このところ、ありがたいことに、散歩のたびにカボチャの数が増えています。
強い霜が何度か降り、草が枯れ、草葉の陰に隠れるようにして実っていたカボチャたちが発見される季節になったのでした。
虫草農園では、生ゴミ堆肥を愛用しているので、カボチャが圃場のアチコチから勝手に生えてきてくれるのです。
そんなこともあって、圃場を散歩する際は、下ばかり見ています。
でもなかなか見つからず、さすがにそろそろオシマイだろうと思って、ふと顔をあげたら……、
こんなところにも!
空中カボチャは、ミバエの幼虫(ウジ虫のくせにピョンピョン飛ぶ可愛いヤツ)による被害も少なく、色や形も美しいので、虫草農園製カボチャとしては高級品に分類されます。
いまの季節は他にも、意図せず、こぼれ種で育ってくれた野菜たちが元気になる季節でもあります。
↑これは通路脇にこぼれ種で勝手に出てきてくれたニンジン。
ところできょうの午後、種苗法の改正案(改悪案?)が、衆院の農水委員会で可決されてしまいました。
このあと、本会議で可決され、参院でも可決されると、今後は品種登録された野菜に関して、自家採種や自家増殖ができなくなります。
でもね、品種登録という行為はヒトが勝手に行っているもので、言うなればたんなる概念。
遺伝子組み換えにしてもそうですが、組み換えであって、ヒトは「無」から生物を作り出すことはできないのです。
これだけ文明が発展しても生物に対してヒトにできることはわずかで、ヒトが働きかけることで他と少し違った性質をもった植物が育てることができたというだけのこと。
複雑に絡み合った生態系の中で生きる生物は、多様性によりその生態系を常により強固なものにしようとしていて、ヒトは品種改良などと称して、その性質をちょっと利用しているだけ。
品種登録された野菜であっても、野菜は植物なわけで生きものなのです。ヒトが働きかけずとも、多様性をもった次世代へと増殖しようとする賢い意思をもっているのです。
だからそれが野菜であっても、花を咲かせ、タネをこぼれ、次の世代へと命をつなごうとします。ヒトの営利のためにそれを止めることはできないのです。
↑タネを蒔いてもいないのに、ネギの畝上に自然発生した謎のアブラナ科の植物。
↑低い位置から見てみたらなんとダイコンでした。
植物であり生物だから、たとえダイコンであっても、次世代を残すために多様性と共に勝手に育ってしまうのです。そしてそれらは挿し木などのクローンでない限り、厳密にはそのどれもが新品種でもあるのです。
↑こちらはパクチーことコリアンダー。手前の白い枯れ枝に丸いタネ(コリアンダーホール)がついているのが分かるでしょうか? これがこぼれて、まるで絨毯のように、たくさんのパクチーが勝手にでてきてくれるのです。
効率最優先の大規模農業では、収穫が終わるとすぐにその畝は耕してしまうので、花が咲くことはないのですが、不稔処理がされていない限り、たいていの野菜はそのまま放置すると花を咲かせタネをこぼし、次世代が生えてきます。
海外への持ち出しを防ぎたいのであれば罰則とともにそれを禁止する方が効果的に思えるし、自家採種や自家増殖を禁止しても、登録品種の海外への持ち出しが防げるとは思えません。
そうなるとそれは建前で、登録品種の自家増殖を許諾制になり登録品種が増えれば、農家の多くは毎回タネを買わなければいけなくなり、品種登録が可能な大手の企業にだけに恩恵があり儲かるという、そのための法改正(改悪?)のように思えてしまいます。
↑この畝はディルを蒔いたのですが、なぜか野良坊やターサイ系アブラナなども出てきてくれています。
担当課である農水省の知的財産課に問い合わせをしたところ、
とりあえず我々、小規模農家にできそうなことは、一般品種として公知された品種を増やし、それらは一般品種だから品種登録できない、ということをネット上などで広報し記録していくことではないかと思われます。
登録品種について検索できるサイトを小岩さんから教えていただき、以下のブログで追加情報として紹介しています。