最近また我が家の食卓に、あらたな自然の恵みが加わりました。
コプリーヌことササクレヒトヨタケ。
これがコプリーヌの幼菌たち。
林立すると、まるでムーミンのニョロニョロみたいだったりします。
堆肥がたくさん漉き込まれた日陰の畑に、ニョロニョロとなぜかたくさん出てきます。
いままで踏みつぶしたり、野菜に黒い汁がつかないようにと投げ捨てていたのに、いまでは不注意で踏んでしまうことがないように小さい内は、アーチを掛けていたりします。
コプリーヌという名前なので、てっきりコプリンが入っているのだと思っていました。
夕食時にアルコールが欠かせない身としては耐え難く(←アル中だな!)、食材としては美味しいらしい、とは聞いていたのですがちょっと敬遠していたのでした(コプリンが作用する時間は長く、食後、一週間以上はお酒を控える必要があるそうです)。
ところが最近のDNA配列に基づく統学的解析の結果では、ササクレヒトヨタケはヒトヨタケ科ではなくハラタケ科のキノコで、調べてみたところコプリンは含有しておらず、お酒を飲んでもササクレヒトヨタケであれば激しい悪酔いを起こすようなことはない、とのこと(コプリンを含有しているとその働きでアルコール分解酵素が働かず、血中にアセトアルデヒトが蓄積されてしまうらしいです)。
しかもササクレヒトヨタケは、ハラタケ科の代表的な食菌であるツクリタケ(マシュルーム)に似た食味で、さらにコクや旨味がある、とのこと。
ということで、試してみたら、それ以来、すっかりハマってしまっています。酒の肴にいただいても大丈夫でした。
一番ポピュラーな食べ方は、ソテーかなぁ。
オリーブオイルで炒め、白ワインを加え、汁をある程度飛ばしてから、最後にバターとお醤油で味を整える、というのがオススメ。
いまちょうどビーツが収穫できているので、他のきのことと共にボルシチに入れたりもしてみましたが、サワークリームとの相性もよくて、これも絶品。
また、コプリーヌには、ビタミンEの7,000倍と言われる抗酸化&抗老化効果をもつエルゴチオネインという物質を含み、美白効果やシワや肌荒れに対して改善効果があると言われていてサプリメントや化粧品の素材として注目されているそうです。
かなり特徴のあるキノコなので、キノコの好きな人は間違えることはないと思うけれども、白系のキノコということではドクツルタケやフクロツルタケなどとも同じなので、自信がない人はしっかり調べてから食べたほうがいいと思います。
ドクツルは、1本で3人死ねる致死量を含有しています。白いキノコで卵からキノコが出ていたら初心者の人は食べないほうがいいと思います。
見分け方のひとつとして、ササクレヒトヨタケは老菌がこんな感じで黒く溶けます。
⇧ササクレヒトヨタケには、自家消化作用があり、黒い液体になって自らの体を溶かしてしまうという特徴があるのです。この状態でも茎は食べられるそうで、黒い部分をスープにする人もいるようだけど、我が家ではまだ挑戦していません。
ハラタケ科のキノコではあるけれど、成菌になると、ヒトヨタケ同様、ひと晩で溶けてなくなってしまうのがコプリーヌの特徴でもあります。
田舎には、なにもないけど、なんでもある。
コプリーヌは幻のキノコなどとも呼ばれているそうで、こんなキノコが食べられるのも、自然の豊かなところに暮らす者の特権、なのかもなぁ。大地よ、ありがとう!
こちらはササクレヒトヨタケとアサリのパスタ。クリーム系のソースによく合います。
ホント、このきのこは不思議なきのこで、ある日、突然、出現します。
しかもひと晩で溶けてしまうので、その日にすべて収穫し熱処理してしまわないといけません。そうしないと黒く溶けてしまうのです。