし、(ネタバレになるので詳しくは書きませんが)「万葉の頃から長年行われていたヒトによるお米づくりに、虫たちは少しずつ寄り添っていたのですが、ところが効率化のために近年になって突然はじまった農薬による稲作に虫たちの生態が大きな影響を受けている」ということに驚かされると同時に、農家だけでなく消費者の方にも「アキアカネがいなくなってしまっている現実と、それがなぜなのか?」をぜひ具体的に知ってほしいと思いました。
ナツアカネと違って、盛夏に群れで高山に登り、避暑に出かけるアキアカネは、暑さに弱い分、寒さには比較的強いと言われています。
すでに何度か氷点下の日があった11月下旬なのに、いまだに玄関の前、朽ちたテラスのひだまりでアキアカネがその姿を見せてくれるのでした。