Blog「自給知足がおもしろい」

自給「知」足と称した、貧乏くさい暮らしを楽しむためのブログです。

完璧な自給自足は目指さず、「テキトー」と「いー加減」をモットーにあまり頑張りすぎない、
そんな暮らし方がこの頃なんだか、とてもオモシロイ!と感じています。
自給「知足」的な暮らしは言いかえると「貧乏臭い・ケチ臭い暮らし」でもあります。

でも「ケチ臭いビンボー暮らし」も、そう捨てたものではありません。
ビンボー暮らしは、お金をそれほど必要としない暮らしとも言えます。
そのため、お金稼ぎの作業や仕事に長時間、拘束されずにすみ、
その分の時間を、ヒトが暮らすための作業に使うことができます。

農的で質素な暮らし方が可能で、それにより身近なことで幸せを感じることができたりもします。
また、昔ながらの農的な暮らしは、ヒトも哺乳類の一種として自然の生態系の中で
虫や草や菌類など他のいきものたちと共に生きる暮らし方だったりもします。

そして、こうしたテキトーでいー加減な自給的な暮らしをうまくやっていくポイントは、「知足」? 
人間の欲望は際限がなくてお金をたくさん得られても、たぶんどんなお金持ちになっても満たされません。
でも逆に、小さなちょっとしたことでも、とても幸せに感じられることがあったりします……不思議です。

日々の暮らしの中から「自給知足的な暮らし」を楽しむためのヒント? 
のようなものを、紹介できたらいいなぁ、と思っています。どうか、よろしく。


中村哲氏のこと。

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NHKなどのニュースでは、中村哲は「アフガンに用水路を築いた人」として紹介しているようですが、私の中の中村哲は、911後、アフガンで活動する日本人を救援するとの名目で自衛隊を海外派兵するなど「有害無益で迷惑(かえって危険にさらされる)」と日本の国会で発言し、議長にその場で発言を取り消すよう求められても撤回せず持論を通した勇気ある人、でした。

911後の2001年、アフガン難民の救援活動をする日本人NGOを守るために自衛隊を派遣する、ということになって、中村哲さんは現地で活動するNGOとして、国会に参考人として呼ばれ質疑を受けています。
その時の質疑の模様が、中村哲氏の著書「医者、用水路を拓く」に書かれているので転載します。

自衛隊派遣は有害無益」という中村氏の発言に対して、自民党から「発言取り消しの要求」が出されたのに対しての中村氏の答弁です。

(以下、「医者、用水路を拓く」より転載)
「発言取り消し要求」など、偽証ならともかく、理屈の上でもあり得ないことである。
悲憤を抑えて私は述べた。
自衛隊は侵略軍と取られるでしょう。どんなに言い張っても現地の英字新聞にはジャパニーズアーミーだと書いてある。憲法の枠内だの何だのというのは内輪の議論であって、米国同盟軍としかとられない。罪のないものを巻き添えにして政治目的を達成するのがテロリズムというならば、(911に対する)報復爆撃も同じレベルの蛮行である」
「理不尽な武力行使は敵意を増すばかりである。命の尊さにアメリカ人、日本人、アフガン人に変わりがあろうか。対日感情は一挙に悪化するだろう。これは過去先輩たちが血を流して得た平和主義という教訓を毀(こぼ)つものである」
(転載、終わり)

この本のサブタイトルは「アフガンの大地から、世界の虚構に挑む」。
医師である中村哲氏が、なぜ「用水路」にこだわったのか? そこが大切なことのように思います。

 


実はもうひとつ、私の中の中村哲さんには別の素顔がありました。
それは、虫屋だったということ。
ヒマラヤにアゲハチョウを見に行ったことがきっかけ、となって、パキスタンアフガニスタンに関わりを持つようになったという話は有名ですが、虫屋仲間の間で、そのアゲハチョウが何だったのか? 推測していたりしました。
ヒマラヤのアゲハチョウと言えば「ブータンシボリアゲハ!」 というくらいに、美しく珍しいアゲハチョウがいて、私もてっきりシボリアゲハだと思っていました。
でも、あるひとからアポロだったのではないか? と言われて、それがいかにも中村哲さんらし好みで、いまではアポロウスバシロチョウだったのではないかと思うようになっています。

アポロにはシボリアゲハのような豪華な美しさではないけれども、妖精のような可憐な美しさがあります。日本にもこの仲間(パルナシウス)が棲息していて、一年に一回、春になるとゆったりとした羽ばたきと滑空で、ネギやハルジオンの花に来てくれます。春、虫草農園にもたくさんのパルナシウス(ウスバシロチョウ)が飛びかいます(食草を農園の1画で増やしているので)。

パルナシウス(ウスバシロチョウ)は尾のない白い蝶で、普通の人が見るとモンシロチョウなどと同じシロチョウ科の蝶だと思ってしまうのではないかと思います。でも、パルナシウスはアゲハチョウ科、しかも生きた化石とも言える原初的なアゲハチョウの仲間です。
たとえばウスバシロチョウムラサキケマンというアルカロイド(毒)を持った草を食べ、その毒成分を体に蓄えることで鳥の学習能力を使って、自分の身を守るという生き方をしてきました。天敵と直接的に戦うのではなく、相手に攻撃されないような環境を自分の中につくる……、天敵との直接的な戦いは、勝者と敗者を生み、それによって長い時間の流れとともに勝者は敗者になってしまうのです。
一方、ウスバシロチョウは、攻撃されない環境を自分の中につくることでたとえひとつの個体が死んでも、長い時間を絶えることなく生き延びてきた原初的なアゲハチョウなのでした。
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⇧日本にいるパルナシウスであるウスバシロチョウ(虫草農園にて)。アポロウスバシロチョウは私はまだ逢ったことがないので写真もありません。ぜひ、ネットで検索してみてください。こんな蝶をヒマラヤのお花畑で見つけたら、トリコになってしまうかもなぁ。アポロも無防備で、スーッとヒトやトリの前を滑空するのだろうか?